活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】リアル&オンライン。「つながる」喜びを歌イベントで

(2023年07月24日公開)

地域音楽コーディネータ― ボイストレーナー 福岡県 吉田恵さん

オンラインイベント「Happy Xmas The Movie」
オンラインイベント「Happy Xmas The Movie」
■活動テーマ:
リアル&オンライン。「つながる」喜びを歌イベントで
■目次:
■活動開始時期:
2002年~現在
■場所:
福岡県(ヤマハミュージック天神センター、ヨシダ楽器イオン伊都店)
大分県(カネトウ楽器下郡センター)
長崎県(ヤマハミュージック長崎ココウォークセンター、北センター、原田楽器)
■対象:
小学生~80代
■活動内容

1.きっかけ

福岡県、大分県、長崎県3県、計6会場でボイストレーナーとしてボーカルやゴスペル等を教えています。各会場では、会場主催で定期的に発表会が開催されているところ、そうでないところ様々です。
発表する場を設けることは学ぶ側(がわ)、教える側(がわ)共々練習のモチベーションや目標設定としてとても大切なことです。
練習した成果を誰かに届ける、そこにはレッスン室で練習しているだけでは学べない喜びや達成感があります。特にゴスペルはこの音楽が持っているグループパワーを発散し一体感を得ることができます。講師としてすべての生徒さんに何らかの方法で発表出来る機会を提供したいという思いから、発表会がないところではクラスコンサートを企画したのが自主イベント開催の始まりです。また、その地域のイベントに積極的に参加させていただいたりするようにもなりました。

2.具体的な内容

A.オンラインイベント「Happy Xmas The Movie」

(1)目的と方法

しかしコロナ渦でマスクを付けたレッスン期間が長く続き、発表会開催が困難になりました。それでも普段の様に笑顔でレッスンに通って下さる生徒さんにマスクを外して伸び伸びと歌う場所を提供するにはどのような方法があるか考え、オンラインでイベントを開催するアイデアが生まれました。この企画を会場の担当者へ提案し快諾していただき2021年、2022年と2年連続で実施しました。
方法としては各生徒さんに自宅などでマスクを外して歌っている動画を送っていただき、それを私が編集して歌番組のようなムービーを作り配信する形です。配信先は限定にしてURLを受け取った人のみが閲覧できるようにしました。時期はクリスマスの3日間です。理由は今までこの時期によくイベントを開催していたので1年の最後に「色々制約があるけれど歌い続けて良かったなぁ」と感じて頂きたかったからです。

(2)メリット

最初の年は企画から編集まで手探り状態で時間と労力を費やしました。参加された方も新しいことにチャレンジし大変だったと察します。しかし進めていく中で、この方式は生のステージのような臨場感は出せませんが幾つかのメリットがあることに気付きました。

  1. 住んでいる場所や通っている教室が離れていても皆で歌を楽しめる
  2. 会場の制約がないので、多くの人が参加しやすい
  3. 自分の都合の良い時間と場所で歌を録画できる
  4. 編集された動画を自宅で家族や友人と共有でき感動を得られる

(3)効果

2回のイベントは好評でした。参加された方はもちろん動画は送れなかったけど閲覧したという方々からもうれしいメッセージが届きました。特にイベントの最後を飾ったリモート合唱には、多くの方から感動したという声も聞きました。また下記の感謝の言葉も頂き、指導者として感無量です。
「コロナでステイホームが推奨されるようになり、これまでできたことができなくなってしまったときに感じた寂しさとか閉塞感を仕方ないと皆が諦めていたと思います。そんなときにあの企画を知って心が躍ったのはきっと私だけではないと思います。編集してもらった動画を観(み)て泣きそうになったのも私だけではないはず。一緒に歌える仲間がいて、歌う時間があって、こちらこそ感謝しています。」

<他の感想>

  • ・会ったこともない遠い町の人と一緒に歌うことができ感動でした。
  • ・コロナで気持ちが沈んだ1年、最後にこんなすばらしいイベントに参加でき、歌い続けて良かったと心から思いました。
  • ・この動画のために部屋を飾って衣装を着て歌を練習する準備時間も楽しかったです。
  • ・クリスマス期間は仕事でしたが、休憩中に動画を観(み)て誰かと一緒に過ごしている気分になれました。
  • ・最初は一人で、その後家族で観(み)て最後は友人も呼んで大鑑賞会、大好きな人たちと笑って歌って最高の3日間でした。
  • ・動画発表会を初めて観(み)ましたが、ステージとはまた違った魅力がありました。

「歌う」ことで「つながる」そこに私たちはこんなにも幸せを感じることができるのだと実感しました。今後もこの経験を活(い)かし生演奏会とオンライン両方の良さを効果的に使い進めていきたいと思います。

B.ギャラリー&ライブイベント「Tears Of Women」

開催日:2019年8月11日 場所:長崎市「RAKU GALLERY」

(1)目的

私は音楽以外に写真撮影・絵を描くこと、またそれらを鑑賞するのも好きです。生徒さんも同様に他の芸術に興味がある方が多いということに気付き、また友人たちがその頃、様々な創作活動に力を入れていることも知りました。そこで音楽・写真・美術工芸のコラボレーションができるイベントを企画しました。それぞれ違った形での表現方法を楽しみながら交流してもらうことが目的です。

(2)企画

上記の目的の一つで自分のライブイベントも行いたいと考えていたので、「ギャラリー」をコンセプトにしたライブ会場探しを始めました。運よく目的(作品を展示・ライブ演奏・飲食)と予算に合う貸しギャラリーを見つけました。その後音響スタッフの手配、次に友人や妹に企画を説明し、作品出品や当日の会場スタッフなどを依頼しました。食事については予算内でケータリングしてもらえるイタリアンレストランと交渉成立しました。経費決定後、入場料を設定しチケットやフライヤー、作品出品申込書などの制作に取り掛かりました。

(3)内容

展示した作品(写真・絵画・工芸品)を鑑賞後、私のミニライブに耳を傾けていただきました。アンコールでは福岡から駆けつけてくれた生徒さん・長崎の生徒さん方と一緒に大合唱で盛り上がりました。食事は軽食と友人が作ってくれたデザートなどをビュッフェ形式で召し上がっていただきました。イベント終了後、数名の方より「たまたま同じテーブルで一緒になった方と食事を共にしながら一緒に歌い、展示作品について語り合っているうちに仲良くなったと」という話を伺いました。音楽と他の芸術がマリアージュして人と人が「つながる」ことができ、企画して良かったと今も心から思えるイベントです。

C.ボーカル&ゴスペル合同クラスコンサート、イベント出演

(1)目的

歌で「つながる」楽しさを感じて自由にコミュニケーションができる機会を作ることです。縁があって同じコンサートやイベントに参加している者同士、仲良くなってもらえる雰囲気を常に心がけています。

(2)内容

出演者は選曲した曲をこちらが作成した伴奏(カラオケ)で歌います。ボーカル個人は1人1曲、ボーカルグループは2~3曲、ゴスペルは3~6曲、全体の時間は1~2時間です。大まかな流れは毎年同じですが、マンネリ化を防ぐため、必ず新しい要素を取り入れます。生徒さん方の年代が小学生から80代と幅広く、また様々なハンディキャップをお持ちの方もいるので皆が無理なく楽しめるものを考えます。例えば

  1. 出演者同士で質問しあうコーナーを用意
  2. 次の出演者の曲紹介とリハーサルで聴いた歌声の印象などを一言添える(メッセージバトン)
  3. 私が講師演奏で歌う曲のコーラス譜を出演者に渡し、その場で練習して一緒に歌ってもらう
  4. 最近のクラスコンサートでは、メッセージカードと投入箱を置き、リハーサルや本番中に他の出演者へのメッセージや発表会の感想などを自由に書いて投函(とうかん)してもらう等

入場料は基本的に無料です。ただし諫早市の原田楽器の発表会だけは飲食を含むパーティ形式で行っていたので、お客様にもチケット購入いただいていました。またこの会場のゴスペルクラスは毎年、諫早市のお祭りのステージにも参加し、30分ほどのライブで毎回ステージのトリを務めさせていただき大変盛り上がると好評頂きました。

(3)企画から開催まで

<コンサート開催の4~6か月前>

  • ・発表会の基本コンセプトと概要を企画する。趣旨、内容、規模感、日時、会場、収支等
  • ・会場担当者へ企画を提案し日時と出演者、参加費を決める。場をどのような雰囲気にするか(ライブ風に、又はアットホーム的)も事前に決めておく。
  • ・スタッフ体制(人数と役割分担)会場設備・機材関連の確認
  • ・当日までのアクションプラン作り

<3か月前>

  • ・生徒さん方へ開催案内を伝える
  • ・案内後、出演者数と曲目を決定
  • ・コンサート構成とプログラム案を作成

<1か月~2週間前>

  • 出演者が歌う曲のカラオケやBGMをCDに編集し、舞台セッティング表を作成する

<開催日近く>

  • 担当スタッフにプログラムや当日のご案内作成依頼

(4)参加者の感想

  • ・緊張したけどそれ以上に楽しかったです。
  • ・他の出演者の歌が聴けて参考になりました。
  • ・出演者同士仲良くなり、仲間ができてうれしいです。
  • ・年1回、みんなと歌えることに感謝しています。
  • ・次の発表会に向けて目標が見えてきました。等

(5)お客様の感想

  • ・歌っている皆さんが本当に楽しそうで羨ましくなりました。
  • ・毎年皆さんの歌声に元気をもらっています。
  • ・友人の歌が終わったら帰ろうと思いましたが結局最後までいました。いろいろな歌が聴けて楽しかったです。
  • ・家で見る表情とは違って輝いていました。これからも応援していきたいです。等

3.課題と抱負

活動に当たりアイデアはいろいろ思いつくのですが、まだ知識と経験が不足しているのでスムースに実行に移せないでいます。これまでの経験と地域音楽コーディネーター講座で学んだことを参考にして少しずつ基盤を作っていきたいと思います。また同じ目標に向かって一緒に頑張れる仲間と交流する機会を増やし、人脈を広げることが重要と考えます。
今後はオンラインイベント「Happy Xmas The Movie」をリアルイベント「Happy Xmas The Real」として開催したいと思います。各地の生徒が一堂に会しリモート合唱で歌った曲を実際にステージで歌うという違った感動を提供したいです。
もう一つは新企画を考えています。私は大の猫好きで自宅でも2匹飼っており、保護猫活動団体への支援も僅かながら行っています。そのつながりで犬や猫など小さな生命を守るチャリティーイベントを開催できたらいいなと思っています。同じ時代に同じ地域で暮らす人間と動物同士の共存について皆で考え、音楽で豊かな街づくりができたら最高です。実現への道のりは険しそうですが希望を持ち、今の自分ができることから地道に取り組んでいこうと思います。

(2023年7月24日公開)

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