公立中学校の部活動改革に関するスポーツ庁と文化庁の有識者会議の第2回会合が2024年12月10日開催され、部活動を地域スポーツ団体などに委ねる「地域移行」について、学校と地域の二項対立の印象を与えかねないとの懸念があるため「地域展開」に名称変更する考えが示されました。地域全体で連携するというコンセプトをより的確に表す狙いがあるといいます。
部活動改革は、2023~2025年度を「改革推進期間」として、全国のモデル校で休日を中心に部活動を地域に広げる実証事業が取り組まれています。有識者会議の中間報告案では2026~2031年度は「改革実行期間」として平日の活動も地域クラブ化も推進する方向性が示されました。
●部活動「地域展開」に名称変更へ 「移行」使わず、有識者会議
https://news.yahoo.co.jp/articles/259074741e54344d4505095157c975ae2117f746
名称変更が問題解決には直結しないとの批判もあります。地域移行だけで問題が解決するわけではありません。地域によってそれぞれの課題があり、例えば受け皿となる地域クラブの有無や指導者の確保、場所の確保、予算の確保など解決すべき課題が多々あります。
熊本市教育委員会では11月28日に、部活動の教育的意義や役割を保持するために、移行をせずに学校での部活を継続する方針を公表しました。2027年度から教員や大学生、インストラクターらから指導者を希望制で確保し、顧問・副顧問として市内の各学校に配置するのだそうです。
指導者には報酬を支払い、顧問は時給1600円、副顧問が1千円で、費用の総額は年6億5千万円と試算しています。公費で2億1千万円を負担し、企業などから1億8千万円の協力金を募り、残りは保護者が負担し、生徒1人につき月3千円と見込んでいるということです。
●【新しい部活動をつくる】政府が中学校部活動の「地域移行」を進める中で熊本市は独自案/熊本県民テレビ KKT公式チャンネル
自分たちの地域の方針や進捗状況を把握し、他の地域の事例を調査して、単なる部活動の地域移行ではなく、地域の社会教育の視点で学校と地域が連携して、主体である地域の子どもたちが継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保していくことが必要になるでしょう。