活動事例

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【事例紹介】音楽祭のある町へ ~素人主催者5年間の歩みと課題~

地域音楽コーディネーター 足立区青少年対策地区委員
東京都足立区 鈴木奏子さん

■活動テーマ:音楽祭のある町へ ~素人主催者5年間の歩みと課題~
恒例のラスト全員合唱「ふるさと」
恒例のラスト全員合唱「ふるさと」
■日時:2015年~現在(5回開催)
■場所:足立区立加平小学校体育館、足立区立花保小学校体育館、足立区立東島根中学校体育館
■対象:地域の小中学生および地域住民

■活動内容:

1.活動を始めたきっかけ

私たちは行政の取り組みにより組織された地区委員会(※1)で、地域の子どもたちの健全育成のため、スポーツ大会や、地域活動への顕彰等を展開しています。 スポーツ大会には毎年多くの子どもたちが参加していますが、更に活動の幅を広げるために、異なる対象の企画を行いたいという思いがあり、音楽を通して地域の人々と子どもたちのふれあいを深め、地域の連帯意識の向上を目指す地域音楽祭を企画しました。

この地域は静かな住宅地で良い環境にありますが、子どもと地域がふれあう、外部にPRできるような祭りや行事がありません。 私たち委員はこの町を、いつか子どもたちが巣立ったとき、「私のふるさとではこんなことがあった」という思い出の1ページになるような音楽祭のある町にしたいと考えました。

※1 足立区青少年対策保塚地区委員会 会長 小川芙美子 委員数37名

2.音楽祭の内容

地域の中学校2校・小学校5校の吹奏楽部、金管バンド部、合唱部が演奏者として参加しました。
  • 演奏者 249名(児童・生徒・教諭)
  • 来客数 約900名スタッフ
  • 実行委員37名
  • 舞台セッティング35名(演奏者中学生)
  • 会場整備中学生ボランティア3名
単独で演奏できない小学校は、連携している中学校との合同演奏で参加いただいたところ中学生との演奏が刺激的だったようで、中学生になったら吹奏楽部に入りたい、という感想が多く聞かれました。

音楽祭ラストに演奏者・観客の全員が、吹奏楽部の演奏で「ふるさと」を歌うのは、5年間のうちに恒例となりました。

演奏者や楽器の入れ替え時間に、演奏の終わった生徒を数名舞台前に呼んでインタビューをするのも恒例となりました。質問と回答は事前に打ち合わせておきます。

3.企画から音楽祭開催までの流れ

(第5回開催スケジュール)
2018年5月委員総会にて音楽祭を提案し承認を得る
地域の小中学校に参加依頼
6~8月主たる担当委員でスケジュール等検討
9月第1回実行委員会にて役割分担、看板案内板、スケジュール確認
第1回学校代表者との会議にて、出演各校へ曲目や舞台セッティング表の提出を依頼
2019年1月出演各校から曲目や舞台セッティング表の回収
チラシ・ポスター、出演者記念品準備
2月第2回学校代表者との会議にて、演奏順決定によりプログラム作成
当日のタイムテーブル(案)、楽器搬送スケジュール(案)
プログラム・チラシを関係各所へ配布
当日のボランティア(自転車置き場、会場整備)募集
3月第2回実行委員会にて、学校との会議報告、担当部内打ち合わせ(※2)
当日のタイムテーブル、楽器搬送スケジュール決定
前日楽器搬入、会場セッティング
当日午前中リハーサル、本番終了後楽器を各学校へ返却
後日反省会

※2 役割分担の担当部内打ち合わせの時期がかなり遅いですが、毎年担当をあまり変えないことで慣れているため、このスケジュールでできています。

4.参加者の反応

(アンケート抜粋)
  • 「金管楽器を見たり演奏を聞く機会が身近にないので近所の人や小さな子どもにとっても、とても嬉しい会だと思います」
  • 「いろいろな学校がみんなと力を合わせてやっていて私も入りたいと思いました」
  • 「お互いの演奏に拍手を送り、演奏を聞く姿に感動しました」
  • 「小学生はいつもの3倍以上の人数での演奏、きっと演奏を楽しんだのではないでしょうか」
  • 「アットホームな演奏会ありがとうございました。地域で一つになってのこのようなイベントは、なかなか良いですね。合間合間でのインタビュー形式がなかなかGOODですね。少しの間の時間ですがダラダラとしがちなところ間がもっていいな~と思いました」
  • 「孫が出演しました。子どもたちの成長を見ることができました、この様な機会を多くして欲しいです」
  • 「地域で演奏会ができることはすばらしいことと思います」

5.学校側と地域の方々の反応

広報活動として、住区センターや町会掲示板等にポスターを掲示させていただき周知に努めた結果、主演者の家族だけでなく一般の地域住民の方も聞きに来て下さるようになりました。

5年間続けておりますと、毎年3月には音楽祭があるのが当たり前のようになってきます。私たち委員の中でもそうですし、部活の子どもたちや先生方の意識も変わってきたと感じ、私たちの地域に、地域の音楽祭が少しだけ根付いたように思います。

ただし一昨年、昨年はコロナ禍により中止、今年度も開催できる見込みは立っていません。

6.課題

(1)これまでの課題

立ち上げ当初、委員会の中で、地域音楽祭を企画運営した経験のある者はいませんでした。音楽祭をつくりたい、という熱意はあるものの何から手を付けたらよいかわからず、まずは地域の小中学校に参加の依頼をしました。

しかし学校運営計画がすでに決まっている時期でもあり、私たちの準備不足もあり、初年度は中学校1校・小学校2校の参加にとどまりました。司会進行、楽器の入れ替え、会場設営もすべて先生方がやってくださいました。

主催者である私たち委員は会場で何をしてよいのかわからず、少しでも役に立とうと楽器運搬を手伝おうとしますが、扱い方がわからないため、触らなくてよい、と言われてしまうありさまでした。

この失敗から、当たり前のことですが、自分たちで音楽祭を運営することが課題であると思いました。翌年からは、年度初めに学校に参加依頼をすること、参加校の先生方としっかり打ち合わせをすること、 ただし楽器の入れ替え・舞台セッティングは慣れている先生や中学生にお願いして私たちは全体の進行と会場設営に徹することで、中学校2校・小学校5校の参加が実現しました。

回を重ねるごとに、私たち委員や、出演者・先生方も慣れてきて、準備段階のスケジュール管理、当日の進行、舞台・会場設営は洗練されていきました。

(2)これからの課題

私の個人的な思いではありますが、「音楽祭のある町」として地域の人々と子どもたちのふれあいを深め、地域の連帯意識の向上を目指して始めた音楽祭ですから、普段音楽になじみの少ない子どもたちや地域住民の方にも多く参加していただきたいと考えます。

そこでこれからは観客がただ座って聴くだけでなく、「聴いて・見て・触れて・楽しめる」ような観客参加型、体験型の音楽祭を目指したいと思っています。子どもたちのふるさとの思い出作りを、さらに充実した音楽祭で実現することがこれからの課題です。

7.今後の抱負

音楽文化創造の地域音楽コーディネーター講座を受講した際、教育系専攻の大学生も一緒に受講していて、地域音楽の振興に興味を持っている大学生がいることを実感しました。

また、私たちの区には大学が6校あり、音楽学部や教育学部、こども心理学部といった学部の学生が通っている人材の宝庫です。

これから目指したい観客参加型、体験型音楽祭の内容は、まだ具体的になってはいませんが、将来音楽や教育の分野で活躍を期待される大学生の協力を得られたら、何か新しくて面白い企画ができるのではないかと考えています。

地域の小中学生はもちろん、地域住民の方々や大学生など、多くの方に参加・協力していただき、みんなの地域音楽祭を作っていくことが、私の今後の抱負です。



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