地域音楽コーディネーター 美郷ジャズオーケストラ団長 秋田県美郷町 扇田亮さん
- ■活動テーマ:
- 私たちの町にはジャズがある
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2008年~現在
- ■場所:
- 美郷町の神社、道の駅、各種施設、秋田県内のコンサートホール・ホテル
- ■対象:
- 一般
- ■活動内容
1.きっかけ
(1)ジャズとの出会い
私は小学校の4年生から音楽部でトランペットを始め、中学・高校・大学、社会人となった現在も続けています。学生時代は指揮や編曲なども好きで音大を目指す選択肢もありましたが、当時はものづくりに憧れ工学部を専攻しました。大学ではジャズ研究会に興味を持ち、そこから大学の吹奏楽団にあるジャズのビッグバンドに魅了され入部しました。3年次・4年次は演奏のみならずバンドマスターとして指導も担当し、4年次には首席奏者として活動できました。その間、地元バンドのサポートをしたり、有名芸能人のバッグバンドのヘルプに入ったこともあり大きな財産を得ました。
(2)美郷ジャズオーケストラの立ち上げ
社会人となり県外へ就職、その後地元美郷町(*1)へ帰郷し家業の燃料販売店を継ぐこととなりました。最初は仕事で精一杯でしたが少し余裕ができ、音楽を再開しようと思ったとき、町民から地元に楽しみがあまりないという声を聞きました。そこで自分がこの町で何か貢献したいという気持ちになり、思いついたのが大学時代にのめりこんだジャズ、規模の大きいビッグバンドにしようと考え2008年「美郷ジャズオーケストラ(lafestaMST)」を立ち上げ現在16年目になります。
*1)美郷町:秋田県の南部に位置し、東は奥羽山脈を境に岩手県、南には横手市がある。町中には多くの湧水があり名水百選に選定された水の豊かな町。
2.具体的な内容
(1)「美郷ジャズオーケストラ(lafestaMST)とは
発足してから16年間、美郷町を拠点に町内のイベント・文化祭や仙台で開催されている「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」にも参加しています。本年は地元の総合宴会場と共催で能登半島地震へのチャリティコンサートを満員のお客様の中で行い大変好評でした。義援金も予想を超える金額17万円を送ることができました。
<メンバー>
ほとんどが吹奏楽経験者のアマチュアですが、ジャズをきっかけに楽器を再開した人やプロで活動している方も数名います。総勢20名弱ですが、県内各地にサポートメンバーがおり30名程度で活動しています。編成はトランペット、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、トロンボーン、ベース、ギター、キーボード、ドラムス、パーカッションとヴォーカルです。
<練習>
練習は社会人が多いので月に2回ほど集中して行います。連絡や指示を明確にし、少ない練習で仕上がるプログラムを組みます。
場所は美郷町の芸術文化協会に加盟することで定期での場所の予約と利用料の減免等のメリットがあります。
(2)活動内容
定期コンサートは行わず、地元のお祭りや音楽フェスなどで演奏をしています。また地域の伝統芸能に対し積極的にコラボ企画を持ち掛け、お互いの認知度UPや集客に対してのアプローチを提供しています。特に好評なのが美郷町六郷にある熊野神社の祭礼・宵宮祭に夜を徹して行われる「かけ唄」とジャズのコラボです。「かけ唄」は仙北の民謡に即興歌詞を付けて歌います。ここに同じ即興性があるジャズと相性が良いと思い始めました。今では「じんじゃず」として名前も定着し、Youtubeや配信などで世界中に拡散されています。
コンサートの際は、私が先方へ企画を提案し、内容・予算などを受けてバンドに反映します。曲についてはジャズを念頭に置きますが映画音楽、演歌、ポップス、洋楽など持ち曲を柔軟に選びます。しかし、地方ではジャズよりも歌謡曲のような大衆性のある曲が好まれます。
3.成果と課題
(1)成果
一番の成果は、冠に「美郷」がつくことによる町のPRができていることです。東京や仙台などへ演奏旅行に行くこともあり、そこで「美郷ジャズオーケストラ(lafestaMST)」参加の名前を見て駆けつけてくれる同郷の方々もいます。15年も続けると「美郷町はジャズの町だよね」と良く言われます。演奏も多種多様な曲を準備するので、いつも多くの皆様に楽しんでいただいています。
(2)課題
大きな編成を長期間、維持継続するにはメンバーの補充が必要なパートも出てきています。私の役割は広報活動、そして県内のライブハウスなどへ出向き、一緒にセッションなどを通して活動できる仲間を増やすことだと思っています。
4.抱負
「第29回国民文化祭・あきた2014」で全国からジャズのビッグバンドを美郷町に集め美郷ジャズもホストバンドとして動きました。またゲストに有名なジャズトランぺッター日野皓正さんを迎えライブを行いました。この催しはジャズの生演奏を聴く機会が少ない住民に大変喜ばれ、ジャズの魅力を感じてもらったと思います。観客動員数も2000人弱と、美郷町過去最大の音楽イベントとなりました。日野皓正さんは2023年にも美郷町でのライブ企画を私が立て、チケットは即完売の人気でした。
これまでの経験を生かし、現在は仲間とともに秋田県の中で様々な企画・提案を行政他にアプローチしていきます。例えばセッションバンドを作り県内や県外に進出することや、音楽大学、著名な音楽家とのコネクションを築くことが重要と考えます。妻の泰子はチェコのプラハに10年以上トランペットで音楽留学し、プラハ音楽院・プラハ芸術アカデミーを首席卒業した経歴があります。本年はプラハへ出向き夫婦で演奏もしてきました。15年築き上げてきた活動を基盤に、これからも音楽で地元を活性化し楽しんでもらえる場所づくりをしていきます。更に音楽系の資格の取得を目指していきたいですね。
地域音楽コーディネーターや生涯学習音楽指導員として皆さまの活動を掲載しませんか?
活動紹介やイベント告知をご希望の方は、下記のページをご覧ください
音楽文化創造では、地域音楽コーディネーター資格取得の養成講座を実施しております。
詳しくは下記をご覧ください。