地域音楽コーディネーター 音大生Haruka Notes代表 東京都 横井嶺花さん
- ■活動テーマ:
- 「クラシック音楽をもっと身近に、楽しく!」
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2025年3月~現在
- ■場所:
- 東京と、自身の地元である名古屋のコンサートホールやサロンホール
- ■対象:
- 一般
1.きっかけと目的
私はこれまで、うれしいときや苦しいときも音楽に救われ、支えられてきました。音楽は常にそばで心を受け止めてくれる存在であり、その力や魅力を実感しています。世界中に様々な音楽がある中で、クラシック音楽は「堅い」「敷居が高い」「難しい」といったイメージを持たれがちで、限られた人のものになっているように感じられる現状もあります。
現在クラシック音楽を学んでいる私としては、このような状況を目の当たりにする中で、今まで得た深い感動体験とそのすばらしさを一部の人にとどめるのではなく、より多くの方に届けたいと強く思うようになりました。
こうした思いから、誰もが気軽にクラシック音楽を楽しめる場をつくりたいと考え、コンサートのプロデュース及びマネジメント活動を始めました。現在は大学の仲間とともに、様々なコンセプトを掲げながら、公演の企画・運営に取り組んでいます。
2.具体的な内容
A.音の花束コンサート
「音の花束コンサート」は、自身が最初にプロデュースしたコンサートです。「本格的な音楽を身近に、音と言葉で紡ぐ演奏会」をテーマに、音楽高校時代の同期の演奏家を迎えて開催しました。ここで指す本格的なクラシック音楽とは、音楽大学で学ぶ学生が演奏技術、表現力を高めるために日常的に取り組んでいる必須曲で、演奏時間も比較的長い作品のことを指しています。
これらの曲は、クラシック音楽に親しみのない方にとっては、難しいと感じられる場合もありますが、演奏の合間に作品が生まれた背景や聴きどころを事前に共有することで、少しでも身近なものとして興味を持っていただき、その曲のすばらしさを感じてもらうことを目的としています。
音楽は、過去から多くの人々によって受け継がれてきた文化・芸術であり、楽譜に刻まれた歴史や文脈は、時間を横断する「横の糸」として存在しています。一方で、その音楽を「いま・ここ」で立ち上がらせるのが、演奏者が一音一音に思いを込めて奏でる「縦の糸」だと言えるでしょう。
この二つが交差する瞬間に、音楽は初めて生きた表現として立ち現れます。演奏者が異なれば、同じ曲であっても響きや表情は変わるのであり、その人だからこそ生まれる音や表現に触れることが、音楽をより深く味わうことにつながると考えました。
そこで本公演では、上記目的のもと演奏者一人一人の人柄や魅力についても紹介しました。音楽高校時代を共に過ごした仲間だからこそ語れるエピソードを交え、演奏者の「華」を伝えることで、聴衆との心理的な距離を縮めることを意識しました。
音楽そのものが持つ歴史や作品の魅力(華)と、演奏者が放つ個性やその華。この二つが織り重なり合う瞬間を味わっていただきながら、それらが演奏と言葉によって紡がれた花束としてお届けしたいという思いで立ち上げました。終演後には、「音楽の知識がなくても解説のおかげで楽しめた」「演奏者について知ることで親近感を持って聴けた」といった声が多く寄せられました。チケットは完売し、好評を受けて、本年はシリーズ第二弾として東京・名古屋でのツアー公演を予定しています。
B.クリスマスコンサート
本公演は「Bon appétit!!! クリスマスコンサート」と題し、東京のスコットホールにて開催した重唱(*)コンサートです。
*)重唱:二人以上の歌い手がそれぞれのパートを歌い、美しいハーモニーが魅力的である。
会場であるスコットホールは、ふだんは教会としても使用されている空間です。プログラムはその特性を生かした構成で、同じ大学で声楽を専攻する学生11名とともに行いました。公演名の「Bon appétit!!!」とは、フランス語で「召し上がれ」を意味する言葉であり、本公演はコンサート全体を一つのコース料理に見立て、前菜からデザートまでを味わうように音楽を楽しんでいただくことを目指しました。伝統的な名曲から新しい響きを持つ作品までを取りそろえ、「お腹いっぱい」ならぬ、「心が満たされる」時間を提供することを目的として企画しました。 テーマには「歌を身近に」を掲げ、幅広い層の来場者が親しみを持てる内容を意識しました。例えば、輪唱で有名な「カエルの合唱」や歌の掛け合いが面白い「森のくまさん」といった童謡を、出演者による編曲によって新たな響きで重唱したほか、クリスマスソングのメドレーなど、なじみのある楽曲も積極的に取り入れました。また、会場が教会であることを踏まえ、讃美(さんび)歌「天には栄え」なども数曲組み込み、空間と音楽が調和するプログラム構成を心がけました。 コンサートは、食前酒に当たる導入曲から始まり、アミューズ~スープ~サラダ~メインディッシュ~デザートへと進む構成とし、ジャンルや雰囲気の異なる楽曲を段階的に配置しました。終演後にはお客様より「様々なジャンルの音楽を飽きることなく楽しめた」といった感想が多く寄せられました。また当日は200名を超える来場者を迎え、チケットは開演前に完売するなど、多くの反響を頂きました。現在は、こうした成果を踏まえ、第二公演の開催も検討しています。
3.成果
活動を通して得られた成果として、コンセプトを設定し、コンサートを企画・立ち上げる中で、とりわけ専門としている「言葉」も用いて音楽を伝えることで、楽曲への理解が深まったり、演奏者や作品に親近感を抱いていただけたりするなど、クラシック音楽を少しでも身近なものとして届けることができていると感じています。
実際に来場者からは、構成や解説などに対してお褒めの声を多く頂いております。こうした反応は、企画の方向性が一定の手応えを得られていることを示すものでもあり、取り組んできて良かったと感じると同時に、より多くの方に音楽を届けていきたいという励みにもなっています。
4.課題
(1)スケジューリング調整
主な課題として、私自身を含めた演奏者のスケジューリングや、スタッフ体制の脆弱(ぜいじゃく)さが挙げられます。現在は同じ大学の学生を中心に声をかけて公演を行っているため、各自がソロ活動やレッスンなどで多忙であり、合わせやリハーサルの予定が思うように組めないことが少なくありません。その結果、準備が直前に集中してしまう場面も多く、今後はより余裕を持った進行が求められます。
(2)体制の見直し
公演規模が大きくなるにつれ、企画・プロデュース、マネジメント、さらにはピアノ伴奏までを私一人で担う現状にも限界を感じるようになりました。学生という立場上、学業との両立が難しくなる場面もあり、持続的な活動のためには体制の見直しが不可欠だと考えています。今後は、志を同じくする仲間を増やし、役割を分担しながら、より安定した形で活動を広げていくことを目指していきたいです。
5.抱負
(1)クラシック音楽の普及啓蒙(けいもう)
私は、クラシック音楽が社会と私たち自身に潤いを与える力を確信しています。だからこそそんなクラシック音楽の魅力をより多くの方へ届け、感動体験を社会の中に広げていきたいと日々奮闘しております。中でも今後の抱負の一つとして、海外のアーティストを招聘(しょうへい)し、本場の音楽や多様な表現に直接触れられる機会を日本で創出していきたいと考えています。一流の演奏家との出会いは、聴衆にとっても、演奏家自身にとっても、新たな気づきや刺激をもたらすものだと思います。
(2)子どもたちへのアウトリーチ
小学生や幼稚園の子どもたちを対象としたアウトリーチ活動にも力を入れていきたいと考えています。幼い頃に音楽と出会い、その楽しさや豊かさを体感することは、その後の人生において音楽を身近な存在として感じる土台になるでしょう。
(3)若手演奏家のマネジメント
若手演奏家にとって、演奏の場が限られているという現状も大きな課題の一つだと感じております。社会の中には、音楽を必要としている場所や場面が数多く存在しているにもかかわらず、それらと演奏家が十分につながれていない現状があります。今後は、そうした社会のニーズと若手音楽家を結びつける役割を担いながら、音楽が日常の中で自然に息づく環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。多くの人を巻き込みながら、クラシック音楽を特別なものから「身近な文化」へと育てていくことが、私の目指す姿です。
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