活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】音楽で人生に彩を

(2022年09月09日公開)

地域音楽コーディネーター フルーティスト
東京都 関寛子さん

■活動テーマ:音楽で人生に彩を
オカリナアンサンブル&ギター
オカリナアンサンブル&ギター
■活動開始年:2009年夏~
■場所:Space&Cafeポレポレ坐(東中野) 味工房「夢魚」(練馬)All in Fun(大塚)他
■対象:10代~80代のフルート、リコーダー、オカリナ、バイオリン、ギター愛好家 計30名程

■活動内容

1.活動を始めたきっかけ

日本では欧米と違い、まだまだ人生の中でアート(芸術)に触れる機会と時間を持つことが環境的に限られていると感じていました。その中で音楽を身近に享受できる環境を作り、音楽が人生に彩を与え、時に癒しともなるかけがえのない存在となるような人を増やしていきたいと思いました。

先ず地域の音楽愛好家が誰でも気軽に発表できる場と機会を作る事でした。最初は小規模にスタジオなどを借りて活動を始めました。2009年からは規模を大きくし、販売店やスペースを貸し切り、時にドラムレスのジャズバンドを入れたり、ジャズギターを入れたり普段皆が経験することができない環境を作りました。

この活動の場に食事が取れる事も重要でした。人は一緒に食事する時、打ち解けやすく、また食事は舌で味わうという感性を使います。音楽イベントで縁になり、たまたま隣に座った人と音楽を通じて知り合いになる。それは新しい世界の開拓でもあり刺激であり、この事は音楽をする感性に大いな影響を与えると考えました。

2.具体的な活動

(1)出演者

小学生~大学生、社会人、主婦、退職された方、高齢者などさまざまです。私の生徒が中心となりますが、出演経験のある生徒が楽器を学んでいる友達を誘ったり、チラシで告知し一般募集することにより、「普段自分の演奏したことが無い音楽ジャンルを勉強したい」「他の楽器とアンサンブルしてみたい」というアマチュア音楽家も多く参加してくれました。

(2)イベント内容

開演時間は回を重ねるごとに少しずつ変わり、最終的に11時30分、終了時間は5時半過ぎになりました。目的は自分の好きな曲を自由に演奏してもらう会なので、参加者の皆さんは主体的に参加してくださいます。演奏を始める前には、まず一言話しその後曲目の紹介に続き演奏となります。回を重ねるごとに話すことに慣れ、このトークにもそれぞれ参加者の個性が感じられ楽しみの一つでした。

編成は、参加者が学んで知る楽器(フルート、オカリナ、リコーダー、バイオリン、ハーモニカなど)にピアノあるいはギターとデュオで演奏するのを基本とします。またここに他の楽器が入ってトリオにしたり、同じ楽器同士のアンサンブルやツインギター、朗読に楽器演奏が加わり変化にとんだイベントとなります。



3.イベント開催までのプロセス(食事ができる会場を利用する場合)

<半年前>

Step1-企画と日程候補日

イベント開催にあたり、まず企画案とタイムテーブルを作成します。コンセプトは基本的に同じなのでイベントの枠組みは大幅に変えず予算は前回の収支決算を基に作りました。この時期に行う事はサポートをしていただくギタリストのスケジュールを押さえることです。自分のスケジュールと調整し候補日をいくつか出します。

Step2-会場予約~日程決定

会場側にコンタクトを取り打合せをします。初回の時には会場へ見学に行き(フライヤーなども持参)、担当者の方に企画書を基に説明をし、会場側からは利用にあたっての説明を聞きイベントが可能かを判断します。ポイントは当日使用する備品や会場設備についてなども確認し、会場で利用できるもの、こちらが準備すべきものを明確に仕分けします。その上で日程を決定します。

会場の利用時間については、おおよそを具体的に伝え延長や利用時間の変更の可能性、交渉の余地があるのかも確認しておきます。

Step3-食事の手配

日程が確定したら食事についての手配をします。手配先には事前に出向き候補日を伝え、今回も頼むことが可能かどうか聞いておきます。当日会場で用意できるドリンク類もこの時、具体的に数を決め注文します。

<4,5か月前>

Step4-告知、参加者募集

チラシを作り参加者が見込まれる方々に告知をします。声をかける時のチラシ(フライヤー)は告知時に一緒に渡しますが、口コミで興味のありそうな人に渡してもらうための分も渡していました。基本参加者からの口コミで観客は集めていました。告知後大体2週間くらいで参加予定者、演奏曲目が出揃います。



<2か月前>

Step5-プログラム案決定

2か月前までには大体のプログラムが決定します。

<1か月前>

Step6-プログラム制作

プログラムが確定し、プログラムの制作に入ります。制作後、参加者の方々、サポートの演奏者、会場へ配布します。

<当日>

会場セッティング後、当日のリハーサルが必要な人には開演前に集まっていただき小一時間リハーサルをしました。リハーサルが無い人も会場に早めに来ていただきそれぞれサウンドチェックをしました。

演奏は音楽ジャンルや編成に囚われず、クラシック、ジャズ、ポピュラーと各自の興味のある曲を演奏していただきました。思い入れのある曲は自ずと音にそれらが表れます。回を重ねる毎に他の演奏者のさまざまな演奏を聴くことにより刺激を受け、それまで知らなかったジャンル、編成の曲に挑戦される姿が多くみられました。

イベント後、参加者の方々には必ずアンケートを書いていただきそれをもとに、より適切な会場を検討しました。最終的には東中野にある「Space&Cafeポレポレ坐」という所に落ち着きました。

出演者と聴衆の反応は
  • 「達成感を感じられる」
  • 「日常のことを忘れて音楽に没頭することができる」
  • 「知らない音楽ジャンルに興味が湧いて演奏してみたくなった」
  • 「演奏法についてとても勉強になる」
  • 「前回お会いした人に再会できて良かった」
などです。

4.課題と抱負

(1)課題

上達のスピードは人それぞれですが「自分は上達していないのでは?」と自分と他の方を表面的に比べる人もいます。人は何故音楽を演奏するのか、音楽は人間にとってどのような意味、効果があるのかなどを日頃から話しています。演奏する、楽しむということ以外の視点からも音楽に触れあっている意義を感じていただけたらと思っています。

アンサンブル楽譜についてですが(既成の楽譜ではなく)ほとんど参加者が演奏したい曲を希望の編成が叶う様にアレンジしているので大変です。しかし、この事がイベントの内容を高めることに直結するので、いかにニーズに合った楽譜を早く作るかということは大変重要です。そしてピアノ伴奏も基本的に私が担当しているので、その練習時間を捻出しています。しかしこれは自分の今後の力となることなので、前向きに取り組んでいます。

(2)抱負

2020年3月からコロナ禍により学校の休校と合わせて音楽教室は一斉休講になり、これまでの音楽活動も先行きが不透明になりました。その後の緊急事態宣言時は外に出られない状況の中、この時間を練習に有意義に使って「もれなく上手くなってしまいましょう」と呼びかけ、解除明けすぐに合わせてオンラインワークショップを企画しました。

当日までのレッスンは全てオンラインで行いました。それまでコンピューターやタブレットなどに触れてこなかった方々も使い方を覚え音楽的にはとても新鮮で充実した日々でした。その後、さらに一年をかけオンラインに慣れていただくために演奏を録画して動画にしたものを見ていただいたりさまざまな試みをしました。

翌年2021年から、各ご自宅からリアルで演奏するのと、録画での参加という2通りの方法での参加のzoomを使ったオンラインワークショップを始めました。リアルにも録画にもそれぞれ違う学び、楽しみがあり、またzoomならではのワークショップ内でのテーマを決めた座談会も好評でした。2021年、2022年と年2回ずつ開催し、現在参加者の方々からは、まずまずの評価をいただいています。

コロナ禍ですが、この時代の流れに乗って今だからこそ得ることのできる学びを貪欲に探していきたいと思っています。そしてコロナが収束したあかつきにはコロナ禍以前の面白いところと、コロナ禍に発見したさまざまなアイデアに新たな何かを加えて、さらに面白い企画を考えて行きたいと思っています。

(2022年9月9日公開)


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