地域音楽 コーディネーター

活動事例 地域音楽 コーディネーター

【事例紹介】音楽の力で、社会的な健康を促進する

(2026年03月10日公開)

地域音楽コーディネーター 看護師・社会福祉士・保育士 市民活動団体「心と身体の健康づくり ”ここから“」愛知県 原 大介さん

音楽好きな通いの場メンバー一同
音楽好きな通いの場メンバー一同
■活動テーマ:
音楽の力で、社会的な健康を促進する
■目次:
■活動開始時期:
2023年~現在
■場所:
通いの場を実施する会場(公民館、集会所など)
■対象:
主に70代以上の高齢者

1.活動を始めたきっかけ

私は幼少期にピアノを始め、学生時代には吹奏楽やジャズでサックスを楽しんでいました。しかし結婚後は仕事や育児に追われ、次第に楽器に触れる時間がなくなりました。現在は医療機関で高齢者の医療・介護に関する相談業務に携わっています。

その中で、家族や友人との別れ、退職、子どもの独立などで役割を失い寂しさを抱えている方と多く出会いました。「これまでの音楽経験を生かして、高齢者の健康づくりに役立てられないだろうか」と考え、市の広報で見つけた「通いの場支援講師団体の募集」に応募しました。現在は行政や自治会からの依頼を受けて、地域での活動を行っています。

2.具体的な内容

A.通いの場での活動〈同世代交流〉

(1)通いの場とは

私が関わる通いの場は、地域で介護予防に取り組みながら人と人とのつながりを持ち、互いに助け合うことができる場所です。依頼を受け、同じ地域に住む方々が集まる会場で「フレイル予防」をテーマに活動しています。

(2)フレイルとは

フレイル(Frailty)とは「健康」と「要介護」の中間にある状態です。身体だけでなく、心や社会的なつながりも影響します。社会とのつながりが薄れると、生活範囲や心身の機能に影響が広がることがあります。しかし、適切な関わりがあれば回復が可能です。地域の通いの場に参加し続けることで、人とのつながりを保つことができます。

(3)活動内容

フレイル予防講座では、昭和歌謡や季節の童謡、文部科学省唱歌などの懐かしい音楽を使った歌唱・運動・回想法を取り入れた参加型プログラムを実施しています。音楽は記憶や感情を呼び起こし、自然に体を動かす力があります。仲間とリズムを合わせることで一体感も生まれます。歌詞や写真を使って思い出話に花が咲くことも多くあります。

(4)参加者の声

参加された方からは、次のような声を頂いています。
「昔の歌が一番!懐かしくてうれしかったです」
「体を動かすのに苦にならない」
「忘れていた歌も、歌い出すと自然に歌えた」
「音楽を楽しむことは高齢者にとって本当に楽しい。85歳の私には貴重な機会です」
「もっと多くの人に体験してほしい、勧めたいと思います」

B.多世代交流を目指す取り組み

私は高齢者に限らず、様々な世代が音楽を通してつながる場をつくりたいと考え、その一つとして隣県で「多世代交流リトミック(*)」に取り組む講師を招き、音楽イベントを企画しました。前半は高齢者の方を対象に脳トレ体操を行い、後半は児童館の小学生も加わり、リトミックで交流しました。音楽に合わせて体を動かしながら笑顔で交わる場面がたくさんあり、音楽の力で世代を超えたつながりを育むことができると実感しました。

*)リトミック:スイスの作曲家・教育者のジャック=ダルクローズに(1865-1950)よって考案された、音楽と体の動きを組み合わせたリズム教育。当初は幼児教育が主だったが、現在は音楽療法の場でも取り入れられている。

また、社会福祉協議会・介護事業所の協力で開催した「高齢者のこころ・からだの変化を知ろう」では、児童らが加齢による心身機能の変化を学びました。世代を超えた関わりやコミュニケーションの方法を考えながら、子どもたちや若い世代にとって高齢者への思いやりを育む機会となりました。

3.成果

フレイル予防講座は、老人クラブの会員や民生委員の方との出会いをきっかけに、地域に少しずつ広がっています。当初は高齢者の心身の健康維持を目的として始めた取り組みでしたが、地域のつながりづくりにも大きな効果があることを実感しました。

自治会からの依頼でコミュニティセンターでの演奏会を開催した際には、近隣住民が集い、文部科学省唱歌「ふるさと」を斉唱するなど音楽を通じた交流が生まれました。地域での音楽イベントは人と人をつなぎ、地域全体を元気にする力を持っていると感じています。

4.課題

現在、「通いの場」に参加される多くの高齢者は社会的健康が保たれていますが、体調や移動環境が整わないために会場に来られない方や、地域との交流が少ない方もいます。今後は世代を超えて音楽を楽しめる仲間を増やし、そのメンバーと一緒に、ご自宅や高齢者施設など、様々な場所で合唱や合奏を届ける活動に取り組みたいと考えています。

5.抱負

音楽には、地域のきずなを育む力があります。様々な世代の地域住民の方がこころ・からだを動かし、仲間と交流する中で笑顔が生まれる瞬間に大きな喜びを感じながら活動をしています。今後も団体の思いに共感して支えてくださる地域の方々や、さまざまな分野の方との出会いやつながりに感謝しながら、地域の健康づくりに貢献していきたいと思います。

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