【活動ノオト】保護猫チャリティの活動
大阪狭山市の生涯学習音楽指導員で、大人のピアノ研究会代表の三上香子さんは、社会問題化している「猫問題」に注目した。そして、自ら音楽イベントを開催することで、保護猫活動に対して金銭的支援を行なっている。生涯学習音楽指導員、地域音楽コーディネーターの活動は、社会課題解決の一端を担うことができる。【背景】
「ゴミをあさる」、「敷地内で糞をされる」などの猫問題は、地域住民間のトラブルを引き起こし、すでに社会問題化している。これに対し行政は、餌を与えるなという注意喚起と殺処分で対応している。しかし、これらの対応に効果が見られないことは、猫問題が各地で増加していることからもあきらかである。そのようななか、猫問題に対し自発的に活動をしている個人や団体が存在する。
かれらは、Trap(トラップ:捕獲)、Neuter(ニューター: 不妊手術)、Return(リターン:猫を元の場所に戻す)の頭文字をとった「TNR活動」と、それらと並行して適切な餌やりの徹底、啓発、譲渡会の開催なども行っている。
【大人のピアノ研究会の保護猫活動支援】
大人のピアノ研究会では、これらの活動の多くがボランティアで実施されていることに着目した。そこで定期的に有料の音楽イベントを開催することで、保護猫活動に対して金銭的支援をすることにした。寄付先には、大阪狭山市の保護猫活動に対して、多くの経験と実績をもつ保護猫団体に決定した。【歌声ピアノサロン】
第1回目保護猫チャリティ「歌声ピアノサロン」(以下「歌声ピアノ」)は、2019年12月6日に開催した。その後は月1回第1金曜日を開催日として現在に至る。ゲストは、会の趣旨に賛同する音楽愛好家に、15分程度の演奏を依頼している。謝礼は1000円(交通費込み)である。
下記の写真と内容は、2021年4月の実施例である
- 童謡・唱歌(ピアノ伴奏)
- ゲスト演奏:迫田彰堂(尺八)、三上香子(ピアノ伴奏)
- 歌謡曲(カラオケ伴奏)リクエスト曲
季節の童謡や唱歌を、曲の背景や成り立ちを学びながら歌う。
「喋々」「チューリップ」「春の小川①②③(時代ごとの歌詞の移り変わりを歌う)」
「めだかの学校」「春が来た」
「夕暮れ幻想曲」「麦笛の頃」「ダニーボーイ」
会場のカラオケ設備を使い、季節にあった懐メロや歌謡曲を歌う。マイクは使用しない。
【コロナ禍における留意点】
入室時の消毒、体温チェック、マスクの着用、消毒済スリッパの利用、ソーシャル・ディスタンス、玄関と勝手口の開放【メディア】
歌声ピアノサロンの活動は、2020年11月に取材を受け、地元の地域情報誌「金剛コミュニティ」11月号で紹介された。さらに2021年2月には、コロナ禍を考慮し、歌唱を伴わない「第1回保護猫チャリティコンサート」を開催した。「金剛コミュニティ」4月号には、その様子も掲載された。
【イベントの効果と今後の課題】
開催から1年経ち、保護猫チャリティ:歌声ピアノサロンは、少しずつ地域にも認知されはじめてきた。しかしコロナ禍で思うように集客ができず、寄付金額もわずかに留まっている。それでも保護猫団体からはお礼の言葉と丁寧な事業報告があり、ゲスト演奏者からは「楽しかった」「練習の励みになる」という言葉をもらった。
今後は、引き続き保護猫団体への支援だけでなく、大人のピアノ研究会と保護猫団体がともに活動できる場を検討したいと考えている。
大阪狭山市 三上香子(大人のピアノ研究会代表)
https://mikanpiano.grupo.jp/
■ 保護猫チャリティ:歌声ピアノサロン
日時:毎月第1金曜日 10:30から12:00
参加費:1000円(コーヒーつき)
会場:ミュージックハウス猫太郎(河内長野)