活動事例

協議会 活動事例

【事例紹介】「歌う交流会」

(2020年12月28日公開)

全国生涯学習音楽指導員協議会 東京支部会員 宮木丸美さん


「歌う交流会」の様子1

■ 活動タイトル「歌う交流会」
■ 日時:2020年(令和2年)2月25日9時30分~12時
■ 場所:品川区ウェルカムセンター原・交流施設
■ 対象:50代~80代 計40名

■ 活動内容
【1.活動を始めたきっかけ】
13年前、品川区立原小学校の跡地利用を検討する委員の募集があり、応募したのが最初のきっかけです。1年半後、地域活動、文化、芸術、運動など、交流の拠点となる「ウェルカムセンター原・交流施設」が完成し、貸室業務をスタートさせました。

施設の周知活動と利用団体を増やすために、文化事業やイベントの実施が必要です。私は事業企画を担当してきました。イベントで大活躍のチアチーム、高齢者のダンスサークル、ヨガ等、また音楽領域では歌、ウクレレ、ベル、ハーモニカ、ギターなど、多くの団体が誕生しました。

企画担当として行政主導のイベントや音楽会の広報、団体が活動しやすい環境作くりと知名度を上げるために様々な提案をしてきました。実行委員を担うことで行政とコンタクトをとり、行政側の方針(1)区民を平等に扱う事(2)イベントでは参加者数、参加団体数の確保(3)助成金の募集目標達成等を学び、それに合った企画とプレゼンテーションができるようになったと感じます。

【2.活動の想いと目的】
2019年(令和元年)の秋、高齢者福祉課主催の在宅介護者慰労会で「歌声男子」の演奏を楽しむ機会がありました。演歌・クラシック・ポップスと各音楽ジャンルで活躍するプロの歌手が集い結成された男性歌謡ボーカルグループです。そこで観客である高齢女性の少女のような眼差しをみて、目が釘付けになってしまいました。その様子から「若手男性ピアニストのピアノ伴奏で歌い、会食を楽しみながら普段聴く事の出来ないピアノ生演奏も聴くことで、高齢女性が元気になるのでは?」というアイデアが生まれたのです。若手ピアニストにとっては活動の場を広げるよいチャンスとなり、異世代の音楽ニーズを知る貴重な体験となります。

今回はコロナ禍の中で不安でしたが、私の運営している3つの歌団体に声をかけて実施する事が出来ました。誘った友達が歌団体に入会していただく事により会費収入につながり、最終的には団体運営を支援していただくようになります。音楽の喜びを通して輪を広げ、見知った顔の多い豊かな地域社会に貢献できる事を目的として活動しています。

【3.具体的な内容】
参加者に歌ってもらう曲は(1)季節の歌(2)一度は学校で歌った文部省唱歌(3)どの年代にも懐かしいと思われる各時代のヒット歌謡等をポイントに選曲します。また音域については歌いやすいキーであること、テンポについては若干ゆっくりめに歌えることにも配慮しました。ピアニストの演奏曲に関しては、心にしみる名曲と、最近流行っているカッコイイ曲の2曲を、15分以内で演奏をお願いしています。*詳細は当日プログラムを参照してください。


「歌う交流会」プログラム

  
【4.参加者の反応】
ピアニストのトークも交え、会場全体に親近感が生まれ、孫世代の男性音楽家の演奏に聴き入る姿は感動的でした。会食、音楽への積極的な参加、生演奏鑑賞と参加者同士の会話により、さらに距離を縮めることができ、良いひと時を過ごしていただいたと感じ、主催者として嬉しく思います。

【5.課題とその解決】
参加費の設定は大きな課題です。誰でも気軽に参加できるようにとランチ付きで500円の参加費では、ピアニストの謝金を出す余裕はありません。そこで、ボランティア団体として区に登録してある私の主宰団体「伊藤チャイム」の主催行事として実施することで、ボランティア助成金を活用することにしました。

18年前、生涯学習音楽指導員として活動するため文化庁の助成金を得たものの、実施するにあたって最も苦労したのは、「あなたは何の団体ですか」という行政側の問いかけでした。そこで、ピアノ教室の生徒親子に声をかけ、トーンチャイムの練習をして、福祉施設に演奏会を宅配する活動を始めました。

伊藤博文公墓所があることで昔から伊藤町と呼ばれていた町名とトーンチャイムを合体させて「伊藤チャイム」と命名し、活動依頼が増えたため品川区ボランティア団体に登録し社会的な信用を得ました。印刷機や会議室が無料で使えるほかに、登録1年を経過すると、年5万円の助成金を申請できます。伊藤チャイムは地域音楽会の企画も活動内容に入れていたので、音楽会での外部演奏者の謝金を出してもらえ、会場費や交通費、用紙代、保険代など、大いに助けられています。

活動を推進していく際の助成金申請には、行政側に対し簡潔な企画書(趣旨、目的、内容の骨子と予算書等を含んだ)やチラシ作成が重要です。また終了後は定められた期限までに速やかに報告書と決算書の提出が必要です。

このことは団体としての信用・信頼に繋がります。仕事は増え大変ですが、公益性の確認、企画の具体化、事業後の反省、記録等今後の活動に大変役立っています。


「歌う交流会」チラシ

【6.今後の抱負】
今後も地域で生演奏を聴きたいという声が多く寄せられています。コロナで歌う事の危険性が叫ばれ、企画者としても怠惰な生活に慣れてしまった今、生涯学習音楽指導員としての原点を思い出し、自分にエールを送らなくてはと思います。

YouTubeと生演奏のコラボで、座ったまま運動もできる健康増進音楽会、物語読み聞かせと生演奏による、心が豊かになる音楽会等を計画中です。活動が頓挫してしまった3つの音楽団体は、来年4月から「広報しながわ」で公募する予定です。音楽と食のコラボは、もう少し先になるかと思います。今後も、音楽単体だけでなく、別の領域(絵画、絵本、詩、歴史、食、美容等)と組み合わせた様々な企画を考え、活動して行きたいと考えています。

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