生涯学習音楽指導員

活動事例 生涯学習音楽指導員

【事例紹介】ピアノ指導を通した未来を感じさせる、社会の中での音楽振興のこだわり

(2025年03月21日公開)

生涯学習音楽指導員 ピアノ指導者・作編曲家 埼玉県 磯辺茂さん

ミニコンサートの様子
ミニコンサートの様子
■活動テーマ:
ピアノ指導を通した未来を感じさせる、社会の中での音楽振興のこだわり
■目次:
■活動開始時期:
2000年~現在
■場所:
首都圏
■対象:
10代~80代
■活動内容

1.きっかけ

学生時代の終わりを迎え、将来の方向性を考えている一つに音楽教育に関心がありました。音楽教育という言葉を聞くと、一般的には学校での音楽授業を思い浮かべますが、他に家庭・音楽教室・カルチャーセンター等で受けることができます。私は特に幼児・児童教育に興味を持ち、現場で勉強し経験を積んでいきたいと思い、大手楽器メーカーが展開している音楽教室の講師になりました。そこでは音楽は知識や演奏技術を教えることよりも、最初に音楽の楽しさ、音楽する喜びを感じさせること、そして自分で心から感じたものを音で表現する力を付けるための大切さを身をもって教えられました。これが現在、大人を指導している中でポリシーとなっています。

2.具体的な活動

(1)子供から大人への指導へ

日本人は平均寿命が延びたことにより人生100年時代が到来し、長くなった老後の期間、趣味を通して充実して過ごしたいという機運が高まってきました。また現役・子育て世代は高度成長時代と違って、仕事と趣味を両方生かした生活スタイルを望む人が増えてきました。このことは正に生涯にわたって主体的に学習を続けるという生涯学習です。このような時代の変化を身近に感じ、音楽家として社会に対し、音楽文化の振興に貢献したいという思いが募り、2000年という年を区切りに大人世代を中心に指導に当たることを決意しました。現在10代~80代まで約60~70名を指導しています。

(2)生徒の学びに対する動機

世代や個人により、音楽志向の多様性があります。

  1. 昔から憧れだったピアノを習ってみたいという成人やシニア世代の初心者
  2. 学生時代に部活動や受験を控えて中断し、成人なって時間ができもう一度習いたいという経験者
  3. ポピュラーやジャズ系等の特定の音楽ジャンルにこだわって弾いて見たいという人

(3)指導目標

  1. 音楽の楽しさを感じてもらう
  2. 楽しめるための力をつける
  3. 人に心を動かす、感じさせる演奏表現力を育成する
  4. 練習の成果を発表する場をつくる

(4)内容

初心者には演奏をするための基本的なことを短い練習曲を扱い、なるべく早くお気に入りの曲を持たせ、満足感を得てもらいます。経験者には演奏力を把握した上で個性と音楽志向を大切にします。曲はクラシック・ポピュラー音楽等ジャンルに問わず、自主的に弾いて見たい曲、チャレンジしたい曲、又は私のお薦めの曲を提案するなど、柔軟に対応して進めます。

練習の成果を発表する場として、1~2年に1回ミニコンサートを企画・開催していますが、参加の有無は生徒個人の自主性を大切にしています。個々の持っているレパートリーを人前で演奏すること、他の人の演奏を聴くことの大切さを感じてもらいたいと思っています。

演奏曲の一例として、朧月夜などの唱歌、ブラームスの子守唄、エリーゼのために、ショパンのノクターン、リチャード・クレイダーマンの渚のアデリーヌ、坂本龍一のラストエンペラーなどがあります。

(5)大人の指導に当たっての留意点

大人は子供とは違い、それぞれが自主的に学びに来ているので、それを行うには下記の4点が重要です。

  1. 誠実さと信頼関係を高める
    指導者と生徒が音楽を通して対等の立場で接し、相手の人格と個性を尊重する。
  2. 生徒の目的を把握する
    ・生活の中の一部として楽しみたい
    ・憧れの曲を弾きたい
    ・自分のレパートリーを増やしたい
    ・自分の演奏を聴いてもらい、仲間に褒めてもらいたい
    ・友達と一緒に演奏したい等
  3. コミュニケーションを密に持つ
    日々の会話の中から相手のことを理解し、自立を促すために言葉がけや接し方に配慮する。
  4. 長期的な計画は立てない
    今すぐに役立つことや、効果的なことを感じてもらう、要は毎回モチベーションを保ってもらうこと。
    特に高齢者に対しては身体・運動機能、理解力、記憶力等を最大限配慮し、ゆっくり丁寧に繰り返し励ましながら達成感を味わえるようにすることが肝要です。

指導者としては、演奏する喜びを生徒と一緒に共感でき、至福のときを味わえるようにしています。

3.成果と課題

20年余り指導してきた中で、生徒一人一人がピアノを弾く楽しさ、達成感と満足感を感じて頂くことができたことはうれしく思います。課題としては個々の音楽嗜好(しこう)が多様化されている中で、指導者は常に生徒の求めているものを把握し、毎回のレッスンに対して新鮮さを持ってアプローチすることを忘れてはいけないと思います。

4.抱負

健常者、障がい者、年齢問わず皆がピアノ演奏を通して学ぶ・生きる喜びを享受し可能性を広げ、共感性の高いものにしていきたいです。また成果を社会のいろいろな場面で発信できるようにプロデュースし、社会貢献活動できたらと思います。

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