活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】0歳から楽しめる音楽会

(2021年09月09日公開)

地域音楽コーディネータ― 東京都 濱崎理絵さん、日下瑶子さん

■活動テーマ:0歳から楽しめる音楽会
■日時:2016年~現在
■場所:
東京地区 むらやま幼稚園、鶴巻温泉病院、日本女子大学、ららぽーとホール、豊島区立西巣鴨幼稚園
福井県  平成大野屋 平蔵、サルトリアダ水本
三重県  楠ふれあいセンター ゆめの木、老人保護施設ひまわり
大阪市  大阪音楽大学
沖縄県  かいせい児童クラブ プレイルーム、石嶺児童園、特別養護老人ホーム 首里偕生園
■対象:0歳~幼児を中心として大人の方まで

■活動内容

1.活動を始めた背景と「Le jouet(る・じゅえ)」の誕生

2016年大学院在学中、大学の演奏センターから幼稚園での出張コンサートの依頼が打楽器の濱崎にありました。幼稚園側の要望として、色々な楽器を使ってほしいとあったので、小学校や高校教諭の経験のある同期でサックスの日下と、いつもにこやかで色々アイディアを出してくれる同期のピアノの加畑を誘い、サックスとピアノと打楽器という編成になりました。このようにして「Le jouet」が誕生し5年目をむかえました。今回は今までの私たちの活動をいくつかご紹介いたします。

「Le jouet」https://lejouetsince2016.amebaownd.com/

2.「Le jouet」趣旨と具体的な活動内容

(1)趣旨

グループ名の「Le jouet(る・じゅえ)」はフランス語で「おもちゃ箱」という意味です。子ども達を夢中にさせるおもちゃのように子ども達に親しみをもってもらうことができ、一緒に楽しめる仕掛けを盛り込んだ演奏会を作っていきたいという思いがあります。

音楽と人、音楽がハブになって地域を繋いでいくこと、そしてより音楽に興味をもって聴いていただくことを目標に活動しています。

(2)企画・立案

依頼がある演奏会の場合は、対象者は誰なのか、また内容面については先方の要望(聴きたい曲は何か?どういう方向性の演奏が良いのか? など)を伺い、それに合わせたプログラムを企画します。

例えばあるコンサートでは、ただ音楽を聴くだけではなく、曲を聴いて様々なイメージをしてもらう内容を取り入れました。具体的には、サン=サーンス作曲の『動物の謝肉祭』の中より「水族館」や「白鳥」などを用いて、

  1. まずは演奏を聴きながらどの様な動物が出てきたか考えてもらいました。
  2. その後サン=サーンスが表した動物を映像に映します。
    「白鳥」の場合は伴奏が湖の様子を、メロディは白鳥が泳いでいる姿を表していることを説明し、もう一度音楽を聴いてもらいます。その事によりイメージがさらに膨らみ、曲に対する聴き方に相違が出てきます。
  3. 他にも、子ども達が楽しめるようにイントロクイズや楽器体験を行ったこともあります。

比較的自由にプログラミングを行える自主公演では、子ども達に聴いてもらいたいクラシックの曲や季節などに合わせてテーマを決めて選曲し、編曲から演奏会の進行(ストーリー)の作成、チラシ作りや宣伝(SNS)も自分たちで最初から行います。

私たちの演奏会の中では、お客さんに主体的に参加する場面を取り入れているので、どこでどのように参加してもらうか(手拍子や楽器体験など)を考え、聴いてもらうところと参加して楽しんでもらうところと緩急をつけながら演奏会が進めるように特にこだわって作り上げています。

また、いろいろな音が出せる打楽器(鍵盤打楽器=マリンバ、シロフォン、グロッケンシュピールなど、体鳴楽器=カスタネット、トライアングル、鈴等膜鳴楽器=スネアドラム、タンバリン、コンガなど)や広い音域を演奏できるサックス(ソプラノやアルトなど)の特性を生かし、多種多様な音色(ねいろ)の特色が効果的に聴こえるように心がけて編曲をしています。

(3)活動の履歴

2016年6月 むらやま幼稚園
2018年11月 ららぽーとホール
「0歳からの音楽会 音のおもちゃ箱〜おいでよ!どうぶつの森へ〜」 サン=サーンス/動物の謝肉祭
2019年3月 日本女子大学
「音楽の森7~ウィリアムズ症候群の表現をめぐって~」
2019年4月 鶴巻温泉病院
2019年6月 ららぽーとホール
「0歳からの音楽会 音のおもちゃ箱Vol.2~あめのさんぽみち~」 雨の庭・雨に唄えば・かえる・リバーダンスなど
2019年8月 老人保護施設ひまわり
2019年8月 楠ふれあいセンター ゆめの木
「0歳からの体験型音楽会 音のおもちゃ箱~おいでよ!どうぶつの森へ~」 サン=サーンス/動物の謝肉祭
2019年8月 平成大野屋 平蔵
「0歳からの体験型音楽会 音のおもちゃ箱~おいでよ!どうぶつの森へ~」 サン=サーンス/動物の謝肉祭
2019年8月 サルトリアダ水本
2019年11月 特別養護老人ホーム 首里偕生園
2019年11月 石嶺児童園
2019年11月 かいせい児童クラブ プレイルーム
「0歳からの体験型音楽会 音のおもちゃ箱~おいでよ!どうぶつの森へ~」サン=サーンス/動物の謝肉祭
2019年11月 ららぽーとホール
「0歳からの音楽会 音のおもちゃ箱Vol.3~おとぎの国のだいぼうけん~」チャイコフスキー/くるみ割り人形
2019年12月 日本女子大学 音楽の森8
2020年2月 むらやま幼稚園
2020年2月 豊島区西巣鴨幼稚園
2020年8月 オンライン音楽会 音楽の森
2020年10月 横浜市映像配信支援プログラム
「0歳からの音楽会 音のおもちゃ箱Vol.3~おとぎの国のだいぼうけん~」 チャイコフスキー/くるみ割り人形
2020年11月 YouTube配信
Le jouetのえかきうた~もくもくさんたさん~
2020年12月 オンライン音楽会
「0歳からの音楽会 音のおもちゃ箱Vol.4~おうちdeクリスマス~」 そりすべり・クリスマスメドレー・オリジナル絵描き歌など
2021年1月 YouTube配信
Le jouetのえかきうた~も~も~うしさん~


3.聴衆者や会場の反応

これまで行った演奏会では、聴衆の皆さま方より様々なご意見をいただくことができました。その中から一部を紹介します。

<0歳からの音楽会シリーズ> このコンサートは保護者同伴です。

  1. 子どもが初めての聴く演奏会がこの音楽会でよかった。
  2. 3人で演奏しているとは思えないくらい色々な音が聴こえてきた。
  3. リラックスして聴くことができた。

<幼稚園などへの出張演奏会>

  1. リクエストした曲を演奏してくれて嬉しかった。
  2. 説明や話がわかりやすかった。
  3. また演奏しにきてほしい。

4.課題とその対策

現在はコロナ禍でなかなか生演奏が届けられていない現状にいます。私たちは演奏者と観客の距離をなるべく近くして行う演奏会が一つの特徴のため、感染対策との両立が難しいのが現状です。 そのため、オリジナルの絵かきうたの配信や、オンライン音楽会の開催など、自宅でも音楽を楽しめる方法を試行錯誤しています。

またもう一つの課題として、収益の面があります。これまではさまざまな助成を受け、地方公演を行うことが出来ましたが、なかなか収入源にはなりにくいことが現実です。 この活動を続けていくうえで、どのようにして収益化していくかが今後の課題であると感じています。収益上で一番重要な集客に関しては、リピーターのお客様を増やすためにも、多方面にポスターを配る、SNSを活用するなど努めていきたいと考えています。
    

5.今後の抱負

コロナ禍においてでも、現代のテクノロジーを活用してリモート演奏会を行うなどもっと可能性を広げていけると感じています。特に小さいお子様方や、遠方にお住まいの方でも「自宅で視聴できると参加しやすい」という声を多くの方からいただくことができました。生の演奏と同時にリモート配信を行うなど工夫をし、もっと多くの方に音楽を届けられるよう頑張っていきたいです。

今後も引き続き幼稚園などでの演奏活動や音のおもちゃ箱シリーズを開催し、様々なシリーズを地方公演でも行い、たくさんの子ども達に私たちの音楽を届けたいと考えています。

私たちのメンバーの中には、保育園や放課後デイサービスで勤めた経験の持ち主もいます。そこで得た経験や培ったノウハウを、今後の演奏活動にも繋げていけたらと思っております。



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