活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】YOUPI SAX‼ 大人になっても楽しめる時間を!

地域音楽コーディネータ― 広島県福山市 河本由希子さん

■活動テーマ:YOUPI SAX‼ 大人になっても楽しめる時間を!
YOUPI SAX‼ 大人になっても楽しめる時間を!
YOUPI SAX‼ 大人になっても楽しめる時間を!
■日時:2019年~現在
■場所:スガナミ楽器 神辺センター
福山市明王台公民館
■対象:30代~40代 計8名

■活動内容

1.活動を始めた背景

「楽器が演奏できたらいいな」と憧れたことはありませんか? 私は中学生の頃、部活動で吹奏楽部に所属し管楽器を演奏しておりました。当時は自分の楽器を所有せずに学校の楽器を使用していたため、卒業後は管楽器とは無縁の日々を過ごしていました。

演奏を聴く機会はあっても、自分が楽器を演奏する姿を想像したこともなく、一人の聴衆者として演奏者達の生演奏している姿を見ては「楽しそうだなぁ」と過去を思い出し、時は過ぎ去っていきました。

その様な中、私が初めてサックスを吹くご縁をいただいたのは、娘たち(サックスを吹いていました)が所属していた吹奏楽部でサックス指導をされている講師より「お母様もサックスを吹いてみませんか?」とのお声掛けがあったのがきっかけです。 ここでは「大人のサックス」から「YOUPI SAX」設立までの流れとその内容をご紹介いたします。

A.大人のサックス

(1)成り立ち

まず、一緒に活動するメンバーを集める事ですが、楽器の問題もあります。楽器は講師の方がレッスンの時にレンタルして下さると提案してくれたので、私は募集方法を考えてみました。娘たちが所属していた吹奏楽部には吹奏楽部保護者会という組織があります。ちょうど総会が開催されるタイミングだったのでお知らせしてみました。

「初心者大歓迎・未経験者大歓迎・楽器が無くても大丈夫です」をキャッチコピーにしました。結果的に7名の保護者が申し出てくださいました。その方々は
  1. 学生の時にサックスを演奏した経験がある
  2. 自分の子どもがサックスを演奏している姿を見て楽器に魅力を感じている
  3. 憧れのサックスを吹いてみたかったなど
お声掛けしてみて思ったことは、大人になっても演奏したい気持ちは皆同じだったのです。しかし一人で始めるにはなかなか勇気がいることです。「自分にできるか?」という不安と共に「楽器を買ってまで習いに行けない環境である」ことも確かです。

私達には手軽で始めやすい環境を作った事でスタートを切ることができました。

(2)内容

レッスン日

指導者が開催する日を設定

楽器

楽器所有者は持参していただきます。レンタル希望者は、楽器数と参加者数をその時々の状況に合わせ、参加者数が多い場合は交代で吹きます。

レッスン

最初は楽器を組み立てる事や、片付け方、扱い方、構え方などを習いました。初めて楽器に息を入れる時は皆さん緊張の面持ちでしたが、楽器が反応し音が出た時の瞬間の喜びは大興奮でした。その瞬間を皆で共有できた事がこの会の最初の喜びです。加えてそれぞれが感動している姿を見た時「この会を始める事ができて良かった」と心底うれしかったです。

少し慣れるとロングトーン(*1)や指使いをご指導いただきました。実際に吹いてみると口元がすぐに疲れはじめ、マウスピースをくわえ続けることが困難でした。期待するような音色はなかなか出ないし、キーの上に指をのせることや、指使いも慣れていないので、ワンフレーズを吹くことも精一杯でした。

私達のこの経験から毎日部活で練習している部員の活動エネルギーに感服し、長時間演奏できる体力やその技術の凄さに驚きました。部員たちが一生懸命部活に取り組んでいる楽器の魅力を知ることができ、今まで以上に「この吹奏楽部を支えていこう」と保護者としても感じるものがありました。

数カ月活動し、少しずつ楽器を演奏する手応えを感じ始めました。すっかり魅力にはまった方の中にはご自身の楽器を購入する方もいました。ところが、やっと軌道に乗り始めたころ、新型コロナウイルスが猛威を振るい始め、緊急事態宣言も発出され、感染拡大防止のために開催を見送ることを繰り返すようになりました。

楽器があるのに音を出せる機会がなくなってしまったため、どうやったら再開できるか模索しているうちに、娘たちは吹奏楽部を卒部する時期を迎えてしまい、ご指導くださったサックス講師とのご縁も切れてしまいました。残念ながら、「大人のサックス」はいったん解散せざるを得ませんでした。

*1)ロングトーン:一つの音をできるだけ長く伸ばして吹く

  

B.新グループ「YOUPI SAX」

「大人のサックス」解散後、「またあの楽しい時間を持ちたい!」という気持ちが湧きあがり一念発起し「YOUPI SAX」というグループを立ち上げました。

設立にあたり知人よりサックス講師経験者を紹介してもらい、講師に私たちの趣旨を理解してもらい、活動が始まりました。
*YOUPI(ユピ)とはフランス語で『わーい!』と喜びを表す言葉です。

(1)活動目標

いつか子育ての役割を終え自分らしく過ごせる時間ができた時でも、ずっと繋がってきた仲間とサックスが吹ける様に、将来を楽しみにしながらゆったりと活動をする事です。

モットーは「うれしい!楽しい!!やってみよう!!!」

(2)メンバー構成

全員同じ部活の所属の親で、アルトサックス所有者4名で構成されています。「YOUPI SAX」はどこにも所属していないフリーな団体です。メンバーとの諸連絡はSNSを通じて行っています。

(3)具体的な内容

レッスンは30分~60分程度。
  1. まずは音を出してみる事、少しでも運指に慣れる
  2. マウスピースとリード、リガチャー(*2)の組み立て
  3. 楽器の構え方と音作りに欠かせないアンブシュア(*3)の基礎練習
  4. ロングトーンと安定した音色づくり
    「ソラシドレミファソ」の運指の確認をしたら4拍ロングトーンや6拍ロングトーン、更には8拍ロングトーン等
  5. 美しいタンギング(*4)作り
    ある曲のワンフレーズを例題にして各自チャレンジ
    世の中にはサックスが奏でる様々なジャンルの曲がありますが、いずれは自分のレパートリーを多く持てることを目指します。
*2)リガチャー:マウスピースにリードを固定する部品で金属製でできている
*3)アンブシュア:口の形や口の周りの筋肉の使い方。これによって音程や音色が変わる
*4)タンギング:音楽表現力を左右する舌の扱い方

2.参加者の反応

「マイ楽器」を持ち寄り、ケースを開けて楽器を出すところから楽しそうです。特に最初の音は、ちょっと緊張気味で「鳴るかな?」という不安とワクワク感が入り混じった様子です。先に記しました様にメンバー全員同じ部活所属の保護者ですので話題は尽きません。

それぞれの年齢に相違はありますが、吹奏楽部の活動や学年ごとの行事等、共通の話題が多いので、とても明るく和気あいあいとした雰囲気です。

また楽器を吹けば、自分自身に没頭できる時間となり、一生懸命美しい音色を求めて音を出しています。とても貴重な時間を過ごしていると思います。

3.課題とその対策

今の大きな課題はコロナ対応です。サックスを吹いたときの飛沫については検証結果で明らかになっている(ヤマハホームページ)ですが、そもそも限られた空間で音が漏れないように密閉された空間に集まれない状況や、会場が貸し出し禁止期間になるなど、音出しできる環境にありません。

またメンバーは日常仕事に従事しており、職場からの制限もあるため、当面の間は活動自粛となっています。

私たちの活動は無期限ですので、安心・安全に集まれるようになってから気持ちよく再開しようと思っています。

●ヤマハ | 管楽器・教育楽器の飛沫可視化実験
https://jp.yamaha.com/products/contents/winds/visualization_experiment/

4.今後の抱負

再開できたら各自ケースの中で出番を待っているサックスを出して、「目一杯息を吹き込もう!」からのスタートになると思います。

私には将来に向かって小さな夢があります。メンバーの子どもたちもそれぞれに「マイ楽器」を持っているので、親子参加型のプチセッション会をしてみたいと思っております。もし子どもたちが成人したらお酒を飲みながらの勝手ライブだってできるかもしれません。サックスが吹ける人も、サックスを吹いてみたい人も、サックスではない楽器の人でも、音楽が大好きな仲間と音楽と共に豊かな時間を共有し続けたいと願っています。



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