活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】ジャズで能代の街を活性化

(2021年10月25日公開)

地域音楽コーディネーター 飯田和子さん

■テーマ:ジャズで能代の街を活性化
■日時:2021年9月18日(土)「能代ジャズフェスティバル2021」開催予定のところ 新型コロナウィルス感染拡大に鑑み、2022年度に延期となる。
■会場:能代市文化会館大ホールを予約
■対象:能代市と周辺地域の一般市民及び全国から集まるジャズファン
同時配信&アーカイブの対象:全国の能代出身者や全国のジャズファン

■活動内容

1.活動の背景

私の故郷は秋田杉・林業で米代川河口に栄えた秋田県能代市です。“木都・能代”日本一の防風林「風の松原」前に拡がる墓地には私の両親や祖父母が眠っています。 帰省する度に、昔は賑わっていた商店街の店々がシャッターを降ろしている光景を見るにつけ、切なさと同時に私に何か地域貢献ができないものかという想いが溢れました。

くしくも2020年度、私は「能代ふるさとPR大使」に着任したこともあり音楽でこの街の活性化を図りたいと考えたのが、このジャズフェスティバル構想のきっかけです。

なぜジャズなのかというと、私はピアノ教師、ドラムサークルファシリテーター、「飯田さつき事務所」マネージャーですが、娘の飯田さつきは、ジャズシンガー、夫は「IIDA JAZZ SCHOOL」学院長です。 その関係でジャズ界に幅広いネットワークを持っており、また能代出身の素晴らしいジャズミュージシャンがいることを知っていました。

2.目的

  1. 能代出身や能代ゆかりのジャズミュージシャンを能代に招き、市民と共に楽しむ「能代ジャズフェスティバル」の開催を通して地域活性化の一助とする。
    *市民は、能代出身ミュージシャンがどんなに素晴らしい演奏をするかを、聴く機会がないので知らないのです。
  2. 同時配信を通して全国にいる能代出身者や全国のジャズファンと繋がり輪を広げる。
  3. 観客全員参加型のアクティビティを導入し、全国どこにもないジャズフェスティバルの形を創る。
    2021年度に予定しておりましたフェスティバルは、新型コロナウィルス感染拡大の影響によりできなくなり2022年度へ延期になりましたが、開催への想いはより強くなっています。
そこで、私達が開催に向けてどの様に準備を進めてきたかをここにご紹介させていただきます。

3.具体的な進め方

老若男女がジャズコンサートに接する機会を作り、ジャズの楽しさを味わってもらう事により、市民とミュージシャン、全国のファンを繋ごうと考えました。

2020年9月に東京在住の能代出身の著名なジャズピアニスト、納谷嘉彦氏を銀座のライブハウスに訪ね、想いを伝えると、意気投合!! 二人で構想を練りました。

Step1.発起人委員会設立―2021年1月

我々二人と能代在住のH氏に声をかけ3人で発起人委員会を組織しました。(H氏は東海大ジャズ研出身のアマチュアジャズコルネット奏者で公立小教員。これまで能代のジャズシーンを度々サポートしていただいています。)

開催時期については3人で話し合った結果、コロナ禍ゆえ今ならミュージシャンを抑え易いので、思い切って今年の秋9月18日に「能代市文化会館中ホール」で実施する事に決定し会場を確保しました。将来的には、毎年継続開催とし舞踊や、演劇なども加えた総合文化祭のようなものに発展させていきたいと考えています。

Step2.「能代ジャズフェスティバル2021実行委員会」設立―2021年2月

  1. (1)実行委員候補者を選び、個別に下記の2点を提案し就任依頼をする。ノミネートしたのは、能代のジャズ愛好家団体「Hot Jamのしろ」、「ときめ木マルシェ」、「能代おもしろ塾」、「能代地域おこし協力隊」など能代の活性化に取り組んでいるいずれも意欲的な方々です。

    1. 開催の想いとビジョン
      継続性・独自性・機会均などのための配信実施・誰もが楽しむコンサート

    2. 基本コンセプトと企画案
      《コンセプト》
      国内外で活躍する能代出身者や能代ゆかりのジャズミュージシャンを地元能代に招いて、市民と共にジャズ演奏を楽しむコンサートを企画することにより、実施に関わる人々同士の「能代活性化意識」の向上と、当日のコンサート聴衆同士の「繋がりあう一体感」を生み出し、ジャズ音楽が「明日への希望の活力」となることを目指すものとする。

      また、全国の音楽ファンに能代という町の存在を知ってもらい、能代に人を招くきっかけとすることも狙いとしたい。

      《企画案》
      ジャズ演奏の他に、観客全員参加型のアクティビティ①②を導入し、どこにもないジャズフェスティバルの形を創る。

      ① ドラムサークル

      会場の観客席にひとり1つずつアフリカの太鼓や小物楽器を配布して、リズムでみんな一体となって盛り上がる。太鼓や楽器の配布にはボランティアとして秋田県立能代支援学校高等部の生徒に加わってもらう。

      ② ジャズの即興の面白さ

      会場の観客から音を3つもらって、その音だけでステージ上のミュージシャンが即興で曲を創って演奏する。
  2.  

  3. (2)7名の委員で実行委員会を設立。最終的には15名に。
  4. (3)推進にあたってのポイント
    1. 初めてのジャズフェスティバルを成功させたいという“想いの共有”。
    2. 能代を全国の皆さんに知って欲しいという“願いの共有”。
    3. 会議の方法はZOOMを活用する。
      実行委員の居住地が能代と東京という2箇所の離れた地域であること、またコロナ禍にあって集まることができないことから。
    4. ひとりひとりが顔を見ながら繋がり、みんなが意見を出し合えるよう務める。
    5. 会議と会議の間の期間は、グループメッセンジャーで話しあう。
    6. 会議で決まったことは事務局がその都度、議事録として残し、欠席者も話し合いの内容を共有し、全員が現在の状況を把握し、課題を整理して進めていく。

4.実行委員会の記録

〇第1回実行委員会開催―2021年2月24日

(1)組織体制と担当業務

  • 実行委員長—全体統括
  • 副実行委員長(2名)—能代と東京の立場を一人ずつ代表して担う
  • 事務局(2名)—運営面の統括
  • 運営・渉外(5名)—-会議議案書作成、議事録、文書作成、行政との交渉、補助金申請、プレス対応、ホームページ管理
  • 庶務(3名)—後援、協賛、各種交渉、宿泊、当日ボランティアなど手配、レンタル楽器、器材の手配、当日楽器の管理、ピアノ調律手配
  • PR/企画(2名)—-チラシ、チケット、ポスターなど、オフィシャルグッズ企画、SNS発信、記録(写真、動画)と管理
  • ミュージシャン担当局(1名)—-当日のミュージシャン関係担当
  • 会計(2名)—口座開設、預金・出納管理、収支報告書作成
  • 監事 (1名)—会計監査
    *ただし一人が兼務の場合もある

(2)実行委員会開催スケジュール案作成

(3)内容面

  • ・プログラムと出演者
  • ・全体予算と助成金(チケット代金の設定)、通帳作成
  • ・後援、協力、協賛団体をリストアップ
  • ・チラシ、ポスター、ホームページ作成者を選出
 

〇第2回実行委員会―2021年3月29日

(1)「開催要項」「コンセプト」「規約」を確認
(2)実行委員会組織図作成
(3)委員会スケジュール作成
(4)会計関連
  • ・補助金応募も含む
  • ・ゆうちょ団体口座開設申し込み(3/31)
(5)後援等要請リスト
(6)出演者関連 
  • ・見積書の提出依頼
  • ・出演者との契約書、中止の場合の補償について
(7)PR.企画関連
  • ・配信チケットの期間
  • ・オフィシャルTシャツ&グッズ作成や物販について
  • ・キッチンカーについて
(8)会場関連
  • ・会場を能代文化会館中ホールから大ホールに変更への手続き
  • ・コロナ対策と、開催可否基準と最終判断の時期

〇第3回実行委員会―2021年4月16日

この会議より新メンバーが加わり合計15名となる。

(1)申請関連

  • ・令和3年度能代市「市民まちづくり活動支援事業補助金」申請。4月28日事務局2名がプレゼンテーションに赴く
  • ・後援申請18社に送り、5社承認。協力団体は3団体承認
  • ・寄付は20口以上集め、ホームページに掲載

(2)PR.企画関連

  • ・ポスター、チラシ、チケットなど印刷物記載事項を確認
  • ・プレイベントとして2021年6月8日に実施予定の秋田県立能代支援学校ドラムサークルはコロナ感染拡大により中止連絡(2021/4/27)

(3)コロナ対策

  • ・東京からのミュージシャンは2週間前から検温し記録表の作成をする
  • ・来能直前にPCR検査をする

〇第4回実行委員会―2021年5月14日

(1)補助金、後援関連

  • ・令和3年度能代市「市民まちづくり活動支援事業補助金」申請が認定される(2021/5/7付 30万円)
  • ・後援依頼した18社、全ての承認が揃う(2021/5/4)

(2)ホームページ関連

  • ・ホームページ「能代百景ありのままの能代」に、「風の松原」「木都能代」を加える
  • ・ホームページのキャッチコピー決定『風の街のJAZZ~奏でのしろ~』

(3)コロナ対策

  • ・コロナ禍、出演者が来能できない場合について検討
    中止・延期・
    代替案 A 東京・能代二元中継
    B 東京から配信+PV
    C 東京から配信のみ
  • ・開催可否の判断期限 東京五輪状況を見て2021年6月中に決定
  • ・配信はツイキャスプレミアムを使用

〇臨時実行委員会―2021年6月7日

(1)コロナ対策

  • ・コロナ禍での開催についての意見交換
  • ・「能代ジャズフェスティバル2021」延期を決定!

〇第5回実行委員会―2021年6月29日

(1)ホームページ関連

  • ・延期のお知らせと実行委員長あいさつ文について
  • ・「能代百景ありのままの能代」さらなる充実
  • ・「最新情報」の管理者決定
  • ・ホームページ公開を2021年8月上旬とする。

〇第6回実行委員会―2021年7月13日

(1)ホームページ関連

  • ・「能代百景ありのままの能代」能代の工芸品などを再度充実
  • ・延期した能代ジャズフェスティバルの開催日時は2021年11月上旬に協議開始

  • ★ホームページを見てもらうために
    1)完成したらお披露目の会を開き、納谷&筆者はリモート参加。ツイキャスのテストも兼ねて、東京から納谷さんのピアノ演奏を聴く。北羽新報に取材してもらう。
    2)筆者が北羽新報に「想い」を寄稿する。

(2)課題

  • ・若い人材に実行委員に加わってもらうにはどうしたら良いか検討

〇第7回実行委員会 2021年8月1日

  • ・ホームページのチェック
  • ・ホームページお披露目会について

5.来年の開催とその先への夢

新型コロナウィルス感染拡大により、「能代ジャズフェスティバル2021」は延期となってしまいました。しかし、開催に向かって実行委員会のひとりひとりが努力してきた歩みは、次年度開催へと確実に繋がります。

延期により、くしくも時間が与えられました。本来プレ・イベントとして実施するはずだった「秋田県立能代特別支援校」でのドラムサークルや、「ジャズとは!おもしろ塾講座」なども、コロナ禍が収束すれば実施できますし、街の機運を高めるための発信も期待できます。

ホームページの「能代百景ありのままの能代」を見て、全国にいる能代出身者が懐かしく故郷を想うでしょうし、能代を知らない人にはきっと興味を抱かせるでしょう。

何年か後には、能代出身や能代ゆかりの演劇人や舞踊家、落語家などを招いた「総合芸術祭」が繰り広げられることを夢みています。

「全ては、たった一人の行動から創まる!」私の呼び掛けに同意して一緒に歩み出した納谷氏、そして一緒の夢をみながら集まった実行委員のみなさん!素晴らしいメンバーが揃いました。人と人は繋がってこそエネルギーになることを実感しました。この感謝の気持ちを、「能代ジャズフェスティバル」成功へと燃やし続けます。

既にホームページも完成しPV動画も完成しています。ホームページには「能代百景ありのままの能代」ページを設けて、能代の自然、風物、工芸品などを全国のみなさんに知っていただくために多数の写真を掲載しました。

「能代ふるさとPR大使」として、ぜひホームページを通して、能代を皆さんに知っていただきたいと思います。

●能代ジャズフェスティバル
https://noshiro-jazz.com

能代百景ありのままの能代


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