地域音楽コーディネーター 一般社団法人音あそびラボ代表理事 埼玉県 木下大輔さん
- ■活動テーマ:
- 音であそぼ、であお、つながろ “音楽で地域をつなぐ”
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2023年10月~現在
- ■場所:
- 埼玉県三郷市立ピアシティ交流センター、三郷市立希望の郷交流センター他公共施設、小学校、幼稚園、公園、お寺など
- ■対象:
- 乳幼児から高齢者まで
- ■活動内容
1.きっかけ
音楽学校を卒業後ギタリストとして国内外で演奏活動を行っていましたが、28歳のときに慢性的な手のしびれを発症し演奏を断念しました。その後、保育士資格を取得し社会福祉法人が指定管理(民間受託)を行う児童館で野外活動や国際支援などのボランティア活動に参加しました。ここは”誰一人取り残さない”ことを目指しています。児童館では行政との協働や世代や国境を超えて音楽でつながる経験を重ねたことにより「手の状態が万全でなくても音楽を通して役に立てることはある」と自信を得ました。
ちょうどこの頃、息子の誕生と引っ越しが重なり近隣に知人がいないことに加え、コロナ禍の影響で行動も制限され不安が募っていました。その状況の中、地域の方の温かさに触れたことで「人とのつながりの大切さ」の実感と「地域の一員として貢献したい」という想いが強くなり2022年、一般財団法人ヤマハ音楽振興会システム講師であり私と同じ地域音楽コーディネータの妻と二人で地域のイベントや幼稚園などで演奏活動を開始しました。
そこから地域とのご縁がつながり、同じ志を持ち賛同してくれる音楽家や仲間の協力を得、2023年10月音楽を通して行政と連携し地域課題に取り組むことを目指して「一般社団法人音あそびラボ」を設立しました。
2.一般社団法人音あそびラボとは
(1)ミッション
音楽を通した地域貢献(住民の交流や発展、福祉の実現)
(2)主な事業内容
-
・第三の居場所作り「音あそび小屋」の開設
※学校や職場、家庭以外で自分らしく過ごせる場所 - ・コンサートの企画、開催
- ・地域イベントへの参加
3.具体的な活動
A.”居場所 × 音楽”音あそび小屋
三郷市・三郷市教育委員会の後援と埼玉県文化振興課の協力を得、三郷市立ピアラシティ交流センターにて音楽を通して第三の居場所を提供する事業です。月3回程度定期的に行っています。地域の子ども・大人・ミュージシャンや応援する方など誰でも参加できます。部屋に用意された様々な楽器を手に取り、自由に”あそぶ”ことで自己表現したり年齢や言語を超えたコミュ二ケーションを楽しみます。
私は児童館で様々な生きづらさを抱えた子どもや家庭と関わり、支援を行って来ました。その経験から社会とのつながりの中で自分らしく過ごし、受け止めてもらえる場所の大切さを感じました。この事業では様々な立場の方がありのままで音楽を楽しめ、自然と自己表現や交流が生まれるみんなの居場所になっていくことを目指しています。
▼♪みんなでパプリカ
▼♪小学生&地域のミュージシャンでセッションしてみた
▼♪ウイグル伝統の曲でセッションしてみた
B.みんなでつくるコンサート
地域の音楽家と一緒に”おと♪プリポルラボ”として公共施設を中心に実施しています。“聴いてみよう””鳴らしてみよう””歌ってみよう””踊ってみよう”をコンセプトに、自由に音楽を楽しんでいただくため趣向を凝らしています。乳幼児や子ども連れのご家庭も気兼ねなくお越しいただける参加型のコンサートです。曲はクラシック、懐メロ〜流行のポップスまで幅広い音楽ジャンルから選曲し、リトミック等も行い家族や様々な世代が一緒に楽しめることを目指しています。
▼♪にじおと♪プリポルラボのファミリーコンサート
C.地域イべントへの参加
埼玉県三郷市では“読書日本一のまち”を宣言しており、その機運を高めることを目的に2024年3月に三郷市立希望の郷交流センターにて”希望の郷読書フェスタ”が開催されました。本を身近に感じていただくための様々な企画の一つとして”本×音楽”をテーマに、本が題材になった曲を中心としたステージや歌つき絵本の読み聞かせなどを立案し地域の方に楽しんでいただきました。
▼絵本読み聞かせ歌♪はらぺこあおむしギター&カホンアレンジ
また、近隣地域では様々な民間団体やNPO団体などによるマルシェ等が盛んに開催されており、その中で”出張音あそび小屋”として楽器体験、手作り楽器工作や子どもが主役のステージを演出する等、出演や出展を行い実行委員として運営に関わっています。
4.成果と課題
最初は夫婦で地域活動をスタートして基盤を作り、一般社団法人を設立、その活動実績が認められ三郷市、三郷市教育委員会、埼玉県文化振興課より後援、助成等応援や協力を得ることができました。「居場所づくり」ではⅰ.学校に通わなくなった子ども ⅱ.幼稚園から他県へ通い地元とのつながりが希薄な子ども ⅲ.海外の方 等が参加してくれます。地域のミュージシャンが子どもたちと一緒になって音楽を楽しむ姿を目にすると、この活動を始めて本当に良かったと実感しています。課題としては、今まで声が届いていなかった方が参加しやすくなるようなプロモーションの工夫が必要と感じています。
5.抱負
我々の活動は地域行政や関連機関の応援と協力なしでは推進できません。既に自分たちだけの活動ではなくなってきていることをしっかり受け止め、地域のために活動を発展させていくことが使命だと感じています。一人でも多くの方に”音あそびラボの活動があって良かった”と思っていただけるよう頑張っていきたいです。まずは現在拠点にしている地域での活動を充実させることです。将来的にはこの活動を周辺都市へと広げ、活動を引き継ぎ発展させてくれる方とつながり育成することで、より多くの笑顔を産むことが広がればうれしいです。
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