活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】クラシックサクソフォーンで広げる音楽の楽しさ

(2024年01月09日公開)

地域音楽コーディネーター サクソフォニスト 大阪府 峯脇千春さん

サックス四重奏団「ブリエサクソフォーンカルテット」学校公演の写真
サックス四重奏団「ブリエサクソフォーンカルテット」学校公演の写真
■活動テーマ:
クラシックサクソフォーンで広げる音楽の楽しさ
■目次:
■活動開始時期:
2021年から現在まで
■場所:
大阪府の小・中・高等学校音楽教室、音楽ホールやサロン、地域の施設など
■対象:
子供から高齢者まで
■活動内容

1.きっかけ

サクソフォーンを始めたきっかけは中学校の部活動です。演奏している姿が魅力的でサクソフォーンを希望し始めることができました。その後、日本の音楽大学、フランスの音楽院で学び卒業後、自分の音楽の更なる追求と音楽の楽しさをたくさんの方に広めたいという思いから、演奏家・指導者として活動していくことを決意しました。現在、公立中学校と高校の吹奏楽部の指導他、大学時代の同級生と結成した、「Briller Saxophone Quartet(ブリエサクソフォーンカルテット)」を始めとした室内楽の演奏、そして吹奏楽団「フィルハーモニック・ウィンズ大阪(オオサカン)」をメインとして活動をしています。この三つの活動をご紹介いたします。

2.具体的な活動

A.吹奏楽部指導

(1)目標

部活動は1年中ありますが、特に熱が入るのが夏の吹奏楽コンクールと冬のアンサンブルコンテストです。この時期になると、どの学校もその地区の代表に選出されることと金賞受賞を目指し、レッスン回数が増え練習にも力が入ります。またコンクールだけではなく、定期演奏会、文化祭などの学校行事、地域のイベント等様々な演奏機会があります。どのような場でも全力で、また楽しんで演奏することが目標です。

(2)練習内容

練習は平日の放課後と土日です。休みは毎週二日というところが多いように思います。また、夏休みなどの長期休暇中も精力的に練習します。その理由は、例年7月〜8月に中学校・高校の吹奏楽コンクールがあるからです。関西大会は8月末にあるので、強豪校は夏休みの終わりまでコンクールの練習に取り組んでいることになります。レッスンはそれぞれのパート(各楽器)ごとに担当講師がおり、私はサックスパートを受け持っています。内容は大きく「基礎」とそのときに取り組んでいる「曲」の2つにわけることができ、特に1年を通して基礎的な部分を強化することを目標にしています。練習内容としてはレッスンごとに練習の仕方を工夫して、飽きずに毎日継続できるよう心がけています。

(3)子供たちの反応

どの学校でも子供たちの「上手になりたい」という気持ちはレッスンの部屋に入ったときの表情で感じます。レッスン中、子供たちは課題や注意点などのメモを取りながら受講し、気が引き締まる思いです。また久しぶりにレッスンに行くと、見違えるほど上手になっている子供もおり、この上達したときの子供たちの表情を見ることがうれしく、指導者としての私の生きがいの1つです。

B.サックス四重奏団「ブリエサクソフォーンカルテット」

(1)「ブリエサクソフォーンカルテット」とは

私の母校大阪音楽大学の卒業生4人でサックスの魅力を伝えたいという目的で2022年結成したサックス四重奏団(ソプラノ、アルト、テナー、バリトンサックス)です。楽団名の「ブリエ(Briller)」とは、「輝く」という意味のフランス語で、「多くの方の目や耳にとまるような光り輝く演奏を目指す」という思いを込めて命名しました。

(2)活動内容

サロンコンサートなどの自主公演、地域のイベントや学校公演など、関西を中心に演奏活動を行っています。自主公演ではサクソフォーン四重奏の魅力が最大限伝わることを意識して内容を考え、ポップスやジャズを始め、クラシックのサクソフォーン四重奏のために書かれたオリジナル作品(ボザ作曲「アンダンテとアレグロ」等」も積極的に取り上げています。一般的にサクソフォーンと聞くと、ポップスやジャズのイメージが強いかと思います。しかしクラシックのサクソフォーン(*)の美しい音色やハーモニーも他の楽器に負けず劣らず魅力的です。

*)サクソフォーン:クラシックオーケストラ作品で有名な曲は、ビゼー組曲「アルルの女」より前奏曲、間奏曲。ラベル「ボレロ」、ムソルグスキー(ラベル編曲)「展覧会の絵」より古城等。

そのため、私たちの演奏がクラシックのサクソフォーンを知るきっかけになればと思い、演奏する機会を増やしています。自主公演以外の演奏の場では、いかに音楽を楽しんでもらえるか、また学校公演では子供たちの学びにつながるような内容になることを意識して企画します。場の雰囲気や年齢層によって曲目を変えたり、手拍子や掛け声など、音楽を聴くだけでなく体験する時間を作り、聴いている方が飽きずに楽しめる時間を過ごせるように公演を組み立てます。コンサートはメンバーの知人からの依頼と、登録している大阪府枚方市のアーティストバンクからの紹介で行うことが多いです。

C.フィルハーモニック・ウィンズ大阪

(1)フィルハーモニック・ウィンズ大阪とは

1999年に設立された、日本初のNPO法人吹奏楽団です。また、2011年には豊能町教育委員会と協定を結び、豊能町立ユーベルホールを本拠点とし活動をしています。私は2023年に正式に入団しました。

(2)活動内容

いずみホールでの定期演奏会を始め、クラシック・ポップスなど幅広いレパートリーを意欲的に取り入れた演奏会や、小学校・中学校・高校での学校公演なども多数行っています。また、YouTubeでの動画配信やCDレコーディングも積極的に行っており、これまでにリリースしたCDは60枚を超えます。

学校公演では、それぞれの学校に合わせたプログラムを実施します。レパートリーは教科書に載っているクラシックから、ディズニー、ジブリ、又はポップスなどの耳なじみのある曲など多岐にわたります。更にふだんなかなか見ることのない楽器を知ってもらうための楽器紹介をします。それぞれの楽器ごとに特徴を説明、演奏をしたりすることで、楽器の仕組みや音色を知るきっかけとなります。

全日本吹奏楽コンクール課題曲を始め、様々な楽曲をYouTubeにて公開しております。

また、演奏を聴くだけではなく、子供たちが体験できるコーナーもプログラムに取り入れており、曲に合わせて手拍子をしたり、吹奏楽の演奏に合わせて校歌や卒業式の定番の曲の一つ「Believe」などの合唱曲を一緒に歌ったり参加型のコンサートです。特に指揮者として吹奏楽を指揮する体験では子供たちの緊張感が有りつつも楽しそうな様子が印象的です。

(3)子供たちの反応

様々な楽器がそろっている吹奏楽に物珍しさがあるのか、どのような曲でもこちらをじっと見ながら興味を持って聴いてくれているように思います。また、演奏中に自然と手拍子が加わったり、MCの問いかけに対して大きな声で答えたりと、公演自体を楽しんでいる様子も見受けられます。

3.課題

(1)部活動について

学校の先生の働き方改革により、様々なことが見直されている最中かと思います。廃部、休部する学校もある中、継続していく学校は活動時間が制限されて短くなり、効率的な練習が求められます。それぞれの部活に専門的な知識を持つ講師が携わることで、より良い活動につながるのではないでしょうか。また私たちにも講師としての力が求められたとき、すぐに対応できるような準備が必要ではないかと思います。それは指揮や専門楽器サクソフォーン以外の楽器の知識を深めていくことが現在の課題です。指揮は一度に大人数を見るときは音楽を総合的に捉えスムーズに進めることができます。木管セクション(フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット)などを指導する際それぞれの楽器の仕組みを知っているとより細かい指導につなげることができます。

(2)演奏家として

自分自身のファン、そしてクラシックファンをどのように増やしていけるかが課題であると考えています。会場に足を運んでいただき演奏を聴き興味を持ってくださる聴衆が増えることで、演奏家たちは演奏機会を更に増やし、新しいことへの挑戦ができるようになります。この新規顧客の獲得と、そのリピーター化が自分自身にとっても、クラシック音楽界でも必要なことです。

4.今後の抱負

私の目標は、誰でも気軽に楽しんでもらえる音楽を届けることです。質の高い演奏や指導はもちろんですが、魅力ある企画内容がポイントと思います。MCやレッスン時の話し方・音楽を通した体験など、聴衆が時間とお金をかけて満足できる時間を作っていくことです。現在の活動は主に関西ですが、違う地方や海外にも私の音楽を届けていきたいです。

(2024年1月9日公開)

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