活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】「よい音楽とは何か、よい演奏とは何か」

(2025年03月25日公開)

地域音楽コーディネーター 音楽指導者 大津市民文化祭実行委員 滋賀県 太田聡美さん

花の写真とJ.S.バッハ曲「パルティータ第1番 変ロ長調」
花の写真とJ.S.バッハ曲「パルティータ第1番 変ロ長調」
■活動テーマ:
「よい音楽とは何か、よい演奏とは何か」
■目次:
■活動開始時期:
2005年~現在
■場所:
大津市和邇(わに)文化センター 木戸市民センター
■対象:
乳幼児から一般
■活動内容

1.きっかけ

私の活動は師事した先生から教わった「よい音楽とは何か、よい演奏とは何か」をテーマに現在、音楽指導者として子どもから大人までピアノを教えております。自分自身含め人々の心に響く演奏を行うためには、どのようにして伝えていくのか日々模索しています。

ある日、地域の市民が生演奏を聴く機会が少ないことを知り、指導者として気軽に音楽に触れる環境づくりが必要と感じ、様々な音楽会を企画・開催し、また市の主催の文化祭にも実行委員として積極的に参加しています。

2.具体的な内容

A.大津市民文化祭

現在、大津市主催のこの文化祭は、もともと2万人の小さな町、志賀町の職員が運営していましたが、2006年に大津市に編入した後、市の職員は関わらないことになり中止する地域もありました。そこで私たちは今までの灯を消してはいけないという思いのもと、毎年3つの小学校学区(木戸・和邇・小野)と合同でその地域ごとの市民が協力し合って運営し、大津市の公共ホールを使って実施しています。

私の役割は全体の運営実行委員と合唱の伴奏や指導も行っています。内容は合唱・唱歌・オカリナ・ダンス・日舞・大正琴・太極拳・謡曲・詩吟などそれぞれの団体が日頃の練習の成果を発表する場として、また幅広い世代の方々が楽しめるプログラムを作っています。私がピアノ伴奏をしている合唱クラブ「あんさんぶる・ころろく」も参加しました。この合唱団は19年前に結成されたアマチュア合唱団で団名の「ころろく」とはイタリア語の合唱団という意味のcoroと日本語の「ころろく」という動詞(虫がリンリンと鳴く声等)を合わせました。また最初6名で始めたので名前が重なりました。

B.映像と音楽

この音楽会は「弾き合い会」といって、演奏する側(がわ)の鍛錬や実験のような場を目指して2004年から始めました。私は2000年に滋賀県に転入した同じ頃、滋賀県に在住していたフォトエッセイスト榊始(さかきはじめ)氏の景色・花・動物の写真をブログで拝見し、この写真に自分たちが演奏するピアノ曲のイメージを重ねたら、面白いのではないかと思ったのがきっかけです。身の回りにある景色や花などの写真を、自分の演奏曲のイメージに合わせて表現すると、思いがけず豊かな演奏になることがありました。

演奏者は最初に曲を決め、練習していく中でイメージに合う写真を選びます。ステージでは音楽の変化ごとに写真を差し替え、暗めの照明でプロジェクターを使って写真を投影します。演奏者は舞台に慣れ、思い通りの演奏がしやすくなります。また聴衆は映像を見ながら演奏を聴くことにより、抽象的な音楽が聴きやすく、理解しやすくなる利点があります。扱った題材の一つは三善 晃作曲のこどものピアノ小品集海の日記帳の最終曲「波のアラベスク」です。下記の写真はその場面です。聴衆からは「音楽が視覚からも楽しめた」「波の感じがした」という感想を頂きました。

C.0歳児からのコンサート

名称は「NPO法人うりぼう/大津市木戸公民館共催ふわふわファミリーのつどい」といいます。この法人は子育てを共にしたママ仲間が設立し、大津市より運営委託を受け、地域の子育て支援の拠点として様々な活動を展開している団体です。今、子育て中の保護者がひと時でも音楽とともに、ほっとする機会になればというのが目的です。対象者は子どもと保護者のペアーで15組くらいにしており、参加料は無料です。

内容はそのときどきで変わりますが、ソプラノ歌手の嶋村のぞみさんが歌を担当してくださったり、絵本の読み聞かせと音楽を合わせたりしています。年間5回の音楽コンサート、その他の月はリトミック、運動会、ストレッチ、ペープサート(幼児向け紙人形劇)です。地域で活動しているグループや個人が出演しています。

3.成果と課題

市民文化祭、自主企画の弾き合い会、NPO法人うりぼう主催のファミリーコンサートの活動での成果は、今この地域の様々な人が求めるもの、感じる心を知ることができることです。音楽の多くは流行(はやり)や歌詞により、求められることが変化しますが、私は音楽には地域や時代に関係なく、普遍的な良さがあると信じます。私が良いと思う音楽を地域の人々にどのようにして伝えるかが私の課題です。

4.抱負

音楽を演奏し、教え、企画して音楽会を開催していくことは、すべて同じ思い「良い音楽とは何か」をテーマとした活動です。私が考える良い音楽とは難しいですが

  1. 生演奏をする際、中途半端なものにならないよう、よく吟味された音楽のこと
  2. 音楽の中にあるフレーズ(*1)和音の移り変わり、リズム、のことを表すことができること。
    *1)フレーズ:音楽の流れの中で、一つのメロディーが区切られるまとまりのこと。文章でいえば句読点のようなもの。
  3. 人に伝えるメッセージがある音楽のこと

と考えています。

世の中にはクラシック・ポップ・ジャズ・民族音楽・日本の歌謡曲・J-POP等、様々な音楽があります。人々が日常聴くそれぞれの音楽に対して優劣はないと思います。演奏者は自分の主張だけで自己満足するのではなく、聴衆に対して言葉と同じように音楽で自分の伝えたいことを表現していく大切さを次の世代につなげていくことが私のこれからの抱負です。

地域音楽コーディネーターや生涯学習音楽指導員として皆さまの活動を掲載しませんか?
活動紹介やイベント告知をご希望の方は、下記のページをご覧ください

音楽文化創造では、地域音楽コーディネーター資格取得の養成講座を実施しております。
詳しくは下記をご覧ください。

その他の記事

               
協議会
【事例紹介】~全身で音楽を感じ表現しよう~平塚子ども文化体験フェスティバル2025
地域音楽 コーディネーター
おと♪プリポルラボのみんなとつくるコンサートVOL.4(6/1)
地域音楽 コーディネーター
須賀川吹奏楽団 第37回定期演奏会(6/15)
地域音楽 コーディネーター
【事例紹介】ピアノと木管五重奏による名曲解説コンサート「シネマ・クラシック」
地域音楽 コーディネーター
時を超えて~80年代名曲から令和の珠玉のメロディ(6/7)
地域音楽 コーディネーター
実践の場でまなぼう! リズムでつながろう!コミュニティドラムサークル(5/11)
地域音楽 コーディネーター
【事例紹介】奏でて、つくろうOTONOWA CRAFT MUSIC
地域音楽 コーディネーター
【事例紹介】オペラを楽しく身近なものに!
地域音楽 コーディネーター
【事例紹介】音楽を通してインクルーシブな社会を目指す
地域音楽 コーディネーター
【事例紹介】「よい音楽とは何か、よい演奏とは何か」
生涯学習音楽指導員
【事例紹介】ピアノ指導を通した未来を感じさせる、社会の中での音楽振興のこだわり
地域音楽 コーディネーター
[終了]こどもゆめひろば 中学生地域バンド2025年申し込み(4/13)
地域音楽 コーディネーター
【事例紹介】一人一人が輝ける音楽あふれる街を目指して!
地域文化クラブ応援
枚方市地域文化クラブ 2024年度実証事業 デジタル部活動(吹奏楽部)の可能性
国際音楽の日
【活動報告】あだちで楽しもう!歌とサンバと盆踊り[2024年度助成事業]
国際音楽の日
【活動報告】おさんぽクリスマスファミリーコンサート[2024年度助成事業]
地域音楽 コーディネーター
【事例紹介】人生を豊かにする「まなび」との出会い
地域文化クラブ応援
部活動地域移行/地域文化クラブ シンポジウム アーカイブ動画ノーカット版公開