活動事例

新しい方角(邦楽) 活動事例

古典と現代曲の枠を超え箏胡弓に想いを込めて

生田流 箏曲演奏家(箏三弦胡弓) 京都市 福原左和子さん

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■活動テーマ:
古典と現代曲の枠を超え箏胡弓に想いを込めて
■目次:
■活動開始時期:
1984年から現在
■場所:
国内(五島列島から北海道まで)
海外(イラクシリアレバノン等中近東諸国、アフリカ諸国、欧米等)
■対象:
一般
■活動内容

1.お箏と胡弓との出会い

京都の西陣という織物の町で生まれ育った私は、機織りの音やお箏の音に包まれて日々を過ごしておりました。西陣はそれぞれの家で織物を手織りするという様式のため、柔らかい機織りの音が心地よく響き、数軒隣の叔母の稽古場からいつもお箏の音が聴こえていました。その環境の影響もあり3歳で初舞台をおさめました。

叔母の師は京都を代表する名人、菊月秋栄師です。その菊月先生から孫のように愛情をたっぷり注(そそ)いでいただきながらお稽古をしておりましたが、当時はスポーツに明け暮れ同志社大学経済学部に進み、お箏は習い事の一つでしかありませんでした。しかし、沢井忠夫(*1)一恵両師のコンサートを聴く機会があり、「お箏で音楽を表現できるんだ!」と大きなショックを受け、そのときから私の音楽人生が始まったと思います。また、お箏のみならず京都腕先流胡弓を菊月先生から全曲教えていただけたことも感謝の一言です。

*1)沢井忠夫:生田流の箏演奏家。古典の曲を掘り下げるだけでなく、音楽ジャンルにとらわれない新しい邦楽作品を生み出した。沢井筝曲院を1979年に設立。現在は忠夫・一恵夫妻の長男沢井比可流先生が会長

胡弓の演奏
「楽 / GAKU」

2.尺八奏者ジョン海山ネプチューンさんとの出会い

大学を卒業しNHK邦楽技能者育成会へ進み、受験曲は古典の「みだれ」(筝曲の基礎を築いた八橋検校の曲)を選びました。まだ古典しか知らない中、ある演奏会で『一緒に音楽やりませんか?』とジョン海山ネプチューン(*2)さんが声をかけてくださいました!ただただ驚きました!私の音楽人生ステップ2の始まりです。

*2)ジョン海山ネプチューン:アメリカカルフォルニア出身の尺八奏者。大学在学中に民族音楽に興味を持ち1973年に尺八を学ぶために来日。ジャズ・フージョンやコンテンポラリー作品等、尺八の新しい魅力を創りだしている。

30年間続けさせていただいている公益文化事業スクールコンサートにおいて、今秋は佐賀県で6公演いたしました。アメリカ人(ジョンさん)が日本の尺八を、日本人の(直居さん)が西洋のギターを、私は日本の楽器、箏(ふつうです、、)の編成で行いました。コンセプトは「人種や宗教の壁を乗り越え、皆で心を一つにして音楽を奏でよう!」です。

被災地でのコンサートも数多く行っています。私たち奏者が励ますどころか聴いてくださる子供たちから、毎回すばらしいエネルギーをたくさん頂きます。そして言葉にできない音楽の絆の深さを体感させていただいております。ネプチューンユニットに参加させていただき幸せです。今現在も全てが勉強中です。音楽は生き物、コンサートはドキドキ、聴衆と同じ空気を共有してエネルギーを深め合う、ジョンさんから多くを学びながらライブ感漂うコンサートを目指しています。

3.洋楽器(ヴァイオリン、オーボエ、ファゴット)との出会い

ヴァイオリニストの鷲山かをりさんと一緒に演奏する機会があり、音楽人生ステップ3が始まりました。デュオKYOTOとして国内外で多くのコンサートをさせていただきました。30年前は京都チェンバーオーケストラという楽団があり必ず箏コンチェルトがプログラミングされ新作にいつも取り組んでいました。今振り返れば、大変恵まれていた状況で感謝しかありません。その後も洋楽器とのデュオやカルテットを継続しております。現在の私は邦楽器より西洋楽器と演奏する機会の方が断然多いように思います。

ファゴットとのデュオ「ふるさと遠く」

4.現代音楽との出会い

沢井一恵先生。あたたかくて大きなエネルギーで私の背中を押してくださり、いつの間にか前に歩けている私自身がいます。現代音楽の深さ、真髄。四苦八苦もがきながら自身をその楽曲に投影していく。一恵先生を見習いながらその楽曲と真剣に向き合うことだけを心がけています。そして、また数多くの新作に携わることができますこと、有り難く幸せに思います。

現代音楽の演奏作曲者:マリオス・ヨアンノー・エリア

5.最後に

『左和子さんは古典弾きなの?現代曲弾きなの?』としばしば問いかけられます。皆さん不思議に思われているようです。今、演奏されている古典も作曲されたときは新しく作られた曲、その時代のエネルギーが一杯つまったすばらしい名曲なのです。ですから数百年、色あせることなく弾き継がれてきていると思います。古典曲、現代曲ともに楽曲を奏する際はその曲が作られた時代背景や状況をしっかりと把握、リスペクトしながら今現在、令和に生きている私の想(おも)いとエネルギーを込めて一音一音、大切に奏し続いていきたいと願っています。命ある限り、一歩でも前に進めますように願いを込めて。

(2024年2月9日公開)

「新しい方角(邦楽)」は日本の伝統音楽の新しい道を探るコラムです。
新しく斬新な試みで邦楽(日本の伝統音楽)の世界に新しい息吹を吹き込んでいる邦楽演奏家の方やその活動などをご紹介し、邦楽の新しい方向性を皆さんと共に模索しています。

「新しい方角(邦楽)」

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