地域音楽コーディネーター ピアニスト
静岡県藤枝市 小林みどりさん
■活動テーマ:クラシック音楽との距離が縮まるようなイベント作り
~説得力のある企画を目指して~ ■活動開始時期:2022年~現在
■場所:藤枝市複合施設nicica内 「一箱本や はこぶっくレンタルスペース」、了善寺
■対象:一般
■活動内容
*1)藤枝市:静岡県の中部に位置し、県第2位の人口で静岡市のベッドタウンとなっている。
*2)蓮華寺池公園:https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/rengeji/index.html
活動を始めるに当たり、2021年「Stella music space」という音楽教室をこの公園のそばに開設しました。基本理念は「音楽を通して個性という光を奏でる場所」です。ちょうど同じ頃、教室のそばにある複合施設「nicicaニシカ」内のレンタルスペース管理人と了善寺の方とお話させていただく機会がありました。私の企画を提案したところ両者に賛同していただき、この二つの場所を使ってイベントを開催できる運びとなりました。
今回はA.講座「guide from music」とB.お寺でのコンサートの活動を御紹介いたします。
〇演奏
〇お話
「万人受けではないのでは?」という感じもしたのですが、オーストリアの教育者R.シュタイナーの本に「自分が音楽を通して何を得たのか。その自分の根幹にある思いを通して表現することが最も人に伝わる」という言葉が書かれており、それも後押しとなりました。10回の内容を御紹介いたします。
ややマニアックなイベントだと思いながらの実施でしたが、実際に開催してみて想像していたよりもすんなりと受け入れてもらえたという事実が、私にとって大きな体験となりました。音楽について対話をすることによって生じるコミュニケーションの深さに改めて驚かされました。
そこでお寺から地元出身である私と友人に、この両方のピアノをいかしてほしいとの要望があり引き受けました。
また5音音階はお寺と日本画のムードにもしっくりくるだろうというイメージが湧きました。
*3)5音音階:1オクターブの中に5つの音を含む音階。例えばハ長調でいうと(ドレミソラ)。スコットランド民謡やアジア・日本民謡に多い。
演奏者・日本画家とお寺をつなぐまとめ役は写真を中心としたアーティスト岡田宗仁さんが務めてくださりました。宣伝活動に始まり、予約状況の把握、当日配布するプログラムやプロジェクターで使用する画像の作成など、演奏以外の準備をお任せすることができました。また、空間や香りの演出にも力を注いでくださり、会の雰囲気はより一層洗練されたものになりました。
【展覧会の絵の題材になったハルトマンの絵画と共に】
(2023年2月21日公開)
※ 皆さまの活動を掲載しませんか? ご希望の方は、下記のページをご覧ください。
「皆さまの活動を掲載しませんか」
※ 音楽文化創造では、地域音楽コーディネーター資格取得の養成講座を実施しております。詳しくは下記をご覧ください。
「地域音楽コーディネーター」
#音楽祭、コンサート
静岡県藤枝市 小林みどりさん
■活動テーマ:クラシック音楽との距離が縮まるようなイベント作り
~説得力のある企画を目指して~ ■活動開始時期:2022年~現在
■場所:藤枝市複合施設nicica内 「一箱本や はこぶっくレンタルスペース」、了善寺
■対象:一般
■活動内容
1.きっかけ
2022年3月磐田市の音楽教室から独立し、活動の拠点を生まれ育った藤枝市に移しました。藤枝市(*1)はここ数年でどんどん洗練され、街のメインスポットのひとつである蓮華寺池公園(*2)を中心に人の流れと賑やかさを増しています。今まで地元ではあまり活動していませんでしたが、私の音楽経験から得たものを自分の特性と個性を発揮できるやり方で地域住民に貢献したいと思いました。*1)藤枝市:静岡県の中部に位置し、県第2位の人口で静岡市のベッドタウンとなっている。
*2)蓮華寺池公園:https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/rengeji/index.html
活動を始めるに当たり、2021年「Stella music space」という音楽教室をこの公園のそばに開設しました。基本理念は「音楽を通して個性という光を奏でる場所」です。ちょうど同じ頃、教室のそばにある複合施設「nicicaニシカ」内のレンタルスペース管理人と了善寺の方とお話させていただく機会がありました。私の企画を提案したところ両者に賛同していただき、この二つの場所を使ってイベントを開催できる運びとなりました。
今回はA.講座「guide from music」とB.お寺でのコンサートの活動を御紹介いたします。
2.具体的な内容
A.講座「guide from music」
(1)目的
- 1.敷居が高いと思われているクラシック音楽を、一般の方々に聴く機会を増やし身近に感じてもらう。
- 2.演奏とその曲の解説を通して受講者との交流を深める。
- 3.日常集う場で気軽に参加してもらう。
(2)会場
複合施設nicica内 「一箱本や はこぶっくレンタルスペース」は地域住民や観光客もよく立ち寄る場です。個人が1か月単位でひと箱スペースをレンタルしてオーナーになり、そこに自分のお薦めの本を並べます。(私もその一人です)オーナーにはいろいろな職業の方がおり各本棚に個性が出、その人の想いを表現しています。本を通して交流が育まれているこの場で、私の音楽企画が誰かの心に響く可能性があると考えました。(3)内容
毎回作曲家一人をテーマに演奏と解説で構成しました。話の内容は初めての方でもわかりやすく興味を持ってもらうように心がけました。〇演奏
〇お話
- 1.私がその音楽から何を感じたのか
- 2.音楽の歴史
- 3.作曲家の人生
- 4.作品が生まれる背景
- 5.受講者との対話(聴いた感想を話し合う)
「万人受けではないのでは?」という感じもしたのですが、オーストリアの教育者R.シュタイナーの本に「自分が音楽を通して何を得たのか。その自分の根幹にある思いを通して表現することが最も人に伝わる」という言葉が書かれており、それも後押しとなりました。10回の内容を御紹介いたします。
- <1回目>M.ラヴェル『マ・メール・ロワ』
- <2回目>J.S.バッハ『平均律クラヴィーア曲集 第1巻第1番ハ長調BWV.846』
- <3回目>W.A.モーツァルト『ピアノソナタ第10番 K.330』
- <4回目>C.ドビュッシー『版画』より 2.グラナダの夕暮れ 3.雨の庭
- <5回目>F.ショパン『ノクターン』より2番、 9番、 17番
- <6回目>C.サン=サーンス『動物の謝肉祭』
- <7回目>E.グリーグ『抒情小曲集』より『第1集ノルウェーの旋律』『第2集小鳥』『第4集ハリング』『第6集郷愁』『第9集おばあさんのメヌエット』『第10集夏の夕べ 小妖精』
- <8回目>M.ムソルグスキー『展覧会の絵』
- <9回目>R.シューマン『子どもの情景』Op.15より『見知らぬ国と人々』『珍しいお話』『鬼ごっこ』『おねだり』『満ち足りた幸福』『重大な出来事』『トロイメライ』
- <10回目>J.ブラームス『6つの小品』op.118より第2番
(4)受講者とその反応
音楽関係者や愛好家の方が来場してくださいましたが、一番うれしかったのは今までクラシック音楽のイベントに足を運ぶ機会が少なかった方も参加してくださったことです。私が直接お誘いした方だけでなく、「はこぶっく」を通じて講座を知り足を運んでくださった方もいました。具体的にはヨガ講師、アクセサリー作家、鍼灸(しんきゅう)マッサージ師、農業従事者、陶芸家の奥様です。受講者からは「曲を聴くだけでなく解説があることで興味が湧き、クラシック音楽が身近になった」「作曲家の人生を知ることは様々な文化や時代と、人生の生き方を知ることにもつながった」との感想を頂きました。(5)成果
同じ場所で同じ曲を聴いていても、一人一人から全く異なる感想が出てきます。このことはその人の感性の投影です。お互いの感想を聞き合い、自分の感想を表現したりすることで各人の個性をより鮮明に捉えられるように感じます。演奏者とともに聴衆も表現者となり、キャッチボールが出来ることがこの講座の大きなポイントだったと思います。ややマニアックなイベントだと思いながらの実施でしたが、実際に開催してみて想像していたよりもすんなりと受け入れてもらえたという事実が、私にとって大きな体験となりました。音楽について対話をすることによって生じるコミュニケーションの深さに改めて驚かされました。
B.お寺でのコンサート~秋の芸術祭@了善寺(共演: 酒井友理)
(1)きっかけ
このコンサートは藤枝市の東海道界隈(かいわい)をフィールドに開催する体験交流プログラム「みちゆかし」(古道で出会うおもしろきこと)というイベントの一つとして行われました。今年は藤枝・焼津・島田をフィールドに15個の体験交流プログラムが実施されました。会場の一つとして市より了善寺に依頼がありました。このお寺の本堂にはアップライトとグランドの2台のピアノがあります。そこでお寺から地元出身である私と友人に、この両方のピアノをいかしてほしいとの要望があり引き受けました。
(2)企画に当たって
同会場では日本画家いのうえあいさんの展覧会を同時に開催するため、夜のコンサートの際もそのまま展示をすることになっていました。そこで絵画と音楽のコラボレーションの企画を練りました。お寺の静けさと日本画のオリエンタルな雰囲気にマッチする曲目としてドビュッシーの作品と、2台のピアノの演奏効果を出すためにムソルグスキーの「展覧会の絵」を選びました。この二人の作曲家の作品は静と動の対比の面白さがありながらも、5音音階(*3)の使用という共通点によってどこか似通った響きが聴こえてきます。また5音音階はお寺と日本画のムードにもしっくりくるだろうというイメージが湧きました。
*3)5音音階:1オクターブの中に5つの音を含む音階。例えばハ長調でいうと(ドレミソラ)。スコットランド民謡やアジア・日本民謡に多い。
演奏者・日本画家とお寺をつなぐまとめ役は写真を中心としたアーティスト岡田宗仁さんが務めてくださりました。宣伝活動に始まり、予約状況の把握、当日配布するプログラムやプロジェクターで使用する画像の作成など、演奏以外の準備をお任せすることができました。また、空間や香りの演出にも力を注いでくださり、会の雰囲気はより一層洗練されたものになりました。
(3)当日のプログラム
【日本画と共に】- ・ドビュッシー『古代のエピグラフ』1.4.5.6/ピアノ連弾 『アラベスク 第1番』『月の光』/ソロ
- ・MC (みちゆかしについて、展覧会の絵の曲目解説と演出についての説明)
【展覧会の絵の題材になったハルトマンの絵画と共に】
- ・ムソルグスキー『展覧会の絵』/連弾・ソロ
- ・リムスキー=コルサコフ『シェヘラザード』より第3楽章 若い王子と王女/連弾(アンコール)
(4)聴衆の反応
お陰様で満席となり大好評のうちに幕を閉じることができました。クラシックコンサートに行く習慣のない方もたくさん御来場くださりました。演奏だけではなく様々な演出を施したこと、楽曲解説を挟んだことにより、クラシック音楽に親しみやすさを感じていただけたようでした。また夜のお寺の雰囲気が、演奏者と聴衆の集中力をぐっと高めてくれたように感じました。3.課題と抱負
(1)課題
音楽講座はレンタルスペース終了に伴い、12月が最終回となりました。全10回の講座の中で、集客の難しさを感じる局面もありました。来てくださった方に御満足いただける内容を提供し続けることが、いずれ集客にもつながるのではないかとも思っています。そのためには内容の再検討と広報宣伝が課題です。今後は効果的な告知方法も学んでいく必要があると感じています。(2)抱負
音楽講座やコンサートなどを開催しながら、地域に音楽の種を蒔いていきたいと考えています。自分の個性を生かすこと、明確なコンセプトを持つことを大切に説得力のある企画を作り展開していきたいと思っています。(2023年2月21日公開)
※ 皆さまの活動を掲載しませんか? ご希望の方は、下記のページをご覧ください。
「皆さまの活動を掲載しませんか」
※ 音楽文化創造では、地域音楽コーディネーター資格取得の養成講座を実施しております。詳しくは下記をご覧ください。
「地域音楽コーディネーター」
#音楽祭、コンサート