地域音楽コーディネーター シャルテ株式会社代表取締役 岐阜県吹奏楽協会 副理事
サクソフォニスト 岐阜県 小島勇司さん
- ■活動テーマ:
- JAZZ FOR KIDS!こどもだってスィングしたい♪
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2016年から現在
- ■場所:
- 岐阜県各務原市
- ■対象:
- 小学生から中学生まで
- ■活動内容
1.ジャズとの出会い
5歳の頃よりピアノを始めました。中学に入る前に一旦辞めましたが、その後なぜかピアノを弾く時間と好きなバンドで音楽に接する機会が増えてきた影響で音楽に対する興味が深まっていきました。当時夢中になっていた渋谷系(*1)の音楽を聴いているうちに何となくジャズという音楽に通じるものを感じ、少しずつジャズに没頭しました。高校では吹奏楽でサックスを担当し、その影響か大学4年時にジャズの先生に出会い、歴史・理論・演奏法を教えてもらいました。
*1)渋谷系:東京都渋谷を発信地として1990年代に流行した日本のポピュラー音楽。ピチカートファイブやカヒミ・カリィなど。ジャズテイストの楽曲も多数。
2.「リトルバードジャズオーケストラ」立ち上げのきっかけ
帰国後のある日ニューヨークで有名なジャズトランペッターのウィントン・マルサリス(クラシック奏者でもある)が行っていたこども達に向けたジャズのイベント『JAZZ F OR KIDS』を思い出しました。もともと子どもが好きな関係もあり自分のやりたい方向が決まった瞬間でもありました。ぼんやりと過ごしていた中、2011年3月東日本大震災が起こりました。東海地方では直接の被害はなかったものの、当時は自粛ムードで様々な音楽イベントが中止になりました。このままじゃいけないという思いで、すぐこども向けジャズ『プチジャズ』を立ち上げ、幼稚園や保育園、小学校などでジャズコンサートを開催しました。右も左もわからないままスタートしてみると反響は大きく、東海エリアだけでなく全国から依頼がくるようになりました。コンサートを続ける中で、ジャズを聴いた子どもたちの中から、自分たちも演奏したいという声が上がり2016年、有志で子どもだけのジャズバンド「リトルバードジャズオーケストラ」を結成しました。
3.具体的な活動
(1)「リトルバードジャズオーケストラ」とは
「リトルバードジャズオーケストラ」の名称は、ジャズ好きな人にはおなじみのチャーリー・パーカー(*2)が“バード”と呼ばれていたので、小さなバードから名付けました。余談ですが私の名前が小島で、小鳥に似ているという説もあります。
*2)チャーリー・パーカー:アルトサックス奏者・作編曲家。モダンジャズ(ビバップ)を創生しジャズの歴史の一時代を作る。
対象は小学生から中学生までが在籍条件で、最初は4名(サックス、トランペット、ピアノ、ドラム)で始まったバンドです。ほとんどの子どもは初心者からのスタートです。現在サックス3名、トランペット2名、ドラム2名で活動しています。この春に中学3年生が多く卒業し、ピアノ、ベース、トロンボーンが不在となりました。コロナ禍で思うように広報活動ができなかったことも重なり結成以来のピンチです。足りないパートは私が補助しながら練習しています。
(2)目的
- ジャズ音楽の特徴であるアドリブより、独創性と創造性を養う
- 英語の歌詞(発音)よりフレーズの意識を高める
- アンサンブルをすることで協調性を養う
(3)内容
練習は、月3回金曜の夜に1時間程度行っています。コンサート前等には重点的に練習を増やしていますが、基本は個人で事前に練習してきてもらいます。楽器はそれぞれ個人持ちです。コロナ前は、たまに各楽器パートの専門講師をお呼びしていました。コンサートはホールはじめ、地域のお祭りや高齢者施設でも演奏しました。ジャズのスタンダード(*3)を始め、アニメソングや童謡のジャズアレンジなど幅広く演奏しています。ベートーベンの交響曲第9番(第4楽章の歓喜の歌のメロディー)や、ジブリメドレー、デュークエリントン楽団(*4)のテーマ曲「A列車で行こう」等定番曲も増えています。
*3)ジャズのスタンダード:枯葉、星に願いを、ムーンライトセレナーデ等
*4)デュークエリントン楽団:1930年代アメリカで活躍したビッグバンド。そのバンドリーダーで作編曲家、ピアニスト。ジャズを芸術の域までに高めた。「キャラバン」や「Cジャム・ブルース」等が有名。
(4)成果
子どもたちは吸収も早く、特に周りに同世代の仲間がいることで、より切磋琢磨(せっさたくま)できるのです。当初は難しいかと思っていましたが、今は全員ブルース(*5)で簡単なアドリブが取れるようになりました。卒業生には音楽高校に進んだ子、中学生でプロ活動している子もいます。
*5)ブルース:アメリカ南部の黒人の間に誕生した音楽スタイルの名称。1コーラス12小節で成り立ち典型的なコード進行の上にブルーノートという音を使用する。
(5)聴衆の感想(昨年のコンサートのアンケートより)
「JAZZ FOR KIDS in岐阜2022」スペシャルゲスト大森明カルテット
- ・子どもたちが輝いている姿を見ることができて、とても楽しかったです。
- ・リトルバードの皆さんの演奏が本当にすばらしかったです。あんなに爽やかでみずみずしくて、スキップしたくなるシンフォニーNo.9を聴いたのは初めてでした。
- ・本格的なジャズのライブは本当に久しぶりで、楽しくて、来て良かったです。一緒に来た子どもも楽しんでいて、ジャズとリトルバードに興味を持ったようです。トロンボーンの方のソロがとても素敵で、自分でも始めてみたくなりました。また皆様の演奏を聴けるイベントに足を運びたいと思います。今日は素敵な時間をありがとうございました。
- ・子どもたちが日々練習を頑張ってきたんだなあということがよく伝わりました。
- ・プロの演奏家の方々もすばらしかったです。さすがプロの演奏!といった感じでした。
- ・音響も良く、聴いていて心地よかったです。また楽しみにしています。
- ・子どもたちの司会による進行は、温かな気持ちになれました。
- ・チラシに設立当初の写真が掲載されており、成長の様子がほほえましいです。
4.課題と今後の抱負
現在一番の課題としてはメンバー編成の維持と募集です。来年からは市の部活地域移行の事業と連携が取れそうですが、現在は民間として活動しているので広報が難しいところです。最近専用のYouTubeチャンネルを開設したので、そちらで認知度を高めていきます。
『リトバチャンネル』チャンネル登録お願いします!
今後は「リトルバードジャズオーケストラ」から巣立った子どもたちも応援し、ジャズの伝道師として地域の音楽仲間と一緒に普及していきたいです。もちろん子どもたちがジャズ以外の道に進んでも、このバンドで培ったものが生かされていくとうれしいです。
(2023年11月8日公開)
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