活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】東日本大震災ボランティア~音楽とアクセサリー作りのハーモニー

(2025年07月01日公開)

地域音楽コーディネーター 会社員 埼玉県 榊篤志さん

音楽ボランティア団体 Commodoコンサート
音楽ボランティア団体 Commodoコンサート
■活動テーマ:
東日本大震災ボランティア~音楽とアクセサリー作りのハーモニー
■目次:
■活動開始時期:
2012年~現在
■場所:
保育園、幼稚園、老人養護施設、病院、地域の公共施設、東京近郊のコンサートホール、等
■対象:
一般
■活動内容

1.きっかけ

5歳で始めたピアノがきっかけで、今まで音楽から離れたことはありません。中学時代ブラスバンドでフルートと出会い、フォークソング流行時代にフォークギター、大学時代から合唱に夢中になり、とあるプロ楽団の専属合唱団とに所属してバロック音楽(*1)から現代の合唱曲を数多く演奏しました。その後35歳からヴィオラを習い始め、トレーナーの先生に背中を押され大学オケデビューから延べ8オケを巡り、現在は3団体に所属し、演奏者・ステージマネージャーとして活動しています。

*1)バロック音楽:1600年~1750年ヨーロッパで生まれた音楽をさす。オペラ、オラトリオ、カンタータ等声楽曲とコンチェルトが成立、発展した。代表的な作曲家はモンテ・ヴェルディ、ヴィヴァルディ、スカルラッティ、ヘンデル、J.Sバッハなどが知られる。

2.具体的な内容

(1)音楽ボランティア団体 Commodo

2012年、大学生の仲間同士が「聴く人たちに楽しんでいただくために演奏したい」という目的で設立された音楽ボランティア団体です。「Commodo」の活動ポリシーは、東京都と近郊の保育園、幼稚園、病院、老人養護施設などふだん生演奏を聴く機会がない方々へ音楽を届けています。小規模なアンサンブルの訪問演奏から、大規模なホールでの演奏会を行っています。また、毎年夏には東北に出向き復興のボランティア活動と演奏活動をすることで、東日本大震災で被害に遭った人たちに癒しを与え続けています。

プログラムは、聴いていただく対象者と場所に合わせて選曲します。例えば、クラシックの名曲から映画音楽、ミュージカル、ディズニー・ジブリ曲等幅広いレパートリーの中から構成します。

Commodoには、現在所属しているオケと共通の友人が数多く演奏しています。

○ステージマネージャーとして

演奏活動を進めていく上で、演奏者が必要なのはいうまでもありません。演奏会を開催するにはメンバーは演奏者の立場とスタッフの立場を両立させながら本番までの準備を進めます。ⅰ.会場決めと予約ⅱ.演奏会の選曲ⅲ.楽譜準備ⅳ.練習会場の手配ⅴ.練習の計画ⅵ.録音・録画ⅶ.広報宣伝Ⅷ.予算管理などオケの編成により同じような建て付けで演奏会の本番を迎えます。

一方で、本番当日を取り仕切る役割を担うのが「ステージマネジャー(通称ステマネ)」と呼ばれるスタッフです。その役割は、ⅰ.本番各ステージの配置決め ⅱ.舞台の組み上げ・バラシの指示 ⅲ.タイムテーブル作成と周知ⅳ.リハーサルの時間管理など多岐にわたります。ステマネの醍醐味(だいごみ)はオケメンバーとの関係性が深まる綿密な準備プロセスと、舞台のバラシが終わり、事故がなく本番を終了した喜びをかみしめながら、打ち上げのビールで乾杯する瞬間です。

(2)「てど倶楽部」ワークショップとのコラボレーション

「てど倶楽部」は2012年2月に東日本大震災の復興支援活動の一つとして高校同期が主宰し活動しています。「てど」とは岩手県岩泉町の方言で手先の技術のことをいいます。この団体は岩泉町に住んでいる人たちの「津波で着物が流されたけど、布を触っていると心が落ち着く」との言葉がきっかけで設立され、着なくなった着物の生地を再利用してペンダントやイヤリングなどのアクセサリーを手作りしています。

「てど倶楽部」とのコラボレーションは昨年2024年の5月に、自分の母親の着物を処分しようと高校同期に久々に会って話をしていたとき、「そういえばふたつが一緒になれば面白いよね。」とふとつぶやいたのがきっかけで、小山台会館で実現しました。

3.成果と課題

私の演奏活動は大学入学から始めた合唱からで、かれこれ50年近くになります。初めのころは、声のアンサンブルが難しく楽しむまではいかなかったことがありましたが、途中2年間合唱のピアノ伴奏をしたことが大きなきっかけとなり、指揮者と音楽を作る喜びを味わうことができました、

オーケストラを始めたころは、なかなか音程も定まらず、他のメンバーに迷惑かけ続けでしたが、現在所属しているオケでトップ(首席奏者)を10年間勤めたことで、ヴィオラの特質を生かした「協調性」を磨きつつ、音楽性を高めることまでできるようになりました。

また、ステマネを複数年担当したことで、舞台の裏側のドラマを垣間(かいま)見ることができたり、時間通りに無事終了してほっとしたり、と演奏者だけでは味わうことのない場面に遭遇できたことを思い出すことがあります。ステマネを経験することによってコンサートの全体を把握統括することにより、演奏者の無駄のない動線や、本番当日のスタッフへの思いやりなどが見えてくる瞬間が増えました。

4.抱負

これまで音楽を続けてこられたのは、初めての楽譜で「点」に見えていた楽譜が練習を経て「線」になり、結果的にオケ全体が同じ方向を向いて「面」から「立体」になる、という瞬間を迎えることが最大の快感だからではないかと思っています。
規模的にはソロから始まり、二重奏からのアンサンブル、初めからたたき上げのオケからある目的で短時間に仕上げるようなオケまで、演奏形態は様々ではあり、年齢・国籍・性別にかかわらず取り組めるという面も、音楽の大きな魅力であると思います。

今は自分の子供のころと違って、気軽に楽器に触れる機会が増えてきています。小さい子供たちが「音楽って楽しいものだな」と思ってもらえる場を作り、また音楽を聴きたくても自由に聴けない方々に音楽を届ける活動にも参加することが、これまで関わってきた先生方、演奏仲間、そして音楽に対する恩返しだと思っています。

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