活動事例

協議会 活動事例

「どの人も◯◯に◯◯る」鍵盤ハーモニカで、身近に音楽を!アンサンブルの楽しさをお伝えしたい

(2023年05月08日公開)

全国生涯学習音楽指導員協議会 京滋支部代表 関西鍵盤ハーモニカオーケストラ 広報担当 京都府 石角朋美さん

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■活動テーマ:
「どの人も◯◯に◯◯る」鍵盤ハーモニカで、身近に音楽を!アンサンブルの楽しさをお伝えしたい
(○○の答えは最後の方に)
■目次:
■活動開始時期:
2018年~現在
■場所:
関西圏内のこども園、小学校、高齢者施設、ホテル、ライブハウス他
■対象:
幼児~高齢者
■活動内容

1.きっかけ

YAMAHA講師仲間の友人たちが、鍵盤ハーモニカ(*1)の第一人者である松田昌先生のレッスンを楽しんで受講されていることを知り、私も一緒に習い始めました。ある日のレッスンに、「関西鍵盤ハーモニカオーケストラ」の副団長が新楽団設立に当たり団員募集の宣伝に来られました。まずお人柄に惚(ほ)れ、まっさらな楽団を一緒に創り上げるというのが魅力的ですぐに入団し、今の活動のきっかけとなりました。現在広報担当をしています。演奏経験が異なる人たちをどうやってまとめるのだろう?と思っていましたが、チーム編成や目標設定など様々な工夫を経て、現在とても居心地の良いチームができています。

*1)鍵盤ハーモニカ:吹き口に息を吹き込んで金属のリードを鳴らす鍵盤楽器。「ピアニカ」「メロディオン」と呼ばれているのはメーカーの商標登録名。機種はアルト、ソプラノ、バスなどがあり、アルトの中でも小学校では主に32鍵(鍵盤の数)、楽団では37鍵・44鍵を使用している。

2.関西鍵盤ハーモニカオーケストラとは

2018年9月に、団長の下條尚子と副団長の広川由美子により設立されました。前身はこのお2人が学生時代に結成した鍵盤ハーモニカアンサンブルグループです。卒業後「鍵盤ハーモニカでしかできない面白いアンサンブルをしたい!」という情熱により、関西鍵盤ハーモニカオーケストラは誕生しました。設立時から心がけていることは下記の4点です。

  1. 地域の人々を音楽の力で繋(つな)げること
  2. 楽しいという本能的なトキメキを大切にすること
  3. メンバー同士がお互いの音楽性・人柄を尊重し合うこと
  4. 小学校で使用する楽器というイメージを越えた、鍵盤ハーモニカの持つ無限の可能性を演奏で証明すること

2人が作曲の専攻出身ということもあり、鍵盤ハーモニカのために編曲したオリジナルレパートリー作りをしており、他にはない楽団の魅力です。現在、団員は35名が在籍しています。所属メンバーにはプロの演奏家、音楽指導者、子育て中の人、学生、主婦、現役の勤め人など、性別・年齢問わず10〜60代のメンバーがいます。現在もメンバー募集中です。練習は月2回(1回4時間)、JR高槻駅から徒歩約1分のクロスパル高槻という施設を借り、「もう一度観(み)たい!聴きたい!」と思っていただけるようなステージ作りを、メンバー全員でアイディアを出し合いながら、練習に励んでいます。

3.具体的な内容

A. こども園・小学校の芸術鑑賞会

子供たちに鍵盤ハーモニカの魅力を伝えることを目的に、2020年11月楽団として最初の芸術鑑賞会での演奏を行いました。これは楽団の存在をSNSで知って下さった奈良県内の小学校の先生からのご依頼でした。当時はコロナ禍のため、授業では鍵盤ハーモニカを使用することができず、学年によっては、鍵盤ハーモニカを吹いたことがない児童もいるので、是非演奏を聴かせてあげてほしいという理由でした。

芸術鑑賞会の公演は大変ご好評いただき、その後その先生の異動先小学校の芸術鑑賞会にも招いてもらいました。公演を観(み)た生徒たちに「楽しかったー!」と感動してもらい、弟や妹が通う併設のこども園でも是非演奏してほしいと依頼を受けました。この流れで演奏活動の場が広がり大変有り難いご縁を頂いています。芸術鑑賞会では音符カード(下記写真参照)を使い、手拍子での参加型のプログラムも用意します。楽団名物の漬物樽や炊飯器の釜等で作った日用品ドラムとの演奏は、大変興味深く聴いていただきました。

B.イベント・フェスティバル・ライブ

鍵盤ハーモニカアンサンブルの可能性を広げることを目的として、これまでに大阪府吹田市の音楽フェスティバルやライブ会場での演奏、京都府亀岡市のジャズフェス、大阪市内のホテルのイベント等様々な場で活動してきました。実際にお客様に目で見て生音を肌で感じていただける演奏を心掛けています。クラシック・ジャズ・ポップス・タンゴ・アニメソング等、ジャンルに偏らないレパートリーを用意します。私自身がパーカッション経験者ということもあり、手作り打楽器の導入を提案します。珍しさとともに楽団の総合的な演奏のクオリティに対し大変高い評価を頂いています。また、2022年5月に、JR高槻駅前のアクトドームでは初の楽団自主企画の無料野外ライブを行いました。約100名を超えるお客様が立ち止まって聴いてくださり、この日の演奏をきっかけに入団したメンバーもいます。

C.絆(きずな)とチームワークを高めるための団内レクリエーション

練習日にはメンバー自身が飽きないために、団内レクリエーションとして自ら企画します。ハロウィンには、それぞれ仮装して練習にのぞみました。また、クリスマスには鍵盤ハーモニカとハンドベルのアンサンブルや、ウエットティッシュで紐(ひも)を引っぱるとアヒルの声のような音がする手作り楽器を、「おしゃべりなアヒル」(成田和夫詞・曲)という歌に合わせて鳴らし、皆が笑顔で音楽を楽しむ気持ちを忘れず維持できるように工夫しています。楽団が設立した翌年からコロナ禍となり、思う様に練習ができなかったこともありました。しかし離れていても心を1つにするために、それぞれのパートの演奏動画を編集して、YouTubeに投稿することも試みました。(下記は動画のリンク)

4.課題と抱負

(1)課題

現在、団員の世代に偏りがあり、10~20代の若い世代が少ないことが課題の1つです。オーケストラ楽団としてはまだまだ歴史が浅く、10年20年先も楽団が存続できることを目指しているので裾野を広く層を厚くしていかねばなりません。

もう1つの課題は楽器としての認知向上です。鍵盤&吹奏楽器なので息のコントロールにより、音色と音量を変化することで豊かな演奏表現ができます。しかし小学校の授業で教育楽器として扱われているため、その潜入観念が強くイメージを一掃することが重要です。

(2)抱負

広報担当としてSNSの投稿やYouTubeの動画投稿を更に強化し、鍵盤ハーモニカの魅力を伝えるため普及活動に力を入れていきたいと思っています。最初のタイトルに書かせていただきましたが、私どもは鍵盤ハーモニカは、「どの人も◯◯に◯◯る」楽器だと考えています。この◯の空白には、人それぞれの生き方や価値観で違う言葉が入ります。

例えば、

  • ・どの人も手軽に始められる
  • ・どの人も主役になれる
  • ・どの人も魅力にハマる
  • ・どの人もすばらしい仲間に出会える
  • ・どの人も一生続けたくなる等

どの人にも学校で1度は鍵盤ハーモニカに触れる機会があったと思います。そこが他の楽器にはない最大の強みです。親しみのある楽器だからこそ更に面白さを研究し発信し続けていきたいと思っています。将来の夢は、楽団の存続以外に全国の学校で大人数の鍵盤ハーモニカアンサンブルが、吹奏楽部や軽音楽部に並ぶ部活になることを心から願っています。そのためには、鍵盤ハーモニカオーケストラのお手本でいられるような、魅力ある楽団をこれからも目指してまいります。

(2023年5月8日公開)

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