地域音楽コーディネーター 音楽サポート事業「toitoitoi! music」主宰 鹿児島市 藤田香織さん
- ■活動テーマ:
- 人と音楽とをつなぐ場づくりのサポートで、たくさんの方に心うごく体験を
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2019年~現在
- ■場所:
- 鹿児島市を中心とした医療・福祉施設、教育現場、コンサート・イベント会場等
- ■対象:
- 幼児から大人、高齢者、精神・身体に障がいを持つ方、外国人など
- ■活動内容
1.きっかけ
私の活動は下記の3つの出会いから始まりました。
(1)ゴスペルとの出会い
2011年より趣味で始めたゴスペルコーラスで、様々なイベントに参加し、また所属クワイヤ(*1)の自主企画コンサートを開催する中で、歌うことだけでなく、コンサートやイベントを作っていく過程に面白さを感じました。私はこれまでに音楽によって喜び、涙し、救われ、力をもらい、心動かされるかけがえのない多くの体験をしてきました。それは演者だけによるものではなく、そこに携わる様々な役割の人によるものだったのだと感じたからです。
「音楽を届けたい!そのために、歌うこと以外にもできることがあるのでは?」と思い、ゴスペルを通じて出会ったミュージシャンやボイストレーナーのワークショップの企画などを、手探りながらも始めました。
*1)クワイヤ:ゴスペルを歌う聖歌隊・合唱隊
(2)作曲家・ピアニスト空音唱(くおん・しょう)氏との出会い
2019年にコーラス隊のメンバーとして参加した「空音唱コンサート鹿児島公演」にて、これまでの音楽活動から初めてコンサートに出演するコーラス隊メンバーのサポートやスケジュール調整など、自然とお手伝いするようになりました。主催者である空音氏からも裏方の仕事を任せられるようになったことで、自分がやりたい得意とすることを求めてくれる人がいると感じたのも、音楽サポート事業を始める大きなきっかけの一つです。
(3)リズムコミュニケーター 森田孝一郎氏との出会い
様々な音楽活動を通じて知り合った方の中で、鹿児島を中心に九州・全国でドラムサークル(*2)を行っている森田氏との出会いはとても大きなものでした。ドラムサークルは、属性も音楽経験も関係なく、音楽を自由に楽しめるというところが一番の魅力だと感じています。そこで起こったすべてのハプニングを尊重し、ポジティブに受け入れ生かして進めていきます。
その様なドラムサークルの魅力に惹かれたと共に、「ドラムサークルにおいて主役は参加者の皆さんであり、ガイド役のファシリテーターはそこに集まった人の目的を達成しやすくする人、つまりはサポート役なんだよ」という森田氏のお話を聞いて、それなら私にも出来るかもしれない!やってみたい!と興味をもちました。
*2)ドラムサークル:世界中の太鼓(ドラム)や打楽器を、輪(サークル)になって、自由に即興演奏する参加型音楽アクティビティ。
2.具体的な内容
(1)ドラムサークルファシリテーター
2021年4月より、リズムハート主宰 森田孝一郎氏の元、ドラムサークルファシリテーションを学びながらサポートを始めました。ⅰ.楽器の運搬設営ⅱ.参加者のサポートⅲ.サークル内に入ってのファシリテーションなど、森田氏を中心にDCFK(ドラムサークルファシリテーターチームカゴシマ)のメンバーとともに進めていきます。
属性や音楽経験を問わず参加できるドラムサークルは、求められる役割や効果により、
- コミュニケーションツール
- 作業療法や音楽療法的活動の一つ
- イベントアトラクション
として、教育現場、高齢者施設、障がい者施設、イベントや企業研修など、様々な現場でご活用いただいています。
▼第128回ドラムサークルカゴシマの様子
(2)愛と平和の即興音楽会2022 VOICE,DANCE&DRUM CIRCLE
2022年9月25日、鹿児島県南九州市川辺町にある「高田の石切場」(200年前、江戸時代に石切り場として切り開かれた跡地)にてイベントを開催、実行委員として携わりました。この石切場という場でイベントを開催しようと思ったのは、仲間たちと訪れた際にこの場所の圧倒的な存在感と自然の反響音に魅力を感じたからです。ここでドラムサークルを行うと、どのような響きが生まれるだろうと、わくわくしたのと同時にその響きとともにこの場のもつ魅力も伝えたいと思いました。
ドラムサークルの主体は打楽器によるリズムです。古代より人は集まり輪になり、リズムとともに声や踊りで音楽を楽しんでいたと言われています。森の中にある遺跡のようなこの場所で行うなら、ドラムサークルを核としたリズムと声と踊りによる即興音楽会で、今ここでしか生まれ得ない音楽を参加者の皆さんと分かち合いたいと、「VOICE,DANCE&DRUM CIRCLE」という形での開催となりました。
また、高田の石切場という場所の魅力とpeacefulな音楽の時間を、多くの方と共有し、世界へ発信する目的で「愛と平和」の祈りを込め、360度VR記録により動画配信も行いました。
▼かわなべ愛と平和の即興音楽会2022動画
(3)コンサートマネジメント
空音氏が作曲・ピアノ・総合プロデューサーとして手掛ける『空音唱コンサート』で、運営的なサポートをしています。
具体的には
- 出演者のスケジュール調整
- コンサート,リハーサル会場の予約
- ポスター・チラシの配布
- 広告掲載依頼
- チケットの販売委託依頼
- 予約者管理
- お問い合わせ対応等
また、私自身が所属するゴスペルコーラスグループ『Sparkle』のライブでは、会場側との打合せやチケット・チラシの作成などは主に私が担い、その他は企画の段階から仲間たちと協力し進めています。
その他、様々なコンサートマネジメント業務のお手伝いをしており、コンサート当日の運営(受付・物販等)のみに携わることもあれば、大きなホールでのコンサートなどは1年以上前から企画に携わることもあり、関わり方は様々です。
どのコンサート・イベントにおいても参加してくれた方、聴衆の方々に何かを感じ、共に楽しみ喜んでもらいたい、良いものを届けたいという目的は関わる演奏者・スタッフ皆に共通します。良い反応や声が届くと、とてもうれしく達成感もあります。同時に楽しめなかったという声も大事にしたいと思っています。何をどう感じるかは人ぞれぞれです。それこそが感受性を育むものだと思うので、音楽を通してどう心が動いたのか、経験そのものがかけがえのないものだと感じています。
3.成果と課題
コンサートやイベントのスタッフとして携わる中、私がサポート業務に従事させていただくことでアーティストの方々から、「パフォーマンス・プログラムに集中できる。」「コンサートまでの準備がスムーズに進められる。」などという嬉しい声を頂きます。裏方の仕事を担うことで主催者・演者の負担が減り、パフォーマンスの質が上がり、その結果公演回数が増え、多くの方へより良いものを届けることができていると感じています。
課題としてはお客様や参加者の方々、また演者や主催者は何を求めてるのかよく把握し、それに対して自分が何ができるのか客観的な視点で動いていくにはまだまだ経験不足だと感じています。多岐に渡る裏方の仕事のプロフェッショナルを目指し、技術向上に励み、より視野を広く持ち、様々な方に寄り添う視線で取り組んでいきたいです。
また運営面では、それぞれの活動について興味を持ってもらえるよう、内容や広報宣伝の工夫が必要だと感じています。
4.抱負
鹿児島は地方と呼ばれる地域で離島も多く、文化芸術・音楽に触れる機会はまだまだ少ないと感じています。演奏する人、聴く人、さらにはその垣根を超えて音楽を通していろいろなことを感じ、心が動く経験を多くの方に届けるため、これからも人と音楽とをつなぐ場づくりに励んでいきます。
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