活動事例

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【事例紹介】「FORUM in国際音楽の日2023奈良」

(2023年12月15日公開)

全国生涯学習音楽指導員協議会 奈良支部代表 當内祥子さん

【たくさんのコミュニケーションが生まれました】
【たくさんのコミュニケーションが生まれました】
参加者・スタッフ一同 筆者前列左から6番目
■活動テーマ:
「FORUM in国際音楽の日2023奈良」
~音楽によるコミュニケーションは無限大∞古都奈良と姉妹都市トレド市との交流~
■目次:
■日時:
10月1日(日)14:00~16:00
■場所:
■対象:
一般
■主催:
全国生涯学習音楽指導員協議会
(公財)音楽文化創造の資格認定を受けた生涯学習音楽指導員が全国22の支部で協議会を構成し、地方自治体・音楽団体との連携や、支援・提案を活発に行う共に音楽活動をとおして地域の活性化に貢献しています。
■主管:
全国生涯学習音楽指導員協議会奈良支部
■活動内容

1.開催趣旨

全国生涯学習音楽指導員協議会の主な活動「FORUM in国際音楽の日」(*1)の理念の基、今年は奈良支部が実行委員会となって開催いたしました。奈良支部は2012年に邦楽と洋楽の演奏家・指導者で設立しました。2013年古都・古都フィエスタの開催をきっかけに2014年奈良の姉妹都市スペインのトレド市(*2)でコンサートを開催し、それ以来10年音楽交流を通して友好を深めてきました。その実績から「音楽によるコミュニケーションは無限大∞」とテーマを設定し1部「コミュニケーションによる音楽の可能性を大切に」2部「コミュニケーションで広がる音楽の力」で実施致しました。その内容をご紹介いたします。

*1)「FORUM in国際音楽の日」:「国際音楽の日」とは“世界のすべての人々が自分の敵や反対者をも助け合い、憎しみを兄弟の愛に変えるよう努める日にしよう。そして、あらゆる国や地域の人々が様々な音楽表現を通して、暮らしの中の音楽のすばらしさを認識する機会を与えられるようにしよう。”という理念のもと定められた日。提唱者は故ヴァイオリニスト・指揮者のユーディ・メニューイン。日本では10月1日を「国際音楽日」と定めている。

*2)トレド市:スペインの首都マドリードから南に位置するトレド県都。奈良市とトレド市は1972年に姉妹都市として提携。

2.具体的な内容

オープニング寧鼓座(なござ)なでしこ太鼓による演奏

1部「コミュニケーションによる音楽の可能性を大切に」

(1)奈良支部活動事例紹介

支部代表當内より「古都・古都フィエスタ」「友好コンサートinトレド」他「子どもスペイン講座」「絵本講座」「タンバリン講座」「バロックダンス講座」「2014年姉妹都市スペイントレド市での交流コンサート・コレヒオ・奈良小学校との交流」「2023年3まいのおふだの動画での交流」を映像を使って紹介させて頂きました。

(2)語りと音楽による「三枚のお札」スペインversion

作:日本昔はなし(奈良のむかし話)
作曲:水川寿也絵:中谷由香
演奏:尺八奏者 中村箏山
箏・三味線・尺八 ぐるーぷ翔
スペイン語監修・指導:ナレーション:Junn Jose Lopes Paros (ファン・ホセ・ロペス・パソス)
スペイン出身で現在日本在住。天理大学国際学部外国語科准教授。長年、当支部の「スペイン講座」を担当。

奈良市の姉妹都市であるトレド市のコレヒオ・奈良小学校に日本の文化・音楽を知って頂くことを目的に奈良に伝わる昔話を紹介する画像を制作しました。その画像を先方へ送り、現地の子どもたちに授業で扱ってもらい楽しんでいる姿を映像で紹介しました。また子どもたちの感想も動画でお送りいただき文化交流の一つの姿を理解していただいたと思います。子どもたちは音楽を通じて心を通わせ、お互い異文化を理解することによって、それぞれの国の違いと良さを理解し合い、世界平和につながることと信じています。
このようなことができたのは行政のご支援のおかげです。10年前に奈良コレヒオ・奈良小学校に訪問したときにも奈良市長の親書をトレド市の市長にお届けしたのが始まりで、このたびも奈良市からトレド市の小学校へ連絡をお願いしてつないでいただきました。

画像制作に当たっては下記の方法で行いました。

  1. 題材を奈良に伝わる昔話の「3まいのおふだ」に決定
  2. 音楽は題材に適した邦楽器(箏、三味線、尺八)の編成で作曲者へ依頼、音源を制作
  3. スペイン語のセリフをファン先生にご指導いただきメンバーがスペイン語でセリフを読む
  4. 紙芝居は奈良市在住の紙芝居作家中谷由香さんに依頼
  5. 画像完成
  6. 音源付き画像を奈良市と姉妹都市であるトレド市のコレヒオ・奈良小学校へ送る。
(3)DUO杉山(杉山聡一・杉山恵)によるギター演奏

曲目はクラシックギターの名曲でスペインに因んだ「アルファンブラ宮殿の思い出」(F.タレルガ曲)とキューバのピアニスト・バンドリーダのF.レクォーナ作曲の「マラゲーニャ」をスペインの風景をバックに息の合った
Duo杉山の演奏を聴かせていただきました。今年11年目を迎える子どもスペイン講座では、この2曲は必ずプログラムに入れていただきます。

2部コミュニケーションで広がる音楽の力

(1)2021年ショパンコンクール第2位入賞者のピアニスト・指揮者の反田恭平氏よりビデオメッセージで音楽の都つくりへのエールを頂戴する。
(2)音声館(おんじょうかん)制作による大紙芝居「二月堂良弁杉」上演

奈良市音声館は世代交代や地域社会の変化によって失われつつある伝統的な芸能やわらべうたの調査・研究並びに普及を目的として平成6年(1994年)10月に奈良市が設立しました。

出演:劇団「良弁杉(ろうべんすぎ)」

音声館を拠点に活動する市民劇団で活動29年目を迎えます。「創作ミュージカル」「大型紙芝居」他「民話の語り」の定期公演と学校へのアウトリーチを行っています。演目『二月堂良弁杉』は、奈良東大寺の開祖「良弁僧正」の生い立ちと母と子の強い絆を描いたお話です。たたみ『一畳分』の特大紙芝居から登場人物が飛び出すミュージカル仕立ての内容です。お話は二人の語り手で進められました。子供役がわらべ歌で遊ぶシーンでは、会場の子供たちもステージ前で参加し、客席の大人も巻き込んでの演出で会場全体が楽しい和やかな雰囲気になりました。

エンディング

スペインでは「かわいい子猫」として歌われる童謡「Los Gatitos」(日本語のタイトルは「ぶんぶんぶん」)を出演者と会場側と一緒に歌って閉幕しました。

3.FORUMを終えて

基本コンセプト、会場、内容制作について振り返ってみたいと思います。

(1)開催方法と会場

開催日の1年前、2022年11月に奈良支部で実行委員会を立ち上げました。FORUMはここ数年コロナ禍の影響もありZOOMを使用して行ってきましたが、今年に入り緩和されたこともあり対面で開催できる可能性も含め検討しました。結論としてどちらになっても良いように会場だけは奈良をアピールできる場所決定しました。2月に入ってから対面で開催すること、後日参加できなかった協議会会員の皆様方へYouTube配信することを決定し、また自治体他へ後援名義申請など具体的に準備を進めました。

(2)内容面

当支部が長年活動してきた「スペイン講座」や「スペイントレド市との文化交流」を柱に内容を考えました。前記した(2)語りと音楽による「3まいのおふだ」動画作成の準備を進めていましたが紙芝居の著作権の都合で急遽(きゅうきょ)、紙芝居作家の方にオリジナルの画像の制作を依頼しました。また時差のあるスペインとの交渉は思ったより時間を要しました。準備期間の6月下旬~9月上旬はちょうどバカンスの時期と重なり、準備がぎりぎりになってしまい、今後はこれらのことを十分考慮する必要を感じました。

(3)成果

今回FORUMの主管となって更に奈良支部のメンバーの団結力が強まったことは大きな成果です。準備を進めている中で、10年間子ども「スペイン講座」「子ども絵本講座」を継続し、最近ではすぐに定員に達する講座に成長していること、講座の参加者を始め、多くの方々に支えられてきたことの感謝の気持ちを再確認しました。また反田恭平氏が2021年に立ち上げたジャパン・ナショナル・オーケストラ株式会社(JNO)とコミュニケーションがとれたことは私たちの励みになりました。

4.抱負

国際都市に相応(ふさわ)しい奈良が伝統を守ると同時に新しい音楽があふれる都になればすばらしいと思います。そのためには生涯学習音楽指導員が地域住民に対して生活の中で自然に音楽に触れることができる環境作り、音楽を通して子どもから大人まで学ぶ機会を創出することを求められています。これからも今までの活動実績を基盤に行政、文化・音楽団体の方々とのコミュニケーションを大切にしながら、参加者と一緒に笑顔で触れ合える活動を目指します。今回のFORUMのテーマ「音楽によるコミュニケーションは無限大∞」は我々のビジョンでもあります。

(2023年12月15日公開)

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