生涯学習音楽指導員

活動事例 生涯学習音楽指導員

【事例紹介】大人のための読み聞かせ

(2020年12月18日公開)


生涯学習音楽指導員 大阪吹田市『うたと音楽絵本LaLaLa』吉田あゆみさん

■ 活動タイトル:大人のための読み聞かせ
大人のための読み聞かせ

■ 日時:2013年~2019年(2020年はコロナにより活動中止)
■ 会場:彩都やまもりモデルハウス(https://www.yamamori.site/event/?year=2019)、パナソニックエイジフリケアセンター高齢者施設、箕面市立豊中南小学校学童保育施設名、北豊中教会、カフェクーネロコ地蔵寺他
■ 対象
  • 子ども:親子であればお座りできた乳児から小学生(プログラム別)
  • 大人:大学生から上限なし

■ 活動内容
【1.コンセプト】
全ての方々と音楽を通して、その時間、雰囲気、気持ちすべてを共有できる空間を持ってもらう。

【2.『うたと音楽絵本 LaLaLa』発足の背景】
大学卒業後、たくさんの演奏や指導活動を長年続け、多くの事を学び、感動し、満足感も得ていました。しかし年齢を重ねるごとにその満足感に対し、何となく違和感を覚えるようになってきました。そんな時期に、地域の公共施設での演奏会、高齢者施設、養護学校、学童保育など新たな場でも活動依頼を受ける事になりました。

そこでは歌だけではなく絵本の読み聞かせ等も組み入れた新しいプログラムを作りました。そしてある時ふと、毎回仕事のあと、何とも言えない幸福感に包まれている自分に気がつきました。大きな舞台に比べ華やかさもなく、伴奏もキーボード。それどころかケアハウスなどでは入所者の症状によっては「歌なんか嫌いや帰れ!」と怒鳴られたり。それでもこの穏やかな気持ち、満足感は何だろう。(1)お話をした先から忘れてしまうほどの症状の方が覚えていて毎回手を握って迎えてくださる。(2)寝たきりで普段反応もない方が演奏を聴いて目を閉じたまま涙を流してしてくださる。お会いする人生の先輩からはたくさんの得るものがありました。相手が子どもたちでも同じです。

呼吸を感じられる小さな空間で気持ちや雰囲気を共有しながら音楽を楽しみたい、それを思った頃、同じ想いを持ったメンバーに出会い、2015年に『うたと音楽絵本 LaLaLa』が発足しました。

【3.活動内容概要】
自分の子供に読み聞かせている絵本、子どもの頃読んでもらった絵本を見聞きしながら静かな時間を過ごしてもらうことが目的です。『今届けたい絵本とうたを心地よいピアノの音色に乗せて』という思いで、絵本にはイメージに合った曲(既存の曲、オリジナル曲)とうたを組み合わせて一つの作品にしています。それぞれの対象者に会う絵本の選定と、その絵本に会う音楽を作り出す事が楽しいところでもあり、一番苦労するところです。
メンバーは3人で、絵本読み聞かせ・ピアノ&作曲・読み聞かせ&うたをそれぞれ担当しています。

<扱う素材について>
年代別に考慮しながら絵本の選定、選曲をしています。(チラシ参照)

1.高齢者 童謡、文部(科学)省唱歌、日本のわらべうた等、一緒に歌い思い出話に花が咲くようなもの心掛けています。
  • 『いいからいいから』長谷川義史作・絵
  • 『たなばたものがたり』東方明珠作 みのもまりか絵

2.大人 穏やかな時間を過ごしてもらうのが目的なので、内容的に良い作品でも重厚なものは避けています。また地域の作家のお話を聞いたり作品を使わせていただく事により、地域密着という面も意識をしています。
<彩都やまもりモデルハウス会場>
  • 『あおのじかん』イザベル・シムール作・絵 石津ちひろ
  • 『天とくっついた島』立松和平作 スズキコージ絵
  • 『狂言えほん ぶす』もとしたいずみ作 さざめやゆき絵
  • 『どんなにきみがすきかあててごらん』サム・ブラット二ー作 アニタ・ジャーラム絵
<カフェクーネロコ会場、地蔵寺会場>
  • 『しずく』越智典子作 野口満一月(のぐちみつき)絵
  • 『モカと幸せのコーヒー』刀根里衣作・絵
  • 『あかん』島田陽子詩集より
  • 『ウェン王子とトラ』チェン・ジャンポン作・絵 平岡敦訳

3.学童、お寺イベント等子ども 全員参加できることを目的に、知らない歌でも簡単なダンスを加えたり、リトミック的な事も取り入れ、身体を動かしながら楽しむ事ができるように実施しています。絵本はあまり長くないもの、年齢に合わせた絵本を選んでいます。
<豊川南小学校 学童保育室>
  • 『おへそのあな』長谷川義文作・絵
  • 『おおきく おおきく おおきくなると』佐藤ひとみ作 谷口靖子絵
  • 『まほうつかいのでし』大石真作 柳原良平絵
  • 『ともだちや』内田麟太郎作 降矢なな絵

【4.参加者の反応】
高齢者施設・教会イベント・学童等では絵本の読み聞かせが思いもよらないことで楽しかったという声が多く、歌も大きな声で一緒に歌ってくださいます。大人のための読み聞かせは口コミだけで細々と続けているイベントですが、リピーターの方が多く嬉しく思います。ご夫婦でのご参加も増えてきました。最近では参加者の方からのご推薦などでお寺のイベントなどにもお声をかけていただいています。

【5.今後の課題と抱負】
現在の活動を開催するにあたり広報活動をしていないため、地域自治体や市民団体などとの連携や、紙媒体、SNS、ウェブサイトなどどのように効果的に告知していくかが検討課題です。

料金設定については、参加者の皆様にあまりご負担をかけたくないという思いでいますが、カフェ(2時間の貸し切り)との収支兼ね合いや、今後の運営費なども含め、考えていかないといけないと思っております。また、今後題材を増やしていく上で、絵本の選定やそれに付随する選曲、演奏、朗読等弾き続き研究を重ねていく所存です。

音楽、絵画、文学の三位一体から受ける複合的な刺激は、人間の感性や想像力を豊かにします。現在コロナ禍の中、どのような対策をして活動を続けていくか大きな課題の一つですが、このような状況だからこそ、我々の活動に意義があると考え、来年へ向けて準備していきたいと思います。

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