新しい方角(邦楽)

活動事例 新しい方角(邦楽)

伝えたい箏-koto-

(2023年01月10日公開)

<新しい方角(邦楽:日本の伝統音楽)>

箏演奏家 渡邊香澄さん
「伝えたい箏-koto-」
「伝えたい箏-koto-」

■活動タイトル:「伝えたい箏-koto-」

目次

■活動開始年:2004年~現在に至る
■場所:日本全国、世界各国、youtube配信
■対象:邦楽ファン、一般

■活動内容

1.お箏に出会ったきっかけ

3歳半頃、通っていた幼稚園の目の前に箏教室の看板があり、箏の音色が好きだった母に見学に連れて行かれ、4歳から習い事の一つとして始めました。その後小学校4年生の頃に低音の出る17絃箏(*)に興味を持ち、「コンクールに出てみる?」という先生の勧めで参加したところ、同年代の子ども達の熱を帯びた演奏にカルチャーショックを受けました。

その力強さに触発され、毎年のように出演しては刺激をもらっていました。そしてこの様なレベルの高い人達と一緒に演奏できたら楽しいだろうなと思い、東京藝大を目指しました。今ではその直感を信じて良かったと思います。

17絃箏という多絃箏に興味をもった9歳頃から、年を重ねるごとに20絃箏、25絃箏とだんだん興味の域が増えていきました。

当時藝大で師事していた25絃箏の開発者―野坂操壽先生のリサイタルに伺った際、そこでの先生の繊細かつダイナミックな演奏に鳥肌が立つほど感動し、25絃箏を演奏したいと強く思ったのを覚えています。今はその25絃箏がライフワークとなっているのですから、不思議だなと思います。

*)17絃箏:有名な『春の海』の作曲者で箏曲家の宮城道雄が開発した楽器。合奏において低音域をカバーする。17本の絃が有る。通常の箏は13本。


2.具体的な活動

箏といえばお正月、敷居が高い、難しい曲が多いなど、なかなかポップス、ジャズやクラシックのように日常生活の中で自然に取り入れてもらいにくいイメージがまだまだ根付いています。

私はこの様なマイナーイメージを払拭し、一人でも多くの方に身近に箏を聴ける機会を増やし、この楽器の魅力を伝えたいという想いでコンサート活動、動画制作、CD制作を行ってきました。その活動の一部をご紹介いたします。

(1)全国ツアー

2019年4月から私の相棒である25絃箏と共に、47都道府県全国ツアーをしております。このライブでは堅苦しくなく、皆様にお食事と共に演奏をお楽しみいただくというスタイルにしています。ライブでの演奏曲は聴衆のリクエストや、最近流行りの曲、日本の民謡や海外のシャンソンなどジャンルには拘らず25絃箏でアレンジして演奏します。

「箏でもこんなことができるのですね!身近に感じました」、「箏を途中で止めていたけど再開しました」というメッセージを多くいただけるようになり、とても嬉しく思います。このツアーは2023年に制覇できそうです。



(2)動画制作

2013年から Youtube にも力を入れてさまざまなジャンルの曲を1作品ずつ作っています。海外の方からの反応が大変多く、グローバルな活動として続けていきたいと思っています。




(3)演奏依頼など

2019年まではイギリスやタイなどのアニメフェスティバルに何度か出演をしました。海外の方から日本の音楽、楽器、日本のアニメなどはとても好まれていることが伝わってきました。質問を受けたり、周りに集まって一緒に写真を撮ったりなど、興味を持ってくださる方が沢山いました。

2021年8月 中国の全世界オンラインゲーム「原神」の音楽制作に参加しました。MVでは東京フィルハーモニー交響楽団の皆様との共演、和楽器のみの動画が発信されております。お楽しみください。



2022年5月 米国・ワシントン大学から招待演奏の依頼を受け、大学構内にて演奏しました。会場内に「原神」をみましたという方がいて、とても驚きました。




(4)CD・レコード制作

2016年にT-TOC RECORDSからメジャーデビューし、これまでに4枚のCDをリリースしています。「伝えたい箏-koto-」シリーズはすべて25絃箏のみで(ソロと多重録音)作・編曲しています。

ジャンルレスで、プリン・アラモードのようなラインナップが特徴です。特に一番の特徴は、箏だけのワンマンオーケストレーションです。17絃箏と25絃箏を駆使して8パートの多重録音をし、重厚感が出るよう作り込んでいます。
  • 2016年「伝えたい箏-koto-」
  • 2017年「伝えたい箏-kotoⅡ-」
  • 2021年「伝えたい箏-kotoⅢ-」
  • 2021年「絃(いと)」
2021年にリリースした4枚目の「絃(いと)」は、相次いでご逝去された私の恩師3名に感謝の気持ちを込めて、先生方との思い出の曲を収録した魂の1枚となっています。2022年には、最近またブームとなってきているアナログレコードを発売しCDとはまた違う趣で、オーディオファンにお楽しみいただいています。


3.課題と抱負

邦楽は日本の音楽であるのに、まだまだ一部の人には受け入れがたいという印象を強く感じます。また何故か洋楽のほうが邦楽より優れていると思っている方もいます。最近の邦楽は継承していく伝統芸能と、時代と共に進化した新しい音楽としての楽しみ方もできるようになってきました。

洋楽、邦楽と区別なく自国の誇れる音楽、和楽器をあらためて聴いていただきたいと願っています。和楽器だから邦楽をという固定概念にこだわらず、誰でも知っている曲を和楽器でも楽しめる世界を繰り広げ、「邦楽ってかっこいい」「楽しい音楽なんだ」と1人でも多くの方に感じていただけるよう、箏演奏家として伝えていきたいです。

(2023年1月10日公開)


「新しい方角(邦楽)」は日本の伝統音楽の新しい道を探るコラムです。
新しく斬新な試みで邦楽(日本の伝統音楽)の世界に新しい息吹を吹き込んでいる邦楽演奏家の方やその活動などをご紹介し、邦楽の新しい方向性を皆さんと共に模索しています。

「新しい方角(邦楽)」

#コラボレーション
#海外活動

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