活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】ピアノといろいろな楽器で絵本の世界へ~こどものための音楽を添えた絵本への誘い~

(2021年09月01日公開)

地域音楽コーディネータ―  大阪市 渡邉雅枝さん

■活動テーマ:ピアノといろいろな楽器で絵本の世界へ~こどものための 音楽を添えた絵本への誘い~

■日時:2014年12月~2019年12月まで(コロナのため2020年から開催できていません)
■場所:大阪市城東区民ホール
■対象:未就学児とその家族
■活動内容

1.活動のきっかけ

小学校でPTA有志が絵本読み聞かせの活動をしていた時期があり、そこに参加していました。皆それぞれ好きな絵本を持ち寄って読むのですが、私はその絵本のストリーに合う音楽をつけたり、他のメンバーも創意工夫を凝らしたりと各々楽しんでいました。

その中の音楽好き3人に「コンサートに出てくれないか」と白羽の矢が立ったのがきっかけで「ぽるたーと」というグループを結成し、年に一度クリスマスコンサートに誘っていただいています。 それをご覧になった地域の方からお誘いを受け、二度ほど地域イベントにも参加しました。

2.「ぽるたーと」の想い

現代社会、子どもたちが容易にスマートフォンを持ち、そこからさまざまな情報(アニメ、ゲーム等)を容易に得ることができる様になってきました。 その反面、絵や本から想像する場面が少なくなってきていると感じています。 「ぽるたーと」としては「ピアノといろいろな楽器で絵本の世界へ!」というテーマの基、絵本に音楽をつけて朗読することで、 テレビやスマートフォンなどに慣れた子どもたちに、もっと身近に絵本や音楽を感じてもらい、自分の世界や感性を広げてほしいと願って行っています。

3.コンサート開催にあたって

(1)目的

コンサートの主催は城東区わくわく子育てクリスマスコンサート実行委員会です。目的は子育て中に親子でゆっくりクラシック音楽を楽しみたいという思いから始まり、年に一度、2019年12月まで13回開催されています。

私たち「ぽるたーと」は第8回目からコンサートのゲスト出演者としてプログラムの一つの部分を任され、関りを持たせていただいています。

コンサートは大きく3部構成で行われており、私たちの他に、管弦楽アンサンブル、打楽器アンサンブル等で60分程度です。

(2)内容

内容にあたり下記の4点を基にプログラムを構築します。

①絵本の選択

  • メンバーで読み聞かせに相応しいと思う既成絵本3~4冊を選択します。0歳児でも判る抽象的なもの、軽めの楽しいお話のもの、クリスマスを題材にしたお話のものなど。
  • 絵本のタッチや読み聞かせる所要時間等も考慮します。

②映像

  • 絵本をコピーしてスクリーンに映す事、音楽をつけて朗読します。
    (絵本の著作権については事前に出版社などに許可を確認します。)

③音楽

  • 絵本の内容に合わせて作曲、編曲をします。抽象的なものは打楽器などをメインに扱います。クリスマス絵本にはブルグミュラーやシューマンの子どもに馴染みのあるピアノ曲等にクリスマス曲のエッセンスを加えて編曲もします。目標は「トムとジェリー」(*)のような、最初から最後まで音楽が続くBGMです。

*トムとジェリー:猫のトムとネズミのジェリーが出てくるアメリカのアニメ作品

④演奏

基本3人のメンバーがピアノやオーボエ、鍵盤ハーモニカやリコーダー等の演奏と、読み手も担当します。主力メンバーの一人が引越ししてしまった際には、近所の中学生や高校生だった息子にも演奏をお願いしました。

(3)練習にあたって

メンバーのスケジュール合わせがなかなか難しく合同練習ができません。その解決策として、楽譜とスクリーンに映る絵本の場面を一緒にした特製楽譜と、一人で練習ができる参考音源やマイナスワン音源を作成し、貴重な合同練習時間を有効に使えるように工夫しました。


4.子どもたちの反応

子どもたちは目でスクリーンの絵を見ながら耳でお話を聞き、同時に音楽を聴く事により五感を刺激され、その時々の感情の変化が舞台からでもよく分かります。一緒にドキドキしたり、応援してくれたりと、楽しんでくれている様子は演奏者として嬉しく思います。保護者の方々も楽しそうに聴いてくださいます。

5.課題と抱負

練習時間、練習場所などの工面も大変でしたが、演奏者不足はより深刻です。メンバーのプライベート上の関係でグループ形成維持や、コロナ収束後の方向性が見えないのは大きな課題です。今後この活動を継続していくためには、私たちと同じ年代だけでなく、地域の中高生等若い世代に繋げていくのも良いのかと感じています。このことは彼らにとって地域での社会貢献の第1歩として良い経験となると思います。(実際、中学生にお願いした時は一番練習してきてくれました。)

絵本の読み聞かせに「音楽は必要ないのでは?」と賛否両論があります。確かに本は誰にも邪魔されることなく、自分の感情を素直に感じながら読むのものかもしれません。しかし映画やドラマだけでなく、私たちの周りは音楽に溢れています。その環境に慣れた子どもたちには、BGMのある絵本読み聞かせが導入段階では一つの興味付けとして効果的だと確信しています。

コンサート後、「他でもおこなってくれないか」とお声かけいただいたりもします。メンバー多忙のため手広く活動できないのが現状ですが、子ども達には絵本や音楽を通じて、自分自身のイメージの幅を拡げること、自由に感情表現ができることを体験してほしいです。その為に少しでもお手伝いができればと願っています。


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