活動事例

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【事例紹介】みんなで楽しく、自分らしく音楽を!

全国生涯学習音楽指導員協議会 栃木・郡馬支部会員 斎藤尚子さん

■活動タイトル:みんなで楽しく、自分らしく音楽を!

■日時:2000年~現在
■場所:宇都宮市知的障害者支援施設―しのいの郷、栃木市大平町隣保館他
■対象:20代~70代後半
■活動内容

1. 活動を始めたきっかけ

2000年頃、鹿沼市社会福祉協議会が中学生に対してボランティア活動の推進する政策を打ち出していた中、希望者に開いた体験活動の1コマとして、 音楽で(ⅰ.簡単に楽器が入手できる ⅱ.持ち運びができる ⅲ.演奏が容易 ⅳ.皆で心を一つにして一緒にハーモニーを奏でる事ができる等)趣旨を考え、ミュージックベル演奏に取り組みました。

最後の打ち上げのキャンプファイアでの演奏を皮切りに、高齢者施設等への訪問演奏、市のふれあい祭りにも出演し、多くの方との交流のきっかけ作りになりました。 その後、高校生グループとして「花フェスタ祭り」の出演、知的障害者支援施設―しのいの郷への演奏訪問を行い、そのご縁で施設より演奏指導を依頼され2001年から18年間以上続けています。

今回はミュージックベルを扱った二つのグループを中心に、大人のピアノを含めた三つの活動をご紹介いたします。

A.音楽クラブーベル「かすみそう音楽隊」

  • ○対象者:生活支援、共同生活援助、就労継続支援の利用者20代から60代までの男女14名と3名の施設職員 計17名
  • ○月2回 1回90分
  • ○楽器は施設側がゴールドのミュージックベルを用意。27音39個のベルを使用。

(1)指導目標

  1. 音楽を感じて楽しさを味わい、喜びを分かち合う事ができる。
  2. 仲間と一緒に演奏する事を通して、一体感、協調性、責任感、持続力、達成感を感じてもらう事。

(2)指導にあたっての留意点

  1. 気分を盛り上げ、笑顔で音楽にのってくるよう雰囲気を盛り上げることに力を注ぎ、達成感を味わってもらう。
  2. 中期目標を立て、それに基づいて毎回のレッスン内容を考え、その時々の参加者の反応と音楽的な進捗状況を見直し、次のレッスンプランを立てる。
    ある程度の時期まで、今日できたから、明日できる?ということがわからない時期がありました。

(3)指導の実際

  • <楽譜の工夫>
    練習では、メロディーを把握しやすいように楽譜にひらがな歌詞をつけます。そこに担当パートの音に色の印をつけ、その印のところで奏でるように作ります。 (はじめの頃は手書きでしたが、今は全部ソフトにて作成します)

    歌詞がないクラッシック曲や、歌詞付き曲の前奏~間奏~後奏にも歌詞を作り、皆から四文字熟語を募り、組み合わせて歌詞にすることもあります。 ベルの表記は英語ですが、♯シャープ、♭フラット記号にも慣れ、数人のメンバーは、休憩時間に「先生のお手伝い!」として、楽譜にお手本を見ながら印をつけてくれます。 一枚終わると、「次は?」と言って喜んで手伝ってくれます。

  • <方法>
    1. 挨拶の後、手の体操などをして体をほぐします。
    2. ベルを持って、リズムカードを使って奏でる練習をします。
    3. 新しい曲の楽譜を配り、皆で歌います。
    4. それぞれの担当ベルを確認し、メロディーのフレーズを少しづつ区切って指揮者の歌に合わせて演奏していきます。 ハーモニーも感じていきます。個別に、あるいは2人、3人ずつ確認する時間をとることもあります。リズムの難しいところは、皆で手をたたいて、合わせていきます。
    皆で作り上げた時は感動です。レッスンの最後には、その日のはじめに希望のあったレパートリーの中の曲を演奏して終わります。曲調によって、速さによってベルの奏法も合わせていきます。 時には、録音した伴奏に合わせて演奏する曲もありますが、基本はベルだけで曲を作っていきます。

(4)ステージでの発表に際して

ステージに上がる際は準備時、メンバーもベルマットケープをテーブルにセットし、使用ベルは一人ずつ数個のベルを袋に入れたものと楽譜をもってスタンバイします。

曲によって調が違う場合は、音域や扱う音が違ってきます。その場合ベルを持ち替えなければならないので、曲間はメンバー全員で相当量のベル交換が必要になります。ベル係のメンバーは、持ち替え表をみて交換します。とても慣れていて、早く正確です。その後自分の位置に戻り、素早く次の曲に必要なベルを並べます。一曲で、一人2個、3個、多い人で、6個も持ち替えて演奏することもあります。

ベル係でなくても、用意の段階で、次の曲に使うベルが違っていた場合は、本番中でも落ち着いて指摘し、右左やりやすいように並び替えます。

過去のベルグループ5団体の発表コンサートの後には、「おそろいのユニホーム、かっこいいのを着たい!」との声が上がり、その服装を着て演奏した時は一体感にあふれていました。

演奏後感想を聞いてみると「緊張した・少し間違ってしまった・楽しかった・やった!」など、本番の時間も集中していたようです。

<演奏曲>
童謡からディズニー作品、クラシック、日本のポップス等幅広いジャンルの曲を演奏しています。
一例
  • 『童謡」『季節のうた』『ずいずいずっころばし』『ドレミの歌』
    アニメ作品『タッチ』
  • ディズニー楽曲より『ミッキーマウスマーチ』『星に願いを』
  • クラシック作品より『ヘンデル:ハレルヤコーラス』『オッフェンバック:天国と地獄』『ベートーベン:歓喜の歌』
  • 日本のポップス他、『上を向いて歩こう』『明日があるさ』『パプリカ』
また、施設長が作詞した曲に私が作曲した『しのいの郷の歌』などをアレンジしてレパートリーを作ってきました。パーカッションでの曲も含め、現在40曲くらいのレパートリーができ上がりました。

(5)発表の場

今までに毎年、県の障害者文化祭(カルフル栃木)、宇都宮市ふれあい文化祭、施設のお祭り、会館ステージでの新年会。 また高齢者施設に演奏訪問や、障害者週間のイベント(ショッピングセンターベルモール)、農福マルシェのイベント(オリオンスクエア・県庁広場)に出演しました。

(6)メンバーの変化

ふれあい文化祭のある年では、ゲストの「かんぴょうのうた」の演目の際、1番最初に出演の団体には一緒にステージに立ってほしいとの話を聞き、 直前のレッスンで振りをみんなで練習しました。車いすのメンバーは手のふりを、他のメンバーは手・ステップのふりも入れて、一緒にかんぴょうの歌を楽しむ事が出来ました。

いつも、人との交流が難しい女の子がステージ中央、ゲストの隣で肩を組まれて微笑んでいる姿を見たときは、その変化に感動いたしました。 音楽を通して交流ができたこと、本番で生き生きと舞台に立っていた姿は、ただベル演奏だけを練習していただけではなく、喜びを味わうことができた音楽の大きさを再認識しました。

(7)今後へ向けて

音楽クラブの指導を続けてきましたが、そのご縁で4年前より福祉法人の評議員の役をお引き受けすることになりました。

2020年3月より、生活支援、共同生活援助、就労継続支援それぞれの人たちの交流を完全に遮断しているため、全員のワクチン接種が完了し落ち着いた時、皆で集まり、自由に楽しい時間がもてる日を望み、願います。

B.プリティママ

  • ○対象者:栃木市大平町南児童館に通っていた子育て中の母親と児童館の先生
    計10名(現6名)
  • ○場所:栃木市大平町隣保館
  • ○日時:年数回、1回90分~120分

(1)活動のきっかけ

2002年10月栃木市大平町南児童館の呼びかけで結成されました。子供をお迎えに行く前の時間に毎週、練習を積んでいました。

ベルの持ち方からはじめ、曲を演奏できるようになり、児童館の支援センターオープンセレモニーでお披露目演奏を初めてから、下記の所で幅広い活動をしています。年月が経ち、子供たちも、下の子で19歳ですので、名前プリティママ(?)ですが。

(2)活動の場

  • 児童館、保育所、幼稚園
  • 図書館・町の高齢者教室(地域5か所を持ち回り)
  • ベルグループ合同コンサート
  • クリスマスイベント、公開結婚式イベント
  • イルミネーション点灯式
  • 町合併の記念イベント、県庁ロビーコンサート、大平ふれあいロビーコンサート
  • 高齢者施設訪問等

(3)指導内容とコンサート

メンバーには保育士、ピアノ指導者が含まれるので、現在は楽譜提供、ベルの割り振りのアドヴァイス等の指示をし、メンバーでのパート練習が整ってからのレッスンを行っています。練習でも“スリルとサスペンス”を楽しんでいただきます。扱うベルはスーパーミュージックベル27音です。

コンサートでは基本、ベルのみで演奏します。メロディーも伴奏部分も演奏しますので、メロディーのつながりと伴奏のリズム感を保ち、曲調を大切にしています。またそのコンサートに応じて同じ曲でも、速さや長さ、アレンジを加え、プログラム全体を彩っていきます。

数種のリコーダーを加えたり、ギター奏者とジョイント、エレクトーン演奏の伴奏録音に合わせる事もあります。また、参加型のものを取り入れ、観客と一緒に歌ったり、手遊びしたり、ベル体験をしていただいたりと交流しています。

(4)レパートリー

童謡、文部省唱歌、わらべ歌、ディズニー楽曲、ミュージカル作品、Jポップ、クラシック、大平町の歌、県民の歌等、50曲を超えています。

(5)今後へ向けて

コロナ渦で、演奏の場が、少なくなっており、2020年は例年の高齢者ふれあい教室での教室のみでしたが、感染対策を十分に行い演奏・交流することができました。結成20周年のコンサートについて、プランを考え始めたところです。

C.大人のピアノ

  • ○対象:40代から70代後半の男女10数名
  • ○場所:当音楽教室
  • ○日時:月に2回~3回、30分~60分(個人によって回数と時間が異なります)

(1)活動のきっかけ

鹿沼市のカレッジ講座にて、生涯学習としていつでも習いたいときに、自分のペースで楽しんでいただくことを目的に「大人のピアノ悠々塾」講座を開催し、受講者の中で希望される方にレッスンを続けています。

(2)指導目標

音楽の基礎を理解する。
少しずつ、ピアノ演奏を習得し、音楽を楽しむ。
目標を持ち、レパートリーを増やして、生活の中のひとつとする。

(3)指導にあたっての留意点と進め方

  1. 体をほぐすことからはじめます。
    リズムボックスに合わせ(ポップロック、ボサノバ、サンバ、スィング、ワルツ等おしゃれな雰囲気で)手、手首、腕、肩、腰、膝足等を動かします。 脱力を感じていただきます。呼吸も大切です。ピアノは大きくて、体全体で演奏する楽器です。
  2. 演奏する姿勢、椅子の座り方、腕、手首、指のポジションと指番号の理解
  3. 楽譜の理解
    鍵盤と楽譜の関係を説明します。音符・休符の長さについては、ままごとのマグネットで4つに区切られるリンゴのおもちゃを活用しています。
  4. 曲の理解
    曲を理解していただくために、歌も大切です。ソルフェージュをやっている方もいますが、誰でも、メロディーを練習の過程で口ずさみ、 伴奏を練習した後、伴奏に歌を合わせていく練習に力を入れています。「歌えれば弾ける!」を合言葉に、頑張って練習していただきます。
  5. 選曲
    同じ曲でも、音符が少なくても、ハーモニーが素敵に響いている、曲調が素敵、かっこいいと思われる曲を選ぶようにしています。 もちろん、クラシックは原曲に挑戦もしていただきます。連弾やアンサンブルを希望される方もいますので、その方々にあったアレンジを考えます。

(4)発表の場―コンサート

  1. ピアノを通して音楽を楽しんでいる様子
  2. 今、私はこの曲を楽しんでいます!
  3. 楽しさをおすそ分けします!
  4. の趣旨で1年に1回、春の良き日に“パストラル(牧歌・田園詩)コンサート”♪ 
    を普段のレッスン教室(50人収容のサロンホールで行うこともあります)で開催しています。
<プログラム>
第一部:子ども、第2部:大人
大人の方に対しては、いくつかの配慮が必要不可欠です。
出演回数の少ない人から好きな順番で演奏します。待っている間に気持ちが整わずに、パスもokで、落ち着いたころに演奏します。 皆さんの多くは、はじめを選択されます。演奏後落ち着いて聴きたいようです。回数を重ねるうち、それぞれ自分のことのように息をのんで、また、応援している様子がうかがえます。

ソロ、連弾、アンサンブルの演奏の後、全員でアンサンブルを楽しむコーナーを作ります。 皆でどうその曲を料理するか、ある程度は決めておきますが、皆で作り上げていき、その完成した時の喜びを味わって欲しいのです。

演奏後、おいしいコーヒー・ハーブティ・ケーキ・お菓子など皆さんでいただきます。「これでやっとワインが飲める!」とか 「今度、あの曲に挑戦してみたいとか」ピアノを習っていることを人に知られたくないと思っている方もいますが、仲間意識を徐々に感じてきているようです。

(5)今後へ向けて

前二つの活動同様、感染拡大の不安があり、制限のある生活で1年目は開催できず、次の年も、コロナの影響で参加可能な人だけでも開催しようと準備を進めていましたが、それも叶いませんでした。

「私には音楽が、ピアノがあってよかった!」「打ち込むものがあってよかった!」と思って続けて頂き、落ち着いて“パストラル(牧歌・田園詩)コンサート”♪ができる日を、待ち望んでおります。

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