活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】能登に届け!福岡ラテン音楽チャリティーイベント

(2024年10月22日公開)

地域音楽コーディネーター トロンボニスト 福岡県 内田遼さん

6月9日イベント「フントス・フクオカ」参加者一同
6月9日イベント「フントス・フクオカ」参加者一同
■活動テーマ:
能登に届け!福岡ラテン音楽チャリティーイベント
■目次:
■活動開始時期:
2011年~現在
■場所:
ラテン文化センター「ティエンポ」ホール
■対象:
一般
■活動内容

1.きっかけ

(1)ラテン音楽との出会い

小学校から高校にかけて吹奏楽部でトロンボーンを演奏していました。中学生のとき、偶然手に入れたラテン音楽(*1)のCDを聴き、特にサルサ(*2)のリズムの絡み合いやキレのあるフレーズ、アドリブソロなどに魅力を感じました。大学ではジャズサークルに入部。4年生のとき、知人の紹介で学外のラテンバンドに参加しました。それから様々な縁があり、プロのラテンバンドに立ち上げメンバーとして参加、自分のバンドを結成・運営などの経験をしてきました。現在はサルサやラテンジャズを中心に、演奏や作編曲を行っています。

*1)ラテン音楽:中南米地域の音楽。サンバ、ルンバ、マンボ、チャ・チャ・チャ、ボサ・ノヴァ、レゲエや「コンドルは飛んでいく」等のフォルクローレ等がある。

*2)サルサ:キューバ音楽を主なルーツとし、1960年代頃からニューヨークで発展したラテン音楽のひとつ。

(2) ラテンチャリティーイベントへの参加

2011年に東日本大震災が起き、東北出身の妻の実家が被災しました。復興のために音楽家として何かできないかと考え、福岡で開催されたラテンチャリティーイベントにメンバーとして参加しました。私は演奏のほか、イベントのテーマソングをビッグバンド用にアレンジしました。2016年の熊本地震の際にも同じチャリティーイベントが開催され、同じく演奏者として参加しました。これらがきっかけとなり、ライブやイベントの企画・運営を行うようになりました。

2.具体的な内容

2024年1月1日に発生した能登半島地震の復興の力になるため、今までの経験を活(い)かし再びラテンチャリティーイベントを開催しました。今回は私が主催者として企画・運営の中心となりました。過去の主催者をはじめとした方々のサポートを受けながら調整を進め、今年の6月9日にイベント「フントス・フクオカ」を開催しました。

「フントス・フクオカ」

(1)主旨

福岡のラテンミュージシャンやダンサーが一堂に会してパフォーマンスを行い、義援金を集めるイベントです。「フントス(Juntos)」はスペイン語で「一緒に」という意味で、福岡から復興を一緒に祈ろうという想(おも)いが込められています。

(2)会場

福岡市にあるラテン文化センター「ティエンポ」のホールです。前回のイベント開催時にも会場となりました。

ふだんからラテン音楽のライブやダンスイベントなどが開催されており、今回のイベントの趣旨にも快く賛同してくださいました。運営面でも多数のサポートを頂きました。

(3)出演者・裏方

福岡のラテンバンド、ダンサーが集結。今回参加したのは、私のリーダーバンドFilomelaを含む、プロとアマチュアの垣根を越えた総勢8バンドと、ダンスチーム10組です。バンドでは前回のイベントから引き続き参加した方も多い一方、大学生など初めて参加するメンバーもいました。また出演者とは別に、受付や物販を担当する裏方チームも必要でした。裏方は私のもうひとつのリーダーバンドOrquesta Violetaのメンバーにお願いし、妻にまとめ役になってもらいました。

(4)内容

全バンド合同の大編成バンドでサルサやラテンジャズを演奏したほか、ダンスチームはサルサやキューバ音楽など、様々な音楽に合わせてパフォーマンスを行いました。また、私が復興をテーマに書き下ろしたオリジナル曲「La Ciudad Hermosa, Otra Vez(美しい街よ、もう一度)」もバンドで演奏しました。フィナーレはバンドとダンスパフォーマンスのコラボで、ラテンのスタンダード曲「Tequila(テキーラ)」(*3)をお届けしました。

*3)Tequila(テキーラ):テキーラとはメキシコの蒸留酒の名前。曲のサビ部分の「テキーラ!」という掛け声が有名。原曲は1958年アメリカのロックンロール・バンド「the Champs」がリリース。

ほかに、能登の地酒やおつまみなどの物販、募金箱の設置も行いました。物販はほぼ完売で、募金箱にも多くの募金を頂きました。入場料や物販売上げ、募金箱への募金の合計から経費を引き、収益は約38万円となりました。収益は全額、日本赤十字社の災害義援金用口座に振り込みました。

▼バンド演奏ダイジェスト

(5)企画から開催までの流れ
  • 2024年1月1日能登半島地震発生

  • 2月
    ・イベント企画・開催決定、出演メンバー募集
    ・ミーティング実施
  • 3月
    ・バンド選曲
    ・会場とイベント詳細の調整開始
    ・オリジナル曲作曲開始
  • 4月
    ・オリジナル曲完成
    ・バンドリハーサル実施
    ・物販等の企画、調整開始
    ・フライヤー完成
    ・Facebookイベントページ作成
    ・Instagramアカウント作成
  • 5月
    ・バンドリハーサル実施
    ・ラジオ番組に出演し宣伝
    ・西日本新聞webサイトに告知を掲載
  • 6月
    ・西日本新聞紙面に告知を掲載
    ・バンドリハーサル実施
  • 6月9日イベント開催当日
  • 6月10日日本赤十字社災害義援金口座へ収益を寄附

3.成果と課題

(1)義援金の金額について

過去にイベントを開催した際、大きな課題は入場料の金額設定でした。お客様が来やすいように金額を安く設定した結果、来場者数は多かったものの、肝心の義援金が少なくなってしまいました。その反省をふまえ、今回は入場料を前回の2倍以上、一般的なライブの値段まで引き上げました。
(一般¥3,500高・大学生¥1,500中学生以下¥500)
お客様が来にくいのではという不安もありましたが、結果として来場者数は100名を超え、募金箱への金額も過去最高額となりました。メディアへの露出など広報宣伝に力を入れたことや、復興の力になりたいという想(おも)いを持つお客様が多数いらっしゃったことが理由かもしれません。今回は義援金の金額の面で成功だったと言ってよいと思いますが、同時にイベントの料金設定の難しさを改めて感じました。

(2)出演者、来場者の絆(きずな)が深まった

バンドやダンサーが大勢集まるイベントは、出演者間の交流を促し、絆(きずな)を深める機会にもなりました。2011年のイベント開催時には、それまで交流の少なかったメンバーが、グループの垣根を越えて知り合いました。今回も、ふだん別々のグループで活動しているメンバーが一緒にパフォーマンスする中で再会を懐かしむ方々がいたほか、新たな出会いもありました。また、多くの来場者がいらっしゃった中で、復興への想(おも)いを語り合う、一緒に踊るなどの場面もありました。今回のイベントを通して、福岡のラテン音楽コミュニティーの結束が強くなったのではないかと思います。

4.抱負

ラテン音楽に関わる音楽家の立場としては、ラテン音楽の輪を広げていきたいです。コミュニティーの力があれば、今回のようにチャリティーなどに結びつけることができます。それと同時に、まずは幅広い音楽に興味を持っていただける機会も大事だと考えています。特に若い世代には、いろいろなジャンルの音楽を知った上で、これが好きというものを見つけてほしいです。その選択肢のひとつにラテン音楽を入れていただければ、とても嬉(うれ)しいです。

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