生涯学習音楽指導員

活動事例 生涯学習音楽指導員

【事例紹介】吹奏楽 定期演奏会・コロナ禍における活動

(2021年10月12日公開)

生涯学習音楽指導員 静岡県コンベンションアーツセンターグランシップ
アウトリーチ登録アーティスト(オーボエ奏者)、A中学・高等学校吹奏楽部コーチ 牧野早央里さん

■活動タイトル:定期演奏会・コロナ禍における活動
■日時:2018年5月より現在
■場所:静岡音楽館AOI(定期演奏会2019年4月13日)
■対象:中学生~高校生(中高一貫)計30名

■活動内容

1.活動を始めたきっかけ

私は母校の吹奏楽部で15年間、オーボエの指導や木管楽器の指導者として携わっておりました。ある日、部のコーチがお辞めになることになり、その後任者として推薦されました。

嬉しさ反面、責任の重さを感じましたが、母校に恩返しできる喜びの方が大きく、2018年より全体指導の外部コーチとして引継ぎ現在にいたります。

2.指導目標

この部の特徴は中学1年生から高校生まで30名在籍しています。6年間の学校生活の中で、吹奏楽部活動を通して音楽の楽しさを味わってもらう事が一番大切な目標です。

年間スケジュールとしてはコンサートやコンクールがありますが、日常の練習の中で皆で一緒に一つの音楽を作り上げる事を通して協調性、人間性、社会性を育んで行けるように指導していくことが私の与えられた大事な使命と感じています。

一般的には演奏力を向上するには、当然技術面が大きくクローズアップされますが、それ以上に他の演奏者の音を良く聴きながら、自分の音のバランスを考慮して演奏する気遣いと調和が、将来社会で活躍する上で重要と考えています。

3.具体的な指導内容

  1. 年間スケジュールとして、定期演奏会・文化祭を主とし、年三回の地域への訪問演奏や学校説明会等、学校イベント等で出演しています。現在、コロナ禍の影響により、定期演奏会、文化祭では観客を関係者に限定して開催しています。
  2. 練習時間は平均週4回、平日1.5時間、休日3時間程度行っています。ただし学校のテスト期間やイベントの関係もあり、平均月15日程度になります。
  3. 学校がキリスト教系ということもあり、選曲については学校色をいかした宗教曲を取り入れ、アンサンブルの向上をはかっています。また、文化祭等で演奏するポップス曲は、生徒のやる気向上のため、部内の最上学年である高校2年生に選曲を任せています。

<選曲の一例>
  • J.Sバッハ、教会カンタータBWV147『主よ人の望みの喜びよ』
  • G.F.ヘンデル、メサイヤ『ハレルヤコーラス』
  • 内藤淳一、『栄光をたたえて』
  • 八木澤教司、『蒼天の鳥たち』
  • クロード=ミッシェル・シェーンベルグ レ・ミゼラブルメドレー
  • ビル・チェイス、『Get it on(黒い炎)』
  • ジブリメドレー
  • ディズニーメドレー
  • サザエさん、ドラえもん等のアニメ曲

4.コロナ禍により変化したこと

(1)練習時間の削減

ソーシャルディスタンスを考慮してスペースを確保すること、またマスクをしていない時の声だしを控えるため、合奏時の返事を禁止する等、アンサンブルやコミュニケーションが取りづらくなりました。

(2)集団練習外の練習方法

集団練習が難しくなっている中、セクションでの練習が主になりました。基本的には各楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、トランペット、ホルン等)のセクションの一番高学年が指導にあたります。

ただし楽器により高校2年生が最高学年のところのあれば、中学2年生が指導するところもあるため、複数の楽器を一つのまとまりとして、セクションリーダーを決め、セクションごとの練習は高校生を中心として行っています。

生徒合奏の中で音楽をまとめるのはミュージックリーダーで、各セクションまたは全体へ指示を出す役割です。オーケストラで言うとコンサートマスターです。

コロナ禍ということもあり、短い時間の中でいかに効率よく、接触を少なくレベルアップできるかを試行錯誤しながら指導しております。

集団練習ができない期間が長い分、個々の練習を大切にするか、その中でアンサンブル能力を維持する工夫を日々考えています。

5.課題

(1)直近の課題

例年と違いコロナ禍の限られた中でいかにレベルアップをするか、また生徒たちの部活動としての時間を満足してもらうかが大きいです。練習内容の見直しや、個々の心のフォローを見逃さぬよう前年よりもさらに面談の時間を始めとするコミュニケーションを大切にするよう心がけています。

(2)時代の変化

一昔前は毎日長時間、活動していた吹奏楽部も指導要領や時代の変化(働き方改革等)に伴い、学校ごとに活動時間がかなり減っています。

また、現代の子ども達は塾を中心に習い事も多く、部活を無遅刻無欠席で参加することはかなり難しくなってきており、勉強との両立に悩む学生も少なくありません。時代が変わればライフスタイルが変化することは普通のことかもしれません。

外部コーチとして、今の時代、学校の環境に合わせた音楽指導と子どもの成長を促すことが大切だと感じています。

6.今後の抱負

現在は吹奏楽の指導に加え、県の文化財団登録アーティストとして、積極的にアウトリーチ活動をしています。子ども達が学校や施設の訪問で演奏を体験することにより、将来自らホールに足を運ぶ様になる事を望んでおります。

演奏家、指導者として、
・老若男女限らず気軽に音楽が楽しめる環境作りをする
・演奏に挑戦する方、聴くことを主とする方など、さまざまな形で日常の娯楽の一つとして、いくつになっても楽しめるものを提供する
そのような活動を続けていきたいと思っています。

地域音楽コーディネーターとしては、自身の奏者としての顔も生かしながら、地域のイベントや近隣校との交流をしながら、地域の音楽文化の向上、音楽を通した地域の活性化を図りたいと考えています。

現在はコロナ禍ということで、なかなかイベント開催が厳しいので今はさまざまな企画を練る「充電時期」と考え、収束した暁にはそれらの企画を少しづつ始めることができる様に願っております。

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