地域音楽コーディネーター 地域おこし協力隊 FMジャングルパーソナリティ 兵庫県 傳川一美さん

- ■活動テーマ:
- 豊岡プチロックフェス~ココロの扉を開け放て!~
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2025年6月8日(日)12:30~20:00
- ■場所:
- 兵庫県豊岡市豊岡劇場
- ■対象:
- 一般
- ■活動内容
1.きっかけ
私は以前、横浜市を拠点に歌手としてCMソングやアニメソングを歌っておりました。その後会社勤めをしていましたが、やはり得意な声を生かし社会貢献をしたいと思い立ち、豊岡市地域おこし協力隊としてラジオパーソナリティー募集の広告を見て応募しました。一大決心して兵庫県豊岡市(*1)に移住し、現在地域おこし協力隊としてコミュニティラジオ『FMジャングル』のパーソナリティーや、地域イベントの企画・運営・司会などの仕事をしています。
*1)兵庫県豊岡市:兵庫県の北東部に位置し、北は日本海、東は京都府に接している。人口は約7万5千人で、市の80%をしめる森と山、川があり自然環境に恵まれている。国指定の特別天然記念物・コウノトリ野生復帰のプロジェクトがスタート。
2.具体的な活動
(1)豊岡市地域おこし協力隊とは
都市部から過疎地域に移住した隊員が委嘱され、地域自治体と協力して地域産業の活性化を図り、その地域に定住してもらう取り組みです。
協力隊には任期があります。自治体や活動内容によって期間が異なりますが、私の場合は3年です。任期満了となる2025年に、これまでの活動の集大成として、自分の得意分野である音楽で町を盛り上げたいと思いました。それは地域の高校生が勉強している姿はよく見かけるのですが「青春しているのかな?そういう場が少ないのでは?」と気になっていたためです。そこで高校生を含めた市民参加型の、心の扉が開け放たれるような音楽フェスをしたいと思いました。
(2)目的
①音楽を通して若者をはじめとした市民が内なるパッションを表現できる『場』を作ること。
②全国の多様なアーティストと共演したり豊岡ソング作成に携わったりすることで、より心を豊かにし生きる力を育てること。
③これを機会に、他地域との交流を深め、豊岡の魅力をより多くの方に知っていただくこと。
(3)会場
豊岡にはホールはあるけれどライブハウスがありません。しかし『豊岡劇場』という市民から愛されているレトロな映画館があります。この劇場は芝居小屋として1927年開業し、社交ダンス会場・映画館として変化し地域住民に愛されましたが、85年の長い年月をまっとうし、2012年3月末に閉館。2014年にリノベーションして運営を再開するもコロナ禍の打撃を受け、またしても一時休館。任意団体が事業継承に名乗りをあげ『一般社団法人豊岡コミュニティシネマ』を設立。2023年3月に営業再開を果たしました。現在映画館他、地域活性の場として活用されています。
ロックフェスをやるならこの歴史ある『豊岡劇場』でやりたい!と思っていました。ライブハウスではない場所で開催するとなると音響設備をそろえる必要や、音漏れの問題など様々な高いハードルがありましたが、多くの方の力を借りて開催することができました。大ホールと小ホールがあり交互に演奏。キッチンカーも呼んで昼から夜まで自由に楽しむ、正にフェスとなりました。
(4)豊岡プチロックフェス~こころの扉を開け放て!~
○出演者
出演者を募る際には「ジャンルは問わずココロがロックなアーティスト集まれ!」と呼びかけました。昔の音楽仲間を中心に声をかけ、神奈川、東京、熊本、鳥取などから多彩なアーティストが駆けつけてくれました。豊岡近郊で活動しているミュージシャンや大学生にも声をかけ計17組が参加し、スタッフ・出演者含め230名となりました。
○ライブ内容
ロックはもちろん、弾き語り、吹奏楽、ポップス、ラップ、ポールダンスまでバラエティに富んだ内容になりました。目的は高校生に様々なアーティストのライブを見てほしかったからです。そして高校生バンドも3組出演。彼らの存在があったからこそ、大人たちもボルテージが上がり、より熱いパフォーマンスをしてくれたのだと思います。心配していた集客も想定以上の150名のお客様が来てくださいました。


<豊岡イメージソング作り>
今回の目玉の一つは、市民とともに豊岡のイメージソングを作って当日演奏することでした。事前に『コトバ集めワークショップ』を3回開催しました。『豊岡の日常~その先にある光~』をテーマに、様々なキーワードを書いてもらいました。高校生たちにも様々な質問を投げかけ、いろいろなコトバを拾い集めました。町の小さな図書館にも、自由に書き込みできるノートを設置した結果、素敵なポエムがたくさん書かれていました。こうして市民から集めたコトバから歌詞が生まれメロディをつけ歌が完成しました。
編曲は長野に住む昔なじみの音楽仲間(プロ)に頼みました。データで音源を受けとり、歌のレコーディングは豊岡市民で行いました。基本は自宅録音です。更に学校の教室にパソコンを持ち込み、高校生たちに手拍子しながらサビを歌ってもらい録音しました。その高校生に撮影してもらってMVも作りました。是非ご覧ください。
タイトル『今ココTOYOOKA』
作詞・歌:豊岡市民 作曲:ますだ&kazmy
編曲:水垣カエル雪絵 ギター:HUCK‘S PIPE
フェス当日は、この曲を披露するために組んだ『Imacoco band』で演奏しました。10人の大所帯バンドで半数は豊岡の大学生、また小学校の音楽の先生もピアノで参加してくれました。感動のフィナーレは、スペシャルゲスト、兵庫出身で元祖青春パンクの代名詞でもある『ガガガSP』のコザック前田氏とともに、出演者全員で大熱唄。お客様も総立ちになり、小さな子供も一緒に歌っていました。その光景を見たときは思わず感涙。スタッフ、出演者、お客様、みんなに感謝の気持ちでいっぱいになりました。




3.成果
イベントの企画運営は初めての経験で、いろいろと苦労した面がありましたが、全てやり遂げることができました。多くのお客様にご来場いただき、皆の心を動かすフェスを実現できたと感慨もひとしおです。一人で始めた企画でしたが、気が付けば多くの協力者に恵まれたことが一番の成果だったと思います。また高校生に参加してもらえたことも成功のカギでした。彼らのおかげで大人たちも青春を味わえましたし、未来を担う子供たちの地域への愛着を深めることにもつながったと思います。豊岡ソングも大好評。ラジオでも多くのリクエストを頂いています。
4.課題
課題としては今後継続を考えたときの費用面です。今回は補助金や地域おこし協力隊としての活動費を工面して、どうにか実現できましたが、今後は遠方からのゲストを多数呼ぶのは難しいと思います。多様性という面ではなるべくあらゆる所から呼びたいですが、範囲を狭めてもすばらしいアーティストを見つけることは可能と思っています。
5.抱負
このフェスのために作った『今ココTOYOOKA』が、豊岡新市政20周年の記念事業として採択されました。11月16日に豊岡市民会館で開催予定の『豊岡市政20周年記念式典』に向けて、CD化の準備を進めています。オリジナル版とLIVE版の2曲入りで、市民に無料でプレゼントする予定です。若者はCDデッキをもっていないと思いますので、iTunesやAmazon music、Spotifyなどでの配信を1年間の期間限定で行います。より多くの方にこの曲を知っていただけたらうれしいです。今後も音楽を通して、コミュニケーションの循環を大切に地域や社会に貢献していきます。
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