全国生涯学習音楽指導員協議会名誉会長
箏演奏家、宇都宮短期大学客員教授 和久文子
■活動テーマ:「子ども達に伝える伝統音楽活動」「子ども達が伝える伝統音楽活動」
■日時:1994年(平成6年)~現在に至る
■対象:小学生~大学生まで
■場所:宇都宮市内公私立小・中学校・盲学校・聾学校・特別支援学校
鹿沼市内高等学校、宇都宮短期大学、同高等学校
■活動内容:
<背景>
東京で沢井忠夫・沢井一恵氏にお箏を師事、沢井忠夫合奏団として多くの演奏活動を行っておりました私は、ある日学校公演に行った時の子ども達の輝く瞳、食い入るような眼差しがとても印象に残りました。その時、国内外での活動の中で「日本人なのに、なぜ日本の美しい伝統音楽が学校教育の中に入っていないのか」と素朴に疑問に思いました。
40年前からの私の夢は「学校の校舎から、箏の優雅な音が響いてくること」です。この夢へ向かって、ぜひ、わが故郷の子ども達へ美しい箏の音を聴かせてあげたいと思い栃木県へ帰り、小さな一歩から活動を始めました。その活動をいくつかご紹介いたします。
平成10年(1998年)12月14日学習指導要領告示、学校教育に和楽器が取り入れられることになりました。全国で試行錯誤している中、既に宇都宮市・日光市では学校において箏や尺八の鑑賞や体験授業を行っていました。
個人活動から今では県内演奏家達と共同し、宇都宮市や日光市は全国に先駆け、大きな発展事業になり、現在も継続中です。
「対象」宇都宮市内公私立小・中学校・盲学校・聾学校・特別支援学校
「内容」伝統音楽・芸能の解説・指導・実演及び体験
「講師」宇都宮市文化協会員
種目は和楽器だけでなく20種目に拡大しました。この中から開催校が希望選択しています。箏・尺八の希望数は一貫して根強いものがあります。開催学校の種目回数は多い年度で144回実施、参加者数は13,202人。
初の3倍以上に発展し続けている誇るべき事業となっています。宇都宮市文化協会が毎年各学校からアンケート調査を行っています。これは指導者にとっても貴重な資料となっております。
~アンケート結果~(学校からの回答)より一例
<生徒の反応について>
コロナ禍の影響で尺八の体験ができなかったのが残念ですが、先生のお話で尺八についても理解できました。特に今年度演奏していただいた「八咫烏」(*1)は心に残る演奏でした。生徒の心にも刺さるものがあったようです。
*1 尺八奏者福田智久山作曲。鑑賞曲としてコロナ収束を願い、古典、現代邦楽の奏法を融合して作られた。
「内容」・箏、尺八の仕組みや歴史についての説明
・講師による演奏の鑑賞
・児童・生徒による体験 など
「講師」日光三曲協会、和久文子・前川智世・福田智久山
コンサート開始当初は、1クラスの生徒数が多く、子供達の興味・関心・集中力をどう保つかが課題でありましたが、一クラスを半分に分け、箏・尺八を別教室で同時進行しました。
箏教室は箏一面に対し、二人一組がベストでした。この利点として、最初の体験者はお互いに演奏に対して助け合い、また褒めてくれる友達がいるから心強く、それが楽しさを引き出します。ペアのもう一人は、しっかり観察でき、次に弾く子の方が顕著にその効果が活きています。
また、最初の体験者は指導力があり、次に弾く子へポイントをアドバイスしています。まさに、『体験に勝るものなし』僅かな体験時間でも、本当に貴重な事であると毎回実感しています。
尺八教室では音の出しにくい尺八は、いかに楽しく授業を行うことは大きな課題ではありましたが、指導者の努力によって成立しました。子供達が箏教室に入って来るなり、「尺八、かっこよかった!」と笑顔で話している様子に尺八の魅力が伝わったことを感じています。
我々指導者は常に、ⅰ.奏でる楽しさ、 ⅱ.音色を楽しむ、ⅲ.合奏を楽しむ、ⅳ.様々な奏法の楽しさ、を感じてもらい歴史と伝統が今に生き続けていくことを伝えていきたいと思っています。
~学校の先生方からの「活動報告書」より~
教材で習った曲をたくさん演奏してくださり、CDを聞いたりするよりは専門家の話を聞き、そして素晴らしい曲を聴くことは、より感動を与え、心に残るものだと思った。
2021年度は小学校1校・中学校1校・高等学校4校で全14日間実施します。
「内容」・講話を行い子供たちの芸術への関心を高める。
・古典の三曲合奏から現代曲まで、優れた芸術を鑑賞させる。
・ワークショップ等の実技指導を行い、色々な奏法を体験する。
「講師」箏:和久文子、前川智世 尺八:福田智久山
個人実技レッスンを柱に、邦楽アンサンブルや関連実技も履修し、日本音楽の知識や演奏法、楽器の構造や調整法、舞台を支える仕事までを広く学び、和楽器を中心に、ピアノ(副科必修)も履修します。
洋楽・邦楽両方の音楽を学ぶことで、それぞれの楽器の特徴や良さを知ることができます。又洋楽専攻の学生に副科で和楽器を指導する意義は非常に大きいものがあります。近年、アンサンブルコースが設置され、和・洋コラボレーションが容易にできる環境は素晴らしいことです。 翌年、同短期大学附属高等学校音楽科にも邦楽専攻コースが設置され、高等学校から短大への道筋ができました。全国でも数少ない邦楽専攻コースが栃木県に設置されたということは大変有難く、喜ばしい事であります。
~廃校の危機から脱出!《小さな学校の大きな挑戦》~
城山西小の「五つの約束」
5、6年生は箏の授業を行い、私が担当しております。文化人講師による授業は公開授業となります。また、放課後活動(こがし桜スクール・90%加入)においては1~6年生までを対象に毎週行っています。
宇都宮市立城山西小学校は、毎年春には孝子桜まつりが地域連携で行われます。そこでは樹齢450年とも言われている桜の木の下(校庭のど真ん中)で全校生と学校の先生方による箏の大合奏は圧巻です。当初全校生34面での合奏でしたが10年間で3倍の児童数となり、現在110面を超える箏を並べての演奏は、演奏者も聴衆も大きな感動であります。(今年はコロナで中止)
何より子供達の頑張りと笑顔に心が癒され、大きな喜びとなります。「達成感満喫!!」 子供達が自主練習までして、楽しんで演奏しているところが大きな魅力です。
この自然豊かな特色のある小規模特認校が、映画化されました。
毎週土曜日、旧小学校を活用し、多彩なカリキュラムの中の一つに箏の授業があります。開講時から小学1年生から6年生まで全員指導、毎回学年ごとに6時限の授業を行っています。海外での交流授業もコロナ禍前は積極的に行っていました。
これらの学校からは、全国小・中学生箏曲コンクール、TBSこども音楽コンクール全国大会、全国高等学校総合文化祭、栃木県高文祭秋季大会コンクールなどで優秀な成績を修めております。また多くの音楽大学進学者やプロの演奏家も輩出しています。
演奏技術の高さから、全国でも非常に注目されています。現在、音楽大学生及び卒業生、プロの演奏家として活躍している人総勢40名程で構成しています。演奏者の中には、各種全国コンクール等で日本一に輝いた者が多数在籍し、若手芸術家に贈られる宇都宮エスペール賞に輝いたものもおり、個人のソロリサイタル等を含め、幅広く精力的な活動をしています。
これまでに《東レパン・パシフィック・オープンテニストーナメント》歓迎演奏、千代田区東日本大震災復興特別コンサート、《蔵のまちコンサート》(さいたま市中央区)など全国的な公演活動を行っており、2016年2月に栃木県より『とちぎ未来大使』(和の継承)の任命を受け、その活動が益々注目されています。
栃木県内では、大谷地区で行われている文化事業《和の都 宇都宮アートフェスト》において津軽三味線奏者・吉田兄弟や華道家・假屋崎省吾氏のフラワーインスタレーションとの共演のほか、2015年からは箏、三絃、尺八によるアンサンブル形式 “ 三曲 ” からタイトルを取った邦楽と照明 ライティングによる舞台《SANKYOKU~若き名手・和の継承~》(企画制作 : 公益財団法人うつのみや文化創造財団)で佐野市、那須塩原市、 栃木市、日光市を巡回。2017年8月からは SANKYOKU 宇都宮公演を行っております。
その後、(公財)うつのみや文化創造財団のご支援をいただき財団の事業として、また近年は、宇都宮共和大学・宇都宮短期大学の連携事業として発展し、2021年で第17回を迎えます。昨年はコロナ禍により、各学校の音源作成をしましたが、2021年は10月24日に宇都宮短期大学須賀友正記念ホールでの開催が決定しています。
一昨年の参加者は総勢200名。近年は会館の方の指示のもと、OB・OGを柱に学生自ら運営スタッフとして、演奏者として、活動の幅を広げています。皆で長年積み上げた成果だと思います。
(公財)うつのみや文化創造財団事業2018年度・2021年度
一般事業では、文化庁助成事業からの発展事業など数多く携わっていますが、個人指導(箏・三弦)も行い、現在、3歳~90歳までと幅広い年齢層の方との関わりがあります。
80、90代の方は30~40年のお付き合いです。90代の方がつい先日、透析を始めましたが、「私はお箏に出会い、本当に幸せな人生でした」としみじみ話してくださいました。元教諭4人の一人、86歳の方は、古典曲「越後獅子」の三弦を弾き、一人で唄い、箏・尺八・三弦の三曲合奏の夢を見事に演奏会で披露しました。これぞ、生涯楽習の根源であると思います。
私も演奏家・指導者として、子供達と関わり、40年の年輪が今尚広がっています。常に今できる最高のものを提供したいと考え、今日まで研鑽してきました。そしてこれもまた、私の生涯学習音楽指導員として歩んできた人生そのものであり、自身の生涯楽習の成果でもあります。
箏演奏家、宇都宮短期大学客員教授 和久文子
■活動テーマ:「子ども達に伝える伝統音楽活動」「子ども達が伝える伝統音楽活動」
■日時:1994年(平成6年)~現在に至る
■対象:小学生~大学生まで
■場所:宇都宮市内公私立小・中学校・盲学校・聾学校・特別支援学校
鹿沼市内高等学校、宇都宮短期大学、同高等学校
■活動内容:
<背景>
東京で沢井忠夫・沢井一恵氏にお箏を師事、沢井忠夫合奏団として多くの演奏活動を行っておりました私は、ある日学校公演に行った時の子ども達の輝く瞳、食い入るような眼差しがとても印象に残りました。その時、国内外での活動の中で「日本人なのに、なぜ日本の美しい伝統音楽が学校教育の中に入っていないのか」と素朴に疑問に思いました。
40年前からの私の夢は「学校の校舎から、箏の優雅な音が響いてくること」です。この夢へ向かって、ぜひ、わが故郷の子ども達へ美しい箏の音を聴かせてあげたいと思い栃木県へ帰り、小さな一歩から活動を始めました。その活動をいくつかご紹介いたします。
Ⅰ.子ども達に伝える伝統音楽活動
1.スクールコンサート
実現に向かって個人でのスクールコンサートを始めました。やがて、その活動が宇都宮市役所文化課の方の耳に入り、宇都宮市教育委員会主催、小・中学校における「邦楽鑑賞教室」が開催される糸口になりました。後、「ふれあい文化教室」、日光市教育委員会主催「日本の伝統音楽鑑賞教室・邦楽スクールコンサート」へ広がりました。平成10年(1998年)12月14日学習指導要領告示、学校教育に和楽器が取り入れられることになりました。全国で試行錯誤している中、既に宇都宮市・日光市では学校において箏や尺八の鑑賞や体験授業を行っていました。
個人活動から今では県内演奏家達と共同し、宇都宮市や日光市は全国に先駆け、大きな発展事業になり、現在も継続中です。
A.宇都宮市邦楽スクールコンサート
平成6年度(1994年度)から宇都宮市教育委員会主催「邦楽鑑賞教室」がスタートしました。体育館鑑賞型が主でありましたが、平成13年度(2001年)から「ふれあい文化教室」(文化芸術講師派遣事業)体験授業型に変わり、主催は宇都宮市文化協会・(公財)うつのみや文化創造財団・開催校。共催は宇都宮市教育委員会へと移行しました。「内容」伝統音楽・芸能の解説・指導・実演及び体験
「講師」宇都宮市文化協会員
種目は和楽器だけでなく20種目に拡大しました。この中から開催校が希望選択しています。箏・尺八の希望数は一貫して根強いものがあります。開催学校の種目回数は多い年度で144回実施、参加者数は13,202人。
初の3倍以上に発展し続けている誇るべき事業となっています。宇都宮市文化協会が毎年各学校からアンケート調査を行っています。これは指導者にとっても貴重な資料となっております。
~アンケート結果~(学校からの回答)より一例
<生徒の反応について>
- ・演奏が素晴らしく、お話も面白く、あっという間に時間が過ぎていました。その後、子ども達に変化が見られ、本物を体験する事の大切さを感じました。
- ・素直に感嘆の声をあげたり、目を輝かせて聞き入ったりしていた。体験の時には、丁寧に説明してくださったので、全員が自分で演奏できたという喜びを感じていた。
- ・今年度は箏のみの体験となりましたが、大変真剣にとても楽しんで体験させていただけたと思います。もっと弾いていたかったという声が多く聞こえました。尺八の音色に「すごい…!」と感動する様子も多く見られました。
コロナ禍の影響で尺八の体験ができなかったのが残念ですが、先生のお話で尺八についても理解できました。特に今年度演奏していただいた「八咫烏」(*1)は心に残る演奏でした。生徒の心にも刺さるものがあったようです。
*1 尺八奏者福田智久山作曲。鑑賞曲としてコロナ収束を願い、古典、現代邦楽の奏法を融合して作られた。
B.日光市邦楽スクールコンサート
平成10年度から全日光市内の小・中学校において、「日本の伝統芸術鑑賞教室・邦楽スクールコンサート」が行われています。担当課は日光市教育委員会事務局生涯学習課・文化振興係。実施校は令和元年度(2019年度)、36校(小学校23校・中学校13校)。令和2年度(2020年度)、23校。「内容」・箏、尺八の仕組みや歴史についての説明
・講師による演奏の鑑賞
・児童・生徒による体験 など
「講師」日光三曲協会、和久文子・前川智世・福田智久山
コンサート開始当初は、1クラスの生徒数が多く、子供達の興味・関心・集中力をどう保つかが課題でありましたが、一クラスを半分に分け、箏・尺八を別教室で同時進行しました。
箏教室は箏一面に対し、二人一組がベストでした。この利点として、最初の体験者はお互いに演奏に対して助け合い、また褒めてくれる友達がいるから心強く、それが楽しさを引き出します。ペアのもう一人は、しっかり観察でき、次に弾く子の方が顕著にその効果が活きています。
また、最初の体験者は指導力があり、次に弾く子へポイントをアドバイスしています。まさに、『体験に勝るものなし』僅かな体験時間でも、本当に貴重な事であると毎回実感しています。
尺八教室では音の出しにくい尺八は、いかに楽しく授業を行うことは大きな課題ではありましたが、指導者の努力によって成立しました。子供達が箏教室に入って来るなり、「尺八、かっこよかった!」と笑顔で話している様子に尺八の魅力が伝わったことを感じています。
我々指導者は常に、ⅰ.奏でる楽しさ、 ⅱ.音色を楽しむ、ⅲ.合奏を楽しむ、ⅳ.様々な奏法の楽しさ、を感じてもらい歴史と伝統が今に生き続けていくことを伝えていきたいと思っています。
~学校の先生方からの「活動報告書」より~
教材で習った曲をたくさん演奏してくださり、CDを聞いたりするよりは専門家の話を聞き、そして素晴らしい曲を聴くことは、より感動を与え、心に残るものだと思った。
2.文化庁文化芸術による子供育成総合事業(芸術家の派遣事業)
この事業は学校からの依頼です。芸術家を派遣し、講話、実技披露、実技指導(以下「講話等」という。)を実施することにより、子供たちの豊かな創造力・想像力や、思考力、コミュニケーション能力等を養うと共に、 将来の芸術家や観客層を育成し、優れた文化芸術の創造に資することが目的です。2021年度は小学校1校・中学校1校・高等学校4校で全14日間実施します。
「内容」・講話を行い子供たちの芸術への関心を高める。
・古典の三曲合奏から現代曲まで、優れた芸術を鑑賞させる。
・ワークショップ等の実技指導を行い、色々な奏法を体験する。
「講師」箏:和久文子、前川智世 尺八:福田智久山
3.宇都宮短期大学での指導
平成28年度(2016年度)、宇都宮短期大学音楽科・邦楽コース(箏・三弦・尺八)が開設され指導しています。邦楽専攻コースは、日本の伝統的音楽と心の学びを通して、国際的にも幅広く活躍できる人材育成を目指す事を目標にしています。文部科学省の教職指導カリキュラムに邦楽が義務化され、中学校教諭2種免許状(音楽)を取得する事ができます。個人実技レッスンを柱に、邦楽アンサンブルや関連実技も履修し、日本音楽の知識や演奏法、楽器の構造や調整法、舞台を支える仕事までを広く学び、和楽器を中心に、ピアノ(副科必修)も履修します。
洋楽・邦楽両方の音楽を学ぶことで、それぞれの楽器の特徴や良さを知ることができます。又洋楽専攻の学生に副科で和楽器を指導する意義は非常に大きいものがあります。近年、アンサンブルコースが設置され、和・洋コラボレーションが容易にできる環境は素晴らしいことです。 翌年、同短期大学附属高等学校音楽科にも邦楽専攻コースが設置され、高等学校から短大への道筋ができました。全国でも数少ない邦楽専攻コースが栃木県に設置されたということは大変有難く、喜ばしい事であります。
4.放課後活動(こがし桜スクール)
宇都宮市立城山西小学校~廃校の危機から脱出!《小さな学校の大きな挑戦》~
- 会話科の推進
- 文化人の先生方による授業
- 地域と連携
- 安全でおいしい給食
- 放課後活動の充実
5、6年生は箏の授業を行い、私が担当しております。文化人講師による授業は公開授業となります。また、放課後活動(こがし桜スクール・90%加入)においては1~6年生までを対象に毎週行っています。
宇都宮市立城山西小学校は、毎年春には孝子桜まつりが地域連携で行われます。そこでは樹齢450年とも言われている桜の木の下(校庭のど真ん中)で全校生と学校の先生方による箏の大合奏は圧巻です。当初全校生34面での合奏でしたが10年間で3倍の児童数となり、現在110面を超える箏を並べての演奏は、演奏者も聴衆も大きな感動であります。(今年はコロナで中止)
何より子供達の頑張りと笑顔に心が癒され、大きな喜びとなります。「達成感満喫!!」 子供達が自主練習までして、楽しんで演奏しているところが大きな魅力です。
この自然豊かな特色のある小規模特認校が、映画化されました。
5.週休5日制対応授業
柿の木坂芸術学校は平成13年度(2001年度)に開校し、文学・音楽・美術・ものづくり・身体表現など、自己を表現する芸術的活動を通して、子ども達の豊かな成長と素晴らしい芸術に浸る時を過ごし、小学生の美しさを引き出すことを教育目標としています。毎週土曜日、旧小学校を活用し、多彩なカリキュラムの中の一つに箏の授業があります。開講時から小学1年生から6年生まで全員指導、毎回学年ごとに6時限の授業を行っています。海外での交流授業もコロナ禍前は積極的に行っていました。
6.部活動
「宇都宮市立石井小学校こと部」「栃木県立鹿沼商工高等学校日本音楽部」「宇都宮海星女子学院中学校箏曲部」「宇都宮海星女子学院高等学校箏曲部」の4校を指導しております。これらの学校からは、全国小・中学生箏曲コンクール、TBSこども音楽コンクール全国大会、全国高等学校総合文化祭、栃木県高文祭秋季大会コンクールなどで優秀な成績を修めております。また多くの音楽大学進学者やプロの演奏家も輩出しています。
Ⅱ.子ども達が伝える伝統音楽活動
1.宇都宮ユース邦楽合奏団
2008年、宇都宮市民芸術祭実行委員会では、「次代を担う若手邦楽家の育成」を目的とし、30歳未満を対象とした「宇都宮ユース邦楽合奏団」を結成。和楽器全般の構成では栃木県内において初めての合奏団です。演奏技術の高さから、全国でも非常に注目されています。現在、音楽大学生及び卒業生、プロの演奏家として活躍している人総勢40名程で構成しています。演奏者の中には、各種全国コンクール等で日本一に輝いた者が多数在籍し、若手芸術家に贈られる宇都宮エスペール賞に輝いたものもおり、個人のソロリサイタル等を含め、幅広く精力的な活動をしています。
2.邦楽ゾリスデン
宇都宮ユース邦楽合奏団から派生した邦楽ゾリスデンは、吉澤延隆(箏・十七絃)、福田智久山(尺八)、本條秀慈郎(三味線)、前川智世(箏・三絃・十七絃)による古典曲から現代作品までをレパートリーとする邦楽アンサンブルグループです。 2010年の田母沢御用邸記念公園 秋の音楽祭(日光市)からアンサンブルとしての活動を本格的に開始しました。これまでに《東レパン・パシフィック・オープンテニストーナメント》歓迎演奏、千代田区東日本大震災復興特別コンサート、《蔵のまちコンサート》(さいたま市中央区)など全国的な公演活動を行っており、2016年2月に栃木県より『とちぎ未来大使』(和の継承)の任命を受け、その活動が益々注目されています。
栃木県内では、大谷地区で行われている文化事業《和の都 宇都宮アートフェスト》において津軽三味線奏者・吉田兄弟や華道家・假屋崎省吾氏のフラワーインスタレーションとの共演のほか、2015年からは箏、三絃、尺八によるアンサンブル形式 “ 三曲 ” からタイトルを取った邦楽と照明 ライティングによる舞台《SANKYOKU~若き名手・和の継承~》(企画制作 : 公益財団法人うつのみや文化創造財団)で佐野市、那須塩原市、 栃木市、日光市を巡回。2017年8月からは SANKYOKU 宇都宮公演を行っております。
3.学生邦楽フェスティバル
当初、多くの子供達が研鑽した発表の場を、私個人の演奏会の中で行っていましたが、お互いに聴き合う交流の場、子供達が伝える伝統音楽の場として実行委員会を立ち上げ、「国際音楽の日」記念事業、「学生邦楽フェスティバル」を開催しました。その後、(公財)うつのみや文化創造財団のご支援をいただき財団の事業として、また近年は、宇都宮共和大学・宇都宮短期大学の連携事業として発展し、2021年で第17回を迎えます。昨年はコロナ禍により、各学校の音源作成をしましたが、2021年は10月24日に宇都宮短期大学須賀友正記念ホールでの開催が決定しています。
一昨年の参加者は総勢200名。近年は会館の方の指示のもと、OB・OGを柱に学生自ら運営スタッフとして、演奏者として、活動の幅を広げています。皆で長年積み上げた成果だと思います。
(公財)うつのみや文化創造財団事業2018年度・2021年度
■まとめ
今回は子ども達の育成事業だけを取り上げてみました。全てが継続中であり、毎年箏(尺八)の体験指導数は年間延べ1万人を超えます。これらの事業は一人で成し得るものではなく、自身で指導・育成した多くの生徒達の協力あっての広がりです。 中でも石井小こと部から箏演奏家を目指し、東京藝術大学・大学院を卒業した前川智世さん。初代人間国宝、山本邦山先生に学び、尺八一筋、福田智久山さんは特に、大きな力になっています。一般事業では、文化庁助成事業からの発展事業など数多く携わっていますが、個人指導(箏・三弦)も行い、現在、3歳~90歳までと幅広い年齢層の方との関わりがあります。
80、90代の方は30~40年のお付き合いです。90代の方がつい先日、透析を始めましたが、「私はお箏に出会い、本当に幸せな人生でした」としみじみ話してくださいました。元教諭4人の一人、86歳の方は、古典曲「越後獅子」の三弦を弾き、一人で唄い、箏・尺八・三弦の三曲合奏の夢を見事に演奏会で披露しました。これぞ、生涯楽習の根源であると思います。
私も演奏家・指導者として、子供達と関わり、40年の年輪が今尚広がっています。常に今できる最高のものを提供したいと考え、今日まで研鑽してきました。そしてこれもまた、私の生涯学習音楽指導員として歩んできた人生そのものであり、自身の生涯楽習の成果でもあります。