活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】音楽の力で地方創生を

(2023年04月04日公開)

地域音楽コーディネーター 株式会社ファインミューズ代表
神奈川県 高橋由美さん

■活動テーマ:音楽の力で地方創生を
~質の高い文化芸術を地域社会へ広め、心を豊かにしていく生活環境をつくる~
トップクラスの演奏家たちによるコンサートを宮崎県延岡市で開催
トップクラスの演奏家たちによるコンサートを宮崎県延岡市で開催
■活動開始時期:2018年~現在
■場所:宮崎県、神奈川県を中心
■対象:一般市民

■活動内容

1.きっかけ

(1)クラシック音楽との出会い

幼少期からピアノを習い、中学生のときに吹奏楽部に入りサックスを担当しました。その頃にクラシック音楽に出会い「三度の飯より音楽が好き」と思えるほど音楽の世界に夢中になっていきました。その後、高校を卒業して看護学校進学のため関東へ引っ越し、音楽の世界とはかけ離れた生活を送っていました。

看護師となり過酷な医療現場での仕事に心身ともに疲弊していた頃、地元のプロオーケストラ(神奈川フィルハーモニー管弦楽団)による生演奏を聴く機会があり、ベートーヴェンやブラームスなどの作品にとても心がいやされました。

その体験で再びクラシック音楽に熱中する生活が再開しました。東京や横浜での生活は、生まれ育った地域(宮崎県日向市)で触れられなかった一流音楽家の生演奏や聴いたことのない作品にたくさん触れることができて感動の連続でした。

(2)「株式会社ファインミューズ」の設立

ちょうどその頃、中学校の吹奏楽部でお世話になっていた先生の教え子たちが、音楽大学進学のために月に一度宮崎から飛行機に乗って東京へレッスンに通い受験の準備をしていたのです。田舎からの上京で電車の乗り継ぎやバスの乗り方に慣れていない生徒に付き添って、看護師の仕事の合間にマネージャーのような関わり方をしていました。

その生徒たちが音楽大学を卒業しプロの演奏家としてコンサートを開催するようになり公演の事務仕事や受付などのお手伝いをする中で、クラシックコンサートの企画・運営に関心と興味を抱くようになりました。

このような活動を10年ほど続けているうちに、自身の生まれ育った地域にも質の高い文化芸術を届けたいという思いが強くなり、2018年にクラシック音楽コンサートの企画・運営やアーティストマネジメントを行う会社「株式会社ファインミューズ」を設立しました。

2.具体的な活動

(1)コンサート内容

東京・神奈川・宮崎などで年に6回ほどクラシック音楽コンサートを開催しています。足を運んでくださったお客様に音楽を身近に体感していただきたいので、小規模の音楽ホール(100席前後)で室内楽を中心にコンサートを開いています。

室内楽は楽器や演奏家お一人お一人の表情や息づかいが近くに感じられて臨場感を得ることができます。お客様に演奏や作品にもっと興味を持っていただけるように、地域音楽コーディネーターとしてステージに上がらせていただきナビゲーター役を務めながら音楽とお話を交えて公演を進行しています。





(2)プロデューサーとして

A.企画立案・スケジュール調整

コンサートは約1年前から企画を立案していきます。企画内容に沿って出演者、演奏曲目、日程、会場、収支計画を考えます。まず始めに直面するのは、出演者のスケジュール調整です。第一線でご活躍されている演奏家たちなので、リハーサルや本番の日程を合わせることはなかなか大変です。その後、会場を選び収支計画を立てていきます。

B.広報

コンサートを成功させるために集客はとても大切です。コンサートの開催をより多くの方に知っていただけるように、開催地の市区町村長へ表敬訪問に伺うように調整することも多くあります。

また地元ラジオ局に出演して演奏会の告知をさせていただくこともあります。ラジオ出演時に音源を持ち込んで曲を流し、リスナーにコンサートのイメージがしやすいように働きかけるようにしています。

(演奏家に電話出演していただくこともあります。)

C.スタッフ体制作り

それ以外に交通と宿泊の手配を行います。出演者の健康状態や性質に合わせて、個別に細やかなコミュニケーションを取りながら移動手段などを決めさせていただいています。

本番当日が近づきましたら、当日の会場スタッフをアルバイト募集します。地元でアマチュア音楽活動をされている社会人にお願いすることが多く、一緒にイベント参加していただくことで、本物の芸術に触れてもらい地域の文化向上につながるように働きかけています。

演奏会当日の出演者やスタッフ向けのケータリングは地元の飲食店のものを提供するようにしています。遠くから来られた出演者にその土地の魅力を知っていただき、SNSなどを通して開催地の魅力を発信してもらい多くの人に地域の魅力を知っていただくことができます。






(3)聴衆、会場側の反応

演奏会には子供からお年寄りまで幅広い層のお客様にお越しいただいています。地方では地元の飲食店に貼ってあるポスター、ホールの会報誌、SNS、他の演奏会での折り込みチラシなどでコンサートの情報を知った方がいらしてますが、知り合いからの口コミでいらっしゃる方がとても多いです。

2018年から定期的にコンサートを開催することで、コンサートの存在を気にかけて情報をキャッチしてくださる方も増えてきました。クラシック音楽を聴く機会の少ない地域では、終演後会場内でそれぞれに熱く感想を述べ合っているお客さまの姿を多く見かけます。

感染防止対策をしながら、直接演奏家とお話ができる環境を作ることで、更に感動を深めているご様子でした。

3.課題と抱負

(1)課題

クラシック音楽の裾の尾を広げていくことはなかなか大変です。文化芸術活動を続けさせていただくには集客力が何よりも大事だと思います。そのために、音楽愛好家の獲得を目指して音楽の魅力を地域の端々へ届ける活動を続けていく必要があると思います。

行政、学校、医療、福祉、飲食店などの様々な団体とのつながりを持ち、関係を深めていくこともとても必要になってきます。人脈作りと地元交流を繰り返しながら持続的に地域との関係を築いていきたいと思います。



(2)抱負

今回、地域音楽コーディネーターとして地域に関わらせていただき、音楽普及振興の在り方についても考えさせられました。スポーツ分野と違い文化芸術分野は楽しみ方や結果(成果)が分かりづらいため扱いが軽んじられている印象を受けます。

今後はコンサートの企画・運営以外に地域の文化的水準の維持・向上に向けて、専門性を持った音楽家たちが地方の隅々へ出向いて音楽の魅力を伝え、指導を行える環境を作る活動をしていきたいと思います。また自身も音楽の知識を深めそれぞれの地域の特色を知り、信頼される地域音楽コーディネーターとして成長していきたいと思います。

株式会社ファインミューズ Fine Muse Co., Ltd.

公式ホームページ:http://www.finemuse.com/


(2023年4月4日公開)


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