生涯学習音楽指導員

活動事例
【事例紹介】保育園での音楽あそび活動

生涯学習音楽指導員 熊本県 西田晶子さん

■ 活動テーマ:保育園での音楽あそび活動

■ 日時:2016年6月~現在
■ 場所:熊本県K保育園
■ 対象:2歳児クラス 15名程度
■ 活動内容

1. 活動の背景

幼少時にピアノ指導を受けていた恩師より、当園の音楽指導の依頼を受けました。私の長期にわたる経験は、保護者同伴型の教室でしたので、初めての保護者無しというスタイルに大きな戸惑いがありました。しかし、これまでの経験からステップアップするために、保育現場でのチャレンジに挑んでみることにしました。

2. 私の信念

まだ芽を出さない花の種に水をまくように、愛情という水を願いを込めてたっぷりそそぐ…そうすれば、きっとその子らしい素敵な花を咲かせてくれることを期待しています。

下記の3つを私の信念として、子どもたちの少しずつの着実な成長を心から願って日々、奮闘中です。
  1. 教 育 :「教える」ことよりも「育む」こと
  2. 音 楽 : 音を楽しむことにより、いろいろなことを気が付かせてくれる
  3. 子ども : たくさんの力を秘めている。経験値が低いため、素直に色々なことを吸収し受け入れ習得する

3. 活動内容

音楽にふれあい、聴いたり見たり五感を使って遊びます。使用音源はピアノ、電子キーボードのリズム機能、 CDを扱います。ピアノ伴奏は保育園の先生がサポートしてくださいます。先生方の温かい協力のおかげで、スムーズに楽しく進めることができます。

(1)ねらい

幼児期の発達段階を把握し、また適期教育の効果を最大限活かせるよう音楽の力を通して体験する事を目的にしています。
  1. 音楽の三要素メロディー・リズム・ハーモニーより、音楽の美しさと楽しさを体感すること
  2. 聴く力を中心に、心と身体を鍛え、豊かな感性を育むこと

(2)指導項目とその目的

月ごとにテーマ(内容)を変えながら、全体的なねらいが達成できるように、各項目の定着を図ります。 保育時間内(1年間、週1回30~40分間)で下記の内容を行っています。

<歌詞唱>

  1. 季節を感じながら表現力・語彙力を養う
  2. 童謡・唱歌を、お話を交えて臨場感をもって歌う
    (例)保富 庚午作詞、湯山昭作曲『おはながわらった』『どんなお花(色や匂いや大きさなど)』等、イメージを広げてジェスチャーと合わせて歌います。

<鑑賞>

  1. 名曲に親しむ。曲のイメージを体感して身体で表現する
    幼児がイメージしやすいものを考慮して選曲
  2. 象徴的思考期(2~4歳)ならではの、ごっこあそびで名曲体験
    (例)ムソルグスキー作曲 組曲展覧会の絵より
    『たまごの殻を付けたひなどりのバレエ』
    私が「卵の中でかくれんぼしている赤ちゃんはだれかな」と、問いかけます。
    子ども達はそれぞれの音楽の変化を聴き感じることにより、ひなどりの動きを自由に身体表現します。この時の子ども達は開放感に満ちて笑顔で踊ります。

<リズム>

  1. 等速感のトレーニングとして日常的な言葉を扱い、楽しみながらリズムと動作の一体化を図る
  2. リズム打ち、言葉あそび、即時反応、打楽器演奏、手遊びの5つの項目で構成
  1. リズム打ち:植物・動物・食品・生活品などが描かれている「絵カード」を提示。言葉の発音と手拍子のリズム打ちを行います。
  2. 言葉あそび:谷川俊太郎作『ことばあそびうた』より、年齢・季節に合った内容の詩を選定します。
    以上、A.リズム打ち、B.言葉あそびは、模唱(先生のまねをして歌ったり、リズムを叩いたりする)という指導手法を扱います。 基本的に8ビートのリズムにのって、少しずつテンポアップして目標速度(♪=140)へと導いていきます。
  3. 即時反応:リズム、強弱の聴き取り。
    (例)モーツァルトのオペラ「魔笛」より第1幕第17場―まほうの笛(鈴)やベートーヴェンの「トルコ行進曲」等、 心に刻んでおいて欲しい数々の名曲のワンフレーズを、ピアノ用にアレンジします。 その伴奏に合わせ、曲調、テンポ、リズム、アーティキュレーション、強弱の変化を感じて行進します。
  4. 打楽器演奏:年間の仕上げとして、簡単なアンサンブルの経験。
    (例)ブルグミューラー作曲「貴婦人の乗馬」、チャイコフスキー作曲バレエ音楽『くるみ割り人形』等、鑑賞での履修曲を使用します。
  5. 手あそび歌:お馴染みの歌で楽しむ。
    月ごとのテーマに沿った歌を選び、プログラム最後の内容として印象付けと、一体感・達成感、次回への期待感をもって終了します。
    (例)作詞・作曲者不詳『たまごのうた~様々なサイズの卵にかくれている赤ちゃんはだれかな?』大小のイメージ違いを歌に合わせて表現します。

4. 課題

保育園は、養護と教育の場であるとともに、子どもたちの大切な生活の場となっています。

一日・一週間・一ヶ月…といった園生活の流れの一コマとして、私の提供する音楽教育活動が、子どもたちの日々の成長の助けとなること、そして先生方へ保育で音楽的な融合方法のアドバイスとなれば幸いです。

現代社会、共働き家庭が増えてきている状況の中、保護者との接触の時間が昔に比べて少なくなってきています。果たして2歳児が些細なことでも家庭で、音楽あそびのことを話題にできるのか…。何らかの方法で、保護者と情報共有できることを願っています。

また、日頃から保育園との関係を深めて、ご相談ご指摘をいただいたり、こちらから先生方へのアドバイス等もさせていただいたり。意見交換を気軽にできる関係でありたいと思います。

日常的な課題としては、夜型生活傾向である現代において、午前中の活動自体に支障のある子どもがいたり、参加意識の不揃いの中、全体を統率して音楽の世界へ誘うという理想が、上手く進められないこともあります。しかし、とにかく楽しいなと感じることが第一となるために、私自身の指導力・統率力を高め、工夫と仕込みに努力することのみです。

5. 今後の抱負

「三つ子の魂百まで」人間形成の基礎となる最も大切な時期に関わることは重責です。

今後も、期間限定である成長過程、象徴的思考期の子どもたちに、常に大切に楽しく有意義なものとなる時間を提供したいと思います。

「音楽を楽しむ心」それは生まれながらにして、だれもが持っているものだと信じています。

友だち、先生と保護者の方々と、一緒に音楽を聴いたり歌ったりリズムに合わせて踊ったりすることで、興味関心を広げて、楽しいと思うことを見つけられる豊かな心の成長を願って、今後も邁進して参ります。

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