活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】「心と声を重ねて、響き合う児童合唱団~広げよう地域に温かな音楽の輪~」

(2025年11月12日公開)

地域音楽コーディネーター ドレミファ音楽工房代表 ドレミファ合唱団代表・音楽監督 愛知県 梅田由佳さん

「地域の介護施設で演奏するドレミファ合唱団の子どもたち」
「地域の介護施設で演奏するドレミファ合唱団の子どもたち」
■活動テーマ:
「心と声を重ねて、響き合う児童合唱団~広げよう地域に温かな音楽の輪~」
■目次:
■活動開始時期:
2013年~現在
■場所:
弥富市総合社会教育センター(中央公民館)他
■対象:
幼児、小学生、中学生、一般
■活動内容

1.きっかけ

ドレミファ合唱団は、2013年(平成25年)に設立されました。きっかけは、ピアノを学んでいた子どもたちから「ピアノだけでなく、みんなで一緒に歌いたい」という声が上がったことでした。個人レッスンでは味わえない、仲間とともに音楽を奏でる喜びを求める気持ちが、合唱団の誕生につながりました。設立当初は子どもたち自身が友人を誘い合い、あっという間に30名が集まりました。音楽の楽しさが輪のように広がり、現在では幼児から中学生まで約45名が在籍する、地域に根ざした合唱団へと成長しています。

2.具体的な内容

(1)目的

ドレミファ合唱団は、以下の目的のもと活動を行っています。
①合唱を通じて子どもたちに「みんなで歌う楽しさ」や「ハーモニーの美しさ」を体感しながら、音楽の魅力に触れてもらう。
②異年齢・他学区の仲間との交流を通じて、主体性・協調性・思いやりの心を育み、豊かな人間性を養う。

「音楽は誰かと一緒に奏でることで、もっと深く、もっと豊かになる」このような思いが、ドレミファ合唱団の原点です。

(2)団員と練習

現在、ドレミファ合唱団には幼児から中学生まで約45名が在籍しています。年齢や学校の垣根を越えて集まった子どもたちは、「歌がうまくなりたい」「人前で堂々と歌いたい」「友達と楽しく歌いたい」といった思いを胸に、仲間とともに活動しています。

練習は月2回、弥富市総合社会教育センター(中央公民館)にて行われています。土曜日は13時30分〜15時30分、日曜日は9時30分〜11時30分の2時間ずつ、発声・歌唱・リズム・身体表現などをバランスよく取り入れながら進めています。指導者は一人一人の個性や目的に寄り添いながら、音楽を通じて自信や表現力を育むことを大切にしています。練習の場は、技術を磨くだけでなく、仲間との関わりを通じて思いやりや協調性を育む、心の成長の場でもあります。

(3)活動

A.地域でのイベント、お祭り、学校祭で

ドレミファ合唱団は定期演奏会を始め、市民イベントや地域のお祭りなど、年間を通じて様々な場で演奏活動を行っています。春まつり・秋まつりのステージ出演や、市の青少年育成事業での発表など、地域とのつながりを大切にしながら活動の幅を広げています。

今年は弥富市内の高等学校の学校祭にも参加し、戦後80年の節目に当たる平和教育の一つとして歌の発表を行いました。その様子は新聞にも掲載され、地域の教育活動として高く評価されました。

B.定期演奏会

これまでの定期演奏会では、毎年異なるゲストとの共演を通じて、子どもたちの音楽体験を豊かにしてきました。

<第1回>

地域のウインドアンサンブルをゲストに迎え、世代を超えた音楽交流を実現

<第2回>

名古屋市の学校外で活動する同世代の金管バンドと共演し、ジャンルを超えた協働のステージを展開

<第3回>

2025年8月31日TKEスポーツセンター第2アリーナにて

(1)主旨

ⅰ.「ジャンルを超えて響き合うステージ」をコンセプトに、歌・演技・ダンスそれぞれが主役になる
ⅱ.地域のダンスグループとの共演とプロのフルート奏者をゲストに迎え、子どもたちの表現の幅と舞台経験を広げる
ⅲ.子どもたちが演奏だけでなく、アナウンス・楽曲紹介・舞台裏の準備など運営面にも主体的に関わり、舞台づくりの一員となる

(2)内容

地域のダンスグループと一緒に下記の3部構成で行いました。

【第1部】オリジナルオペレッタ「9つの歌による浦島太郎」
「9つの歌による浦島太郎」は音楽監督である私自身によるオリジナル作品です。構成や演出は、子どもたちの意見やアイデアを積極的に取り入れながら、創り上げていきました。昔話「浦島太郎」を題材に9つの歌を通じて展開される物語は、子どもたちの豊かな表現力と創造力が光るステージとなり、観客を物語の世界へと引き込みました。

【第2部】スペシャルダンスステージ
地域のダンススタジオによるステージです。ジャンルは異なりますが、音楽を通じてつながる仲間としてリズムと身体表現の力で会場を魅了しました。子どもたちのキレのある動きと笑顔が印象的で、舞台に躍動感とエネルギーをもたらしました。

【第3部】合同発表「夢と魔法のステージ~歌とダンスでめぐるディズニーの世界~」
ドレミファ合唱団とダンスグループによる合同ステージです。ディズニーの名曲に合わせて歌とダンスが織りなす幻想的なステージは、フィナーレにふさわしい華やかな舞台となり、ジャンルを超えた協働の中で、子どもたちの笑顔と一体感が会場全体を包み、観客の心に残る感動の時間となりました。

(3)成果

子どもたちが歌・演技・ダンス・伴奏・運営など、舞台のあらゆる面に主体的に関わることで、音楽を通じた「自己表現」と「協働」の力が育まれました。演目づくりでは、それぞれの意見やアイデアを取り入れながら構成を練り上げ、創造する楽しさと責任感を体験しました。また、ゲストとして招いたプロのフルート奏者との共演は、子どもたちにとって大きな刺激となりました。本物の音色に触れることで音楽の奥深さや表現の幅を体感し、演奏への集中力や感受性が自然と高まり、プロと同じ舞台に立つことで、「音楽は年齢や立場を超えて響き合える」という実感が生まれ自信にもつながりました。

観客からは「子どもたちの笑顔に元気をもらった」「みんなでの演奏はすごくよかった」といった声が多く寄せられ、地域との絆が深まりました。

3.成果

地域のイベント、学校祭や平和教育の場にも参加し、音楽を通じて社会的なテーマに向き合う経験を積むことができました。また当合唱団を卒団した大学生や地元の学生ボランティアもサポートに入り、世代を超えた協力体制が生まれたことは地域文化の力強さを感じ、子どもたちも楽しみながら協働し地域の文化を未来へとつなぐ一歩となりました。

4.課題

(1)会場

弥富市では文化活動への行政支援が限られており、音楽ホールなどの専用施設が存在しない現状があります。これまで定期演奏会は社会教育センターホールで開催してきましたが、老朽化による改修工事のため、今年はスポーツ施設での開催を余儀なくされました。音響・照明・舞台設備などの面で制約がある中でも、子どもたちは精一杯の表現を届けてくれました。

(2)運営面

活動の継続に向けては、人手・資金・会場確保などの運営面の課題があり、地域との連携や支援体制の強化が求められています。また、子どもたちの年齢や経験の差に応じた指導・役割分担の工夫も今後の継続的な課題です。

5.抱負

今後の大きな夢は、地域のアマチュア音楽団体や舞踊の方々と自治体が連携し、弥富市全体で音楽の力を分かち合う「弥富市音楽祭」の開催です。子どもから大人まで、世代やジャンルを超えて音楽でつながる場をつくることで、地域の文化をさらに豊かに、そして誇りあるものへと育てていきたいと考えています。

そのためには、文化活動を支える環境づくりが不可欠です。弥富市にも音楽ホールのような専用施設があれば、子どもたちの挑戦の場が更に広がり、地域の文化が根づいていくはずです。私たちは今ある活動を大切にしながら、地域の方々や行政と手を取り合い、未来の弥富市に文化の灯をともしていきます。

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