地域音楽コーディネータ― ヴォーカリスト、ヴォイストレーナー、介護士、音楽健康指導士、口腔機能指導員 大阪府 池田弥生さん
- ■活動テーマ:
- 心のサプリメントをあなたに…
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2005年~現在(2021年、2022年はコロナ禍で活動休止)
- ■場所:
- 大阪府堺市の病院、兵庫県(宝塚第1病院、ケアヴィラ伊丹、ケアヴィラ宝塚)、京都府六地蔵病院
- ■対象:
- 幼児~90代 介護施設の入居、利用者、病院の患者とご家族
- ■活動内容
1.きっかけ
私の家族が長期入院していた頃、心身ともに疲れておりました。仕事の現場(歌の指導)へ行くと不思議に日常の辛(つら)さから解放され、音楽の力を再認識しました。この私自身の体験から現在入院されている方や付き添われているご家族に、一時でも音楽で『笑顔』になれる安らぎの場を与えたいという想(おも)いが募っていきました。2005年、友人から病院でのコンサートの機会を与えていただきました。この活動を続けるためには介護士の勉強も必要と思い資格を取得しました。介護施設、病院での癒(い)やしのコンサートを15年間(延べ76回)実施しています。コロナ禍は休止しておりましたが今年2023年より活動再開し16年目に入りました。
2.具体的な内容
(1)目的
<病院の場合>
- 患者とご家族に『笑顔・元気』になっていただく
- 治療などの辛(つら)さを少しでも忘れる時間を作る
<介護施設の場合>
- 利用者、入居者の認知症の進行を抑える
- 嚥下(えんげ)機能の低下を防ぐための補助
病院などは七夕とかクリスマスなど季節の行事に合わせて年に1〜2回程度行います。介護施設は始めた当初は毎月1回行っておりましたが、現在は2〜3か月に1度ぐらいのペースです。1回のコンサート時間は45分〜1時間です。
(2)コンサート内容
歌を聴いてもらうだけでなく、一緒に参加して歌っていただく場面を必ず作ります。扱う曲は唱歌・童謡を中心に昭和歌謡・JPOP、ときには洋楽も入れます。
例:唱歌・童謡「春の小川」「夏の思い出」「どんぐりころころ」他
歌謡曲:星影の小径(ちあきなおみ)、童神(NHKの連続テレビ小説「ちゅらさん」の挿入歌)涙くんさよなら(坂本 九)他
洋楽:Amazing Grace、White Christmas 他
コンサート中盤には『歌いながら手遊び』を入れて一緒に楽しみます。また私が司会者役となって参加者同士のコミュニケーションの時間を設けます。話題は季節やニュース、子供の頃の話など多岐に渡り、その時々の参加者の表情を見ながら臨機応変に変えていきます。
(3)参加者の声
病院での参加者の方々は、いつも終わるときには『また来てね』と待ち望んでくださる言葉をかけてくれます。「退院したらコンサートに行きたい」という感想もありました。認知症の方が多い介護施設では、数か月に1度しか行かないのに、コンサートのある日は『先生来てくれるからお風呂はあとで』と私の声を覚えていてくださっているようで効果があり、認知症予防の一つになっているのだと思われます。
3.課題と抱負
(1)課題
始めた当初はどのような曲が喜ばれるのか分からず、いろいろ試しておりましたが参加者の中で途中退席される方が見えました。その反省から試行錯誤しながら全体構成を見直し、選曲も十分考慮していった結果現在では退席される方が一人もいなくなりました。今後このコンサートを継続していくには対象者の生まれた年代が、18年前に始めた頃と変わっています。時代の変化、世代に合わせその都度、音楽や話す内容なども常にアップグレードしていかなければなりません。
(2)抱負
これからこのような活動をしたいと希望される方々の指導も行い、仲間を増やしながら活動の幅を広げていきます。現在日本は少子高齢化のスピードが加速しています。その中、音楽が「心のサプリメント」としての役割・効果があることを多くの方々に認知していただけるような活動を続けていきます。そのためには私自身のスキルをもっと上げることが必要不可欠と思い介護福祉士、ケアーマネージャーの国家資格を取得するために勉強中です。これからまだまだ夢に向かって歩いていこうと思います。
(2023年5月19日公開)
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