活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】ウクレレを通じて地域コミュニティ創出~音楽の楽しさを分かち合う~

地域音楽コーディネーター ウクレレサークルnomilele代表
石川県能美市 小山睦美さん

■活動テーマ:ウクレレを通じて地域コミュニティ創出~音楽の楽しさを分かち合う~
ウクレレオーケストラまつりの様子(2019年1月 金沢市民芸術村)
ウクレレオーケストラまつりの様子(2019年1月 金沢市民芸術村)
■活動開始時期:2015年7月~現在
■場所:能美市市民協働まちづくりセンター「のみにこ」 辰口福祉会館
根上総合文化会館 福祉施設 イベント会場 他
■対象:一般市民 (市外の方も)

■活動内容

1.ウクレレサークルnomilele結成まで

(1)ウクレレとの出会い

最初の出会いは、私が小学生の頃に学校でウクレレを作ったときでした。その後2011年に友人からの誘いで、撥弦楽器工房で開催されているウクレレ部に参加しました。

ウクレレオーケストラのクリスマスコンサートも聴く機会がありいやしの音色に魅了されました。また様々な音楽ジャンルの演奏や奏法にこれまでのこの楽器の概念が一新、新たな可能性や人の心を動かす音楽の力を感じ、自分たちも演奏したいと一緒に鑑賞した長男と始めました。

翌年、金沢21世紀美術館で開催された「芸術とウクレレのプロもジェクトーAloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之」や、同年に結成されたジュニアウクレレオーケストラとご縁があり、私と当時小学3年の長男はメンバーとして参加しました。

ウクレレは奥深いながらも手軽に始めやすく、簡単に人と人をつなぎます。そこでは多くの笑顔や感動に出会い、国内やハワイの様々なウクレレ奏者の演奏を聴き、一緒に演奏する楽しさも味わいました。

(2)結成

このような経験を通してウクレレの親しみやすさ、すばらしさを身近な人たちにも知ってもらいたいと思うようになりました。2014年、お世話になっていたウクレレ普及活動をされている方のご協力のもと、息子が通う小学校で親子ウクレレ体験会を開催していただいたことがきっかけでした。

翌年、一緒に体験会に参加した子どもの同級生の母たちで結成し、能美市の協働型まちづくりの交流場所を拠点として活動を始めました。

2.具体的な内容

(1)目的

  1. 地元能美市でウクレレを通じて交流できる場づくり
  2. 音楽や演奏する楽しさを共有
  3. 練習の成果発表としての発表会の開催
  4. 訪問演奏活動

(2)ウクレレサークルnomileleとは

ハワイ語で「uku(ウク:ノミ)」「lele(レレ:跳ねる)」が語源と言われているウクレレ。能美市(*1)を中心に活動するウクレレサークルということで、ukuを意味するノミと能美市のノミとかけて、nomilele(ノミレレ)とネーミングしました。メンバーは体験会で募ります。現在ではウクレレ、歌、フラダンス愛好家の30代から60代の様々な職業の男女20人ほどです。ジャンルを問わず音楽を楽しむとともに、レッスンや練習の他、イベントや福祉施設などへの訪問演奏、体験会や演奏会の開催を行っています。

*1)能美市:石川県の南部に位置し、九谷焼の絵付けが盛ん。


現在のレッスンと練習は、アンサンブルと弾き語りのレッスンを交互に月1回の他、体験会や定例会、フラの練習をそれぞれ月1~2回行っています。訪問演奏のスケジュールに応じて練習日を増やすこともあります。指導者はサークル結成に当たってお世話になったウクレレ普及活動やウクレレ講師をされている方々にお願いしております。

先生方の紹介、イベントの告知、活動の様子などは、ホームページやFacebookでお知らせしています。どなたでもご参加いただけますのでご興味がある方は下記をご覧ください。

ホームページ:https://nomilele.com/

Facebook:https://www.facebook.com/nomilele

(3)活動内容

これまで7年間の活動の中から一部をご紹介いたします。

A.小学校で親子ウクレレ体験会―2014年~2019年

講師・ウクレレパイナ金沢(*2)

*2)ウクレレパイナ金沢:石川県金沢市若松町にあるシェア金沢ログハウスを拠点に活動するウクレレ愛好家団体

協力:ウクレレサークルnomilele

小学3年生から6年生の親子ふれあい活動の一環としてウクレレ体験会が5回開催されました。体験会ではウクレレの構え方から基本コードの押さえ方、弾き方を練習し、最後には簡単な曲を演奏できるようになります。

親子で100人近く参加されたときもあり、楽しそうな笑顔が見られる和やかな雰囲気の中、素敵なハーモニーが奏でられました。



B.能美市民ボランティアフェスティバル「ふれあいステージ」

「体験コーナー」「パネル展示」

このフェスティバルは市内で活動する多様な分野の活動者、福祉施設、事業所などが一堂に会し、「市民参加のまちづくり」を広くアピールしています。目的はボランティア意識の活性化と地域福祉の意識啓発です。例年この中の「ふれあいステージ」に出演しています。

2022年は3年ぶりの開催となり、感染対策を講じながらウクレレ体験コーナーを担当し多くの方に参加いただきました。また「パネル展示」では日頃の活動を紹介し、地域の方々に私たちのサークルを知ってもらう良い機会となっています。



C.訪問演奏

〇敬老会
町会で開催された敬老会にお招きいただき、アンサンブル演奏とフラをお届けしました。懐かしい曲では自然と歌を口ずさみ、フラ曲の『月の夜は』(*3)では手の動きを一緒に参加していただき会場が一体感に包まれました。

コロナ禍の影響を受けて2年ぶりの訪問演奏でしたが、参加された皆様の笑顔や楽しまれている姿が見られ、久しぶりに音楽でつながる喜びを味わうことができました。

*3)『月の夜は』:ハワイアンのポピュラーな曲の一つで元々は「フラの踊り」と呼ばれていた。フラ教室では入門曲として扱われる。


〇いきいきサロン(見守り交流会)
このサロンは高齢者の閉じこもり予防と自然な見守りなど、地域での支え合いを深めることを目的に各町会のボランティアの皆様が運営しています。各町会のサロンにお招きいただき、その時々の状況や季節に合わせて選曲し、フラ曲の他、懐かしい歌謡曲・童謡・洋楽・ポップスの演奏をお届けしています。

文部科学省唱歌「故郷」は皆様が日頃手話を練習されているとのことで、急きょ手話と演奏とのコラボレーションを行い盛り上がりました。懐かしい曲を聴き、歌い、音楽に合わせて指や手、体を動かしたりすることで、脳や心身の活性化が期待できます。今後もこの方法を取り入れていきたいと思います。


〇能美市社会福祉協議会「ぬくもりサロン」
目が不自由の方へ、生活に役立つ情報提供と交流を兼ねて開催されている「ぬくもりサロン」のクリスマス会にお招きいただきました。楽しい時間を過ごしていただけるように、クリスマス曲に合わせて鈴を振ってもらったり、ウクレレの指版のどこも押さえずに弾いても綺麗(きれい)な和音になるようにチューニングして、一緒に参加しやすい内容に工夫しました。

ウクレレの音色や感触を身近に感じてとても興味を持っていただき、楽器経験のある方は音を聴きながら音階を探って演奏されようとしていらっしゃいました。


D.ウクレレイベント出演

〇ウクレレオーケストラまつり(主催:金沢ウクレレオーケストラ)
石川県のウクレレ文化の活性化とウクレレ普及を行う文化事業として3年計画で開催されたウクレレオーケストラまつり。石川県の金沢市、白山市、羽咋市のウクレレ団体と一緒に3回出演しました。各団体それぞれに特色がある演奏で、私たちはアンサンブル、弾き語り、フラから各1曲ずつ選曲しました。

アンサンブルではフルートをフィーチャーして「世界の約束」(スタジオジブリ制作映画「ハウルの動く城」の主題歌)弾き語りではコーラスをアレンジした『Rose』(1979年に公開されたアメリカ映画ローズの主題歌)フラではダイアモンドヘッド(ハワイのオアフ島にある有名な山)を歌った『カイマナヒラ』(*4)など、演出に趣向を凝らしてお届けしました。フィナーレは100人ほどの出演者全員で演奏しました。

*4)『カイマナヒラ』:『アロハ・オエ』『小さな竹の橋』『ブルー・ハワイ』とともに有名な曲の一つ。





〇「ウクレレパイナin金沢」(主催:ウクレレパイナ金沢)
2013年から毎年8月に金沢市の中心部に位置する「しいのき迎賓館」で開催されている北陸最大級のウクレレイベントです。県内外から多くのウクレレパフォーマー、フラダンサーが集います。私たちは2016年から4回出演させていただきました。大きな野外ステージで、ウクレレオーケストラまつり同様、アンサンブル、弾き語り、フラ曲をお届けしました。このイベントを目標にして完成度を高めるために練習を重ねた曲は、私たちのレパートリー曲として定着しています。


E.発表会・体験会・演奏会の開催

2020年4月から2年間は新型コロナの感染拡大により、Zoomを利用したオンラインでのレッスンを行ってきました。昨今少しずつ規制が緩和されてきたのでサークル結成から7周年ということもあり、地元能美市でウクレレの発表会・体験会・演奏会を企画しました。

カフェのギャラリー会場を使用し三部構成で開催しました。特別演奏会として、講師の先生方はじめ、金沢ウクレレオーケストラ、アロンとマロンの方々にお越しいただきました。


午前の部(発表会)は、個々や小グループで目標を持って練習してきたソロ弾き、弾き語り、アンサンブル、フラの練習成果を発表し、交流を深めながらメンバー同士が刺激を受ける機会となりました。

午後の部(体験会・演奏会)は、感染症対策(定員制・事前予約制・一部オンライン配信)を行いながら、素敵な方々と音楽でつながり、暖かい雰囲気の中で開催することができました。

これまで7年間の活動に関わっていただいた全ての皆様に心から感謝の気持ちで一杯です。

3.課題と抱負

(1)課題

それぞれの方の目的や演奏力に応じて、コミュニティを目的とした気軽に楽しめる場づくり、初心者の方向けの練習、スキルアップを目的とした難易度の練習など、バランスを取りながら活動する事が重要と感じています。

モチベーションの維持、レパートリーの拡大につながり、達成感や充実感も得られるように、発表会を定期的に開催するなど明確な目標も設定できればと思います。

(2)抱負

これまでの経験を踏まえ今後に向けて、魅力的なコンセプトのイベントを皆で協力し合いながら企画・開催したいと思います。具体的には他の団体との共演や、様々な分野・楽器とのコラボレーション、新しいウクレレの楽しみ方を体験できる機会を創出します。

このような活動を通して、地域に暮らす人たちが音楽の楽しさを分かち合い輪を広げる一助となれば幸いです。


(2023年4月17日公開)


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