地域音楽コーディネーター ファシリテーター兼伴奏者 東京都 髙瀬文さん

- ■活動テーマ:
- 奏でて、つくろうOTONOWA CRAFT MUSIC
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2023年~現在
- ■場所:
- 東京都内のホール
- ■対象:
- 一般
- ■活動内容
1.きっかけ
数年前、都内のピアノスタジオのスタッフをしていた頃、サックスを習われている常連のお客様からピアノ伴奏を頼まれ、とある音楽教室の発表会に出演したことがありました。それを境にフルートなど他の楽器の方々からも伴奏を依頼される機会が増えてきたので「勝手に演奏会」と銘打った有志のイベントを企画しスタジオで開催しました。目的はそれぞれが好きな曲を持ち寄り、自由気ままに演奏し、それに私が伴奏をつけるというシステムで、年に一度のペースで行っていました。
その後、スタジオはコロナ禍の影響を受け閉店したため転職しました。そこは街の再開発事業を行っている会社で、コミュニティーの活性化を目的として多様なジャンルのイベントを開催しています。そこで前職で私が取り組んでいた活動を提案したところ興味をもってくださり、この「勝手に演奏会」の延長線上で、2023年に「OTONOWA CRAFT MUSIC」という企画を立ち上げ、開催させていただくことになりました。
2.具体的な内容
(1)目標
企画の方向性を決めるに当たり、ⅰ.以前、楽器を習っていたけれど今は休止している方 ⅱ.こっそり一人で練習していた方 ⅲ.音を出す場所がない方など、演奏したい気持ちはあっても機会がない方が意外と多いということが社内で話になりました。それならば、自分の好きな楽器で好きな曲を、大きなホールでピアノの伴奏に乗せて演奏できるというのは、有意義な機会になるのではとなり「勝手に演奏会」から基本コンセプトは変えず、参加者同士で成果を発表し合い、一緒に音を奏でる楽しさを味わうという演奏会の開催を目標に動き出しました。
(2)募集にあたって
リハーサルの約1ヵ月前から参加者の募集を行い、定員は12名までとしました。応募条件としては、
- 楽器持参(電子楽器はNG)
- 音楽のジャンルやレベルは問わない
- 譜面の事前提出必要
- 演奏時間制限は設けない
第2回目の開催となった2024年には定員を超えるご応募があり、最終的には14名での開催となりました。
(3)応募者
この街に住む住民・就労者・学生や来街者など、小学生からご年配の方まで幅広い年齢層からのご応募があり、楽器の種類はバイオリン、フルート、サックス、ホルンなど普段目にするものや、中国の伝統楽器二胡やヘルマンハープ(*1)など馴染みのないものまでさまざまで、音楽のジャンルもクラシック・ポップス・映画音楽・歌謡曲など多種多様でした。
*1)ヘルマンハープ:ドイツのヘルマン氏がダウン症の息子のために開発した弦楽器
楽器を始められてから日が浅い方、長年趣味で演奏している方など、音楽への関わり方もそれぞれで、募集制限を細かく設けなかったからこそ、バラエティーに富んだ応募があったのではないかと思います。

(4)リハーサル
演奏会本番までに当日のホールで、伴奏者である私とマンツーマンで音合わせをする形式のリハーサルを設けました。一人1回30分最大3回まで参加可能というシステムです。子どもの参加者は、ご家族でリハーサルに付き添われ演奏を聴かれます。本番だけでなく「OTONOWA CRAFT MUSIC」の目標“一緒に音を奏でる楽しさを味わう”を達成することができ、とても濃密な時間を過ごしていただいたと思います。
(5)演奏会本番&交流会
当日は本番1時間前にホールを開放し、各自好きな時間に来て自由に音出しや準備、必要な方は着替えなども済まして、いざ本番です。演奏会の進行については、協力してくださっているイベント会社の方がプログラムの司会、私が参加者へのインタビューやエピソードトークを広げるという2人体制をとりました。
その他の裏方作業は、職場の仲間にも手伝ってもらいました。2時間の全プログラム終了後は、ホールからサロンへ移動し、交流会を開催。子どももいるのでお茶やジュース、おいしいケーキやお菓子などを楽しみながら、参加者同士が交流できる場所を設けました。




(6)参加者の感想
- ・いろいろな楽器の方と「音楽」を通して楽しい時間を共有できた
- ・こういう機会でもなければここまで練習することもなかった
- ・みなさんの上達ぶりに感動
- ・一年の練習の成果が出せた
- ・ライブ感は最高
- ・昨年より、レベルが上がっているなと思った
- ・音楽を語れる人が集うのは楽しい時間であった
- ・参加者の代弁をしつつ本人の意向を感じとりながらの自然体のトークが大変心地良かったetc…
3.成果
一昨年、昨年と開催してみて一番の成果は、演奏会終了後も参加者との交流が継続していることだと思います。2年連続で参加してくださる方が多く、参加者同士も顔なじみになり、久しぶりに互いの演奏を聴くのを楽しみにしており、2年目にして一体感が生まれ始めているのがうれしい限りでした。
私個人としては、参加者の方とのマンツーマンでのリハーサルは、短くとも本当に濃厚な時間でした。初対面の参加者の方とも、一人一人ひとつの曲を通して緊張と緩和を繰り返しながら、少しずつ距離が近くなっていく感覚は、なかなかふだん味わえるようなものではなく、とても貴重な時間を過ごすことができました。
4.抱負
参加者の方からは、次回に向けて既に曲選びを始めているという声や、演奏会の最後には全員で1曲演奏したいとのご要望もありました。よって皆様の要望を取り入れ、基本軸をそのままで、同じ楽器同士でデュオやトリオを組みアンサンブルを加えるなど少しずつ新しい要素も取り入れていきたいと思います。
このように形態の幅を広げることにより、参加者の人数や音合わせをする機会も増え、地域の方々が誰でもいつでも気軽に参加できるような音楽コミュニティーの輪を広げていくことを目指します。
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