全国生涯学習音楽指導員協議会 大阪支部会員 池田みゆきさん
■ 活動テーマ:地域での音楽普及活動へ向かって ~楽しく歌って知る童謡~
■ 日時:2017年11月~現在月1回90分 年間4回
■ 場所:大阪府泉南市 島村楽器イオンモールりんくう泉南店内スタジオ
■ 対象:40代~80代
■ 活動内容
子供のころ、「何だか不思議な歌詞だな」「これは日本のどこのお話だろう」と思ったことも、また然り。
2018年は、童謡誕生(雑誌「赤い鳥」刊行)100年を迎えた年でした。私がこの講座を始めてみたいと思った2017年頃には、すでに童謡に関する書物が数多く出版されていました。その書物を何冊も紐解くうちに、幼いころに不思議に思ったことや様々な疑問が解けていきました。
すると、いつも聴いていた歌や口ずさんでいた歌が、それまでとは違って聞こえ、「すーっと」心に入ってきました。そのことから「楽しく歌って知る童謡」というこの講座の企画にいたりました。
目的は下記の3点です。
そこで私は、先の三つの想いのもと、「童謡講座」の企画を音楽教室担当の女性スタッフに提案したところ、スタッフより「ここでは歌うことの少ない、童謡や日本の唱歌ばかりを集めて歌う内容も良いですね。『うたごえの会』とはまた違って、それぞれの作品の解説も聞く事ができて」との賛同を得ることができ始まりました。
≪取り上げた童謡作品一例≫
『春の小川』『うれしいひな祭り』『背くらべ』『たなばたさま』
『ちいさい秋みつけた』『たき火』『かなりや』『七つの子』
『あんたがたどこさ』『通りゃんせ』等。
講座の折りに、その時々に合わせた作品を選び歌詞集を作り工夫をしています。
Step2:歌い終わった後、受講者にそれぞれの作品の思い出やエピソードを語ってもらいます。
全員が必ず何かエピソードを語らなければならないということではなく、誰かのエピソードに共感するときなどは、そこからどんどん話が膨らんでいっても良いのです。その時の皆さんは、すっかり少年・少女のような笑顔になり、瞬く間に部屋はどこかの小学校の教室のようになります。これは、指導目標ⅲに示した「思い出の共有」「相手への共感」であり、私が大切にしていることの一つです。
Step3:作品一つ一つを簡単に解説します。
Step4:選曲した中の1曲又は2曲程度、興味を持ってもらう様に詳しく解説(裏話のようなものも含めて)受講者がどこかで誰かに教えたくなるような内容で進めていきます。
曲によっては手遊びなども行います。『あんたがたどこさ』を取り上げた時には、鞠つきをしてみました。すると、世代によって鞠をつく時の手足の動作が違っていたり、子供のころに暮していた地域によって、様々に変化していることもわかり、お互いに驚きと笑顔が絶えません。
私にとっても非常に勉強になりました。解説を聞いて、その作品の裏側に様々なエピソードがあることを知った受講者は、最初に歌った時より表現が豊かになり、歌い方も違って聴こえます。それは内容をかみしめ、想像を巡らせ、言葉を大切に歌って下さっているからだと思います。
「ぜひ!」とお返事をしましたが、その後、残念ながら新型コロナウイルスの影響で発表会も講座も開講できないまま、今にいたっています。
新型コロナウィルスが落ち着き、開催できるようになりましたら、さまざまな世代の皆さんに聴いていただけたらと思います。そして演奏者のみならず観客の皆さんと共に歌うことができたらと願っています。
何気なく歌っていた童謡ですが、歌詞の説明などを聞いて、その時代背景から歌詞の内容が深くわかり、情景を思い浮かべながら歌う事が出来ました。童謡を歌っていると子供の頃を思い出し楽しかったです(M.Sさん 女性)
この前、孫が家に遊びに来たので、講座で習った歌を歌ったら「おばあちゃん、私もその歌 知っとるよ」と言われ一緒に歌いました。歌った後で、その歌のエピソードを話してあげると、「おばあちゃん、すごい!」と言われ、孫との楽しい時間が持てました。もっといろいろな童謡を知りたくなりました。(Y.Hさん 女性)
私『ちいさい秋みつけた』ってあまり好きじゃなかったのです。「暗い歌やなぁ」って思って。でも、この歌にその様なエピソードがあったのだと理解できたら、歌が心に染みてきていっぺんに好きになりました。(M.Kさん 女性)
普段、何気なく口ずさんでいる童謡ですが、その時代背景や歌については、何も知りませんでした。でも、この学びの場で童謡の奥深さや素晴らしさに触れながら、皆「仲間」と勉強ができるので、とても楽しいです。(S.Yさん・女性)
現在72歳、童謡・唱歌、知らない歌はありません。けれど、作詞者や作曲者の生い立ち、童歌のご当地、歌に込められた深い意味等々は、知らないことも多く、楽しく勉強することが出来ます。これからも、心豊かに、懐かしく口ずさんでまいりたいと思います。(I.Mさん 女性)
童謡にスポットを当てることで、ご年配のお客様の集客につながる。ただ歌うだけの講座でなく、講義もあり知的探求心に刺激を与えることができる。
曲にまつわる解説を聞いていて、初めて聞く話も多く家に自分自身も家族に教えたくなった。
曲の背景に加え、作曲者や作詞者の生い立ちや作品が生まれた経緯など、一人の作曲者や作詞者に焦点をあて、それを何回かに分けた講座も開催してはどうか。
選曲について
多くの作品の中から選曲するのですが、どうしても好みが偏ってしまうので、今後は受講者へ次回の講座に向けて歌いたい曲のアンケートを取ることを考えています。
指導にあたって
歌に関しては、楽しく歌うことが大切なことはもちろんですが、その中に健康のための発声法を取り入れることも必要ではないかと考えています。
年齢を重ねると気が付かないうちに、身体の様々な筋力が低下していくようになります。また、生活している上で、だんだんと大きな声を出すことも少なくなっていきます。大きな声で歌うとなると、もっと難しくなってきます。気が付くと1日誰とも話をしなかったとか、一歩も外へ出なかったなどということをよく聞きます。
この講座では、いつまでも楽しく歌うために、顔や口の周りの筋肉、腹筋や背筋に意識を持って大きく豊かな声で歌っていただけるような発声練習や体操などの指導、歌う時には、座って歌うばかりでなく、一度は立って歌うことにより、身体全体にどのような良い働きかけがあるのかということも学んでいただけたらと考えています。
また、詩を朗読することも、人間に様々な影響(脳が活性化し、認知症予防や記憶力の向上につながる等)を及ぼすと書物で読んだことがありますので、このような新しい要素も取り入れていければと思います。
人数制限
参加者募集については、現状、机などを置くため、どうしても人数に制限があります。なるべく多くの方に童謡のすばらしさを知っていただけるように、会場についてお店側と一緒に検討していきたいと思います。
そのためには書物で得た知識ばかりでなく、実際にその童謡の生まれた土地などに赴いて取材し、自分自身の肌で直接何かを感じ取ることも大切なことではないかと考えます。
そうすることで、私自身が今より更に説得力のある解説ができるようになると思うからです。また、高齢者が歌を歌うことで得られる健康効果については、
「昨今、歌うことで、ストレスを発散でき、様々な病気のリスクの軽減につながると言われています。口を大きく動かすことで、唇・舌・口周りの筋肉が鍛えられ、誤嚥防止につながり、口をたくさん動かすことで、唾液の分泌が促され口腔内の環境が整う」
と言われています。この健康効果を、童謡を歌うことで得ていただけるよう進めていければと思います。
現在のところ、この講座の対象者を「興味のある方はどなたでも」というようにしていますが、今後は、これから母親になる妊婦さんや小さいお子さんのいらっしゃるお家の方などを対象に幅を広げて行ければと思います。
そして、この講座の中で、世代間交流も深めていければと良いなと思います。様々な世代の受講者の方々に、たくさんの童謡や手遊び歌を覚えていただいてお子さんと一緒に歌ってもらえたら、とても素敵なことではないかなと思います。私が、母親や祖母と一緒に歌を歌ったことを今もずっと幸せな思い出として記憶しているように、子供たちの心にも大切な人と一緒に歌った記憶は一生刻まれていくと思うからです。
■ 活動テーマ:地域での音楽普及活動へ向かって ~楽しく歌って知る童謡~
■ 日時:2017年11月~現在月1回90分 年間4回
■ 場所:大阪府泉南市 島村楽器イオンモールりんくう泉南店内スタジオ
■ 対象:40代~80代
■ 活動内容
【1.活動の背景と目的】
私が幼い頃、祖母や母がたくさんの童謡を歌ってくれました。田舎の田んぼ道を、祖母に手を引かれ歩きながら、覚えたての歌を一緒に口ずさむことも楽しいひと時でした。買ってもらったレコードからも、たくさんの童謡を覚え歌った記憶があります。童謡を聴くと、今も幼い日の記憶が瞬時によみがえる・・・それはきっと私だけではないと思います。子供のころ、「何だか不思議な歌詞だな」「これは日本のどこのお話だろう」と思ったことも、また然り。
2018年は、童謡誕生(雑誌「赤い鳥」刊行)100年を迎えた年でした。私がこの講座を始めてみたいと思った2017年頃には、すでに童謡に関する書物が数多く出版されていました。その書物を何冊も紐解くうちに、幼いころに不思議に思ったことや様々な疑問が解けていきました。
すると、いつも聴いていた歌や口ずさんでいた歌が、それまでとは違って聞こえ、「すーっと」心に入ってきました。そのことから「楽しく歌って知る童謡」というこの講座の企画にいたりました。
目的は下記の3点です。
- 学び得た童謡作品に対する知識・感覚を多くの人と共有したい
- 歌うだけでなく、その歌の生まれた時代背景や作品が作られた経緯等を学び興味を持ってもらい、教養の幅を広げる
- 受講者同士が、その歌を歌っていた時代をそれぞれ回想しながら、意見を分かち合い、喜びや悲しみを共有することを通して心も体も元気になってもらう
そこで私は、先の三つの想いのもと、「童謡講座」の企画を音楽教室担当の女性スタッフに提案したところ、スタッフより「ここでは歌うことの少ない、童謡や日本の唱歌ばかりを集めて歌う内容も良いですね。『うたごえの会』とはまた違って、それぞれの作品の解説も聞く事ができて」との賛同を得ることができ始まりました。
【2.活動内容概要】
(1)指導目標
- 童謡を歌うことを通しての仲間作り
- 皆で一緒に声を出して歌うことで一体感を持ってもらう
- 作品に対する思いをお互いに述べることにより「思い出の共有」と「相手への共感」を得てもらう
- 作品の解説にふれることにより「知覚的好奇心」「探求心」を満たしてもらう
- 歌うことで癒しと元気を与える
(2)具体的な内容
月1回90分を目安に四季を感じてもらえるように、年間4回(3か月に1回のペース)で行っています。A.選曲にあたっての留意点
季節感のある歌、幼いころに口ずさんだことのある歌、動きのある歌(手鞠歌や遊び歌)、歌詞の内容に興味をひかれる歌等の中から1回に6~7曲ほど選びます。≪取り上げた童謡作品一例≫
『春の小川』『うれしいひな祭り』『背くらべ』『たなばたさま』
『ちいさい秋みつけた』『たき火』『かなりや』『七つの子』
『あんたがたどこさ』『通りゃんせ』等。
講座の折りに、その時々に合わせた作品を選び歌詞集を作り工夫をしています。
B.指導の進め方と受講者の反応
Step1:その日に取り上げた作品を全曲通して歌います。Step2:歌い終わった後、受講者にそれぞれの作品の思い出やエピソードを語ってもらいます。
全員が必ず何かエピソードを語らなければならないということではなく、誰かのエピソードに共感するときなどは、そこからどんどん話が膨らんでいっても良いのです。その時の皆さんは、すっかり少年・少女のような笑顔になり、瞬く間に部屋はどこかの小学校の教室のようになります。これは、指導目標ⅲに示した「思い出の共有」「相手への共感」であり、私が大切にしていることの一つです。
Step3:作品一つ一つを簡単に解説します。
Step4:選曲した中の1曲又は2曲程度、興味を持ってもらう様に詳しく解説(裏話のようなものも含めて)受講者がどこかで誰かに教えたくなるような内容で進めていきます。
曲によっては手遊びなども行います。『あんたがたどこさ』を取り上げた時には、鞠つきをしてみました。すると、世代によって鞠をつく時の手足の動作が違っていたり、子供のころに暮していた地域によって、様々に変化していることもわかり、お互いに驚きと笑顔が絶えません。
私にとっても非常に勉強になりました。解説を聞いて、その作品の裏側に様々なエピソードがあることを知った受講者は、最初に歌った時より表現が豊かになり、歌い方も違って聴こえます。それは内容をかみしめ、想像を巡らせ、言葉を大切に歌って下さっているからだと思います。
C.発表の場
発表会は当初考えておりませんでした。しかし、様々な童謡を歌っていくうちに目標の一つとして発表できる場があれば良いなと思っていました。すると、この講座でピアノ伴奏として一緒に活動してくれているスタッフの方から、「お店の発表会に童謡講座の参加者有志の皆さんで、何か童謡を歌いませんか?」とお声がけをいただきました。「ぜひ!」とお返事をしましたが、その後、残念ながら新型コロナウイルスの影響で発表会も講座も開講できないまま、今にいたっています。
新型コロナウィルスが落ち着き、開催できるようになりましたら、さまざまな世代の皆さんに聴いていただけたらと思います。そして演奏者のみならず観客の皆さんと共に歌うことができたらと願っています。
【3.受講者の声】
【4.お店のスタッフの反応と期待】
【5.課題と対策】
多くの作品の中から選曲するのですが、どうしても好みが偏ってしまうので、今後は受講者へ次回の講座に向けて歌いたい曲のアンケートを取ることを考えています。
歌に関しては、楽しく歌うことが大切なことはもちろんですが、その中に健康のための発声法を取り入れることも必要ではないかと考えています。
年齢を重ねると気が付かないうちに、身体の様々な筋力が低下していくようになります。また、生活している上で、だんだんと大きな声を出すことも少なくなっていきます。大きな声で歌うとなると、もっと難しくなってきます。気が付くと1日誰とも話をしなかったとか、一歩も外へ出なかったなどということをよく聞きます。
この講座では、いつまでも楽しく歌うために、顔や口の周りの筋肉、腹筋や背筋に意識を持って大きく豊かな声で歌っていただけるような発声練習や体操などの指導、歌う時には、座って歌うばかりでなく、一度は立って歌うことにより、身体全体にどのような良い働きかけがあるのかということも学んでいただけたらと考えています。
また、詩を朗読することも、人間に様々な影響(脳が活性化し、認知症予防や記憶力の向上につながる等)を及ぼすと書物で読んだことがありますので、このような新しい要素も取り入れていければと思います。
参加者募集については、現状、机などを置くため、どうしても人数に制限があります。なるべく多くの方に童謡のすばらしさを知っていただけるように、会場についてお店側と一緒に検討していきたいと思います。
【6.抱負】
いろいろな童謡をランダムに歌うことも良いことですが、今後は、今までの経験と先のスタッフの提案も参考に、さらに新しい内容を構築していきたいと考えています。そのためには書物で得た知識ばかりでなく、実際にその童謡の生まれた土地などに赴いて取材し、自分自身の肌で直接何かを感じ取ることも大切なことではないかと考えます。
そうすることで、私自身が今より更に説得力のある解説ができるようになると思うからです。また、高齢者が歌を歌うことで得られる健康効果については、
「昨今、歌うことで、ストレスを発散でき、様々な病気のリスクの軽減につながると言われています。口を大きく動かすことで、唇・舌・口周りの筋肉が鍛えられ、誤嚥防止につながり、口をたくさん動かすことで、唾液の分泌が促され口腔内の環境が整う」
と言われています。この健康効果を、童謡を歌うことで得ていただけるよう進めていければと思います。
現在のところ、この講座の対象者を「興味のある方はどなたでも」というようにしていますが、今後は、これから母親になる妊婦さんや小さいお子さんのいらっしゃるお家の方などを対象に幅を広げて行ければと思います。
そして、この講座の中で、世代間交流も深めていければと良いなと思います。様々な世代の受講者の方々に、たくさんの童謡や手遊び歌を覚えていただいてお子さんと一緒に歌ってもらえたら、とても素敵なことではないかなと思います。私が、母親や祖母と一緒に歌を歌ったことを今もずっと幸せな思い出として記憶しているように、子供たちの心にも大切な人と一緒に歌った記憶は一生刻まれていくと思うからです。