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協議会 活動事例

【事例紹介】一生涯音楽を楽しみ、音楽の喜びを伝える~横浜のキーボード教室~

(2021年06月07日公開)

全国生涯学習音楽指導員協議会神奈川支部会員 左貝美穂子さん

■ 活動テーマ:♩一生涯音楽を楽しみ、音楽の喜びを伝える♩
■ 日時:2021年4月4日
■ 場所:横浜市上倉田地域ケアプラザ(戸塚区)
■ 対象:50代~80代 計17名

■活動内容

【1.活動のきっかけ】

その始まりは21年前、横浜市栄区豊田地区センター主催の「50歳からのキーボード体験教室」です。当時、10名の定員に対し20名近い申し込みがあり、1クラスのはずが、2クラスになりました。その後、希望者が2つのサークルを作り、ドレミクラブA・Bとして現在まで続いています。

すでに他界されたメンバーもいて、当初とは顔ぶれが変わっていますが、その後、戸塚区主催の生涯学習体験教室からサークルが立ち上がりました。どちらも区の生涯学習センター(当時)の「街の先生」に登録していたことからの依頼でした。

【2.具体的な内容】

これらのキーボードサークルは、初めは自分の好きな曲を練習して楽しみ、地域の文化祭等で発表していましたが、その後、地域ケアプラザのデイサービスでの演奏会や、社会福祉協議会に登録をして依頼を受け、老人福祉施設や地域の集まりにボランティア演奏に出かけるようになりました。

唱歌や懐かしい歌謡曲は、参加者に大きな声で歌っていただいています。また懐かしい映画音楽で涙ぐむ方もいて、音楽は普段表情の少なくなっている方々の心を動かし、豊かな感性を引き出す大きな力があるのを実感しています。

最初は私も一緒に演奏していましたが、依頼が多く他の仕事と重なりだしたので、今はほとんどサークルのメンバーだけで活動を続けています。

昨年12月の豊田地域ケアプラザ(栄区)での演奏会は、ここだけで55回目になりました。2021年「キーボードを楽しむ会」を開催いたしました。平均年齢は70歳を超えてキーボード演奏を楽しんでいる方々の演奏発表会です。

コロナ禍で、会場の人数制限があり、聴きに行きたいという方たちも残念ながらお断りして、演奏者と関係者だけで行いました。プログラムは17名の方たちのソロ曲と3サークルによるアンサンブル曲で、懐かしいJポップ、映画音楽、クラシックの名曲、ジャズ、民謡・・・打ち合わせたわけではないのに多彩な曲が集まり、楽しい会になりました。

最高年齢は84歳のAさん、今年も元気に参加されました。他にも80歳を超えた方が複数おられ、ほとんどの方が後期高齢者になりました。ご自分たちの喜びだけでなく、周りへ喜びを広げる活動をしているのは素晴らしいと思います。


【3.指導にあたっての留意点】

(1)集合個人レッスン

キーボードの指導は当初はグループレッスンで同じ曲をレッスンしていましたが、今は最初に個人の曲を1人ずつ回って10分くらいずつレッスンし、その間それ以外の人はヘッドフォンをして練習しています。

皆、自分の好きな曲を練習しているので、とても熱心です。コードはピアノ経験者の方は三和音を押さえられますが、初心者の方は、1本指でコードを出す方法(ワンフィンガー自動コードシステム)で行っています。

(2)アンサンブルレッスン

個人レッスンの後、アンサンブル曲はヘッドフォンを外して皆で合わせます。メロディを弾きながらコードを押さえて自動伴奏(リズム)を出す人が1人、あとの人は、2つ或いは3つの声部に分かれます。

ほとんど右手だけなので、拍をしっかり数えて合わせるようにします。既知曲がほとんどなので、初心者の方もついてこられています。そのうち順番にコードを出す役を引き受けてもらっていますが、もちろん遠慮される方に無理強いはしません。

【4.受講者の反応】

キーボード教室に来られている方は、音楽が好きだけど若い時にできなかった人が多く、仕事や子育てを引退した後の趣味として考えられています。

指を動かすとボケないという思いもあるようです。弾けるようになると、人前で演奏してみたいという思いもあって、ボランティア演奏にはいきいきと取り組んでおられます。

皆でアンサンブルをすると、普段メロディだけのところに、ベースやストリングスなどが加わって、オーケストラの一員になったようで、うまく揃うと達成感があり、仲間意識も高まって、メンバーはキーボード以外でも交流しているようです。

【5.課題】

楽器の運搬(キーボードが重い)が大変になってきている会場があることです。地区センターやケアプラザに私物は置いておけないので、毎回運んでいるのですが、後期高齢者になって車の運転をやめた人もいて、これからどうするか思案中です。

コロナ禍の自粛期間中、キーボードに救われたとおっしゃる生徒さんもいて、この時期きっと新しくキーボードを始めたいと思っている方も多いのではないかと思います。初心に返って、地域の地区センターやコミュニティハウスに声をかけて、体験教室を開く活動からまた始めてみようと思うこの頃です。

私も21年前よりは身体に支障が出て、キーボードを運ぶのも辛くなってきましたが、ずっと年上の方たちがキーボードを運んでいるのに元気をいただき、これからも生涯学習音楽指導員として、音楽の楽しさを広げていく活動を大切にしていきたいと思います。

【5.今後の抱負】

生涯学習音楽指導員の中にはピアノや電子オルガンの先生がたくさんおられますが、シニア層に対してキーボードをグループで教えられている方は少ないと思います。

音楽経験のない方たちも気軽に始められ、一生涯楽しめるキーボードにも目を向けていただき、指導していただける後進の方を育てて行きたいと思います。また全国のキーボードの先生たちと連絡をとって、情報の交換や交流を図っていきたいと思います。

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