活動事例

活動事例
【事例紹介】~行政と共に~ 生きる力「65歳からのピアノ講座」

全国生涯学習音楽指導員協議会茨城支部会員
MUSAピアノクラブ代表 平川昭子さん

■活動テーマ  ~行政と共に~ 生きる力「65歳からのピアノ講座」
初Concert ~ピアノ講座から2年目 第13期生~
■日時:2003年から現在
■場所:取手市公民館視聴覚室
■対象:65歳以上

■活動内容

1.動機

20年前、ピアノの指導者として今後の活動の方向性を考え始めていた頃、日本はすでに高齢化社会に入っていました。マスメディアでは『ボケ防止、認知症予防』という言葉が多く露出され、その後『介護』、そして昨今では『未病』という言葉も多く耳にします。

いずれも『予防』が必要であるとの事、そこで私は「音楽の力で何かお役に立てることがあるのではないか?」と考え、2002年取手市(旧藤代町)生涯学習課に「熟年のためのピアノ講座」の企画を提案しました。

幸いにも市にこの企画を承諾していただき、市の「事業講座」として開講してから今年で18年目を迎えました。

2.企画の趣旨

65歳を過ぎると「2重行動」が段々難しくなるといわれます。ピアノを演奏するには目で五線や鍵盤を見て脳でキャッチし手に伝えます。

経験を積むと音符や記号が増え、豊かな演奏表現を作るためにはペダルを使うのが効果的です。これらの事によりさらに1度に複合的な動作が必要となります。

また反復練習が必要なので、飽きずに続ける精神力も大事です。もちろん楽しさの持続が基本ですが。「では何ができるのか?」この講座は認知症の予防医学の一つの方法として、また共通の趣味を持つ仲間ができれば、それが生きる力になると考え内容を構築しました。

3.講座の概要

市広報で募集し決定いたします。

<2003年4月市生涯学習課事業として「熟年の為のピアノ講座」開講>

*市から要望で3年前より「65歳からのピアノ講座」に変更


~両手をつかい脳の活性化で認知症予防~     会場:市内公民館視聴覚室

1、 対象者

  • ① 60歳以上 *2013年より世の中の流れに合わせ65歳からに変更
  • ② ピアノレッスン未経験者であること

2、 目的

  • ① 認知症予防
  • ② グループでの活動を通して仲間意識を持ち健康づくりに繋げる

3、 会場

  • 公共施設利用 市内公民館視聴覚室

4、 内容

  • ① グループレッスン形式
    1クラス10名(男女混合)×2クラス
    1講座90分
  • ② 期間  3カ月10回講座
    *10回目修了証授与及びコンサート
  • ③目標  両手で演奏できるレパートリー2曲を習得
  • ④使用楽器  キーボード

5、受講料

  • 3,000円 *教材費として
●第1回目募集は電話で申し込みとしたが、申し込みが殺到し2回目以降は、はがきでの応募となる


4.指導の際に心がけていること

  • ① 1講座中に名前を3回は呼ぶこと→全員の声を聴く事ができる
  • ② 必ず全員を笑顔にする

5.市民ピアノサークル「MUSAピアノクラブ」

市事業主催の「熟年の為のピアノ講座」修了後、受講生からの継続希望により市民ピアノサークル「MUSAピアノクラブ」を立ち上げ活動開始いたしました。

  • 現、第1期生~18期生、67歳から92歳まで124名在籍(男女比率4:6)
  • 公民館規約により月2回のレッスン
  • 年会費 1,000円
  • 受講料 1ヵ月2,000円
講座1回目に受講者へは必ず「夢を叶えます」というキャッチフレーズで、皆様の夢をお聞きし答えていきます。

受講生たちの夢は? と聞くと

  • 『エリーゼのために』が弾きたい
  • 一流のホールで一流のピアニストの演奏が聴きたい
  • ステージで弾いてみたい
  • 美知子上皇后のように軽井沢で優雅に過ごしたい 等々

(1)教材とカリキュラム

曲名・教本 期間・時期 指導目標
喜びのうた
(ベートーベン交響曲第9番 合唱付きより)
市講座1回目~4回目
4回レッスン
右手:ド→ソ(真ん中)5本の指を固定
左手:I・V和音
聖者の行進 5回目~8回目
4回レッスン
*9回目はまとめ
右手:高いド→ソへ
左手:のばす音符から動く音符
茶色の小瓶 5回目~8回目
4回レッスン
*9回目はまとめ
右手音域が広くなる
指使いを気にして
3曲より2曲選択 10回目修了コンサート
@公民館内ホール
市教育長より修了証授与、3か月間で2曲両手で完成することにより達成感を味わう
悠々塾入門編
大人のハノン
市講座終了後より使用 音読み練習 指使いへの意識
テンポの安定→メトロノーム使用
悠々塾初級編
大人のハノン
レッスン開始から2年目より使用 右手:細かな音符とリズム
左手:分散和音、重音
ショパン作曲
ノクターンOp9-2
ハ長調編
同上 ☆初めてのショパン
6/8拍子の数え方 指の置き換え
ベートーベン作曲
エリーゼのために
(ウィーン原典版使用)
レッスン開始から3年目定例コンサート後10カ月~1年間 最後まで楽譜を読みきる
ペダルの練習
◎仕上がり後、全員で発表会
ベートーベン作曲
ソナタNO.17『テンペスト』
第3楽章 ハ長調編
レッスン開始から4年目
3か月
右手:1オクターブで動く
左手:『エリーゼのために』と同じ音とリズム
ベートーベン作曲
ソナタNO.14『月光』
第1楽章
ハ長調編
3カ月 左手:3連符の数え方
同じリズムで弾き続ける
ベートーベン作曲
ソナタNO.8『悲愴』
第2楽章
ハ長調編
4カ月 右手:フレーズを意識
左手:アルペジオ
ベートーベン作曲
上記のソナタ3曲通し
1カ月~2カ月 曲想を付けて暗譜でまとめる
◎仕上がり後、全員で発表会
J.Sバッハ作曲
メヌエット
BWV Anh.114
レッスン開始から5年目
4カ月
3/4拍子リズム
J.Sバッハ作曲
メヌエット
BWV Anh.115
3カ月 マイナーな曲調、ノンレガート奏法
J.Sバッハ作曲
メヌエット
BWV Anh.116
3カ月 音域が広い、アップテンポ
J.Sバッハ作曲
メヌエット
上記の3曲
1~2カ月 通し練習
◎仕上がり後、全員で発表会

6年目からは各自弾きたい曲を選択していただきます。

人気のある曲:乙女の祈り、ベートーベン作曲ソナタNO.14『月光』第1楽章原譜、
ショパン作曲、ノクターンOp9-2原譜、ノクターン遺作
イタリア映画より「ひまわり」「鉄道員」、久石譲作品「summar」、タンゴ、昭和歌謡、童謡等

 

☆グループレッスンは悩んだり困ったとき、みんなで力を合わせて諦める事無くやり遂げることができる。いつの間にか強い絆となる。

(2)活動

<1年間の定例行事>

  • ① 春 市広報にて新クラス募集
  • ② 春または秋、MUSAピアノクラブ定期コンサート
    出演者条件:市講座から2年目を迎えたクラスに限る
  • ③ 秋 1泊2日「音楽の旅」宿泊施設でミニコンサート
    これまでの宿泊地:長野県軽井沢、新潟県十日町、静岡県浜松市、嬬恋、等
  • ④ 12月 大忘年会 市内多目的ホールにてケータリング利用

<記念行事>

5年毎(5年・10年・15年)に記念コンサートとパーティー開催
記念グッズの制作 ネーム入りマグカップ、ピアノ拭きクロス、ペンケース

<セミナー>

  • ピアニスト四家ゆかり先生によるベートーベン作曲ソナタNO.14『月光』第1楽章全3回
    100名参加(2017年)
  • ピアニスト安達朋博先生によるベートーベン作曲『エリーゼのに』全3回
    100名参加(2018年)

<その他>

  • 大人のためのコンクール「エリーゼ音楽祭」第3回より参加(2012年)
    実績:全国大会連弾部門金賞 プラチナ部門(65歳以上)銀賞
  • 男性による「Valentineコンサート」(2010年2月14日)
  • 女性によるコンサート「春・秋の園遊会」*3.11復興支援(2012年4月・11月)
  • 「アラカルトコンサート」*大分・熊本地震復興支援(2014年1月・7月・11月)
    キーボード隊4組結成 アンサンブル演奏とシンガーソングライターひづき洋子氏とコラボ
  • ピアニスト中村天平コンサート(2018年)
  • 賛助会員ピアニスト安達朋博コンサート80代紳士4名賛助出演(2019年)
  • 有志8名でイタリアシチリア島へ演奏旅行(2019.10)

 

☆MUSAピアノクラブの最大の武器は、あらゆる分野の職種についていた方が在籍しているのでイベントの際、自分たちで作り物から当日の音響・照明・受付などシニアの集まりとは思えない程、団結して実現できる。

6.生きがい

日々、仲間との絆を力に楽しく練習し復興支援コンサート、大人のためのコンクールなど積極的にたくさんの活動に参加しています。また受講生の希望を叶え、これまでにピアニスト故中村紘子、館野泉、小原孝の各氏リサイタルや大分県で開催されている「アルゲリッチ音楽祭」、オーチャードホールにて開催された「ショパンコンクール入賞者ガラコンサート」等へ足を運んだりと豊かに過ごすお手伝いをしてきました。

2020年世界的なコロナウィルス感染という未曾有の出来事により自粛。一時的にマスクがない、消毒液がない等、不安に陥りさらに仲間との交流や行動の制限により体調の変化、精神不安定などの辛い時間を過ごすこととなってしまいました。 未だ不安が覆いかぶさり外へ出られない受講生がおり、認知症との診断結果を受け非常に残念に思います。

この状況下の中、今まで以上に自分にできることはないかと強く思っているところへ、この5月からコロナワクチン予約をきっかけにスマートフォンの使い方を教えてほしいと要望があり、学習会を開いています。

ピアノ以外での集まりや、オンラインレッスンの方法を教える事も楽しいです。いくつになっても好奇心を持ち続け、元気に笑顔で過ごせるよう、受講生にはずっと寄り添っていきたいと思います。生きがいを失わないように・・

 

最後に受講生のお一人の感想をご紹介いたします。

 

〇安達朋博コンサート賛助出演して
「‟エリーゼ“に恋をした」

赤い表紙のウィーン原典版≪Für Elise≫には2015.04.11の記入がある。それから1年、先生曰く「発表会も終わったことだし次に・・・」私は返事をしなかった。振り返る人生の中で「ひとつ」くらい完全な形で残しておきたいのだ。

現在88歳、女房は認知症で施設に入居。寂しさを紛らわすために鍵盤に向かい『これでもか、これでもか』と、エリーゼに恋をしている。「愛はひとつ、恋無限」などと言い続けながら

名越武道


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