活動事例

新しい方角(邦楽) 活動事例

琉球楽器・胡弓(クーチョー)の普及、発展を目指して

(2023年07月25日公開)

琉球古典音楽野村流伝統音楽協会 胡弓奏者 師範 沖縄県浦添市 又吉恭平さん

■活動テーマ:
琉球楽器・胡弓(クーチョー)の普及、発展を目指して
■目次:
■活動開始時期:
2001年~現在
■場所:
沖縄県を中心に国内外
■対象:
一般、子供
■活動内容

1.胡弓を始めたきっかけ

私がまず出会った楽器は「三線」(*1)です。小学校4年生の頃、母親に地元浦添市仲西の公民館で行われていた三線教室に連れって行ってもらったときでした。そこで聴いた三線の音色が忘れられず小学校6年生から本格的に琉球民謡(*2)教室に通うようになりました。その後暫(しばら)くして琉球民謡の公演に出演したとき、民謡の伴奏として演奏されていた楽器「胡弓(クーチョー)」の存在を知りました。三線とは違ったこの楽器の魅力にとりつかれ演奏してみたいと思い、高校1年生のときに胡弓演奏の第一人者である新城清弘先生に出会い師事し、現在の演奏活動に至ります。

*1)三線:沖縄・奄美諸島で使用される弦楽器。イヌマキ・クスノキでできた胴にインドニシキヘビの皮が貼ってある。水牛の角で作られたバチで演奏する。「涙そうそう」で有名なBEGINなどのアーティストが使用。
*2)琉球民謡:「てぃんさぐぬ花」「安里ユンタ」「なりやまあやぐ」「唐船どーい」等

2.琉球楽器・胡弓(クーチョー)とは

胡弓(クーチョー)は、沖縄がかつて「琉球王国」(1429年~1879年)と呼ばれていたころから存在する楽器です。その歴史は400年以上とも言われます。その形は一見三線に似ていますが三線よりも小ぶりで、本体は梯梧などの木材でできており表面は蛇の皮が貼り付けられています。弦を馬の尻尾で作られた弓で演奏することに特徴があります。しかし、伴奏楽器であるが故に三線の陰に隠れたマイナーな楽器で演奏者も少なく、沖縄の人でも中国の「二胡」(にこ)」と区別がつかないくらいです。しかしこの楽器が滅びず今日まで残ってきたのは、やはり琉球人・沖縄人(ウチナ―ンチュ)好みの音色であったことが理由だと思います。

私にとっても胡弓の魅力はまず「音色」です。琉球楽器(*3)の中では唯一、弓で演奏する擦弦楽器(ヴァイオリン等の弦楽器等)で、その哀愁ある音色は、同じ持続音で奏でられる笛の音色ともまた違った魅力があると感じています。もう一つの魅力は独特な「演奏法」です。ヴァイオリンや二胡などは楽器を固定して弓で演奏しますが、日本や沖縄の胡弓は楽器本体を回転して演奏することに特徴があります。実は東南アジアや中東の楽器にも同様の奏法の楽器があり、遠い異国とのつながりを感じさせることに浪漫を感じます。

*3)琉球楽器:三線他、エイサー太鼓やチジンなどの打楽器、ウシブラ、ウマブラの金管楽器

3.演奏に当たっての留意点

伴奏楽器として演奏される胡弓は、いかに琉球古典音楽(1429年~1879年の琉球王朝時代の宮廷音楽)で主となる歌三線(三線で弾き歌い)の演奏を引き立てるかが大切だと感じています。そのためには何よりも「聴く力」を育てていくことが要です。流会派や個人でも歌い方や声色、三線の弾き方はそれぞれ特徴があります。胡弓はそのことを意識して、臨機応変に対応できなければなりません。私の場合はあらかじめCDやレコードを通して様々な曲を聴き覚えることで、その場ですぐに対応できるように努めています。何よりも胡弓は歌三線奏者の演奏を間近に聴くことができるので、琉球古典音楽のファンでもある私にとってはいつも特等席に座らせていただいている気持ちです。

4.具体的な活動

(1)他ジャンルとの共演

私がこれまで行ってきた活動の中で邦楽との共演は大変刺激となりました。なぜなら琉球古典音楽と邦楽双方の楽器、演奏方法、奏でる音楽に違いがあるからです。まず2015年12月に名古屋系胡弓奏者の原一男先生と「琉球・大和 二つの胡弓」という演奏会を開始し、その後原先生とはこれまで沖縄で2回、東京で2回演奏会を開催させていただきました。そして同じく胡弓奏者の高橋翠秋先生には2021年11月にご自身のリサイタル「胡弓の栞」にお呼びいただき、紀尾井ホールの舞台で一緒に演奏させていただく貴重な機会を頂きました。今年2023年には琉球放送「時の首里彩画『THE SESSION』」にて詩人・歌人の佐藤モニカさんと「短歌×胡弓」の組み合わせで共演させて頂きました。

他ジャンルとの共演は、ふだん演奏している琉球古典音楽の演奏とは違った価値観を共有することで自身の音楽を見つめなおす良い機会となり、微力ながら今後も継続していきたいです。

(2)研究活動

私にとって、演奏活動と同じように大切にしていることが「研究活動」になります。沖縄県立芸術大学では学部の4年間、琉球芸能専攻において、琉球古典音楽の実技を学んでいましたが、大学院では音楽学専修に進み論文の執筆に取り組みました。私の研究テーマは「沖縄の獅子舞の歴史と伝承」です。沖縄各地に伝承される獅子舞を調査し、論文にまとめました。大学院を修了してからも研究活動は継続し、2021年には胡弓に関する論文「琉球楽器の改良 -又吉真栄による四弦胡弓の開発と普及を例にー」を執筆しました。

また同年、宜野座村がらまんホールの依頼により大学院の頃に取り組んだ沖縄の獅子舞の研究について、YouTubeで全5回にわたって、沖縄獅子舞講座」を担当させていただきました。

5.総括

私はこれまでこの胡弓という楽器に出会ってから様々な経験をさせていただきました。また多くの方々との出会いもこの楽器のおかげであると強く感じています。
胡弓はまだまだ知名度の低い楽器です。しかし私はこの楽器が大好きなので、今後も多くの人にその魅力を伝えられるよう、演奏活動はもちろんのこと、講演や研究活動、さらには胡弓の音色を活(い)かした楽曲を作曲するなど創作活動にも取り組んでいきたいと考えています。

<今後の出演予定>

〇普及公演「琉球舞踊鑑賞教室」

日時:2023年8月5日(土) 14:00開演

場所:国立劇場おきなわ(大劇場)

〇糸満市平和記念コンサートvol.7

日時:2023年8月20日(日) 14:00開演

場所:沖縄平和祈念堂

〇組踊公演「大城崩(うふぐしくくじり)」「万歳敵討(まんざいてぃちうち)」

日時:2023年8月26日(土) 14:00開演

場所:国立劇場おきなわ(大劇場)

(2023年7月25日公開)

「新しい方角(邦楽)」は日本の伝統音楽の新しい道を探るコラムです。
新しく斬新な試みで邦楽(日本の伝統音楽)の世界に新しい息吹を吹き込んでいる邦楽演奏家の方やその活動などをご紹介し、邦楽の新しい方向性を皆さんと共に模索しています。

「新しい方角(邦楽)」

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