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【事例紹介】心の栄養として地域社会に音楽を

(2021年04月16日公開)

全国生涯学習音楽指導員協議会 
奈良支部会員 田渕卷子さん
~心の栄養として地域社会に音楽を~
チェロセンター合唱写真
■日時:2018年12月~2020年2月

■場所:
(No.1)奈良市ならまちセンター市民ホール、奈良市北部会館市民ホール
(No.2)大阪府警察コミュニティプラザ、奈良市音声館

■対象:幼児から高齢者まで

■活動内容

【1.二つの活動を始めたきっかけ】

現代は昔に比べて簡単に音楽を聴く機会や方法が数多くあります。しかし、クラシックやジャズ等はマニアックで特別なものと思っている方もおられるようです。以前、地域のレストランやホテルラウンジでピアノ演奏をしていた時、そのような方々へも架け橋となれるような、不思議な体験をしました。

そこではお客様は食事をする事が目的で来られますので、始めは単に、雰囲気作りのBGMと捉え演奏しておりました。ところがお客様から、「至福の時間でした」はもとより「生演奏を近くで始めて体験し、悩んでいた気持ちが軽くなり感動しました」などお声掛けいただくことが増え、お店のスタッフからも演奏が入る時間は楽しく仕事が捗ると言われました。
  1. 生演奏による音の空気感共有の素晴らしさ
  2. 聴衆奏者共に身体や心に及ぼす良い相互作用
がある事を体感し、ピアノの音色で潤い空間を供給できる発見の場となりました。

ところが、社会ではまだまだ音楽が二の次にされている現状に疑問を感じます。演奏家・生涯学習音楽指導員である私は、音楽を特定の人だけでなく「心の栄養としての効果」があるという事を柱に地域に広めていきたいと考え、微力ながら自分のできる範囲から活動を起こしました。それがこの活動を始めたきっかけです。

その中から二つ、「X’masコンサート」ならびに「連弾トークコンサート」についてご報告いたします。

【2.具体的な内容】

「No.1」ピアノ生徒から繋がる人々も共に『X’masコンサート』


指導しているピアノ生徒だけでなく家族や友達、繋がる全ての方々にも枠を広げ、出演機会を設けています。楽器経験の有無は問いません。ステージ上の演奏者と客席が一体となれる空気感を大切に、誰もが音楽を楽しめる事を目的に、毎年クリスマスの時期に開催しています。プログラム内容は、4つの構成からなっています。

① Solo演奏部門

⇒ 生徒達のピアノ演奏披露に加え、生徒の友達や家族親戚など以前に習っていた方、また当企画をきっかけに新たに楽器を始められ参加される方もおられます。

② 学友や家族・親戚等とのアンサンブル部門

⇒ 自由企画であるため、その時々によりさまざまなアイディア・形態から音楽コミュニケーションが生まれます。
⇒ 生徒の所属する部活仲間によるクリスマス曲演奏

③ プロのゲスト演奏家によるトークコンサート部門

⇒ 質の高い音楽鑑賞、楽しい音楽知識や楽器の魅力を知ってもらうトーク

④ 会場全員で『きよしこの夜』合唱

⇒ ステージ上の演奏者と客席が一体となるクリスマス空間

「実施した効果」

ピアノ生徒達も学びとしての習い事の一環だけでなく、「生涯音楽」としての取り組み意識が芽生えるようになりました。また、出演者や客席参加者からは「心が潤った」「ほくほくになった」「とても楽しい体験だった」「親戚が集まるイベントになっている」等、毎回たくさんの嬉しい感想が届きます。参加者が生活の中で普段から音楽を楽しむ意識が生まれ、音楽発信者の一員となってくれているようです。

「No.2」公共施設で気軽に聴いていただける音楽として『連弾トークコンサート』

① 大阪府警察コミュニティプラザ:「ア♪ファシナンテ」NESSO“with”コンサート

⇒大阪府警察コミュニティプラザは、大阪ホワイティ梅田内という街の中心部という事もあり買い物ついでに気軽に立ち見もできる立地で、常連の警察OBの方々を始めとし、様々な世代の方が多く集まる場所です。このような環境を考慮し、プログラムには親しみのある曲も交えながら音楽を楽しんでいただきました。

② 奈良市音声館:「ア♪ファシナンテ」やわらぎコンサート

⇒奈良市音声館は、観光地である「ならまち」にあり、旅行者も立ち寄れる場所です。奈良市全域にチラシやポスターでの広報もあり、多くの人に身近で音楽を親しんでいただきました。幅広い年齢層に楽しんでいただけるように、クラシック・ポピュラー・唱歌やJAZZ・ポップス等、色々なジャンルでプログラムをつくりました。また、合間に全員が歌で参加できる場面も作り、プログラム裏には『上を向いて歩こう』の歌詞を掲載しました。

「実施した結果」

客席とコミュニケーションを取りながらの進行は、一体感を持って共有できる音楽空間となります。アンコール曲をお伝えした時の嬉しいどよめきや、「心がきれいに洗われた」「時間があっという間だった」「ピアノの音色が心地よかった」「また次を楽しみにしています」などの感想からも、心地良い空間を生み出す音楽の偉大な力、心の栄養としての音楽の相互作用を実感できるものとなりました。

【3.課題と今後の抱負】

2020年12月のX’masコンサートはコロナ禍の中、工夫しながら開催しました。

アルコール消毒・マスク着用・三密を避けるため間隔を空けた100席限定の客席は、おかげさまで満席となりました。参加者や聴衆者より「自粛生活ばかりの中で心が豊かになった」「ひさびさに楽しい気持ちになった」など、コロナ禍ならではの音楽作用もはっきりとうかがえ新しい発見でした。

この二つの活動は、私個人で企画推進してきていますので、今後どのように継続発展させていくか、体制作りが課題です。また「連弾トークコンサート」はボランティアのため、継続には資金調達や広報宣伝などを考えていきたいところです。

現在コロナ禍が続いており、さらに企画のみならず会場選び、三密対策など配慮しなくてはなりません。この機会を前向きに捉え、新しい手法として「YouTube」も視野に入れながら行動を広げていければと模索中です。

厳しい時代の中こそ、人々は癒しを求めています。大切な 「心の栄養としての音楽」を地域の多くの人々に広げていけたらと考えています。

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