活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】人間の可能性を引き出そう

地域音楽コーディネーター
VMCグローバルジャパン・ドラムサークルファシリテーター研修所 代表理事
VMCグローバル認定トレーナー
松山市 横田友子さん

■活動テーマ:人間の可能性を引き出そう
~世界中のトップ講師によるドラムサークルのオンライン三昧!
「オンライン万歳!!」~
オンライン万歳!!
オンライン万歳!!
■日時:2022年5月1日(日)9:00-18:30
■場所:Zoomによるライブ参加及びアーカイブ動画配信(2022年5月25日から7月30日まで)
■主催:一般社団法人VMCグローバルジャパン

*VMCとは
Village Music Circles の略で、ドラムサークルの現代基礎を築いたアーサー・ハルが創設したカンパニーの名称です。VMCグローバルジャパンは、アーサー・ハル自らが理事として創設に関わり、彼が開発したティーチング理論「VMCプロトコル」を用い、ドラムサークル・ファシリテーター養成を日本語で行う日本唯一の研修所です。(VMC グローバルジャパン https://www.vmcglobaljp.com/drumcircle より)

■対象:総勢65名
■参加費(税込):一般 11,000円、学生 4,000円 ※当法人会員割引あり
(詳細―フレンズ会員9,000円、ベーシック以上の会員:7,500円、学生会員:3,000円)

■活動内容

1.ドラムサークル(DC)とは

参加者が輪になりパーカッションを使って、即興的にアンサンブルを作っていくコミュニケーション・リズムイベントです。そこには年齢、音楽の経験、性別などは関係ありません。参加者全員で一体感を感じながら楽しい時間を共有していきます。

現代DCの基礎を築いたアーサー・ハル(*1)は、50年以上前、DCが一体感による楽しい時間の共有に止まらず、協調性の醸成、エンパワーメント、療法的アプローチによる健康増進、ストレス発散など、学校教育現場や医療福祉現場など、さまざまな対象者に合わせたDCを展開するためのDCファシリテーターというガイド役を考えだしました。それによりファシリテーターが存在するDCでは、誰もが安心安全にリズムを通して楽しむことができるようになりました。

https://www.vmcglobaljp.com/drumcircleより抜粋)

*1)アーサー・ハル:VMCグローバル創設者、VMCグローバルジャパン理事。アメリカ・サンタクルーズ在住

2.ファシリテーターとは

リズムによるコミュニティづくりの情熱と、グループを導きファシリテートするスキルとを統合できる訓練された専門家。大きな役目としては

  1. 参加者が経験の有無にかかわらず音楽、心おきなくリズムの表現できる環境を作ること。
  2. ドラムやパーカッションを通じて本来ひとりひとりに備わったリズミカル・スピリットを表現することの素晴らしさを体験できる様にグループの参加者をはげますこと。
  3. グループ自身が創り上げたリズムによる音楽に耳を傾け、それに自分を適合させ、参加者にその音楽を気付かせること。
https://www.vmcglobaljp.com/drumcircleより抜粋)

3.講座の目的

(1)どこに住んでいても学べる環境をつくる

VMCグローバルジャパンは2018年創設以来、どこに住んでいても学べる環境づくりを目指しています。海外より多数のドラムサークル・ファシリテーターを招聘してオンラインでのWEBクラスを開設し、現在クラスは3月で計60回を迎えました。

2020年頃より新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ステイホームの生活が長引く中、昨年7月には「オンラインでドラムサークル三昧!」と銘打ち、「オンライン万歳!!」を2日間にわたり開催しました。6か国12人の講師による10講座に、8か国から60人を超える受講生が参加し、国を超えて共に学ぶ機会を作ることとなりました。

その反響は当初の予想をはるかに上回るもので、再び開催して欲しいとの声をいただき、今回「オンライン万歳!!其の2」として開催するに至りました。前回は音楽やドラムサークルに関係なく、「人間の可能性を引き出す」ことを趣旨として興味ある方すべてに呼びかけたものでしたが、今回は日頃からドラムサークルに関わっている方を対象とさせていただきました。

(2)1年延期となった実地研修の代替え講座を開く

今年2022年のGWは、アーサー・ハルとジム・ボノウ(*2)を日本に招き、2015年以来2回目となるメンター&インテンシブ研修を開催する予定でしたが、外国人受け入れが非常に難しい状況が続いており、残念ながらもう1年延期せざるを得なくなってしまいました。そこで画面越しではありますが、アーサーとジムの二人から講義を受けられる機会を作ることとしました。

*2)ジム・ボノウ:アーサー・ハルの右腕。VMCグローバルジャパン理事、VMC認定トレーナー。アメリカシアトル在住

4.講座内容

ここでは5つの講座内容とコーディネーターとしての企画立案から当日までの運営面をご紹介いたします。

A.オンライン・ドラムコール

ドラムコールとはこれから始まるドラムサークルの参加者とファシリテーターの関係性を築く大切なプロセスであり、ドラムサークルで最も重要とされている時間です。オンライン・ドラムコールは、今日一日を通して学びあう受講生が「ワクワクする気持ち」で講座に対する期待感を高めるためのステップとして行われました。

講師は日本のドラムサークル界の礎を築いた二人、アーサー・ハルとクリスティーン・スティーブンスに依頼しました。アーサーとクリスティーンは、アメリカの楽器メーカー・レモ社のサポートを受け世界中でドラムサークルの普及に尽力しています。二人は師弟関係であり昔から二人でファシリテーションをするなど交流がありますが、二人が同時にセッションすることはとても珍しく貴重な時間となりました。

「講師」

  • クリスティーン・スティーブンス(UpBeat Circles主宰アメリカ・エンシニータス/ジャクソンホール在住)
  • アーサー・ハル


B.ドラムサークルの「深い意味」ファシリテーション・キューのメタファー

クリスティーン・スティーブンスはエビデンスに基づくグループ・ドラミング「ヘルスリズムス(*3)」の開発に従事し、そのプログラムに沿った研修は現在25か国以上で行われています。またニューヨークのグラウンドゼロでのドラムサークルや、イラク北部の紛争地帯でのドラムサークルなど平和活動にも積極的に参加しています。

ドラムサークルでは、ファシリテーション・キュー(合図)と呼ばれるボディランゲージを使い人々をガイドしていきます。言葉が通じ合わない人々や、異なった国や文化を基礎とする人々の間でもリズムでつながることができる、ドラムサークルには欠かせない要素です。そのキューをなぜ今このタイミングで行うのかを深く考え、ドラムサークルそのものが持つ意味を追求するために、クリスティーンがイラク紛争地帯でのドラムサークルの動画などを基に解説しました。また受講生が小グループに分かれ、お互いの考えを話し合う時間も作られました。

*3)ヘルスリズムス:アメリカのパーカッションメーカー「レモ社」により音楽療法およびウェルネスを目的に開発された

「講師」

クリスティーン・スティーブンス

音楽療法士、ソーシャルワーカーの修士号を取得し、UpBeat Drum Circle 主宰者。25か国以上で研修が行われているエビデンスに基づくレモ社のグループドラミング・ヘルスリズムスの開発に従事し、日本でも2002年から5年ほどヘルスリズムスの研修のため来日。その後も、ヒーリングドラムサークルなど多彩なプログラムを携え何度も来日し、クリスティーンのファンは日本にも数多く、彼女の来日を心待ちにしている。



C.ファンキーを引き出す:ファシリテーターが知っておくべきベーシックなリズムパターンとバリエーション

ジョン・ヨーストは、大学で打楽器を学び、アフリカ、日本などの特定文化リズムへの造詣も深く、世界中のイベントで、双方向的な音楽創造活動を行い、ドラムサークル・ファシリテーターとしても活躍されています。また打楽器芸術協会(Percussive Arts Society)インタラクティブ・ドラミング委員会(Interactive Drumming Committee)共同議長も務めています。ドラムサークルは、年齢性別・音楽経験など一切問わず、だれでも参加できる双方向的即興音楽イベントとして知られていますが、ファシリテーターには、参加者全員のレベルに合わせいろいろなリズムアンサンブルを作り出すためのスキルが必要です。ジョンは、ベースドラム、アゴゴベル、ウッドブロック、シェイカーの4つ楽器の、基本的な奏法とリズムをグルーブさせるコツについて解説しました。

「講師」

ジョン・ヨースト(VMCグローバル認定トレーナーアメリカ・シカゴ在住)



D.ドラムサークルでテクニックとヒューマ二ティー間で起こるダンスをファシリテートする

アーサー・ハルは、あらためて紹介するまでもなくグループ・ドラミングにファシリテーションを用い、現代ドラムサークルの基礎を築き、50年以上世界中でDCファシリテーターを育成してきたDC界の第一人者です。またジム・ボノウは、アーサーの右腕としてアーサーのファシリテーション理論を体系化し、VMCテキスト編纂に尽力しました。そのテキストを基に、今現在16か国32人のVMC認定トレーナーたちが世界中で研修を行っています。

本来ならば、2022年5月に来日し、実地研修講演する予定だった内容の中から、ドラムサークルで大切なテクニックとドラムサークルの対象者のヒューマニティ(人間性)の関係性について解説しました。最近では、接客サービス業などマニュアル化が進み、「かた」というものにとらわれるがちになり、人との違いを認め難い風潮があるなど、ドラムサークルだけでなく一般社会における問題意識にまで発展した話し合いはとても興味深いものでした。

「講師」

  • ジム・ボノウ
  • アーサー・ハル




E.オンライン・ドラムサークル&ブレイクアウトルームでドラムサークルを語ろう

「オンライン・ドラムサークル」は、過去に開催したドラムサークルの動画を共有しながら、10分ほど受講生がZoomの画面を見ながらコンピューターの前で楽器を打ち鳴らしリズムでつながりました。また「ブレイクアウトルームでドラムサークルを語ろう」は、受講生が主体的に一日を振り返る時間です。VMCグローバルジャパンが養成し認定するワンデイトレーナーの6人がブレイクアウトルームのホスト役となり、受講生同士の交流と一日の振り返りを行いました。

「講師」

  • 米澤倫子(北海道)
  • 速水葉子(東京)
  • 松本ゆかり(北海道)
  • 高田豊(北海道)
  • 三原典子(栃木)
  • 千葉淳子(宮城)


5.企画から当日までの流れ

2022年1月
  • 新型コロナ第6波感染拡大が始まり、GWメンター&インテンシブ研修の延期を決定。その代替え案としてGWに「オンライン万歳!!」の再開催を役員会に提案。理事会でも承認を得る。

2022年2月
  • メールマガジン『VMCレター』などで会員に研修の延期を伝える。
  • 講座の開催日時、内容、予算など役員会で審査する。
  • 前回の「オンライン万歳!!」スタッフ、通訳に声かけ。
    統括:横田友子。統括の呼びかけで、運営、経理、パワーポイント資料翻訳編集、
    当日スタッフ、テクニカルサポーターなど、チームを結成する。

2022年3月
  • 講師との打合せ開始。
  • タイトル、概要、写真、当日のパワポなどの資料のやり取り開始。
  • ホームページ、Facebook、LINE公式、メールマガジン『VMCレター』で告知開始に向け作成。
  • (公財)音楽文化創造ほか宣伝協力を依頼。

2022年4月
  • ホームページ、Facebook、LINE公式、VMCレターほか、(公財)音楽文化創造他、ホームページでの告知開始。
  • 募集開始
  • チームでのZoom練習会を開く。
    (ホスト、録画方法、画面の共有など操作を練習する。)
  • 通訳を介し、講師との打合せ開始。
  • 資料がそろい次第ホームページに講師紹介ページを上書きする。

2022年4月24日
  • 一週間前ゲネプロを行い最終調整。

2022年5月1日
  • 「オンライン万歳!!」当日まで参加希望者を受け入れる。
  • 本番。

本番直後
  • チームでフィードバックと解散式。
  • 講師へのお礼のメール。
  • 協力社へのお礼のメール。
  • 講師、通訳翻訳者、チームへお礼を支払う。
  • 収支決算報告書をまとめる。
  • ライブ受講生からの声を聞き、アーカイブ動画を視聴したいと声が数名から届く。
  • 5月25日を期限にアーカイブ動画視聴の再受付。

2022年5月25日
  • アーカイブ動画配信(7月30日まで)

2022年5月末
  • 役員会で収支決算報告をする。

6月~7月
  • アーカイブ配信。


6.課題と今後の抱負

昨年7月に開催した一回目の「オンライン万歳!!」当時は、まだまだコロナウイルス感染拡大の影響で緊急事態措置・まん延防止等重点措置が全国で施行されており、オンラインでの講座開催がステイホームの中での媒体として主要なツールであることから早い段階で参加者が集まりました。

今回は、コロナウイルス感染症の重症化率および感染者数の減少により、週末には対面での研修やイベントが少しずつ増えてきたため、募集開始から当初は参加者が予想ほど集まらず、告知の手段などの見直しや宣伝協力の強化をしなければなりませんでした。

しかし開催日が近づくと一気に申し込みが増え、最終的には60名ほどの参加者が集まりました。またライブ参加者の感想がSNSなどで拡がり、アーカイブ動画を見たいと希望がありました。動画編集作業にかかる3週間ほどの期間中にアーカイブ動画視聴希望者を公式に募集したところ、数名の希望者から申し込みがありました。

Zoom待機室動画や講師紹介動画などオリジナリティを有するデザインを目指して、講座一つ一つを参加者が楽しめるようなものとすべくていねいに制作しました。また海外講師通訳も事前の打ち合わせ、資料の翻訳にも関わり、当日なるべくスムーズに通訳できるように心がけました。

今後の課題としては、「オンライン万歳!!」という講座名に対する期待感と信頼感を維持するために、魅力ある講師の人選やプログラム内容の質の維持することが重要と考えています。作り手としてだけでなく、学び手としての心を忘れず、私自身が学びたいと思う講座を企画運営していくよう心掛けたいと思います。





(2022年10月14日公開)

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