活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】「音楽を未来に繋げよう」

(2024年04月15日公開)

地域音楽コーディネーター とよかわ吹奏楽団 団長 愛知県 生田静代さん

第47回定期演奏会
第47回定期演奏会
■活動テーマ:
「音楽を未来に繋げよう」
■目次:
■活動開始時期:
2020年~現在
■場所:
豊川市御津生涯学習センター、豊川市文化会館、豊川市御津文化会館ハートフルホール、豊川市小坂井文化会館フロイデンホールなど
■対象:
10代~60代
■活動内容

1.きっかけ

私は4人の子どもがおり、長い間子育てに追われていました。1番下の子が小学校高学年になると一緒に出掛ける機会も少なくなり、親として寂しい気持ちに駆られました。ここで子離れするためにも良いタイミングと思い、何か生涯続けられる趣味を持とうと考えたのが学生時代に夢中になった吹奏楽部でした。SNSで地元に「御津吹奏楽団」(当時のとよかわ吹奏楽団の名称)があることを知り、練習を見学しに行きました。その姿を見て再開したい気持ちが強くなり2015年に入団したのが現在の活動の始まりです。

当時の私は学生以来25年ぶりぐらいに楽器を手にしたので、演奏技術等とても苦労しました。それでも合奏はとても楽しかったので基礎練習を重ね、あるとき、団員から「良い音になってきたね」と褒められるとうれしさと同時に向上心が高まりました。

入団から5年後、前団長から後任の団長にとお声がかかりました。正直なところ「なぜ、私に?」と言うのが最初の思いでした。自己分析すると、私の音楽に向き合う姿勢や、団への熱意をくみ取っていただけたのだと思っています。推薦していただいた以上、吹奏楽の魅力を地域に普及啓蒙(けいもう)し、まず市民吹奏楽団である「とよかわ吹奏楽団」と言う名前も広く市民に知っていただきたいと言う思いで活動をしております。今回この楽団と、裾野を広げるため設立した「とよかわ吹奏楽アカデミー」の活動をご紹介いたします。

2.具体的な内容

(1)とよかわ吹奏楽団とは

とよかわ吹奏楽団は1974年、御津(ミト)中学校OBのたった7人で始めた小さなサークルでした。中学を卒業すると皆、それぞれの道へ別れてしまいます。当時地域にはまだ吹奏楽団はなく、楽器を演奏する場所はありませんでした。楽器を吹きたい、音楽を楽しみたいと言う仲間が集い、それなら自分たちで作ってしまおうとMMC(ミト•ミュージック•サークル)を設立し活動を始めました。3年後には「御津吹奏楽団」と名称を改め、第1回定期演奏会を開催。昭和、平成、令和と駆け抜け、2015年豊川市への合併に伴い「とよかわ吹奏楽団」と改名し、市民吹奏楽団として時代とともに変化しながら成長をし続けています。

2025年度は50周年を迎えます。定期演奏会以外にも近隣楽団との合同アンサンブルコンサートや地域に密着した行事にも積極的に参加しています。現在、団員は10代から60代のアマチュア30名ほどで活動しております。練習は水曜日の夜の個人練習2時間、土曜日は夜の合奏2時間、また月1回日曜日4時間行います。

(2)「とよかわ吹奏楽団」活動内容

A.定期演奏会

2023年12月10日(日)に豊川市文化会館大ホールにて第47回定期演奏会を開催いたしました。全体は3部で構成し、第2部は2023年設立したばかりの「とよかわ吹奏楽アカデミー」に賛助出演してもらいました。(3)を参照
第1部はヨハン・シュトラウスⅡ世作曲の喜歌劇「こうもり」序曲他クラッシック音楽、第3部はディズニー楽曲等のポップス中心の曲を演奏しました。

B.合同アンサンブルコンサート

毎年に2月に豊橋ウィンドアンサンブル、トロンボーンアンサンブル『響人』、穂の国サックスアンサンブル、とよかわ吹奏楽団を中心にアンサンブル•コンサートを開催しています。このコンサートは個々の技量の向上と近隣団体としての親睦を図るためを目的として開催します。毎年20を超える多くのグループが参加し発表をしています。

C.地域貢献

地域に根差した活動を様々な場所で行っています。
2023年の活動
・御津商工会議所様主催の「みとふれあいまつり2023」
・豊川音楽協会様主催の「第35回ほーほう音楽祭」
・豊川市本町商店街振興組合様主催の「本町ナイト」「ほいとも祭」
・一般社団法人中部大道芸まちづくり協会様主催の「東三河超文化祭2023」を豊橋総合動植物公園のんほいパーク他幼稚園や飲食店
また、「とよかわ吹奏楽団」は豊川市のボランティア団体として登録しています。年2回の豊川市清掃活動の日には、ふだんお世話になっている御津生涯学習センター周辺の清掃活動に市民の皆さんとともに積極的に参加をしています。

(3)とよかわ吹奏楽アカデミーの立ち上げと活動

2023年5月より部活動の地域移行に先駆け、学校の垣根を越えて中高校生の受皿になろうと「とよかわ吹奏楽アカデミー」を立ち上げました。少子化と言われる昨今、また働き方改革のために部活動の削減が重なり、どれだけの子どもたちが感受性豊かな時期に音楽に触れ合うことから遠ざけられているでしょうか?この様な状況を改善するには地域ぐるみで考え作り上げねばなりません。吹奏楽を楽しむには、楽器、楽譜、演奏(練習)する場所が必要です。設立するに当たり地域の力を仰ぎました。

  1. 豊川市教育委員会、豊川市の中学校吹奏楽部と部活顧問会議で設立のための協力依頼
  2. 地域の楽器店(株)オンエント楽器様へレンタル楽器やリペアの協力依頼
  3. 活動拠点を御津生涯学習センターに設定
  4. スタッフを「とよかわ吹奏楽団」団員の中か協力できる人を集める
  5. 指揮者は「とよかわ吹奏楽団」の音楽監督である亀井明良先生に依頼。各パートの講師は亀井先生の指導方針に賛同していただける方に声掛け
  6. 募集方法については、 ・先の部活顧問会議にて子どもたちに薦めていただくように依頼 ・市教育委員会にチラシを各学校に配布依頼 ・SNSで「とよかわ吹奏楽アカデミー」のアカウントを作成し宣伝 とよかわ吹奏楽団Instagram

前記の第47回とよかわ吹奏楽団定期演奏会では初披露演奏曲として、アメリカの作曲家で学生バンドの吹奏楽品を多数書いたジョセフ•オリヴァドーティの「序曲ばらの謝肉祭」を演奏しました。この曲は場面ごとに区切りながら演奏し、子どもたち自身が曲から想像する物語(解説)を発表する形をとりました。お客様より「すばらしい取り組みです。もっとたくさんの子どもたちが参加して、ステージが子どもたちでいっぱいになると良いなと思いました。」「私も皆さんと一緒に演奏したいと思いました。」等、大好評を頂きました。 「とよかわ吹奏楽アカデミー」を設立したことにより本物の音楽に触れ合い、楽器を学び、楽しむ。そのような活動場所になれたらと思います。将来的には「とよかわ吹奏楽団」の団員となっていただき、また次世代の子どもたちにつなげ、吹奏楽界を衰退させない、という思いで活動をしています。

3.成果と課題

2023年5月のアカデミー開講から半年ほどで初の発表の場を迎えることができました。延べ人数約60名のアカデミー参加者の中から、希望者のみ定期演奏会に参加していただきました。お客様から好評価を頂き、一定の成果は出たと自負しています。しかし、手探りしながらスタートしてしまった課題は山積しています。
例えば、スケジュール面は
1.各種テストや学校行事との兼ね合いはどうするか?
2.学年によってレッスン希望内容が違うので対応を検討せねばなりません。
他には参加費をもっと安価にしてほしいとの要望もあります。来期に向けて子どもたちがもっと気軽に参加していただけるような環境と体制を早急に作ります。

4.抱負

人生の中で音楽は欠かせないものだと思います。曲によっては心か癒やされたり、勇気付けられたり、昔を懐かしく思い出すこともできます。またスポーツなどと違い音楽は、年齢や性別、楽器の経験年数などは関係なく、1つの音楽を皆で一緒に奏で作り上げる喜びがあります。今後はアカデミーを中高校生のためだけではなく誰でも、いつからでも楽器が始めることができ、皆で音楽を学び楽しめる場にしていきたいです。それを推進するには団長として、更に市民・自治体・商工会議所・音楽協会等を繋ぎ、コーディネートしていくのが私の使命と考えます。

(2024年4月15日公開)

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