活動事例

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【事例紹介】ピアノの楽しみ方は人それぞれ。弾きたい曲を自分の好みのスタイルで弾いてみよう!

地域音楽コーディネーター ピアノ指導者
岐阜市 山崎友子さん

■活動テーマ:「ピアノの楽しみ方は人それぞれ。弾きたい曲を自分の好みのスタイルで弾いてみよう!」
発表会参加者集合写真
発表会参加者集合写真
■活動開始年:2000年~現在
■場所:M’s Live Hall、自宅ほか
■対象:30代~70代後半(年齢制限はなし)

■活動内容

1.活動を始めたきっかけ

今、日本はモノの豊かさを求めた高度経済成長時代から心の豊かさと生きがいを求める時代へと移り変わっています。また人生100年時代を迎え、人々は生涯いつでもどこでも自由に学べる社会になりました。その中で音楽の領域では大人になってから趣味で楽器を習ってみたいという方々が増えています。この様な状況の中、私が住んでいる地域でも自宅以外で大人を受け入れる教室が開講しており「大人のポピュラーピアノレッスン」を指導しています。

大人は子どもと違い、自分から「習いたい」という強い意志を持って通われます。夢や目標を持ち、たとえ歩みはマイペースであっても、そこに向かって地道に積み上げて行かれる方が多いと感じます。目標を達成できた時、また目標以上の力を発揮できた時の生徒の嬉しそうな姿を見られることは、指導者として何よりも嬉しい瞬間です。達成したことで、さらに次の目標を見つけてチャレンジされる姿勢には元気をいただいています。

2.指導事例

現在のレッスン対象の年代は30代~70代の男女でピアノ経験有無や目的が様々です。レッスンは1回30分/月3回、または1回45分/月2回です。(M’s Musicの場合)

最初は体験レッスンを受講していただき、相手の楽器経験の有無、経験者についてはレベル、そして希望や目標などを引き出すようカウンセリングします。最初にここを把握している事が指導を進める上で大きなポイントとなります。レベル、ジャンル、演奏スタイルの希望も様々ですが、可能な限り柔軟に対応できる様に考えておきます。ここでは5つのレッスン事例をご紹介いたします。

「事例1」50代女性…ピアノ未経験者。子育てがひと段落し自分の趣味を持ちたいとキーボードを購入。

昔から憧れていたピアノをやっと始められる環境になり、直ぐにキーボードを購入されてレッスンに来られました。毎回持参されたキーボードのセッティングと曲に合う音色を選択しながら指導しました。今のキーボードは初心者にもやさしい便利な機能が多く搭載されており、シンプルな演奏でもとても華やかな演奏を楽しむことが可能です。思い切って購入された楽器をレッスンで有効活用する事で、生徒自身が自分の楽器に愛着が湧いていく様子でした。もちろんレッスン室にはピアノがあるので、時にはピアノの鍵盤に触れて、広がるピアノの音を楽しむこともしています。

〇生徒からの声

「私は3年ほど前から、山崎先生のレッスンを受けています。ピアノは初心者ですが、教材から学ぶレッスンではなく、好きな曲の楽譜を持ち込んで教わることができるので、下手でも達成感があります。譜読みやリズムに苦戦しているときは、弾きやすくなるようアレンジしもらえたり、曲の雰囲気がつかめないときは、実際に演奏してもらえたりするので、『この曲を弾きたい!』という意欲が復活します。私の場合は、年齢と共に上達も逆走気味ですが、山崎先生のレッスンなら色々な楽しみ方を学べそうなので、本当に感謝しています。音楽が大好きなので、先生のように演奏を楽しんで、自分の癒しにしたいです」

「事例2」60代男性…ギター演奏が得意で自身のライブでピアノ弾き語りをするのが目標

ギター経験者なのでコードの知識があり、ピアノの楽譜を一から読むのではなく、CDなどを聴き演奏を真似て、コードネームを見ながら自由に演奏することを目指しての指導法を選択しました。楽譜を持参されることもありましたが、あくまで参考程度とし好きなCDの演奏を聴きながら、その演奏スタイルに近づける過程を繰り返しながら完成させていきました。レッスン中に音源を聴いて「弾いてください」とお願いされることもあり、私が演奏する手元を動画に撮って、それを見て練習されるということが多々ありました。

とても練習熱心な生徒で、次のレッスンには直ぐに新しい曲を持ってきて、始めて3か月程で練習曲は10曲を超えていました。ご自身で「これならようやく人前で披露してもいいかな」と思えたタイミングで、念願のライブでギターとピアノの弾き語りを披露することになり、そのライブには私も応援に駆けつけ、演奏を堪能させていただきました。望みを叶えて楽しんで演奏している姿は、本当に生き生きとしていました。

〇生徒からの声

「楽譜を一から読んで弾くピアノレッスンだったら、自分はピアノをあきらめていたと思います。先生には、いつも勝手なお願いを言っていましたが、自分の要望に寄り添って教えていただき、楽しんでピアノに向かっています。週末にたっぷりとピアノに向かう時間が楽しみで、気づくと何時間も経っています。こんなにピアノが楽しいと思わなかったし、自分でこんなに弾けるようになった事は夢のようです。もっともっとレパートリーを増やし、いつか本物のアコースティックピアノを購入したいと思います」

「事例3」70代女性…ピアノの経験はかなりのレベル。クラシック以外の音楽ジャンルにチャレンジする事が目標

子供の頃から結婚されるまでピアノを弾いていた経験があり、上級レベルの曲を弾きこなす力を持っています。クラシック以外のジャンルの曲が弾きたいとの要望なので、まず演奏スタイル、ビート感、タッチの相違を体感してもらう事から始めました。JAZZに最初挑戦した時はリズムの乗り方にひと苦労されていましたが、基礎があるのでコツが掴めると、あとはスムーズにクールに弾けるように導いてあげました。発表会では、ピアノ、ドラム、ウッドベースというピアノトリオの編成で、JAZZライブさながらの演奏を披露されました。

〇生徒からの声

「ピアノ以外の楽器と一緒に演奏するのがこんなに楽しいとは思わず、とても良い経験になりました。ポピュラー音楽やJAZZを勉強したことで、あらためてクラシックをもう一度勉強し直したいという気持ちも湧いてきました」

「事例4」30代女性…クラシックよりJPOPなど、好きな音楽を自由に選んで 演奏する事が目標。

子供のころに経験があり、久しぶりに練習を再開された方です。レッスンで会話する中、演奏したい曲が多く見つかり積極的にレッスンに臨んでいました。発表会でバンド形式での演奏を経験されたことがきっかけとなり、その楽しさに目覚めメンバーを募集していたバンドに参加しチャレンジされました。そのためレッスンではバンドのレパートリー曲や弾き語りを積極的にチャレンジします。バンドスコアを元にレッスンする中で、「楽譜通りではなく、その曲にあったフレーズを自由に弾いてみる」ということにも触れ、自分のテクニックで自由に弾く楽しさを感じてもらえたようです。「音楽が好き」という思いがとても感じられ、楽しいコミュニケーションが取れています。

〇生徒からの声

「先生のお人柄が良く、いつも温かく迎えてくれるので、リラックスしてレッスンが受けられました」
「先生が曲のイメージを大切にしながらも、私が弾きやすい様に対応してくださるので楽譜通りに弾こうと緊張するのではなく、楽しむ気持ちを持って取り組めるところがよいです」
「先生のライブでのバンド演奏を聴くのも好きで、勉強になります」
「発表会では、憧れの弾き語りに挑戦できて嬉しかったです」
「バックバンドの先生方のサポートが心強く、バンドの良さを味わうこともできました。また出演したいと思います」

「事例5」60代女性…元鍵盤楽器講師。今は趣味で演奏する程度。学生時代バンドでボーカル担当をしていた経験があり、歌うのが好きで弾き語りのアレンジ、ピアノ演奏も入れて自作CDを作るのが目標

講師経験があるので、知識や演奏のスキルについては問題ないため、主にアレンジと声とのバランスなどトータルでの音楽作りについてレッスンしました。自分のアイデアを持っておりレッスン中の私との会話から多くの発想が生まれ、とても活気に満ちた時間となりました。歌は私の専門外ですが、実際に聴きながら生徒の歌声を生かすピアノ演奏とフレーズに合った音域などを試しながら完成させていきました。何曲か演奏したい曲が決まり、目標だったCD制作をすることになりました。

M’s musicでは、簡単な録音なども対応するシステムがあり、スタジオを借りレコーディングを行いました。何度もレコーディングと編集を行いながら、ようやく大好きな曲を集めた7曲入りの初のオリジナルCDが完成しました。そして今、もう一度CD制作にチャレンジしたい! と制作意欲が湧いてきたようで、新たな選曲に取り掛かっています。一緒にCD制作に携わってみて「音が形になって残る」ということは素敵なことだと感じた体験でした。


〇生徒からの声

「私はヤマハのJAZZ PIANOレッスンで山崎先生にレッスンを受けていたご縁で、自分の希望を伝えてCD制作ができるチャンスをいただきました。レッスンというよりはアドバイスをいただきながら一緒に制作したような感じでしょうか。『こうしたい、ああしたい』と意見を述べ、先生にアドバイスをいただきました。自分が大切にしている音楽を記録として残し、自分のCDが作れた事は夢のようです。先生には失礼かと思いますが、音楽仲間として素敵なセンスでピアノも弾いていただき、自分でも納得のいくものができたと思っています。今後も新しいCDを作っていきたいと考え中です」


3.ライブコンサート

発表会は毎年秋に開催します。内容は生徒の希望を尊重しソロ、連弾、弾き語り、バンドなどいろいろな編成で構成します。ピアノは普段一人で演奏する事が多い楽器ですが、この機会に他の人とのアンサンブルを経験する場として、バンドを組んで演奏することを提案しています。例えばピアノの生徒と、講師(ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム)がサポートメンバーに入りスペシャルバンドとして演奏します。この事は将来バンドを組みたいが今すぐは無理、という生徒にとっては発表会で体験できることは大きな魅力です。

講師は幅広い音楽ジャンル、レベルでのサポートを要求されます。知らない曲や触れることのないジャンルを演奏する機会を与えられ、毎年勉強になるイベントとなっています。また何より生徒と一緒にステージに上がれることは素敵な思い出となりました。

生徒には長く続けているシニア世代もいます。当日思うように演奏できず、何度も弾き直したりする事もありますが、他の生徒や聴衆が温かく拍手や声援を送り、会場が演奏者と聴衆で一体となります。その中での演奏の達成感が「今後も続けて頑張ろう」という気持ちに繋がっているように思います。

中には「人前での演奏は乗り気じゃない」、「自分の思うように演奏できれば十分」と言って、発表会に出ない方もいますが、強制はせず、その方の希望する関わり方で楽しんでもらっています。出演しないけれど、みんなの演奏は聴きたいと言って来場される方もいます。それが刺激となり「来年は参加してみようかな」と気持ちが変わる方もいます。自分のバンドを組んでいる方は、バンドメンバーにも賛助出演してもらい、ライブと同じように演奏してもらうこともあります。これは自分のバンドを知ってもらうきっかけになり、次回のライブに足を運んでもらえる良い広報宣伝の場になっています。

〇参加者たちの感想

  • 「ピアノでは、ほとんど一人で演奏することが多いので、他の楽器と一緒に弾くのは緊張したが、一人では出せない音を体験する事ができ、思った以上に楽しかった」
  • 「バンドの経験もあったので、その感覚を思い出すようだった」
  • 「他の人と息を合わせて弾くのが難しいと思っていたが、先生方のサポートで安心して演奏することができ貴重な体験でした」
  • 「大人になって、人前で演奏するなんて思いもしなかったが、とても良い経験でくせになりそうです」
  • 「他の人のかっこいい演奏を聴いて刺激になった。来年は自分もバンドと一緒に演奏をしてみたい」
  • など。


観客は演奏者の家族や友達が中心です。以前通っていた生徒(幼稚園の子どもを持つ母親)が発表会でステージに立たれ、それを見た子どもが「普段は怒ってばっかりいるお母さんだけど、今日はかっこよかった」と話してくれて、会場がとても和やかな雰囲気に包まれたこともありました。普段とは違った家族の頑張る姿は、他の方にも刺激となり、「来年は何を弾こうか」などと話されている方もいます。終了後は自由参加で生徒と講師での打ち上げをします。楽器の枠を超えて音楽の話で盛り上がり、「コラボしてみようか」など新しい出会いのきっかけになることもあるようです。



4.大人の指導にあたっての留意点

(1)個の把握

大人は子どもと違い習い始める背景が様々です。それぞれのバックグランドやどのようなことを希望しているのかを良く見極めながら始める事が肝要です。ピアノのレッスンに来るのだから「弾けるようになりたい」というのは当然ですが、初心者に対しては子どものレッスンの様に基礎から時間をかけて指導するよりは、早く満足感を感じられるような指導がポイントです。経験者には弾きにくそうな箇所を的確に見つけてそこに時間をかけ「弾けるようになってきた」という実感を早く持たせ、「もっと練習したら、もっと弾けるようになるのかも!」という次への意欲に繋げます。

長年多くの生徒と関わってきた経験から、色々な指導法とスタイルを培ってきました。教える側は私一人でも、レッスンを受ける生徒は十人十色です。教える側は、まずはニュートラルな位置で生徒に接し、そこから一人ひとりに合った指導を進めて行く事を常に考え、大切にしています。

(2)コミュニケーション

年齢層も幅広いので対応も様々です。特に目上の方には人生の先輩として、敬語で話すように気を付けています。中には気軽な言葉で会話される生徒もいますが、言葉遣いで生徒との距離が変わってしまうことなく、楽しい雰囲気作りを心がけ、程よい距離感でレッスンします。技術的な指導だけではなく、コミュニケーションをしっかり取り、人として気持ちを話してもらえるような会話や雰囲気も大切にします。

(3)音楽家として

指導者である前に音楽家として生徒の様々な希望に対応できる様、幅広い音楽知識と見識を持つ必要があると感じます。音楽的なスキルはもちろんですが、時には生徒から知らないアーティストや曲について教えていただいたり、聴いてみたりして勉強する事もあります。その曲の思い出エピソードを聞き、会話が広がります。指導者だからといって上から目線ではなく音楽仲間として同じ立場に立つことも忘れてはいけません。

5.抱負

今後も大人のピアノ指導に前向きに取り組みたいと考えています。そのためには、自己研鑽を怠らず興味のあるセミナーなども、可能な限り積極的に参加してみたいと思っています。今回の地域音楽コーディネーター講座も、レッスンに直接関係ないものかとは思いましたが、地域や人との関わり方、企画立案の作成ポイント、そして多くの方の活動の様子を知ることができ、受講して良かったと感じています。

今、現在のレッスン以外に考えているのは「鍵盤未経験のシニア限定のレッスン」の開設です。楽器を所有していなくても、その場で鍵盤に触れ、音楽を楽しみ豊かなひとときを過ごしていただく事が目的です。身近なシニアに聞いてみるとピアノに対する憧れは持っている方が多いのです。しかし「弾けるわけない」「自分達の様な年齢にはピアノなんて遠い存在」「習いに行くなんて考えたこともない」「どこで教えてくれるのかわからない」という声を聞きます。それならシニアに合う告知内容(ピアノは遠い存在ではなく、もっと気軽に触れても良いと思ってもらう)と方法を模索中です。元気なシニアの方が多いこの頃、その方の人生の楽しみと生きがいが持てるようなレッスンを提供する事が私のライフワークの一つです。

音楽に触れることは、国内外のいかなる環境や年齢、経験の有無によって制限されるものではなく、誰にでも平等に開かれた世界であるべきだと思います。その世界に少しでも携わる者として、自分自身も演奏する機会を持ち続け、自分の「楽しみ」としても音楽と関わり続けて行きます。

●M’sMUSIC SCHOOL.STUDIO & LIVEHALL
https://ms-music.jp/

(2022年10月4日公開)

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