生涯学習音楽指導員

活動事例 生涯学習音楽指導員

【事例紹介】私の音楽指導~音楽がある生活で人生心豊かに~

生涯学習音楽指導員 Murakami Piano school主宰
ピティナTSUKUBAふれあいステーション代表
茨城県つくば市 村上理子さん

■ 活動タイトル:私の音楽指導~音楽がある生活で人生心豊かに~



■ 日時:2018年~現在
■ 会場:Murakami Piano school、つくば市ノバホール
■ 対象:5歳から70代

■ 活動内容:

【1.指導に対する想いと指導理念】

今、ピアノを習うことは以前と違って、誰でも気軽にできる良き時代になりました。専門的に習う子どもだけでなく、成人や高齢者が趣味で習いたいという方が増えています。私は幼児から高齢者まで幅広い年代を指導をしておりますが、世代が違っても共に好きな曲を思うように弾けた時の喜びは格別なものです。ピアノを弾く事を通して音楽の美しさ、楽しさを深く感じる時間を持っていただき生涯、音楽がある生活で人生心豊かに過ごしてもらいたいと願っています。生徒が気持ちよく弾けるため感性を磨いていくには、指導者として年代と個々の目的を充分把握しておくことが重要と考えています。

今回は、親子でピアノを一緒に学んでいる事例と大人の方が趣味で楽しんでいる事例の二つを中心にご紹介いたします。

【2.親子連弾を通しての効果】

小中学生を中心にソロ演奏の他、2台ピアノや1台4手連弾といった形を「子ども&保護者」、「先生&子ども」「子ども同士」等様々な組み合わせにて、アンサンブルを取り組んでいます。

発表会を開催するにあたり、子どもの頃にピアノを習った経験があるお母様お父様が多い事から、「お子さんとご一緒に共演してみませんか?」と親子での連弾にお母様方にお誘いしたところ、「ピアノは〇十年ぶりです」とおっしゃりながらも、子どものレッスンの終わり頃に連弾レッスン時間を設けると毎回喜んで参加いただきました。

発表会1部は連弾とソロ、2部はサン=サーンス作曲『動物の謝肉祭』の連弾、(ナレーションを小4の生徒が担当)3部ではソロと2台ピアノの3部構成で行いました。

以下、2部で演奏したサン=サーンス『動物の謝肉祭』の各曲について参加者の普段の練習状況メモをご紹介いたします。

親子連弾レッスン中 サン=サーンス作曲『動物の謝肉祭』お話付き連弾組曲
(使用した楽譜:ピアノ絵本館 宮本良樹編曲・文 全音楽譜出版社)

*P=Primo S=Secondo
  1. 序奏とライオンの行進P小6/Sお母様
    オルガンで練習しているため指がふにゃふにゃで音がしっかりしないので、ピアノのレッスン時間を延長して練習をがんばった。
  2. めんどりとおんどりP小4/S先生
    擬音効果に興味深々。自分が弾かないパートも練習し全体像をつかんだ。
  3. らばP小4/S先生(お母様)
    最後の決めのリズムが上手く揃うと気持ちいい。普段はお母さんと弾いている。
  4. かめP小6/Sお母様
    スローな「天国と地獄」(元のメロディーはオッフェンバックのオペラ「天国と地獄」)。遅すぎると弾いていて眠くなるので聴く人が飽きないようにテンポに気を付けた。
  5. P小4/Sお母様
    はじめの頃はお母様のフォルテが強すぎて子どもが弾きにくそうだったが、慣れてくるとバランスが取れて良い感じになった。
  6. カンガルーP小4/Sお母様
    フレージングを考えて練習した。
  7. 水族館P小6/S先生
    普段から連弾やアンサンブルを多くしている生徒なので、グリッサンドや細かい音を加えてできるだけ原曲に近い形で演奏した。
  8. 耳の長い登場人物P小2/S先生(お母様)
    音の伸び縮み効果と、プリモのリズムが面白いと子どもは曲を気に入っていた。
    お母さんと弾くはずだったが都合で当日は先生と弾いた。
  9. 森の奥に住むかっこうP小4/Sお母様
    郭公の声と森の響きがだんだんと幻想的な響きに。
  10. 大きな鳥かごP先生/ソロ
    生徒同士のペアを予定していたが練習日程が合わず先生のソロで。
  11. ピアニストP小3/S先生
    知らないうちにスケールとカデンツの練習をしていた事に本人は気付いてなかった。
  12. 化石P小4/S先生(お母様)
    オーケストラの響きをよく聴き、柔らかい音色や硬い音を出す練習をした。
    普段はお母さんと弾いている。
  13. 白鳥P小5/Sお母様
    「遊園地(花やしき)の白鳥さんの曲だ、お母さんと弾く!」と喜んでいた。お母様のテンポがやや不安定だったが親子で練習を重ねて改善。
  14. 終曲P小6/S先生
    普段から連弾や2台ピアノの経験があるので練習はスムーズだった。フィナーレの華やかさが出せるよう練習した。

<演奏後の感想>

『動物の謝肉祭』のナレーターを務めた小4の生徒は、連弾で自分でも数曲演奏し、全14曲のお話を語り、曲と曲の間に上手に間を取りながら進行してくれました。生徒による表現力豊かなナレーションは大変好評で、「ピアノを弾くだけが音楽じゃないんですね」と会場の聴衆者がおっしゃっていました。

<親子連弾の効果と成果>

親子で同じステージに立つという目標と体験が子どものやる気へとつながり、又お母様自身がピアノ演奏の楽しみを再認識して頂き、相乗効果が生まれました。連弾はソロ演奏よりも易しいと思われがちですが、アンサンブルは(1)共演する相手を受け入れる(2)自分の弾くパートだけでなく相手のパートを把握するために互いに音を良く聴く(3)協力しながら一つの曲をまとめ上げる気持ちと能力がないと成立しません。

子どもの音楽センスが光っているなら、そのアイデアに沿ってお母さんが考えて弾いてあげる事は大切です。互いに音楽センスを磨く、保護者の方々にこのような経験をしてもらうことが出来、子どもたちは連弾を通してアンサンブルのコツを掴んだ様です。ソロ演奏とは違った連弾の楽しさを体験でき選曲の幅が広がってきました。

【3.大人のレッスン】

大人の方のピアノを弾く理由や動機は様々です。障害のある子どもの心の支えになるようにとの思いでお母さんご自身が習いに来られたこともあります。お孫さんがいらっしゃる女性は、息子さんが習っていた頃に息子さんが発表会で弾いた曲や楽しかった曲、大好きだった曲をご自分でも弾いて昔のことを思い出しておられました。皆さん人生経験が長く音楽への想いもそれぞれですから、大人の方だけの場や個別に参加できる大人の方向けの外部ステージをご案内しています。

【4.子どもの指導に対しての課題とその解決策】

伸び盛りの大切な基礎構築時期の小中学生が学童や部活や受験で忙しい場合や、家にピアノが無く時間が取れないなど相談されることもあります。限られた時間の中で個々に合わせ対応できるよう、子どもたちが本来持っている芽を伸ばしていけるように日々考えています。

【5.今後の抱負】

ピアノの上達に近道はありませんが、自分だけの充実した時間を持てることは幸せなことだと感じています。生活の中の日々の小さな変化を、その時々の自分のピアノの音の中に感じ取っていくこと、「音楽」という存在を大切にしていきたいと思います。

指導者として子ども達には、音楽を通して集中力、根気を養うことで、それぞれの個性を伸ばしながら演奏表現、技術力を身に付け、何かの形で将来大きく花開けるよう自分の可能性に挑戦して行って欲しいと願っています。又大人になってからは、自分の意志で何事にでも取り組み、自ら学ぶ楽しさが待っている事を伝えていきたいと考えています。

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