地域音楽 コーディネーター

地域音楽コーディネーター サックス奏者 指導者 静岡県 勝又綾香さん

音楽教室の生徒たちとコンサート
音楽教室の生徒たちとコンサート
■活動テーマ:
サックスや音楽を通してを地域のみんなを笑顔に
■目次:
■活動開始時期:
2010年~現在
■場所:
藤枝市、三島市、焼津市の中・高等学校幼稚園、介護施設他
■対象:
幼児から高齢者まで

1.きっかけ

吹奏楽との出会いは中学時代、吹奏楽部でテナーサックスを担当したことです。その後音楽大学へ進学し在学中、横浜市内の小学校や地元静岡の高校等に吹奏楽部のサポートをしていました。卒業後、地元に戻り今までの経験を生かし県内の中学校・高等学校で吹奏楽部の指導をしています。一番長いところでは15年ほどになりました。

吹奏楽は仲間と一緒にアンサンブルすることで、一人では表現できない豊かな音の響きと一体感を得ることができます。この魅力を地域で様々な楽器を学んでいる人々を応援したいという目的で活動しています。

2.具体的な内容

A.吹奏楽部の指導者として

(1)指導体制

外部指導者として訪問している多くの学校は、顧問の先生と合奏指導者、各パート(クラリネット、サックス、トランペット等)ごとの指導者がおり、グループレッスンや個別レッスンを展開し指導体制が整っています。全国の学校は言うまでもなく、このような良い環境であるところばかりではないと思います。それぞれ学校の方針と予算により、外部指導者を依頼しないところも少なくありません。

その中で、多くの学校に共通しているのは、生徒と先生方はコンクール、コンテストに向けて個々の技術の向上、団体として吹奏楽の質の向上に向けて日々切磋琢磨(せっさたくま)しています。それだけではなく、学校や地域行事に向けての練習など地域の方々へ良い演奏を届けたいということもあります。

(2)指導内容

私は各学校に月1〜2回訪問し、1回あたり2時間半から3時間指導しています。部員数は学校によって様々ですが、平均して30〜50人ほどのところが多いです。サックスのパートは平均して3人から多くて8人くらいいる学校もあります。

指導内容としては基礎練習の確認、吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテスト、ソロコンテストの曲の指導、定期演奏会や地域等の依頼演奏に向けての練習を見ています。春には新入部員が入り楽器の吹き方、基礎練習の内容、楽器メンテナンスの指導等を確認しています。
特に練習内容を精査することによって日々の練習の効率アップや、どのような練習方法が自分たちに必要か自覚させることで基礎力をアップさせていきます。学校によってスケジュールは様々ですが主に下記の4点があり、そこを目標に個やグループでの演奏技術の向上をはかっています。

  1. 夏のコンクール
  2. 定期演奏会
  3. 文化祭
  4. 地域や商業施設等のイベントの参加

B.演奏家として

演奏活動は大学在学中からも行ってきましたが、地元に帰郷してから精力的に行っています。2016年には初の自主企画によるソロリサイタルを開催しました。また多方面に活躍されている先生方や諸先輩方とともに様々な演奏形態でサックスの魅力を伝えています。

  1. 企業パーティでのソロ演奏
  2. サクソフォンデュオで0歳から入れるチャペルコンサート
  3. 地域のマルシェでの演奏
  4. サクソフォンカルテットでのクリスマスライブ
  5. ホール主催の子ども向けコンサート
  6. 介護施設等で訪問演奏(ソロ)

今年の2025年4月12日に富士市文化会館で開催した「ロゼこどもスプリングコンサート」では、0歳児から入場可能にして、一緒に歌ったり、リトミックをして、聴くだけではない体験型のコンサートを実施しました。小さい子供たちも知っている曲をソロやアンサンブルで演奏、中盤ではリトミックの先生と一緒に手遊びや踊りをして音楽を心、体で楽しめるプログラムを展開しました。子どもたちの純粋に音楽を楽しんでいる様子は演奏者としてうれしく思います。

3.成果

生徒たちは毎年、吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテストやソロコンテストや県大会に出場し、また、より高いレベルの演奏を目指して日々自己研鑽(けんさん)しています。直近の大会では2024年、吉原高等学校吹奏楽部サックスパートは四重奏部門初出場で東部大会金賞を受賞、県大会に進出しました。2025年、知徳高校吹奏楽部サックスパートは三重奏部門で出場、同じく東部大会金賞、県大会に進出しています。

このほかにも様々な中学校、高校がすばらしい成績を残しています。生徒たちは多くの時間を本番に向けて費やします。目標にしていた賞を受賞することができ、更に上の大会に進出したときの達成感と喜びは格別かと思います。それらをサポートされている顧問の先生方やご父兄は、皆さん本番の演奏をホールで聴き、様々な思いを巡らせておられるかと思います。「挑戦して良かった、頑張って良かった、たくさんいろいろなことを指導してもらえて良かった」と言ってもらえると指導者冥利に尽きます。

4.課題

(1)部活動の地域移行とこれから

今、教員の働き方改革と少子化により、吹奏楽部に限らず多くの部活動が地域展開(地域全体で運営する)に切り替わり始めています。地元の富士市でも地域移行のための実証的モデル事業を行っており、その活動に携わらせていただいております。具体的には、個々の学校で行っているようなパートごとでの技術指導や合奏練習に向けての曲の指導等です。

これまでのような学校単位ではなく、地域として部活動を行うことは、今までの活動では出会えなかった新しい仲間と交流を持ち、音楽を共に楽しみ、切磋琢磨(せっさたくま)できるという良き面もありますが、実際推進するためには、運営面でまだまだ課題が山積している印象を受けます。

(2)モデル事業の現在

①楽器の準備と練習場所確保

今は学校ありきでモデル事業を行っていますが、学校という場を離れる場合、楽器の準備、練習場所の確保などの懸念点があります。サックスなどの管楽器は比較的に個別で持ち運べますが、打楽器などは多くの種類があり、(ティンパニー・大太鼓スネア―ドラム・マリンバ他)準備の難しさと保管の問題などがあります。

昨年の市のモデル事業では市の施設を使用しましたが、実際の打楽器を使わずゴム板等を使ってスティックで叩(たた)く練習をメインでレッスンをしていました。音が大きい、準備が難しいという理由から生の楽器を用意するのが大変です。

②目標設定

この活動で一番重要なのは、生徒たちの目標をどこに設定していくのかというところです。音楽は競技ではないというのが私の基本的考えではありますが、やはりコンクールなどの評価がつくものは技術の向上において必要不可欠です。この地域移行でどのように合奏の練習をしていくのか、それともアンサンブルのような小規模にしていくのか、これらの活動を通して何を目指していくのかという目標設定があやふやになってしまうと、ただの練習会ではもったい無いような気がします。

しかし、できないことばかりを考えても前進できないので、これらの課題を一つ一つ解決し、良い方向へ持っていきたいと考えています。私自身も古くからの習慣や考え方に固執せず、今の時代に会った新しい取り組みに挑戦し、情報をアップデートしていくことが肝要と思います。

5.抱負

将来的には地域で音楽が身近な存在になっていけるように、地域住民に根ざした活動をしていきたいです。富士市にはロゼシアターというクラシック音楽に最適なホールがありますが、残念ながら大きい催物やリハーサル、練習などでの使用が主になっています。響きが良いこのホールをより生かせるコンサートを企画するのが、演奏家・地域音楽コーディネータ―としての私の役割だと最近強く感じています。また大きなホールのみならず、病院等でのコンサートを開催し、コンサートに足を運びづらい方にも気軽に音楽に接することができる場と機会を作っていくことを目指します。

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