地域音楽コーディネーター 東京室内管弦楽団トランペット奏者/エデュケーション・プログラム・アドヴァイザー/作編曲家/指揮者
東京都 三澤慶さん
■活動テーマ:「音楽でつながる地域の街づくり」 ■活動開始時期:2008年頃~現在
■場所:東京近郊の各所
■対象:子育て世代を中心とした音楽愛好家、吹奏楽部の中高生や小学生など
■活動内容
そこで「愛好家」の生の声に耳を傾け、課題があればその解決のために「自分がプロとしてどのようなお手伝いができるか?」を考えるようになりました。
地域にはプロ・アマ含め意外と多くの音楽家がいます。しかしアマチュアにとってはプロは縁遠い存在、一方我々プロにとって地域は活動のフィールドではなく、「寝るために帰る場所」に近い存在です。
今後は今までの経験を活かして、プロ・アマ同士が垣根なく「地域の音楽資源」として繋がり、それぞれの立場でWin-Winな活動をお互い支え合いながら協力していく事が重要と考えます。最終的には地域を音楽のチカラで輪を広げ、より魅力的にしていくような仕掛けを模索していきたいと思っています。
そこで生まれてきたムーブメントとして「ママさんブラス」があります。(男性は参加しにくような気もしますが、もちろんパパさんも歓迎!という楽団さんがほとんどです。)
こういった楽団は、皆が子育て真っ最中の世代でありながら、「自分も好きな音楽を楽しみたい!」という前向きで明るい雰囲気の中、平日の午前中などに活動しています。
時間交代で子供たちの面倒を見たり、膝や背中で子供をあやしながら演奏したり、時には授乳したりしながら和気あいあいに音楽を楽しんでいます。また地域の保育園や幼稚園・小学校などでの訪問演奏の機会もあり、子育て世代の親だからこその雰囲気と音楽を地域の子供達に届けています。
ただ、一口に「子育て世代」と言っても、入園・入学など、子供の成長と共に、状況も刻一刻と目まぐるしく変化する中、それに伴って音楽の楽しみは必ずしも「思う存分に」というわけにもいかず、結果として休団・退団といった事も多いです。
またさらに子供が成長し中学生、高校生となると乳幼児期の子供を持つ方々とはまた状況が異なってきたりします。そのため、楽団の編成に偏りが出たりしがちです。この様な個々の状況を踏まえ、我々プロが
オーケストラとしてさまざまな公演を行う中で、特に力を入れているのは音楽鑑賞教室です。年間約50公演、また独自のキッズ向けコンサートシリーズ「ぼくとわたしのコンサートデビュー」を年間約5公演などの教育プログラムでの公演を行っています。
その中で、特にオーケストラの楽器紹介用に作編曲を担当した「誰でもわかる!オーケストラ大辞典」は今までのオーケストラ紹介の手法を一新するオリジナル楽曲で、各主催者よりご好評をいただいております。
そのほかにも担当者、お客さまのリクエストを伺い、オーケストラアレンジの譜面がない場合は楽団オリジナルアレンジとして制作するなど、アレンジした楽曲は400曲程度にのぼっています。
そこで、現在使用されている校歌の譜面をあらためて浄書し、データ化してアーカイブするための活動を2018年より静岡県浜松市で開始、「みんなのはままつ創造プロジェクト」の助成を受け、現在までに約50校の市立小学校の校歌を整備しました。今後の全国での事業の展開に向け「全日本校歌協会」の設立に参加しました。
この時代の変革の流れはたとえコロナ禍が完全に収束したとしても、もはやコロナ前の状況に戻る事はないと予想されます。特にライブでの生の演奏を生業としてきた我々実演家・実演団体は変容した社会の中でどのように演奏を届け、どのように社会に貢献して行くかを考える必要に迫られています。
この3年間で聴衆は加速度的にオンライン環境で音楽を鑑賞することに慣れていっています。この事は「コンサート会場に足を運ばなくても音楽を楽しむことができることを知った」ということにほかなりません。
このような情勢の中で、いかにしてライブでの付加価値を高めていくか、新たな時代の聴衆の音楽の楽しみ方を受容しつつ、会場に集まった聴衆にライブならではの楽しさを提供できるか、を今まで以上に考える必要性を感じています。
まずは地域の「音楽資源」としての音楽家や愛好家の存在を把握し、互いに知り、つながること、そして音楽のチカラを用いて地域をより良い環境にしていくために、プロ・アマ、大人・子どもの垣根を取り払って、音楽家同士がそれぞれのスタンスの中で協力して街づくりを行うことができれば、との夢を抱いております。
大切なのは愛好家が音楽を楽しむこと、プロがその技術を使って地域に音楽の楽しさを提供する様な貢献を行うこと、子どもたちが未来の音楽ファンになっていくことです。
●こくぶんじ吹奏楽プロジェクト」メンバー募集
https://kokubunji-wo-pj.hp.peraichi.com/
(2022年12月27日公開)
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※ 音楽文化創造では、地域音楽コーディネーター資格取得の養成講座を実施しております。詳しくは下記をご覧ください。
「地域音楽コーディネーター」
#地域振興
#吹奏楽
東京都 三澤慶さん
■活動テーマ:「音楽でつながる地域の街づくり」 ■活動開始時期:2008年頃~現在
■場所:東京近郊の各所
■対象:子育て世代を中心とした音楽愛好家、吹奏楽部の中高生や小学生など
■活動内容
1.地域での音楽普及活動にあたって
音大卒業後、主にオーケストラなどを中心として演奏活動を行って参りましたが我々プロの音楽家の生活は、アマチュア音楽家をはじめとした「愛好家」によって支えられていると気付きました。そこで「愛好家」の生の声に耳を傾け、課題があればその解決のために「自分がプロとしてどのようなお手伝いができるか?」を考えるようになりました。
地域にはプロ・アマ含め意外と多くの音楽家がいます。しかしアマチュアにとってはプロは縁遠い存在、一方我々プロにとって地域は活動のフィールドではなく、「寝るために帰る場所」に近い存在です。
今後は今までの経験を活かして、プロ・アマ同士が垣根なく「地域の音楽資源」として繋がり、それぞれの立場でWin-Winな活動をお互い支え合いながら協力していく事が重要と考えます。最終的には地域を音楽のチカラで輪を広げ、より魅力的にしていくような仕掛けを模索していきたいと思っています。
2.具体的な内容
(1)ママさんブラス
子育て世代の愛好家にとっては、「子供のために自分の楽しみは我慢」という方々も多いと思います。現実に吹奏楽の世界でも「子供が小さいうちは一般の市民楽団の練習に子連れで参加するのも気が引けて、一旦活動をお休みする」というケースは非常に多いです。そこで生まれてきたムーブメントとして「ママさんブラス」があります。(男性は参加しにくような気もしますが、もちろんパパさんも歓迎!という楽団さんがほとんどです。)
こういった楽団は、皆が子育て真っ最中の世代でありながら、「自分も好きな音楽を楽しみたい!」という前向きで明るい雰囲気の中、平日の午前中などに活動しています。
時間交代で子供たちの面倒を見たり、膝や背中で子供をあやしながら演奏したり、時には授乳したりしながら和気あいあいに音楽を楽しんでいます。また地域の保育園や幼稚園・小学校などでの訪問演奏の機会もあり、子育て世代の親だからこその雰囲気と音楽を地域の子供達に届けています。
ただ、一口に「子育て世代」と言っても、入園・入学など、子供の成長と共に、状況も刻一刻と目まぐるしく変化する中、それに伴って音楽の楽しみは必ずしも「思う存分に」というわけにもいかず、結果として休団・退団といった事も多いです。
またさらに子供が成長し中学生、高校生となると乳幼児期の子供を持つ方々とはまた状況が異なってきたりします。そのため、楽団の編成に偏りが出たりしがちです。この様な個々の状況を踏まえ、我々プロが
- その時々のメンバーで楽しく演奏できるように工夫した編曲のサポート
- 少ない時間でも効率よく演奏技術を維持できる練習方法を提案
(2)プロの音楽家として
私は現在「東京室内管弦楽団」にトランペット奏者として所属し演奏活動を行うかたわら、作曲家として2012年に第23回朝日作曲賞を受賞し、以降主に吹奏楽や管楽器による室内楽作品を多く出版しています。管楽器奏者・作曲家としての強みを生かし、吹奏楽部の中高生への演奏指導なども行っています。(3)エデュケーション・プログラム・アドヴァイザーとして
「東京室内管弦楽団」ではトランペット奏者としての演奏活動はもちろんのこと、アレンジャーまたエデュケーション・プログラム・アドヴァイザー/指揮者として、楽団のコンサート制作に携わっています。オーケストラとしてさまざまな公演を行う中で、特に力を入れているのは音楽鑑賞教室です。年間約50公演、また独自のキッズ向けコンサートシリーズ「ぼくとわたしのコンサートデビュー」を年間約5公演などの教育プログラムでの公演を行っています。
その中で、特にオーケストラの楽器紹介用に作編曲を担当した「誰でもわかる!オーケストラ大辞典」は今までのオーケストラ紹介の手法を一新するオリジナル楽曲で、各主催者よりご好評をいただいております。
そのほかにも担当者、お客さまのリクエストを伺い、オーケストラアレンジの譜面がない場合は楽団オリジナルアレンジとして制作するなど、アレンジした楽曲は400曲程度にのぼっています。
(4)校歌の整備・保存の活動〜全日本校歌協会の立ち上げ
各学校にそれぞれの校歌があるのは、実は世界中で日本だけです。しかし現状は多くの学校で校歌の楽譜の保存状態が悪かったり、複製を重ねてオリジナルの状態が判別できない場合も少なくありません。また少子化や市町村合併などによる学校の統廃合で、実質的に失われていく校歌も数多くあります。そこで、現在使用されている校歌の譜面をあらためて浄書し、データ化してアーカイブするための活動を2018年より静岡県浜松市で開始、「みんなのはままつ創造プロジェクト」の助成を受け、現在までに約50校の市立小学校の校歌を整備しました。今後の全国での事業の展開に向け「全日本校歌協会」の設立に参加しました。
(5)「つながるプロジェクト」の主宰
コロナ禍により社会活動の停滞を目のあたりにした2020年、我々の携わる舞台芸術の世界はしばらくの間完全に活動がストップしてしまいました。吹奏楽の世界でもコンサート、コンクールの中止が相次ぎました。そこで吹奏楽作品で知られる18名の作曲家でリレー形式で1つの吹奏楽作品を制作し、楽譜を無償、また10名の指揮者・指導者と71名の演奏家に協力を依頼し、作品のリモート演奏動画を作成し公開いたしました。3.課題と抱負
(1)課題
この3年間のコロナ禍によって、学校の部活動からプロのコンサートに至るまであらゆる舞台芸術で大きな影響があり、その中で起こった社会変容は急速に音楽やアートのあり方を変えつつあります。この時代の変革の流れはたとえコロナ禍が完全に収束したとしても、もはやコロナ前の状況に戻る事はないと予想されます。特にライブでの生の演奏を生業としてきた我々実演家・実演団体は変容した社会の中でどのように演奏を届け、どのように社会に貢献して行くかを考える必要に迫られています。
この3年間で聴衆は加速度的にオンライン環境で音楽を鑑賞することに慣れていっています。この事は「コンサート会場に足を運ばなくても音楽を楽しむことができることを知った」ということにほかなりません。
このような情勢の中で、いかにしてライブでの付加価値を高めていくか、新たな時代の聴衆の音楽の楽しみ方を受容しつつ、会場に集まった聴衆にライブならではの楽しさを提供できるか、を今まで以上に考える必要性を感じています。
(2)抱負
これからの音楽家はコンサートホールや芸術拠点から飛び出して、「地域」にアクセスしていくことが求められると感じています。まずは地域の「音楽資源」としての音楽家や愛好家の存在を把握し、互いに知り、つながること、そして音楽のチカラを用いて地域をより良い環境にしていくために、プロ・アマ、大人・子どもの垣根を取り払って、音楽家同士がそれぞれのスタンスの中で協力して街づくりを行うことができれば、との夢を抱いております。
大切なのは愛好家が音楽を楽しむこと、プロがその技術を使って地域に音楽の楽しさを提供する様な貢献を行うこと、子どもたちが未来の音楽ファンになっていくことです。
●こくぶんじ吹奏楽プロジェクト」メンバー募集
https://kokubunji-wo-pj.hp.peraichi.com/
(2022年12月27日公開)
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