全国生涯学習音楽指導員協議会 栃木・群馬支部 事務局長 日本マーチングバンド協会 公認指導員 鹿沼さつきドリーマーズマーチングバンド代表 栃木県 藤平昌寿さん

- ■活動テーマ:
- 街づくり・人づくり
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2002年~現在
- ■場所:
- 栃木県鹿沼市
- ■対象:
- 小学生~社会人
- ■活動内容
1.きっかけ
私は幼少期より、エレクトーン・金管バンド・マーチングバンド・オーケストラ・吹奏楽などを経験し、現在は日本マーチングバンド協会公認指導員・白鷗大学ウインドオーケストラ常任指揮者ほか、指導や作編曲等を行っています。私が現在代表を務めている「鹿沼さつきドリーマーズマーチングバンド」との関わりは、2002年10月に栃木県鹿沼市「音楽の好きな町推進事業」により結成された「さつきドリーマーズ」の外部講師が始まりです。この団体は市内の小中学生で構成するマーチングバンド・バトントワーリング団体でしたが、2014年に「さつきドリーマーズマーチングバンド」として独立・改称するとともに代表に就任、2024年には地元の要請を受け、「鹿沼さつきドリーマーズマーチングバンド」に再改称しました。団体名称に地域名を冠したのは地元への恩返しを込めてのことでした。
2.具体的な内容
(1)目的
市が青少年への音楽活動の推進目的として設立した経緯を受け継ぎ、
①音楽や集団活動を通して、社会に貢献できる人材を育成する社会教育
②音楽体験を軸とした人材育成や芸術活動による地域への貢献
を軸に活動しています。
姉妹グループでもあるバトントワーリングチーム(現在名:鹿沼さつきドリーマーズバトンチーム)とは通常別活動ですが、自主イベントである「スプリングコンサート」や地元最大のお祭りでもある「鹿沼秋まつり」など、年に何回かは一緒にパフォーマンスを行っている点も特徴的な活動の一つです。
(2)団員構成の変遷
【2002年発足当初~コロナ期】
2002年の発足時は、鹿沼市内の小中学生約120名でマーチングバンド・バトントワーリングチームを構成していました。その内、中学を卒業したメンバーや市外の人たちなどからも参加の要望が上がり始め、徐々に地域や年齢の制限を外していきました。2014年にマーチング・バトンそれぞれが独立してからも継続的に活動してきましたが、折からの少子化や周辺地域を含めたマーチング人口の減少などが徐々に響き始め、コロナ禍がそれに追い打ちをかけました。コロナ前は50名以上で活動していたマーチングバンドは、コロナ期に30名台前後になる年も出てきました。
【2022年~現在】
私自身はコロナ前から次世代の育成を考えながらも、バンド本体が日々の活動に追われて実践できませんでしたが、コロナによる団員減少や活動停滞が逆に試みのチャンスとなり、2021年度冬期(2022年1-3月)に子どもゆめ基金を活用した小中学生対象のマーチング体験講座を、バンド主催で初開講しました(内容は後述)。この他にも短時間・入門的内容で通年活動するジュニアメンバー制度の導入などを取り入れながら、少しずつ定着できる仕組みを作り、現在では小学生から40代までの40名前後のメンバーになってきています。活動メンバー以外にも、各種スタッフ・外部講師等が20余名おり、総関係者は70名前後になります。
(3)活動内容
通常の練習は土日祝日のみです。日曜1日+土祝半日程度の割合です。基本的に鹿沼市内の体育館やコミュニティセンターなどを利用しています。
A.地域のイベント
主に春や秋に地元の各地域で行われるイベントに出演することが多いです。大きなイベントとしては、鹿沼市で開催される鹿沼秋まつりや、隣の宇都宮市のふるさと宮まつり、プロスポーツゲームでのアトラクションなど。過去には、プロバスケットボールチーム「リンク栃木ブレックス」優勝パレード先導や「ねんりんピック栃木2014」総合開会式などのイベント出演やテレビ出演なども。


B.コンテスト
年間の半年以上はコンテスト出場のための練習に費やすと言っても過言ではないです。コンテストの多くは30m四方のフロアを動きながら演奏・演技をするフロアドリルスタイルです。特に日本マーチングバンド協会主催の大会には設立当初から出場を続けており、全国大会には9回出場、うち6回で編成別最優秀賞(第1位)を受賞してきました。(2024年度時点)

C.コンサート
毎年3月にバトンチームと合同で自主コンサートである「スプリングコンサート」を開催しており、22回を数えています。マーチングとバトンの2チームを擁している利点を生かし、両チームが交互に出てきたり、合同で演技したりと、基本的にゲストを招かなくても2時間程度の公演を行っています。コンサートのために作ったショーや、コンテストで演じてきたフロアドリルを照明など付加したステージドリル形式にショーアップしたものなど、ここだけでしか見られないコンテンツで盛りだくさんです。


ワークショップ
先述の通り、2021年度冬期に始まった小中学生対象のマーチング体験講座はその後、対象や内容などを変えつつ、現在はワークショップは何度も受けても良し、ジュニアを経て大会メンバーになるケースも出てきました。小学生以上、大人も対象としたマーチングワークショップとなっています。マーチング未経験者はもちろん、楽器等未経験者も対象で、数回の練習を経て、3月のコンサートに1曲以上、メンバーと一緒に衣装を着て舞台に立とう、という企画です。こう聞くとハードル高そうに見えますが、個々のレベルに合わせて柔軟な出演形態を提供しています。必要なのはやる気と興味だけ!です。

3.成果と課題
(1)テーマ「街づくり・人づくり」
団体に託している自身の目的が「街づくり・人づくり」です。街づくりの観点からすると、マーチングバンドという、地域によってはちょっと珍しい形態の音楽活動は、それ自体に潜在的な求心力があり、活動次第で地域に良いor面白い影響を与えるポテンシャルもあると考えており、様々な分野とのコラボも可能な分野でもあります。(実際にプロスポーツチームとの合同パレードなどの経験あり)。地元・鹿沼を始め、メンバーやスタッフの住む地域を中心に、面白い効果を波及できるような仕掛けが、今後の課題の一つかもしれません。
(2)4つの行動スローガン「進取」「自律」「和敬」「質実」
当団はアマチュア団体ですので、学業や仕事などと両立しているメンバーが圧倒的に多く、音楽活動だけをしているメンバーの方が当然少ないです。初心者以外は技術面・事務方など、何らかの業務や作業を少しずつ行ってもらい、その中からスタッフやクリエイターなどを輩出していく流れを極力作っています。この経験は若ければ若いほど、社会に出た際に役立つということも、経験則で何となく分かってきてもいます。そのために、現在では「進取」「自律」「和敬」「質実」という4つの行動スローガンを団内で掲げています。先述の20余名のスタッフの大半が元メンバー又は兼任メンバーで、技術・創作・事務などの多岐に亘(わた)って構成されているのは、これらの効果かもしれません。
4.抱負
設立当初から23年あまり関わってきていますが、目下の抱負兼課題は「持続的な活動」と考えています。私自身もいつかはチームを離れる日がやってきます。そのときのために、いつまでも活動が継続できるための仕組みは用意しておきたいと思います。
街づくり・人づくりもこのための一つ、という言い方もできるかもしれません。
その他、省力化を目的に団内システムのデジタル化(DX化)も進めており、現在、団内各種資料のペーパーレス化・クラウド化はほぼ完了しました。これにより、少ない人的リソースでも回せるようになってきましたが、一部の人材に負荷が集中しやすいため、AIも活用しながら業務の自動化も進めていきたいとは思っています。(できるかどうかは未知数ですが・・・)
同時に、このニッチな音楽分野を「面白そう」と興味を持つファンを作っていくきたい、とも考えています。これは地道な活動ですが、ワークショップなどはそのきっかけになりつつあり、また自身が文化庁の芸術家派遣講師として派遣された先でマーチングに触れることもあります。
マーチングという一つのプリズムを通して、多彩なカラーを出せるような活動を続けられたら・・・と思います。
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