活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】音楽で人を繋ぎ、賑わいをつなぐ〜音楽で笑顔溢れる公園への再生を目指して〜

地域音楽コーディネーター NPO法人わくわくプロジェクト 理事
鹿児島市 上野美幸さん(風街楽団所属)

■活動テーマ:音楽で人を繋ぎ、賑わいをつなぐ〜音楽で笑顔溢れる公園への再生を目指して〜
Buzz8eightFes2018(バズエイトフェス2018)コロナ禍前のイベントの様子
Buzz8eightFes2018(バズエイトフェス2018)
コロナ禍前のイベントの様子
■活動時期:2017年〜現在
■場所:夢・風の里アグリランドえい(鹿児島県南九州市頴娃町)
■対象:老若男女問わず県内住民及び観光客

■活動内容

1.NPO法人わくわくプロジェクトを設立した背景と団体の理念、目的

「どうしてこの街には何もないのだろう?」

そんな一つの疑問から私たちの活動は動き出しました。鹿児島県南九州市頴娃町。私たちが活動している町は、鹿児島市から南へ車で約1時間下った位置にある田舎町です。周囲の市町村ではさまざまなイベントが行われ、音楽や文化的な活動を発表できる場所があるのに、私たちの町にはそのような場所がなく、家族や友達・地域住民の前で演奏したりしながら楽しむことができず残念に思っていました。

「何もないなら、楽しめる場所を自分たちで作っちゃおう!」

毎日の生活に追われ、効率だけを追求せざるを得ない、そういう現代社会の暮らしの中で心の支えとなるものが、歌であり、音楽であると私たちは考えます。悲しい時、つらい時、楽しい時、嬉しい時、人は歌を口ずさむことにより傷ついた心を癒し、また、新しい明日への英気を養います。

「歌や音楽の輪を社会へと広げ、人々が集まり共に楽しめる空間を♪」

私たちは、この思いを実現するために、1年間の任意団体での活動を経て、NPO法人を2018年に立ち上げました。当団体は、歌や音楽の輪を社会へと広げ、人々が集まり共に楽しめる空間を創ることを目的として、音楽イベントを主とする入場無料の複合野外イベントの企画制作と運営を行い、音楽アーティストやパフォーマー、文化作家の活動の場所作りや地域の賑わいを創出する活動などを行っています。1000個のバルーンリリースやミニ四駆大会、マルシェなどを音楽フェスに組み込んだ「バズエイトフェス」やロックバンドの生演奏で盆踊りを行う「ROCK de BON踊り」など、自由な発想で唯一無二のイベントを企画運営し、多世代の人々が共に楽しめる空間づくりを行っています。

現在(2022年11月)は、2020年3月に全施設(温泉施設・焼肉レストラン・ゴーカート・小動物園・アスレチック遊具・ドッグラン・ロッジ・キャンプ場など)が休館し、イベント広場とトイレ・駐車場しか利用できなくなった公園「夢・風の里アグリランドえい」の賑わいを取り戻すための活動として、2021年4月から毎週土日、祝日において公園の維持管理活動などを完全ボランティアで実施したり、毎月第4日曜日に新しい生活様式に合わせた音楽フェス「バズエイトピクニック」を企画運営したりして公園の再生や魅力の再創出にも取り組んでいます。また、「音楽に特化した公園づくり」を目指して、音楽図書館や楽器を常設し、無料でさまざまな楽器に触れ合える環境づくりなども行っています。(常設楽器:エレクトーン、オルガン、ギター、ウクレレ、ドラム、マリンバ、鉄琴、ジャンベなど)


次に、今夏開催した「ROCK de Bon踊りでSKA〜歌って踊ってキャンプしよう〜」をご紹介いたします。

2.「ROCK de Bon踊りでSKA〜歌って踊ってキャンプしよう〜」とは

(1)目的

コロナ禍となり以前のような大きなイベントが開催しづらくなった今、新しい生活様式に合わせたイベントの開催方法を模索していました。イベントや夏祭りが軒並み中止となり、楽しめる場所がなくなっていく中で、「やっぱり楽しめる場所はあった方がいい。このまま止まってはいられないよね♪」ということで、コロナ対策もしっかり準備した上で夏祭りも楽しめる場所を作ろうと企画を練り、2021年「ROCK de BON踊り」というイベントを鹿児島で初開催しました。

「ROCK de BON踊り」とは元々、東京都で開催されている中野駅前大盆踊り大会が先駆です。ロック音楽で盆踊り(盆ジョビ踊り)を踊って大盛り上がりしている映像(コロナ禍前のイベントの様子)をYouTubeで拝見し、「これを鹿児島でもやりたい!」「やるならバンドの生演奏でやろう」と仲間で盛り上がりました。この盆ジョビ踊りは鹿児島の郷土民謡「おはら節」の振り付けをアレンジされており、鹿児島ではとても馴染みの深いものでした。

さっそく、盆ジョビ踊りを企画運営している主催の方(日本民謡 鳳蝶流の鳳蝶美成さん)に連絡をとり、アイデアの使用許可を申し出た結果、「おはら節の本家鹿児島で開催してもらえるなら喜んで応援します」と快諾いただき、実現に至りました。2022年は、ロックバンドでの盆踊り企画に加え、期間限定のキャンプサイトも開設し、2daysの音楽フェスとして開催をしました。

(2)内容

A.対象者は

地域住民ならびに鹿児島県内外の楽しみたい人(老若男女問わず)

B.出演者・出店者

出演者:主に鹿児島で活動するミュージシャン16組
(主催者ブッキングと一般公募により決定。居住地の縛りなし)
MC:お笑い芸人マイク(鹿児島を活動拠点とする鹿児島唯一の女ピン芸人)
出店者:飲食店4店舗、マルシェ4店舗(公募により決定)

C.スケジュール

<7月16日(土)> 14時30分開演~20時 終演予定
14:20~ オープニング
14:30~15:00 BUNA PEA
15:10~15:40 KACCHITTA
15:50~16:20 賀一
16:30~17:00 Suiren The FX
17:10~17:40 民コーン
17:50~18:20 NANASEA
18:30~19:00 EIC/DC
19:10~19:40 GOLD LUSH CLUB BAND
19:40~20:00 みんなで盆踊りタイム

<7月17日(日)> 10時20分開演~15時30分 終演予定
10:10~ オープニング
10:20~10:50 Oi-POZZY
11:00~11:30 ゆきまるブルーズユナイテッド
11:40~12:10 the song of memories
12:20~12:50 PINO
13:00~13:30 Bamboozle
13:40~14:10 風街楽団
14:20~14:50 Zai BAND
15:00~15:30 ARTS
15:30~15:40 SKAダンスタイム

(3)実施にあたって

2021年4月 企画立案・事業計画書作成、出演アーティスト募集開始、フード出店者手配、助成金申請書作成
2021年5月 出演アーティスト募集開始、イベント告知画像制作
2021月6月1日〜30日 イベントポスター・フライヤー制作(随時更新)、会場設営用品など購入およびレンタル手配
2021月6月17日 メディア告知手配(FM鹿児島)、ラジオ告知(フレンズFM)
2021月6月18日 新聞告知手配
2021月6月21日 バズマルシェ出店者募集開始
2021月6月30日 キャンプサイト利用申し込み開始
2021月7月1日〜15日 出演者出店者紹介(SNS告知)、周辺地域ポスター掲示依頼、掲示告知開始
2021月7月10日 イベント会場仕込み(ステージ制作)
2021月7月10日〜15日 会場装飾品制作
2021月7月15日 南日本新聞イベント告知掲載
2021月7月16日 当日 午前中 イベント準備、「ROCKde BON踊りでSKA」 初日
2021月7月17日 「ROCKde BON踊りでSKA」2日目、終演後、会場片付け
2021月7月末〜8月 イベント報告書作成

(4)参加者と出演者の反応

新型コロナの感染者数が爆発的に増加している中でのイベントであったが、日頃から取り組んでいる感染防止対策などを実施しながらの開催ということと、広大な敷地での開催(密の回避が可能)という場所の特性もあり、多くの来場客がありました。出演者・観覧者共に、会場では笑顔が溢れ、心から楽しんでいる様子が印象的でした。イベントが中止となり活動の場所が少なくなっているアーティストや出店者は有意義な時間を過ごせたと満足していただけたようです。

3.課題と抱負

(1)課題

閉園したイメージがついた公園に再び光をあて、賑わいを創出することは容易でないと思いますが、継続した活動を行うことで人が集まる仕組みを作り続けることが大事と考えます。その中での課題は、継続的に活動するための資金確保や思いを共有して活動してくれる人材の確保です。

(2)抱負

音楽を通して、楽しさを共有し、みんなが笑顔になれる場所をたくさん作れるよう継続して活動していきたいです。まずは、「夢・風の里アグリランドえい」を自然豊かな場所以外に、音楽に触れ合える公園として新たな魅力を加えて再生し、賑わいを取り戻すことに取り組みます。ゆくゆくは音楽で地域を元気にしたい他の地域も盛り上げていきたいです。

●NPO法人わくわくプロジェクト ホームページ
https://buzz8eight.com/NPO/

(2022年11月17日公開)

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